【2021年版】弁護士の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「弁護士」とは

法律の専門家として、刑事事件や民事事件に関するトラブルの相談業務や法的手続きを行う。

弁護士の仕事は、法律の専門家として、基本的人権を守り、社会正義の実現を目指すことです。

弁護士が扱う案件は、検察の起訴により国が犯罪を犯した者に対して罪を問う「刑事事件」と、人や企業同士が争う「民事事件」とに分かれます。

弁護士になる一般的なルートは、まず法科大学院(ロースクール)を修了し、司法試験の受験資格を得て、試験への合格を目指す方法です。

このほか、司法試験の予備試験を受けて司法試験を受験するルートもありますが、合格率は非常に低くなっています。

ロースクール制度の開始により、近年、弁護士数は急速に増加し、女性の比率が高まってきているのも特徴です。

昔から弁護士は社会的地位が高く、安定した収入も得られる職業として知られていますが、弁護士の増加により収入にばらつきが出始めています。

「弁護士」の仕事紹介

弁護士の仕事内容

事件の問題解決をサポートする法律の専門家

弁護士とは、法律の知識を備えた専門家として、基本的人権を守り、社会正義の実現を目指します。

弁護士が扱う案件は、人や企業同士が争う「民事事件」 と、検察の起訴により国が犯罪を犯した者に対して罪を問う「刑事裁判」に分かれます。

こうした事件は法律上の問題が複雑に絡み合うことがあり、一般の人には難しく、理解しにくいものとなっています。

そこで弁護士は法律の専門家として、さまざまなトラブルに対しての予防方法やアドバイス、法的手続きを行い、問題解決にむけてサポートします。

事務的な業務も多い

多くの弁護士が扱う民事事件では、一般の人の日常生活に関連する案件が多いです。

まずは依頼人の話を聞くことからスタートし、アドバイスや相手方との話し合いなどを行います。

話し合いでの解決が難しければ、訴訟を起こして裁判に持ち込み、法的手段での決着を図ります。

弁護士の業務は、事実関係の調査や書類作成など、事務的なものも非常に多いです。

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弁護士になるには

まずは難関の司法試験合格を目指す

弁護士になるまでの道のりは、簡単なものではありません。

なるための最もスタンダードな方法は、まず「司法試験」を受験して合格を目指すことです。

司法試験の受験資格を得るには、以下の2つの方法があります。

(1)大学卒業後に法科大学院(ロースクール)へ進んで所定の過程を修了
(2)司法試験予備試験に合格する

なお、司法試験を受けられるのは受験資格を得てから5年間に限られ、さらに受験回数は3回までとなっています。

簡単な試験ではないため、限られた時間で合格できるよう、十分な勉強を続ける必要があります。

司法試験合格後のステップ

司法試験合格後には、約1年間の「司法修習」を受けたうえで、「司法修習考試(二回試験)」に合格しなくてはなりません。

このようなルートをたどって晴れて弁護士資格を取得すると、法律事務所などに就職して弁護士として働けるようになります。

このように、弁護士になるまでには一定の時間がかかるため、勉強を続けながらも法律事務所でアシスタントなどのアルバイトをして、現場の雰囲気を学んでいる人もいます。

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弁護士の学校・学費

法科大学院(ロースクール)への進学が一般的

弁護士を目指す人の多くが、司法試験の受験資格を求めて、大学卒業後に「法科大学院(ロースクール)」といわれる学校へ進学します。

ただし、法科大学院の難易度は高く、入学は容易ではありません。

法科大学院に入学するためには、各大学院が実施する入試に合格する必要があり、適性検査や自己評価書を提出したうえで、試験として小論文、面接などが科されます。

大学で法学を学んでいる人は2年制の「法学既修者コース」、そうでない人は3年制の「法学未修者コース」を受験することが一般的です。

法科大学院の学費は年間で100万円程度のところが多いとされています。

なお、近年は法科大学院出身者よりも予備試験合格者のほうが司法試験合格率が高くなっている影響もあり、予備試験によるルートで弁護士資格取得を目指す人も増えています。

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弁護士の資格・試験の難易度

司法試験は難易度が高く、合格率も低め

弁護士の資格を得るには、数ある国家試験のなかでも最難関ともいわれる「司法試験」に合格しなくてはなりません。

司法試験に合格した後には、最高裁判所の司法修習を1年受け、最終試験に合格することで、裁判官・検察官・弁護士となる資格(法曹資格)を得ることができるようになっています。

