「バリスタ」とは

コーヒーのスペシャリスト。豆や焙煎に関する知識と技術を発揮し、最高の一杯を提供する。
バリスタとは、自らの店舗やバールなどで働くコーヒーのスペシャリストです。
バリスタはイタリア語で言うbar(バール)で給仕する人のことを指し、エスプレッソやカプチーノ、酒類など、バールで提供されるものを熟知し、こだわりの一杯を作り上げていくとともに、お客さまに最高のひと時を演出する役割を持っています。
バリスタになるには、専門学校で勉強する、店舗で働きながら学ぶ、海外で修行するなどの方法がありますが、コーヒーのことがマニアックなほど好きという人でないと続けていくことは難しいでしょう。
日本において確立されている職業でないため、給与はあまり恵まれておらず、他の飲食業の店員と待遇はほぼ同じとなります。
ですが、自分のコーヒーショップを開業し、成功している人も多くいます。
「バリスタ」の仕事紹介
バリスタの仕事内容
コーヒーのプロ
バリスタとは、コーヒーのプロフェッショナルです。
豆や淹れ方などを熟知し、高い技術をもってお客さまに最高の1杯を提供します。
日本では「ラテアート」や「エスプレッソを淹れる人」というイメージがありますが、バリスタはただコーヒーを入れるだけの人ではありません。
一杯一杯ていねいに淹れたコーヒーを提供し、会話や接客などで、心地よい時間を提供します。
もとは、イタリア語の「バール」から生まれた言葉で、バールのカウンターで客からの注文を受けてコーヒーを淹れる人物のことをバリスタと呼んでいました。
近年では、大手コーヒーチェーン店が技術の高いスタッフを「バリスタ」と呼ぶことから、コーヒーに関するスペシャリストをバリスタと呼び、日本でも定着しつつある職業です。
働く場所はバールやカフェ、レストランのほか、個人でコーヒーショップを経営して仕事をする場合もあります。
バリスタの就職先・活躍の場
バールやカフェ、レストランなどの飲食店
バリスタの活躍の場としては、バールやカフェ、レストランなどの飲食店があげられます。
バールとはいわゆるバーのことで、本場イタリアのようにコーヒーだけでなくお酒の提供も行います。
立ち飲みのカウンタースタイルが多く、日本ではあまり定着していません。
カフェ、レストランでも、コーヒーを売りにするお店が多く、特に見た目もかわいいラテアートなどがあるお店は人気があります。
そのほか、大手のコーヒーチェーン店や、独立開業してコーヒーショップやカフェを経営するという人もいます。
バリスタの1日
バリスタの業務スケジュールは勤務先によって異なります。
コーヒーを中心とするドリンクにデザート・軽食のみを提供するカフェのような店であれば、日中時間帯を中心とした勤務が一般的です。
一方、営業時間の長いカフェや、ディナー営業もあるレストラン、夕方以降にアルコールを提供するバールなどでは、複数のバリスタが在籍し、交代制で勤務しながら深夜近くまで営業することもあります。
<バールやカフェで働くバリスタの1日(早番の日)>
8:30 出勤、レジ金準備や清掃など開店準備
9:15 その日の天気や豆の状態に合わせてエスプレッソマシンの調整
9:30 開店、お客さまとの会話を楽しみながらドリンク作り
12:00 ランチタイムのピーク
13:00 昼休憩、遅番のスタッフが出勤
14:00 新しい豆の味や抽出方法を研究
17:30 夕方のピークタイム
18:00 遅番のスタッフへの引き継ぎ後、勤務終了
バリスタになるには
一人前になるには修業が必要
バリスタになるためには、いくつかの方法があります。
専門学校やスクールに入れば、コーヒーの技術や知識のほか、カフェの経営の仕方なども学ぶことができ、将来独立したい人にはおすすめです。
未経験でも、直接お店で修業を積むことも可能です。有名なバリスタがいるお店や、コーヒーに力を入れているお店がよいでしょう。
本場海外で修業をしたいと海を渡る人もいます。実際、バリスタとして高い技術を持ち評価されている人の多くは、海外で修業を積んでいます。
いずれの場合も一人前になるには飲食店での修業が必要です。
バリスタの学校・学費
基礎知識を得たいなら専門学校がおすすめ
バリスタになるには、必ずしも学歴は必要ありません。
しかし、専門学校やスクールに通えば、バリスタに必要な知識を現場に出る前に得ることができます。
カフェが流行していることもあり、近年では専門学校でもバリスタ専門のコースを設けているところもあります。
専門学校を卒業すれば、一定の知識があると評価され、飲食店への就職でも有利になる場合が多いです。
専門学校だけでなく、民間のスクールや講座などもあり、バリスタから直接指導を受けられることもあります。
バリスタの資格・試験の難易度
特別な資格は必要なし
バリスタになるために、特別な資格は必要ありません。
民間資格として、コーヒーマイスターと、バリスタライセンスがあります。
コーヒーマイスター(SCAJ)は、SCAJが主催する「コーヒーマイスター養成講座」を修了し、試験に合格すると取得できます。
バリスタライセンスは、JBA認定校で講座を修了し、ライセンス試験を受けて合格すると、ライセンスが取得できます。
こちらは「レベル1」からスタートし、ステップアップすると「レベル3」まで受験が可能となります。
バリスタの給料・年収
勤務先によってさまざま
バリスタの給料は、勤務先や雇用形態によって大きく変わります。
店舗に勤務する場合は、店舗を経営する企業やオーナーからサラリーマンと同じように毎月給料が支払われます。
アルバイトは時給800円~1,000円程度、社員は月給18万円~23万円程度がボリュームゾーンです。
