住宅メーカー社員の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「住宅メーカー社員」とは

住宅メーカー社員の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

規格化・工業化によって住宅を大量生産し、全国規模で事業展開する。

自社ブランドで戸建て住宅やマンションをつくり、それらの販売を行うのが住宅メーカーの仕事です。

契約を結ぶ営業担当、施主のニーズに合った図面を作成する設計担当、図面を形にする現場管理担当が三位一体となって品質の良い住宅を提供しています。

住宅を販売したら終わりというわけではなく、物件の定期的メンテナンスや、リフォームなども行いますので、それぞれの顧客と長く付き合うことになるのが特徴です。

扱う商品が高額であるため、大卒であることは必須で、とくに生産担当においては理系の専門学科を卒業していることが条件になる場合がほとんどです。

基本給は平均的ですが、営業担当は契約数に応じたインセンティブが支給されることも多いため、努力次第で高収入が目指せる職種であるといえます。

一方でノルマをこなせず、他部署に異動になったり、退職という道を選んだりする人も少なくありません。

日本では少子高齢化により不動産の市場は縮小が見込まれ、単身者や高齢者にターゲットを絞った商品開発を行うなど、各社がそれぞれの努力を続けています。

「住宅メーカー社員」の仕事紹介

住宅メーカー社員の仕事内容

自社ブランド住宅の販売やアフターサービスを行う

家を販売するには多くの社員が関わる

住宅メーカーは、自社のハウスブランドを中心とした戸建て住宅やマンションの販売を手掛ける会社です。

1軒の住宅が出来上がるまで、基本的にすべての工程を社内で行いますので、住宅メーカー社員の仕事内容は多岐にわたります。

まず、営業担当者が、ショールームや住宅展示場などで接客し、自社商品を紹介したり、住宅に関する相談に応じたりします。

契約を結んだら、設計担当者にバトンタッチして、図面を作成し、それを元に現場管理担当者が実際の建築業務を行い、完成したら顧客に引き渡します。

住宅メーカーの仕事は、受け取ったバトンを確実に次の担当者に渡すという「チームプレー精神」が非常に重要になるといえるでしょう。

また住宅を販売したら終わりというわけではなく、物件の定期的メンテナンスや、十年後、二十年後のリフォームなども行いますので、住宅メーカー社員はそれぞれの顧客と長く付き合うことになります。

住宅メーカーの役割

住宅メーカーの役割は、ありとあらゆる面で少しでも性能のよい商品を開発し、お客さまへと提供することです。

衣・食・住という私たちの生活に不可欠な3大要素のなかでも、とりわけ「住」は非常に重要です。

職務内容がどんなものであっても、住宅メーカー社員は、お客さまの暮らしを豊かにすることが最大の目的といえるでしょう。

大手ハウスメーカーの年間販売戸数は1万軒前後にのぼり、住宅メーカーの役割が社会全体に与える影響は大きいといえます。

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住宅メーカー社員になるには

それぞれの職種に応じた採用試験に合格する

職種によって道のりは変わってくる

住宅メーカー社員になるまでの道のりは、どのような職種を目指すかによって変わります

設計や積算、工事監理、生産管理、研究開発といった「技術系」の職種を希望する場合、4年制大学のそれらの専門知識を学べる学部・学科に進学しなければなりません。

これに対し営業や経理、総務などの「事務系」の職種に就きたい場合は、そこまで細かく進路を絞る必要はありません。

入社後、営業職として入社した社員は、ほかの部署に異動することは基本的になく、営業マンとしてのキャリアを突き詰めていくことになります。

これは技術系職種でも同じで、建築部門で入社した人は、建築部門のなかで配置転換されることはあっても、自身で希望しない限り、生産部門や研究開発部門などの他部署に移ることはありません。

退職者を見越して多めに採用している企業も多い

住宅メーカーの求人は、かなり豊富にあります。

都市部を中心に住宅需要が堅調であるという側面もありますが、それ以上に、一定数の退職者が出ることを見越して、最初から多めに採用しているという事情が大きいといえます。

住宅メーカーの仕事はノルマの存在など、人によって合う・合わないがはっきりと分かれるため、就職して数か月ともたずに辞めてしまう人もおり、離職率は高めです。

リスクも当然ありますが、スタートラインに立てるチャンスが大きくなっているのは、新卒者にとっては非常に魅力的といえるでしょう。

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住宅メーカー社員の学校・学費

多くの住宅メーカーでは大卒の学歴は必須

住宅メーカーは、取り扱う商品が高額で、また顧客層の年齢が比較的高いため知識と教養をある程度積んだ「大卒以上」の学歴を採用条件としているところが大半です。

また、学部についても、営業職は文系・理系を問わないようですが、設計や施工管理を行う技術職は、理系出身者が求められることも多く、企業によっては専攻を限定しているところもあります。