司法試験では、法学の幅広く深い専門的知識が求められます。

合格率は例年25%前後ですが、相当な勉強量を重ねてきた人が受験する試験であることを考えると、非常に難易度が高いと考えておいたほうがよいでしょう。

なお、弁護士の資格は一度取得すれば一生有効なもので、更新なども必要ありません。

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弁護士の給料・年収

他職種の会社員より高額の収入を得る人も多い

弁護士は、よい待遇で安定した働き方ができる職業として知られています。

厚生労働省の令和元年度賃金構造基本統計調査によれば、弁護士の平均年収は40.1歳で729万円であり、民間会社員の平均年収よりも300万円近く高額です。

ただ、もちろん個々の給料や年収は経験やキャリアによって異なりますし、弁護士事務所に雇われているか、それとも独立開業しているかによっても、収入には違いが出てきます。

弁護士の特徴としては、キャリアの早い段階で年収が伸びやすいことです。

資格を生かして働く専門職であることから、10年目くらいまでにピークに達する人も出ています。

独立開業して年収を大きくアップさせる人も

弁護士は、比較的早い段階で独立開業を目指す人も少なくありません。

独立開業してうまくいけば高額な収入が望めますが、万が一仕事が減ってしまったときに、雇われ弁護士のように毎月安定した給料をもらうことはできません。

とはいえ、弁護士には定年退職制度もなく、平均の生涯年収が4億円を超えるというデータもあります。

この仕事は「信頼」も重視されるため、自身を高め続ける能力や熱意さえあれば、長きにわたって現役で活躍し続けることができるでしょう。

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弁護士の現状と将来性・今後の見通し

自己研鑽を続け、自ら道を切り開く努力が必要

弁護士は、昔から専門職として社会的信用度が高く、資格を強みにして大きく稼げるといわれてきました。

しかしながら、現代では弁護士の有資格者が増え続けたことにより、以前よりも弁護士同士の競争は厳しくなっているといわれます。

資格があるだけでは弁護士として活躍できないケースも増えている、と考えておいたほうがよいでしょう。

長く活躍し、生き残れる弁護士になるには、資格を取得したところがゴールではなく、その後も自己研鑽によってスキルを高め続ける強い意識が求められます。

また、今まで弁護士が活躍していなかった分野を自ら開拓するなど、自らの工夫次第で仕事の幅を広げていくこともできるでしょう。

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弁護士の就職先・活躍の場

法律事務所を中心に企業などでも活躍

弁護士の代表的な就職先は、法律事務所です。

法律事務所は、多数の弁護士やスタッフを抱える大手事務所から、弁護士一人だけで運営する個人事務所まで規模がさまざまです。

また、企業法務を中心に手掛ける事務所もあれば、個人の民事事件を中心に扱う事務所など、主として扱う事件の内容も各事務所で異なります。

自分がどのような活動をしたいのかを考え、それに近い事務所を選択することになります。

このほか、弁護士の資格を生かして、企業や行政庁の職員や役員となって法律事務を担当したり、大学教授・講師として大学の法学部や法科大学院で教鞭をとったりする人もいます。

経験を重ね、信頼と人脈を積み上げていくと、独立開業する人も少なくありません。

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弁護士の1日

スケジュールが詰まっていることが多い

弁護士は、事務所での法律相談対応や書類作成のほか、裁判への出席や拘置所での接見など、オフィス内外で数多くの仕事に追われるケースが目立ちます。

一人で複数の案件を抱えて同時並行で業務を処理しつつ、急な来客にも対応しなければならず、弁護士の1日はハードスケジュールになりがちです。

ここでは、法律事務所で働く弁護士の1日を紹介します。

9:30 出勤・メール対応、スケジュール確認
10:00 法律相談対応
11:00 デスクワーク
12:00 昼食休憩
13:00 裁判所移動、出廷
16:00 帰社、判例収集
18:00 クライアント打ち合わせ
20:00 帰宅