独立開業した場合は、店の売上によって自分の収入が変わってきます。
年収は400万円~700万円ほどになる人が多いようですが、お店がうまくいかなければ当然赤字になる場合もあります。
バリスタのやりがい、楽しさ
お客さまの「おいしい」の一言
バリスタにとって、自分の淹れた一杯を「おいしい」と言ってもらえることが、何よりも喜びを感じる瞬間です。
自分のコーヒーを目当てにリピーターが増えれば、うれしいだけでなくお店の売り上げも上がります。
さらに、自分のコーヒーが雑誌やテレビで取り上げられれば、より多くの人にコーヒーの魅力を伝えることができます。
手軽に飲むことのできるコーヒーですが、自分の淹れた一杯で、缶コーヒーやインスタントとの違いを感じてもらえることが何よりのやりがいです。
バリスタのつらいこと、大変なこと
常に向上心と努力が必要
バリスタはたとえ一人前になったとしても、常に向上心と努力が必要な仕事です。
新しい豆やマシンは次々と更新されていき、コーヒーのトレンドも毎年変わります。
それらを学び、使いこなせなければおいしい一杯を淹れ続けることはできません。
また、毎日同じ味のものを提供するというのも、地味ですが難しい仕事です。
ちょっとしたミスや変化でも、舌の肥えたお客さまには味の違いがわかってしまいます。
日々こつこつと反省と努力を繰り返すことができる人でなければ、バリスタは務まりません。
バリスタに向いている人・適性
コーヒーと人が好きな人
コーヒーは、焙煎方法はもちろん、気温や湿度、マシンの違いでも味ががらりと変わってしまう繊細なものです。
そのコーヒーを扱うには、膨大な知識と技術が必要です。
コーヒーが好きでなければ、長く続けられる仕事ではありません。
また、お客さまにコーヒーを出すための接客も大切な要素です。
コーヒーを心地よく楽しんでもらうため、接客にも力を入れる必要があります。
ただ黙々とコーヒーを淹れるだけでなく、カウンターの向こうにいるお客さまのことも考えていねいな接客ができる人がのぞましいです。
バリスタ志望動機・目指すきっかけ
きっかけは「コーヒーが好き」
現在活躍しているバリスタたちも、多くは「コーヒーが好き」という思いからバリスタにあこがれを持ちました。
コーヒーのことをもっと知りたい!と勉強したり、飲み比べをしたりしているうちに、バリスタを目指したいと思うようになった人が多いようです。
面接で話す際は、コーヒーに対する情熱のだけでなく、接客や将来についても話せるようにしておきましょう。
「接客でこころがけたいこと」「どんなバリスタになりたいか」などを具体的に話せるようにしておくと、より相手に伝わりやすいです。
バリスタの雇用形態・働き方
多くがアルバイトからの出発
バリスタは多くがアルバイトからのスタートです。
いきなり正社員としてバリスタに登用されるケースは少なく、正社員になるには下積みや修業が必要な場合がほとんどです。
正社員での就職を希望する場合は、大手コーヒーチェーン店やコーヒーショップに就職する方法がありますが、配属により必ずしもバリスタになれるわけではありません。
また、コーヒーの作り方がマニュアル化されているなど、バリスタとしての自由度が少ないこともあるので注意が必要です。
バリスタの勤務時間・休日・生活
勤務時間や休日は不規則
働くお店にもよりますが、基本はシフト制で、早番、遅番、通しというように交代で勤務します。
お店によって、忙しい時間帯や忙しい曜日が変わるので、人数を変動させながらシフトで休みを取ります。
休日は飲食業で一般的な月に6日~8日が多いようです。
休みの日も、新しくできたカフェを視察に行ったり、気になるコーヒー豆を自分で買ってみたりと、コーヒーに関する勉強は忘れません。
新しいメニューの開発のため、テレビや雑誌を見て気になるレシピをメモしたり、自分で料理をしてみたりすることもあります。
バリスタの求人・就職状況・需要
バリスタの活躍の場は増えている
近年はコーヒーを売りにするお店も増えつつあり、バリスタの求人もその分増えています。
ただし、バリスタの多くはアルバイトからスタートし、実力がつけば正社員として登用されるという場合が多いようで、正社員の求人は多くありません。
バリスタが常駐し、コーヒーにこだわりを持っているお店は、アルバイトだとしてもしっかりと知識や技術を教えてくれます。
バリスタになりたいと思ったら、雇用形態にとらわれず、まずは働いてみるのが良いかもしれません。
バリスタの転職状況・未経験採用
未経験でも転職は可能
バリスタとは決まったなり方がないため、未経験からでもスタートすることはできます。
バリスタに転職したいと、仕事を続けながら夜間の専門学校に通い勉強するという人もいます。
未経験からでもバリスタになることはできますが、多くはアルバイトからのスタートとなるので、一人前となるまでに時間がかかることを覚悟した方がよいでしょう。
またお店によっては、コーヒーの作り方がマニュアル化されている場合もあります。
本格的な知識を学びたい人は、バリスタが常駐し、コーヒーに力を入れている店へ就職することをおすすめします。
バリスタの現状と将来性・今後の見通し
女性の活躍が見込まれる
バリスタといえばまだまだ男性が多いイメージがありますが、近年は世界でも女性がバリスタの賞を受賞するなど、女性の進出がめざましい業界でもあります。
味の変化にも敏感で、きめ細やかな接客ができる女性のバリスタは、今後増えてくるでしょう。
また、コーヒーは、大手コーヒーチェーン店や、コンビニのドリップコーヒーなども増え、安くて手軽に飲めるものが増えつつあります。
バリスタは本格的なコーヒーの味と、その魅力を発信し続けていくことが必要です。