【2021年版】国際公務員の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「国際公務員」とは

国際連合などの国際機関に所属し、国際社会の利益と共存のために仕事をする。

国際公務員とは、大きく分けて「国際連合」「国連総会により設立された国連の下部機関」「専門機関」「その他の国際機関」の4種類の国際機関で働く人のことをいいます。

国際公務員は「国」という概念を超えて、国際社会の利益と共存のために仕事をします。

高度な専門性が求められるため、基本的に大学院まで進学し、一定レベルの学位を修めておく必要があります。

国際公務員の年収は、おおむね500万円~1000万円の間に収まりますが、担当業務やキャリアによっても差が出ます。

人種、貧困、紛争など、さまざまな国際問題を解決するための国際機関は、各種の問題があり続ける限り存在すると考えられ、そこで活躍する国際公務員の将来性も十分にあるといえます。

現在では専門分野にプラスして、ITリテラシーの高い人材や、時代の変化にスムーズに対応できる人材が求められています。

「国際公務員」の仕事紹介

国際公務員の仕事内容

国際機関に所属し、国際的な問題の解決を目指す職員

国際公務員とは、国際連合(通称「国連」)および、その専門機関に所属する職員のことを意味します。

国連は、国際平和と安全の維持、経済・社会・文化などに関する国際協力を実現するための組織で、2020年現在、世界の193ヵ国が加盟しています。

また、国連の専門機関は、「国連開発計画(UNDP)」「国際児童基金(UNICEF)」「世界保健機関(WHO)」などがあります。

所属先の機関によって国際公務員が携わる仕事内容は異なりますが、「国」という概念を超えて、国際社会の利益と共存のために働くのが、国際公務員の役割です。

専門職と一般職の仕事

国際公務員には大きく分けて「専門職」と「一般職」があります。

専門職の国際公務員は、各機関に貢献できる専門的な知識や技術を生かした仕事をします。

たとえば、各機関の開発・経済援助、環境保護などのプログラムの遂行に直接携わる業務や、会計、人事、広報などの総務的な業務などがあります。

一般職の国際公務員は、各機関の本部や各地の事務所において、専門職のサポートとして一般事務を担当します。

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国際公務員になるには

未経験から国際公務員を目指すには

国際公務員になるには、いくつかのルートがあります。

ひとつは「国連ヤングプロフェッショナル・プログラム(YPP)」を受験し、採用されることです。

YPPの試験は、専門職職員の人数が少ない国の者を対象として行われるもので、2020年現在、日本でも実施されており、未経験者でも応募可能です。

国際公務員になるための大半の試験では職務経験が求められるため、未経験から目指す場合には、YPP経由がスタンダードな方法といえます。

ただし、応募対象の試験分野で少なくとも「学士号」の学位を取得していることや、「32歳以下であること」など複数の条件があるため、事前の確認が必要です。

YPPに合格すれば、事務局の専門職員として当初2年間の契約がオファーされ、実績次第で継続契約が可能です。

外務省から派遣される道を目指すことも

もうひとつ、「JPO(ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー」派遣制度によって、国際公務員として働く道があります。

この制度は、外務省が派遣取り決めを結んでいる国際機関に対し、原則として2年間日本人を派遣するものです。

JPOに選出された人は、派遣先国際機関と雇用契約を結んで、1年間勤務します。

その後、派遣先機関からの要請があれば1年間契約が更新され、この期間内で正規職員を目指します。

こちらも「35歳以下」や「修士号取得以上」などの条件があります。

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国際公務員の学校・学費

大学院まで進んで専門分野に関する知識を深める

国際公務員の募集区分は大きく「一般職」と「専門職」の2つがあります。

一般職の場合、学歴は問われなかったり、学士号(大卒)でも応募できたりする職種があります。

一方、専門職を目指すのであれば、経済・会計・法律・政治・行政・農業・広報・開発・ロジステクス・ITなどといった、国際機関で求められる各分野の学位、とくに「修士号」や「博士号」まで求められてきます。