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弁護士のやりがい、楽しさ

依頼者に信頼され、案件を無事にやり終えること

弁護士がやりがいを感じる一つの例としては、依頼者の信頼を得て、手がけた仕事を無事にやり終えたときだといえるでしょう。

相手方と争うような案件の場合には、自分の依頼人に有利な結果を導けた場合に達成感を得られます。

弁護士の仕事では、さまざまな「法律」と深く関わりながら、一人の人間の人生を大きく左右することもあり得ます。

それだけプレッシャーも大きく、華やかさとは無縁の一面もありますが、依頼者が自分のことを信頼して任せてくれることは非常にうれしいものです。

難しい問題を扱う専門家として経験を積めば、経済界の大物や著名人と関わるチャンスも得られるかもしれません。

しっかりとした成果を出し、信用が積み重なっていく実感を得たときに、充実感を覚えられるでしょう。

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弁護士のつらいこと、大変なこと

業務量が多く、ミスができないプレッシャーもある

弁護士の仕事では、あまり表には出ない地道な事務業務も多くあります。

依頼人から事情を聴取すると、その後は調査や証拠集め、法的な書類作成などを進めますが、この一つひとつの業務には多くの時間がかかります。

また、複数の業務を同時進行的にこなしていくケースが多いため、その割り振りや仕事の順番の組み立てに苦労することが多いです。

仕事が立て込んで忙しい時期には夜遅くなることも多く、オーバーワーク気味の日々が続くこともあります。

とくに弁護士が扱う案件はミスが許されず、依頼者の人生を左右するものにもなるため、どれだけ疲れていようと気が抜けません。

やりがいをもって熱心に働き続ける一方、心身ともに疲労が溜まりやすくなってしまう弁護士もいます。

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弁護士に向いている人・適性

勉強熱心で「人を守る」という責任感がある人

弁護士といってもさまざまなタイプの人がいますが、共通しているのは、まじめで、勉強をすることを苦にしないということです。

そもそも弁護士になるまでには専門的な勉強を何年続けなくてはなりませんし、仕事を始めてからも多くの専門書や資料を読み込み、知識を深め続ける自己研鑽の姿勢が重視されます。

向学心や向上心があり、法律を学ぶことを楽しめるようなタイプの人は弁護士に向いているといえるでしょう。

また、この仕事では依頼者の大切な財産や権利に関わり、ときに生命さえ委ねられます。

責任感や使命感が強く人を助けたい気持ちが強い人、そして裁判のような厳しい場面にも立ち向かえる精神力の強い人に向いている仕事です。

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弁護士志望動機・目指すきっかけ

社会的に弱い立場の人を救いたい

弁護士を目指す人の志望理由としてよく聞かれるのは、「法律の専門家として人の役に立ちたい」という気持ちです。

弁護士という職業は、数々のテレビドラマや映画、小説などでも登場するため、その姿をイメージしやすく、憧れる人も多いようです。

社会の中での矛盾や差別などに嫌悪感を抱き「社会的に弱い立場の人を救いたい」という思いが、弁護士を目指す原動力になっている人もいます。

もちろん「独立開業をして活躍したい」「大きな収入を手に入れたい」などに魅力を感じている人も少なくありません。

ただ、実際の弁護士の姿は、エンターテインメント作品で描かれる華やかなものだけでなく、地道で泥臭い部分もあります。

憧れる気持ちだけでなく、リアルな姿や厳しさまで理解しておきましょう。

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弁護士の雇用形態・働き方

雇われるか、独立開業するか

弁護士の働き方を大きく分けると、法律事務所や企業などに雇われて働く人と、独立して自分の事務所を開業する人の2種類が挙げられます。

弁護士を目指す人は将来的に独立開業を希望するケースが多いものの、経験も人脈もない状態で成功するのは難しいのが実情です。

最初は弁護士事務所などで多様な案件をこなしていき、実力がついてから独立というのが一般的なパターンです。

どのスタイルで働くとしても、国家資格を有する法の専門職として深い法律の知識が求められてきます。

なお、弁護士の特徴は、個人で活躍する専門職としての色合いが濃いことです。

たとえ雇われて働く弁護士でも、一定のキャリアを積んでいる場合、事務所や上司からの指揮命令というよりは、独自の判断で実務を進めるケースが多く見られます。

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弁護士の勤務時間・休日・生活

日勤が基本だが、遅くまで残業する人も

弁護士の勤務時間は、勤務先や働き方によっても異なります。

法律事務所などに勤める場合、ワークスタイルは個々の裁量に委ねられる部分が大きく、一般企業の会社員や公務員のように、厳密に定められていないことも多いです。

基本的には日勤ですが、案件の内容に応じて比較的柔軟に動きます。

独立開業して個人で仕事を請け負っている場合は、さらに自由度の高い働き方も可能です。

とはいえ、弁護士の仕事では裁判所や関係各所への移動時間も必要で、労働時間や拘束時間は長くなりやすく、毎日忙しく働く人も多くなっています。

休日については、裁判所の休みに合わせて土日となることが多いでしょう。

しかし、一般の人からの相談を多く受けている場合には、顧客ニーズに合わせ、あえて土日に仕事をすることもあります。

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弁護士の求人・就職状況・需要

新人の就職は以前よりも厳しくなっている

近年、司法制度改革により弁護士の数が増えた結果、難関の弁護士資格を取得しても、自分の希望する事務所に就職できない若手弁護士も増えているといわれます。

とくに都市部で就職を希望する若手弁護士は多く、大手で待遇のよい事務所は厳しい競争になる可能性が高いです。

ただ、法律事務所は大手以外にも数多くありますし、民間のみならず、日弁連が運営する「ひまわり公設事務所」や、国が出資している「法テラス」といった公的色合いの強い事務所まで多種多様です。