住宅メーカーの技術職を目指すなら、建築や土木を学べる学部に進学し、在学中の関係資格取得も視野に入れておきましょう。

なお住宅メーカーによっては、営業職であれば、学歴に関係なく採用するというところもあります。

仕事はかなりハードですが、結果を出せば高卒も大卒もまったく関係ありませんので、ある意味ではフェアともいえます。

住宅メーカー社員の資格・試験の難易度

必要資格は担当業務によってさまざま

住宅メーカー社員に求められる資格は、職種によって異なります。

営業職は、不動産の売買に必要な資格となる「宅地建物取引士」の取得を奨励されることが多いようです。

また、住宅を購入する際はほとんどの人が住宅ローンを組むことになりますので、「ファイナンシャルプランナー」や「住宅ローンアドバイザー」などの資格があれば重宝されるでしょう。

技術職の場合、設計担当ならば「建築士」が、現場監督ならば「建築施工管理技士」が、それぞれ必須となるでしょう。

2級建築士は新卒の就職活動の時点では取得できませんが、必要な単位を修得して、「卒業と同時に受験資格が得られる」というところまで到達しておくと、大きなアピール材料となります。

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住宅メーカー社員の給料・年収

営業職には売り上げによりインセンティブがある

職種ごとに給与体系が異なる

住宅メーカーの給与体系は職種によって若干の差がありますが、営業担当であれば初任給20万円前後、生産担当であれば初任給25万円前後が相場で、勤続年数に応じて徐々に昇給していきます。

営業職の場合は基本給に加えてインセンティブ(成果報酬)が支払われるケースが一般的で、住宅メーカーの場合、このインセンティブが非常に高額であることが特徴のひとつです。

一例をあげれば、「戸建て契約1件につき10万円」などと各企業で決められており、高額な契約をとることができれば50万円ほど支払われることもあるようです。

腕のいい営業担当なら月収100万円を超えることも珍しくありません。

生産担当にはインセンティブはありませんが、保有資格に応じて手当が上乗せさせることが多いようです。

給料や年収は企業規模にも大きく阿関係する

どの業界であっても、社員の給料はおおむね企業規模に比例しますが、住宅メーカーの場合はその傾向が顕著といえます。

業界大手の社員の平均年収が900万円を超えている一方で、地方の工務店の場合、400万円以下というところも珍しくありません。

住宅メーカーでは、事業規模が大きく、年間の着工件数が多いほど、自社工場で同じ資材を大量生産してコストを圧縮できますので、利益を上げやすくなります。

お金がすべてというわけではありませんが、住宅メーカーで高い給料を得たいなら、できる限り大手に就職する必要があるでしょう。

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住宅メーカー社員の現状と将来性・今後の見通し

業界全体として競争は徐々に厳しくなっていく見通し

現状の住宅メーカー業界は、マンション価格の上昇などにより比較的良好な事業環境が継続していますが、国内の人口は年々減少が進んでおり、不動産の市場は縮小していくことが予想されます。

世帯数も減少することが予測されており、現状でもすでに、総世帯数より住宅数のほうが上回っています。

それに伴って住宅メーカーの需要も今後減退していくと思われますので、海外に事業展開したり、単身者世帯や高齢者向けの商品を企画したりと、各社は生き残りのために企業努力を重ねています。

また、既存の顧客と長く付き合っていくため、魅力的なアフターサービスを展開することも重要になってきています。

今後は、子育て相談や生活相談といった、住まいに関するトータルサービスを提供する住宅メーカーが増えてくるでしょう。

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住宅メーカー社員の就職先・活躍の場

各企業の特色を把握しておくことが大切

住宅メーカーは大手を中心に積極的な広告活動を実施しており、テレビCMなどで聞き馴染みのある、世間一般の知名度が高い企業も複数あります。

全国に事業展開しているところも多いため、企業の名前は誰もが一度は聞いたことがあるでしょう。

住宅メーカーは、その名が示す通り、住宅という「ものづくり」を行う企業であり、クリエイティブな側面も強いといえます。

各社とも、使用する材料から実際の間取り、デザインに至るまで、消費者にとって魅力のある、時代の流れに即した商品企画を行っています。

このため、住宅メーカーごとに、自社商品の特徴や、企業としての方向性がはっきりと表れていますので、就職先を選定する際には、自分の考え方などに合った企業を探してみましょう。