語学については、国際的な共通語として英語もしくはフランス語の能力が必要で、それらを使って業務を遂行できるくらいのレベルに達しておく必要があります。

学歴は高く、専門分野の学びを深めておくほうが有利に

現状、国際公務員として働く人の9割以上が「修士卒以上」の学歴であるといわれ、なかでも、難易度の高い名だたる大学や大学院で学びを深めてきた人が多いです。

世の中には、ほとんど学歴が問われず、広く門戸が開かれている職業もたくさんあります。

しかし、国際公務員の場合には学歴は高いほうが有利になり、中卒や高卒で国際公務員になるのは非常に難しいと考えておいたほうがよいでしょう。

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国際公務員の資格・試験の難易度

資格は不要だが専門性は求められる

国際公務員になるために、基本的に資格・免許は必要ありません。

国際組織で働くには、公募されるポスト、国連が実施する試験、あるいは外務省の派遣制度などに応募し、各採用試験を受験することが条件となります。

語学力を示すため、あるいは各専門分野の能力を示すために資格は有用な場合もありますが、資格がなければ応募できないわけではありません。

ただ、国際公務員として国際的な課題に向き合っていくためには、各専門分野におけるハイレベルな知識や経験、学歴などが求められてきます。

自分の専門分野に関する学びを深め、その知識をどのように国際公務員として生かせるかに焦点を当てて、キャリアを考えていくとよいでしょう。

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国際公務員の給料・年収

多くの国連関連機関で統一の給与体系が適用されている

国連機関に勤務する国際公務員は、基本的に、各機関が採用する「共通制度」という基準で給料が決められています。

共通制度は「OECD」や「IMF」など一部の国際金融関係機関を除いた多くの機関が採用しており、国連機関の勤務条件はほぼ統一されていることになります。

国連機関における共通制度での給料については、一般に経験やポストの高さによって「基本給」が決められ、これに勤務地による「調整給」や「手当」などが加えられます。

国際公務員の給料はドル立てで計算され、職員が希望する通貨で支払われます。

2017年に発表されたモデル給与は、ニューヨーク勤務で単身の場合、標準的な国際機関職員で$130,107.80(約130万円)幹部職員で$179,554.09(約190万円)となっており、日本の一般的な会社員の平均年収よりも高水準です。

手当や健康保険、年金制度もある

国際公務員の手当には、勤務地や家族構成などによって、扶養手当、異動手当、赴任手当、住宅補助金、教育補助金などさまざまなものがあります。

また、国連機関は「国連合同職員年金基金」に加入しており、職員は6ヵ月以上勤務する場合、自動的に基金の加入者となり、将来的に年金の受給が可能です。

健康保険については、各機関がそれぞれ保険会社と契約しており、生活面で不安を感じずに勤務できるような制度が整っています。

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国際公務員の現状と将来性・今後の見通し

厳しい環境下でも熱意をもって活躍できる日本人が求められる

日本は国際連合に対しての大口出資国ですが、出資額に比較すると、日本人の国際公務員の割合は非常に低い現状となっています。

優秀な日本の若者にとって、やや不安定な雇用形態の下、厳しい成果が求められる国際公務員という職種は敬遠されがちなのかもしれません。

実際、国連機関では有期雇用契約で働いている人もおり、希望した全員が、安定した正規職員の身分で雇用されるとは限りません。

国際公務員は世界中の難しい課題に立ち向かっていく素晴らしい仕事ですが、この職種で成果を残し、活躍するには非常に強い熱意や目的意識が求められます。

なお、国際社会が高度にIT化していくなかで、昨今では各分野に関する専門性にプラスして、ITリテラシーの高い人材の需要が増加傾向にあります。

最近では政府による若手人材の派遣プログラム制度も積極的に実施されているため、国際公務員を目指す若者にとってはチャンスが拡大しているといえるでしょう。

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国際公務員の就職先・活躍の場

世界各国で活躍できる可能性がある

2020年現在、世界193ヵ国が加盟する国際連合には、その専門機関として「国際教育科学文化機関(UNESCO)」「国際労働期間(ILO)」「世界保健機関(WHO)」などがあります。

これら国連関係組織で働く人を総称して、国際公務員と呼びます。

国際公務員の種類には「専門職」と「一般職」がありますが、各領域における経験や専門知識、また国際公務員の採用のされ方によって「キャリア組」と「出向組」といった分け方がされる場合もあります。