一般企業でも、法務部などで弁護士資格をもつ人材が求められることがあるため、視野を広げていけば、専門職として活躍できる場を見つけることは可能でしょう。

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弁護士の転職状況・未経験採用

転職希望者の求人も出ている

弁護士は、法律事務所に勤務して一定の経験を積むと独立開業する人が多い職業ですが、キャリアアップや待遇面の向上を目的に、別の職場へと転職を考える人もいます。

法律事務所から法律事務所というケースもありますし、企業や官公庁から法律事務所へといったケースも見られます。

経験があればあるほど、転職で採用される可能性は高まるでしょう。

一方、異業種からの転職の場合には、司法試験合格に向けて、十分かつ継続的な勉強を続ける努力が求められます。

年齢は関係ないものの、司法試験合格後に現場でキャリアを磨いていく時間も考えると、できるだけ早いうちに挑戦するほうがよいでしょう。

なお、同じ弁護士の仕事でも、勤務先によって中心的に扱う案件の種類やクライアントは異なり、仕事の進め方も変わってきます。

目指す弁護士像をイメージし、どのようなスキルを身につけたいかを考えて、転職先を探すことが重要になるでしょう。

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国際弁護士とは?

海外の弁護士資格を持つ人や国際案件を手掛ける弁護士

国際弁護士とは、弁護士のなかでも、海外の弁護士資格を所持していたり、国際的な案件に数多く携わる弁護士のことを指しています。

「国際弁護士」という資格そのものがあるわけではなく、あくまでも弁護士の得意分野などをアピールするために、便宜上使われることがある言葉です。

日本の弁護士資格に加え、海外の弁護士資格を取得している場合には、グローバルビジネスを展開する大企業や、外資系企業の顧問弁護士として活躍するケースが目立ちます。

ちなみにアメリカやカナダなどでは、州ごとに異なる弁護士資格が必要であり、それぞれの試験を受けなくてはなりません。

日本の弁護士資格しか持たない人でも、海外との交渉を専門的に行う「渉外弁護士」と呼ばれる弁護士が、国際弁護士と名乗ることはあります。

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弁護士と公認会計士の違い

法律の専門家と会計の専門家

弁護士と公認会計士は、どちらも国家資格を取得して活躍する専門職です。

弁護士になるには「弁護士資格」が、公認会計士には「公認会計士資格」が必要です。

両者は、仕事内容や役割もまったく異なります。

弁護士が、クライアントからの法律相談に応えたり、トラブル解決のたに代理人として相手方との交渉や裁判で争ったりするのに対し、公認会計士は、企業の会計処理が適切になされているか監査したり、会計上・経営上のアドバイスを行うことが仕事です。

簡単にいえば、弁護士は法律の専門家、公認会計士は会計の専門家といえます。

ただ、両者の業務にはM&Aという共通項があります。

企業の売買が行われる際には、弁護士は法務面の調査、公認会計士は財務面の調査を担い、協力して仕事を進めます。

双方の資格を取得する「ダブルライセンス」で幅広い案件に携わる人もいます。

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弁護士と司法書士の違い

法律の専門家として、手掛けられる業務の幅に違いがある

弁護士と司法書士は、どちらも法律の専門家として活躍しています。

ただ、わかりやすい両者の違いとして、司法書士の場合、弁護士よりも手掛けられる業務範囲が小さいことが特徴です。

弁護士が、社会の中で起こる多種多様な事件やトラブルに対し、法律によって解決を図るのに対し、司法書士の場合は不動産登記や商業登記、供託業務などが仕事の中心です。

司法書士は、顧客から依頼を受けて事務手続きを代行することはできても、弁護士のように訴訟を起こしたり、代理人業務を手掛けることはできません。(認定司法書士を除く)

どちらも専門職として社会から必要とされる職業ですが、資格自体の難易度としては、弁護士のほうが高いといえるでしょう。

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