「歌手」とは
音楽の各ジャンルに合う歌を歌い、自身の声で個性や伝えたい思いを表現する。
歌手とは、自分自身を楽器とし、歌を奏でることを仕事とする人です。
近年は自分で詩や曲を書くシンガーソングライターが増えており、単純に歌うことだけを仕事とするのではなく、価値観や信念、ファッション性と言ったものも重視されるようになりました。
歌手は一見華やかな仕事に見えますが、その実舞台裏では地道な努力を欠かさない職人です。
スポットライトを浴びるその瞬間のために、見えない努力を欠かしません。
しかし、ひとたび努力が報われれば、強い発信力で自分の思いや信念を伝えることができます。
歌声はもちろんですが、ライフスタイルやカリスマ性も歌手の武器になります。
自分自身が武器であり、売り物となる。
他の演奏家にはない魅力を持つのが歌手という職業です。
「歌手」の仕事紹介
歌手の仕事内容
音楽の歌を歌って生計を立てている人のこと
歌手とは、ロック、ポップス、ジャズ、クラシックなど音楽の各ジャンルにおいて歌を歌う人のことをいいます。
作曲家や作詞家、編曲家といった音楽家たちが作った曲を自分の歌声で表現し、人の心に楽しさや感動、喜びなどを届けます。
また、なかには自ら作詞作曲をする「シンガーソングライター」と呼ばれる歌手や、ギターやピアノなどを弾き語りしながら歌うような歌手もいます。
歌手は自分自身を表現することで多くのファンを集め、ライブやコンサート出演、CDのリリース、テレビ・雑誌などのメディア出演などを行うことで、生計を立てていきます。
また、歌手活動をしながら音楽スクールの講師なども勤めている人もいます。
歌手の就職先・活躍の場
事務所に所属し、人前でパフォーマンスをする
歌手の活躍の仕方はさまざまですが、いわゆるプロと呼ばれる人たちの多くが事務所に所属して活動しています。
ロックやポップス歌手であれば、CDを出したりライブハウスで歌ったりすることが多く、自分自身を表現しながらお客さまを楽しませます。
一方、ジャズ歌手であればCDリリースなどのほか、バーやレストランで歌う機会も多くあるなど、ジャンルによって活動場所は多少異なります。
また、テレビや雑誌などのメディアに出演し、自身のプロモーション活動をすることもよくあります。
歌手の1日
ロックバンドの歌手の業務
バンドメンバーやマネージャーと一緒に行動をすることが多いのがロックバンドの歌手です。
楽曲を作ったりライブを開いたりする仕事だけではなく、メディアの取材を受けたり打ち合わせを行ったりするのも大事な仕事です。
<ロックバンドのボーカルをしている歌手の1日>
8:00 起床後、喉を中心にした体調確認
9:00 朝食を取りながらヒットチャートのチェック
10:30 マネージャーが車で迎えに来る
11:00 音楽雑誌の取材
13:00 バンドメンバーと一緒に昼食休憩
15:00 スタジオで新曲の練習
19:00 音楽事務所で打ち合わせ
20:00 夕食後、解散
22:00 帰宅してリフレッシュ
24:00 喉の調子を整えるため早めに就寝
歌手になるには
歌の基礎を身につけてデビューを目指すのが一般的
歌手という職業は、実力やセンス、人脈、そして運に恵まれれば、完全に独学でもなることができる、つまりはデビューできる可能性があります。
とはいえ、音楽の世界は競争も厳しく、現実はそれほど甘くないことから、多くの歌手志望の人は、まず音楽関連の学校やスクールに通って音楽の基礎知識や歌の技術を身に付けてデビューを目指します。
音楽関連の学校やスクールでは、声の出し方や歌い方、表現手法、プロとしての心構えのほか、古今東西の音楽史の勉強や作詞作曲のコツなどまで幅広く学ぶことができます。
その後は歌手のオーディションを受けたり、スカウトの目に留まるためにさまざまな場所でパフォーマンスを続けながら、デビューを目指していきます。
歌手の学校・学費
歌や音楽を学べる学校・スクールはたくさんある
歌手になるために、特別な学校に通う必要はありません。
しかし、歌手になりたいという人がごまんといるなかで、人よりも優れた歌唱力やセンスを磨いていくために、音楽関連の学校で学ぶ人も目立ちます。
そうした学校としては、音楽専門学校や音楽高校、音楽大学、民間のミュージックスクールなどが挙げられます。
音大で時間をかけてみっちりと理論や技術を学ぶこともできますし、習い事感覚でボーカルレッスンを受けることも可能です。
自分がどのような勉強をしたいのかをよく考えて、学校選びをするとよいでしょう。
歌手の給料・年収
活動状況によって収入は大きな差が出る
人気商売である歌手の給料や年収は、一般の会社員として働く人以上に個々で大きく差が出やすいため、一概に「いくら」とはいえません。