住宅メーカー社員の1日

お客さまへの対応が最優先事項

住宅メーカー社員のスケジュールは職種によって大きく異なります。

営業に際しては、お客さまの話を聞く時間に多くを割くことが重要になるため、お客さまの都合に合わせて柔軟に対応することが求められます。

戸建住宅メーカーの営業職のある1日

9:00 出社、アポイントの確認やメールチェック、営業準備など
10:00 住宅展示場を訪れる来店者への接客
12:00 休憩
13:00 設計担当者を交えて、お客さまと設計のヒアリング
15:00 提案書の作成などのデスクワーク
17:00 フェアなどのイベント内容を広告担当と打ち合わせ
19:00 帰社

住宅メーカー社員のやりがい、楽しさ

お客さまからの信頼を得て住宅を注文してもらえたとき

住宅は非常に高額であり、失敗すると取返しがつかないものですので、購入するにあたっては、顧客のほとんどは複数の住宅メーカーを熱心にまわって、慎重に比較検討します。

その中から自社が選ばれ、契約を結べた際には、顧客との信頼関係を築くことに成功し、安心して任せられると認めてもらえたということですから、喜びもひとしおです。

住宅という大事なものを取り扱うことのやりがいは、営業担当だけでなく、社内すべての部署の人間が日々感じることでしょう。

また担当者はお客さまと何度となく打ち合わせを重ねるため、ほかの買い物のようにその場限りの関係ではありません。

無事に引き渡しを迎えたとき、「あなたに任せてよかった」という感謝の言葉をかけてもらえると「この仕事をやっていてよかった」と感じるといいます。

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住宅メーカー社員のつらいこと、大変なこと

精神面や体力面など、部署に応じたつらさがある

精神面や体力面など、部署に応じたつらさがある

関連記事住宅メーカー社員のつらいこと・大変なこと・苦労

住宅メーカー社員に向いている人・適性

接客が得意で、人の話を聞く力のある人

ほとんどの人にとって、住宅は一生に一度の大きな買い物であり、人生における大事な決断のひとつです。

そんな住宅を取り扱う住宅メーカー社員には、顧客から信用されるだけの、クオリティの高い接客が求められます。

言葉遣いや礼儀作法だけでなく、深い専門知識に基づく的確なアドバイスや、相手の話をよく聞き、悩みや相談に対して親身になる姿勢が必要です。

そういった接客能力の高い人は、住宅メーカー社員に向いているといえます。

また、お客さまの話を聞く力も大切です。

人の話をじっと聞くのが得意という人や、相手の考えていることがわかるという人、家族や友人などから自然と相談ごとを持ちかけられるという人は住宅メーカー社員に向いているでしょう。

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住宅メーカー社員志望動機・目指すきっかけ

動機はできるだけ具体的に考えることが大切

住宅メーカーに興味をもったきっかけ

住宅メーカーを目指すのは「戸建て住宅」に対する理想やあこがれが強い人が多いようです。

住宅メーカーは、建設業界に属する数ある企業のなかで、かなり事業内容が絞られています。

住宅メーカー各社は、それぞれに独自性のある商品ブランドを展開していますので、漠然と住宅メーカー業界を志望しているというよりも、ピンポイントで志望する企業があるという人が目立ちます。

エントリーシートや面接の際には、そのような熱い気持ちをぶつけてみるとよいでしょう。

業界研究や企業研究をしっかりとする

「住まい」を扱いたいというだけでは、ゼネコンなどの建設会社やマンションディベロッパーでもいいのでは、不動産会社でもいいのではということになってしまいます。

どうして住宅メーカーにひかれるのかという点を、自己分析や業界研究をしっかり行ったうえで、自分なりの志望動機にまとめてみましょう。

就職活動の時点で、自分で家を買ったことがある、あるいは購入を検討したことがあるという人はほぼいないため、各企業のこだわりや販売戦略について、ていねいに研究する必要があります。

多くの採用試験では、住宅メーカー業界に関する専門知識をたずねることで、その学生がどの程度本気で住宅メーカーを目指しているのか、自社の志望順位をおしはかろうとします。