キャリア組は、試験や空席に応募して国際機関に採用され、国連システム内でキャリアアップしていく人たちで、多くはこちらのパターンです。

一方、出向組といわれるのが、加盟国政府の関係省庁からの人材派遣によって国際公務員として働く人たちです。

この人材派遣も頻繁に行われており、派遣期間は2年~5年程度となることが多いようです。

とくに専門機関では、よりいっそう高度な知識や技能が要求されるため、スキルの高い人材の活躍の場となっています。

国際公務員の1日

基本的に、自国以外の国に赴任する

国際公務員は、専門職として働く場合には、基本的に自国以外の国に赴任します。

世界各国で働く可能性があり、1日の流れや生活スタイルは、勤務地や職種などによってまったく異なるものとなります。

ここでは、国連事務局の専門職として働く国際公務員のある1日を紹介します。

8:30 出勤
9:00 プロジェクト会議
12:00 休憩
13:00 他機関とのビデオ会議
15:00 会議内容のまとめ資料作成
16:30 出張準備
18:00 退勤

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国際公務員のやりがい、楽しさ

世界規模の仕事に邁進できる喜び

国際公務員は、特定の国や地域の利益を優先するのではなく、中立的な立場で、国際平和と国際協力のために日々働きます。

国際公務員が向き合う事柄は、世界レベルでの紛争や貧困、災害、環境、教育、人権、法律など大きなものばかりで、常に広い視野で物事を考えることが求められます。

「世界中の人々がよりよく暮らせる社会をつくる」「世界のために力を尽くす」といった使命感を抱えて仕事に従事できることは、国際公務員ならではの魅力であり、やりがいです。

また、多様な国籍の人と一緒に働くため、さまざまな価値観や文化に触れながら、人間の幅をどんどん広げていけることも魅力です。

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国際公務員のつらいこと、大変なこと

優秀な人材に囲まれ、高い専門性が求められるプレッシャー

国際公務員になれるのは、学生時代から真剣に勉強を続け、専門分野に関する職務経験を積んで、厳しい試験などを乗り越えてきたひと握りの人のみです。

どの職員も、それぞれが国際的な課題に取り組んでいく強い使命感や責任感を胸に秘めており、またハイスキルな知識や経験を備えています。

優秀な人たちに囲まれる環境に身を置いて活躍するためには、仕事に対しての熱心さはもちろん、自分の専門性を磨き続ける努力が欠かせません。

高いレベルで、成果を出すことへのプレッシャーを感じることもあるでしょう。

また、国際公務員の活躍フィールドは世界中に広がっており、治安のよい国や地域で働くとは限りません。

慣れない場所で、生活習慣や文化、宗教などの違いを感じながら働くことに苦労する人もいます。

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国際公務員に向いている人・適性

志高く、国際的な課題に関する目的意識をもてる人

国際公務員に向いているのは、勉強熱心で向上心が強く、志が高い人です。

国際公務員として働く人のうち、約9割ほどが「修士卒以上」の学歴といわれていることからもわかるように、国際公務員は、そもそも勉強が好きで、自らの専門性を高めることを苦にしない人でなければ務まりません。

何を専門にするかは、各職員によってそれぞれ異なりますが、追究していきたいテーマを見つけ、主体的に努力できるような人は国際公務員としての適性があるといえるでしょう。

とくに国際的な問題に対する興味が強く、それを解決するために中立的な立場で働きたいと思えるタイプの人は、国際公務員に向いています。

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国際公務員志望動機・目指すきっかけ

人の役に立ちたいという強い意志

国際公務員を目指す人たちの多くが、グローバル志向が強く、世界を舞台に活躍したいという強い意志をもっています。

とくに国際公務員の場合、途上国の貧困問題や教育問題、紛争、災害、環境問題といった重要かつ大きなテーマを扱うため、世界平和や国際的な課題への関心が強い人が目立ちます。