プロの歌手は、「レコード会社」と「音楽プロダクション(事務所)」の両方と契約を結び、それぞれと交わした契約によって、双方から収入が入ってきます。
活動状況は収入にもおおいに影響し、あまり売れなければ年収は年間100万円未満の歌手もいますし、大きくヒットすることで何千万円、何億円にまで達する歌手もいます。
浮き沈みが激しい職業だといえるでしょう。
歌手のやりがい、楽しさ
歌で「思い」を伝えることができる
歌手のやりがいは、何といっても自分の好きな音楽の世界で仕事ができることでしょう。
「好きなことを仕事にしたい」と考える人は多いはずですが、歌手になる人は皆、歌や音楽を心から愛しています。
歌を通してさまざまな思いや感情を表現し、たくさんの人の心を動かすことができるのが歌手の魅力です。
もしかすると自分の歌が海外の人たちにも届くかもしれません。
ファンが増えれば増えるほど喜びも増し、自分の思いをもっと多くの人に届けたいという気持ちになるものです。
歌手のつらいこと、大変なこと
いくら頑張っても人気が出ない可能性もある
歌手は、歌唱力もさることながら、多くの人々を魅了するオーラや輝きが求められる職業です。
歌が上手であっても、自分のキャラクターが時代にそぐわない、誰かの二番煎じのような歌しか歌えないといったような理由で、なかなか人気が上がらなかったり、売れても「一発屋」として世間から忘れられてしまう歌手も大勢います。
プロの歌手として売れたいと考えている人たちは、日々並外れた努力を続けていますが、どれだけ頑張ってもなかなか人気が出ないというのは、思っている以上に堪えます。
歌手に向いている人・適性
地道な努力を続けられること
歌手の適性といったとき、多くの人は「歌が上手であること」と考えるかもしれません。
もちろん、プロになるためには歌唱力も不可欠ですが、何よりも大事なのは自分自身を向上させるために日々努力できるかどうかだといえるでしょう。
歌手の世界は、未経験者がすぐにデビューし、輝けるような場所ではありません。
売れるまでには何年もかかることが普通であるからこそ、すぐに成果が出ないときでも地道に練習やトレーニングを続けたり、前向きに活動する姿勢が求められてきます。
歌手志望動機・目指すきっかけ
音楽や歌を心から愛し、人々に笑顔や感動を届けたい
歌手になりたいと考える人のほとんどが、「歌うことが大好き」「音楽にいつでも触れていたい」といった思いを持っています。
プロの歌手になれば、24時間365日音楽漬けの生活といっても過言ではありません。
むしろ音楽や歌を心から愛している人でなければ、歌手としてやっていくのは難しいくらいです。
実際に歌手になっていく人たちは、自分の思いや歌声を人々に届けることで、「皆を元気にしたい、笑顔にしたい」といった考えを持っているようです。
歌手の雇用形態・働き方
プロは事務所などと契約して働くのが一般的
歌手は、一般的な会社員のように、会社の社員やアルバイトとして雇われて働く仕事ではありません。
個人で活動するか、レコード会社や音楽事務所(プロダクション)と契約を結び、サポートを受けながら活動するのが一般的です。
ただし、一部のトップ歌手を除けば、生活のために別の仕事をしながらアルバイトなどで歌手活動をしている人もいます。
会社に拘束されない分、働き方の自由度は高めといえますが、自分なりにどのように生きていきたいのかを考え続ける気持ちが求められます。
歌手の勤務時間・休日・生活
日によっても動きは大きく変わってくる
歌手の生活スタイルは、人によって大きく異なるといえます。
また、日によっても1日のスケジュールが異なり、決まった勤務時間や休日で動く人はほとんどいません。
CD制作中は、毎日朝から晩までレコーディングスタジオにこもることもありますし、全国ツアーのために日本各地のホテルに泊まり続ける時期もあります。
その間にメディア出演などが決まれば、仕事の約束に合わせて動くことになります。
毎日決まった時間で動くわけではないため、セルフコントロールも必要になるのが歌手という仕事です。
歌手の現状と将来性・今後の見通し
成功のためには地道な努力が必要
「歌手になりたい」という夢を持つ人は多くいますが、実際に売れる歌手になれるのはほんのひと握りで、多くの人が志半ばで夢を諦めています。
しかし、人の心を動かせる歌い手はいつの時代でも変わらず求められているのも事実です。
業界関係者は次のヒットメーカーをつねに探しているため、積極的に自分を売り込むことで、実力やセンスがあれば、予期せぬところでデビューの話が舞い込む可能性もあります。
少なくとも、「歌手になりたい」という思いがある限り、地道に実力やセンスを高める努力が不可欠だといえるでしょう。