こうした質問に答えるためには、面接までにしっかりと主要企業の情報を整理しておくことが必要です。

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住宅メーカー社員の雇用形態・働き方

職種転換する働き方も選べる

住宅メーカーで働く人の多くは正社員です。

家という大きな物を扱うため、パートやアルバイトの人に営業を任せることはできません

しかし、事務職などでは派遣社員や契約社員などの非正規雇用の立場で働いている人もいます。

また住宅メーカーの業務は同じ社内にいても担当によってまったく異なるため、ひとつの職種を突き詰めていく働き方もあれば、部門をまたぐこともできます。

例えば設計担当者が営業職にキャリアチェンジして「設計営業」になれば、より専門的な接客や提案が可能になりますし、待遇面でも、資格手当や報奨金が上乗せされる分、収入増が期待できます。

さらに「宅地建物取引士」や「建築士」などの保有資格によっては、独立して自身の事務所を持つことも可能であり、開業した住宅メーカー出身者も少なくありません。

住宅メーカー社員の勤務時間・休日・生活

お客さまの多い土日祝日は勤務日であることが多い

住宅メーカーの勤務時間は、やや朝がゆっくりしています。

始業時刻はかなり融通が効く一方で、終業時刻は遅くなりがちです。

夕方に打ち合わせのアポイントが入ることもありますし、設計職の場合は急ぎの図面を手直し、見積書作成などがはいることもあります。

住宅展示場などの来客が多いのは、世間一般に仕事が休みの日になりますので、住宅メーカーの営業担当者が忙しくなるのも土日祝日です

近年では社員のワークライフバランスを考え、土日の休日を設定している企業もありますが、基本的に土日祝日は休めないと考えておいたほうがよいでしょう。

また施工管理担当者などは、天候によって工事の進捗状況が左右される影響が強いため、スケジュール通りに休みが取得できないケースも多々あります。

関連記事住宅メーカー社員の勤務時間・休日・残業は多い?

住宅メーカー社員の求人・就職状況・需要

営業職の求人数は多く、未経験からでもチャンスがある

営業職の場合は求人も多く門戸も開かれている

住宅メーカーの営業職の求人は非常に多く見られます。

都市部を中心に住宅需要が堅調であるという側面もありますが、全体的に離職率が高い傾向にあり、各企業は退職者を見越して、多くの新卒採用を実施しています。

長く続けられるかは適性次第ですが、門戸は広く開かれているといえるでしょう。

中途採用の場合は高卒からでも受け入れる企業も少なくありません。

営業職として接客をこなしつつ、設計などの実務経験も積めば、建築士などの資格取得も見えてきます。

高卒者であっても、2年以上の実務経験を積めば、2級建築士の受験資格が得られるため、現場で知識を習得して建築士になった人も大勢います。

住宅メーカー業界でどれだけ活躍できるかは自身のがんばりしだいでしょう。

生産担当は採用が限られている

一方、設計や現場管理などの生産担当技術職は、一定の需要はありますが、採用人数はそれほど多くありません。

これは営業に比べると長く勤める人が多く、退職者が少ないために求人も少ない傾向にあるからです。

採用されるためには、大学や大学院で建築・土木の勉強をしっかりと積むことに加え、関係する資格取得に励む必要があるでしょう。

住宅メーカー社員の転職状況・未経験採用

資格さえあれば同業界内での転職はしやすい

住宅メーカー業界は、離職率がかなり高いことで知られています。

これは長時間労働が常態化していることや、営業ノルマが厳しいことなどが要因で、入社後3年後まで残っているのは3割程度しかいないという職場もあります。

このため、住宅メーカー各社は、足りなくなった人員を補充するという目的もあって、中途採用にも非常に積極的です。

同業界内での人の移動が比較的多い印象ですが、採用の際には資格保有が条件となることも少なくありませんので、同業界内で転職するなら、在籍しているところで必要資格を取得してからにしましょう。

また未経験者についても、営業職であれば、採用してくれる企業は多数あります。

関連資格を保有していたり、他業界であってもある程度の営業経験があったりすれば、優遇されるケースもあるようです。

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住宅メーカーの営業の仕事内容

住宅メーカーの営業の仕事のながれ

住宅メーカーの営業は、ほかの業界のようにテレアポや飛込み営業などをすることはありません。

主に住宅展示場を使って家を建てようか検討している人を集め、その場でお客様を接客しながら見込み案件を作っていくというのが一般的です。

具体的に話が進みそうなお客様がいた場合は、フォローの連絡をし、土地探しやローンの紹介なども行います。

商談が進むと具体的な家づくりの話になり、ここでは設計担当も一緒にお客様に対する提案に関わります。

各部署が協力してお客さまが契約したくなるような家を提案し、最終的に契約を獲得します。

その後は施工中の状態を一緒に確認するなどお客さまをフォローしたり、引き渡し後のアフターサービスなども行ったりします。