世界にはたくさんの課題があるため、それらを解決に導くために尽力したいという並々ならぬ情熱や使命感が、国際機関で働く原動力となります。

このほかには、多国籍の人たちと一緒に働きたい、語学力や学んできた専門分野を生かせる仕事がしたい、といった思いをもつ人もいます。

国際公務員の雇用形態・働き方

有期雇用契約からキャリアをスタートする人も

国際公務員は多くの場合、一般企業で勤務する場合とは大きく異なった働き方や生活スタイルになります。

というのも、国際公務員は専門職に就くと、ほとんどが母国外での勤務となり、現役の日本人職員も多くの人が海外で勤務しています。

若手職員の場合、1~2年程度の有期雇用契約からキャリアをスタートする人が少なくありません。

この期間の働きぶりが評価されれば、継続的な雇用契約を結び、正規職員として働くチャンスが得られます。

国際公務員には、なるために高い専門性が求められますが、採用後に安定的に働き続けるにも努力が必要です。

国際公務員の勤務時間・休日・生活

勤務する国や地域によっても大きく異なる

国際公務員の勤務時間や休日は、勤務先となる派遣先機関によって異なります。

多くの場合、平日に仕事をして土・日曜日に休みの週休2日となりますが、日本とは異なる時差の環境で働くことも多いです。

業務内容や階級によってはフレックス勤務制度を活用し、仕事を滞りなくこなせる範囲で個人が勤務時間を調整できることがあります。

休暇については、年齢やポストに関わらず1年につき30日間の年次有給休暇が与えられるのに加え、病気休暇、特別休暇、出産休暇があります。

また、本国外で勤務する職員は、2年に1回(勤務困難地では1年に1回)、機関側の費用によって家族とともに自国へ帰ることができる帰国休暇制度もあります。

生活に慣れてくれば、日本とは異なる環境での暮らしを楽しむことができるでしょう。

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国際公務員の求人・就職状況・需要

新しい人材は常に求められるが競争は厳しい

国際公務員になるためのルートはいくつかありますが、いずれの方法であっても競争が厳しく、狭き門であることは確かです。

決して多くはない募集枠に優秀な人材が押し寄せるため、採用にこぎつけるまでの難度は相当高いと理解しておく必要があります。

また、現地採用や欠員補充の公募への応募は、自分で各機関の採用情報をこまめにチェックする必要があります。

国際公務員は基本的に、採用後ただちに第一線で活躍できる即戦力になれる人が求められる傾向で、未経験者が応募することは困難なケースが多いです。

日本の一般的な企業のように、入社後に時間をかけて育てていくという考えはあまりないため、学生時代にどれだけ専門分野への知識・技術を深められるかが重要です。

この点も、新卒者にとっての国際公務員の厳しさといえるでしょう。

国際公務員の転職状況・未経験採用

職務経験を生かして転職を目指すことが可能

20代~30代前半くらいの若い人が国際公務員に応募できる方法として「YPP試験」や「JPO派遣制度」が挙げられます。

前者の試験は、32歳以下であることと、申し込む分野の学士号(大卒)以上の学歴があれば応募することが可能です。

しかし、試験の倍率は数百倍にのぼるとされており、該当分野での職務経験がある人のほうが有利です。

後者のJPO派遣制度については、外務省が派遣取り決めを結んでいる国際機関の業務に関連する分野で、2年以上の職務経験のある人が応募できるものとなっています。

加えて35歳以下で、大学院修士課程以上を修了している必要があります。

国際公務員は、高い専門性と職務経験がある人が有利になりやすいため、転職者にとってもチャンスは十分にあります。

国際公務員の種類

各分野のプロフェッショナルである「専門職」と、事務を担当する「一般職」

国際公務員の種類の分け方として、まず「専門職」と「一般職」が挙げられます。

専門職には、各機関で実施するプログラム(開発、環境、経済など)に直接携わる業務と、それをサポートする業務(財務、人事、総務、広報、ITなど)があります。

各専門機関において、各分野の知識や技術、経験をもつプロフェッショナルたちが、自らの専門性を生かして活躍するのが特徴です。

一般職は、各国際機関の本部やフィールドにおいて、専門職の指示の下、一般事務を中心に担当します。

秘書や運転手、警備といった業務に従事する人もいます。

勤務年数や実績でグレードが上がっていく

国際公務員は、勤務年数や実績に応じて「グレード」と呼ばれる階級のようなものが決まります。

「G」は一般職、「P」は専門職で、その上には「D」という管理職の人たちがいます。

さらに上になると「ASG(事務次長補)」、「USG(事務次長)」などもあり、このグレードは給与にも影響します。

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