「郵便局員」とは

日本郵政グループの一員として、郵便局で郵便・貯金・保険の各分野のサービスを提供する。
郵便局員とは、おもに郵便物に関わる業務、銀行業務、生命保険業務に携わる仕事です。
郵便物に関わる業務は「日本郵便」として郵便物の集配や配達、はがきや切手の販売を、銀行業務では「ゆうちょ銀行」の窓口業務や口座管理などを、生命保険業務では「かんぽ生命保険」の窓口業務や保険商品の販売・資産運用を担当します。
郵便局員になるには、日本郵政グループの採用試験を受けて、同社へ入社する必要があります。
総合職や一般職など複数の職種で募集されており、入社後には郵便・貯金・保険の3種類の分野で、それぞれ専門知識を生かして働きます。
正社員として採用される形以外にも、アルバイトや契約社員といった雇用形態で働くことも可能です。
平均年収は300万円~400万円程度とされますが、管理職になれば収入アップが期待できること、また福利厚生はしっかりしているため、結婚・出産後の女性も働きやすい職場だといわれています。
「郵便局員」の仕事紹介
郵便局員の仕事内容
郵便・貯金・保険の三本柱
郵便局員は、郵便に関わるさまざまな仕事を行います。
以前は窓口ですべての業務を担当していましたが、郵政民営化後は、「日本郵便」「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命保険」と3つに分社化されました。
郵便物の集配や配達、はがきや切手の販売を行うのが「日本郵便」、郵便貯金の口座の管理など銀行業務を行うのが「ゆうちょ銀行」、保険商品の販売や資産運用を行うのが「かんぽ生命」です。
郵便局は、1,741すべての市町村に計24,395カ所設置され、日本全国を網羅しインフラ的な役割として重要な役目を果たしています。
民営化後、公務員ではなくなり一般の会社員となりましたが、人々にとって身近な仕事であることや地域に根差した働き方ができることから、今なお人気を集めている仕事です。
郵便局員の就職先・活躍の場
全国各地の郵便局
郵便局員は、日本郵政グループグループに入社し、全国各地の郵便局で働きます。
総合職は全国に転勤の可能性がありますが、地域基幹職・ゆうちょ銀行のエリア基幹職は全国を11の応募エリアに、かんぽ生命のエリア基幹職は全国を13の応募エリアに分けていて、応募時に働きたいエリアを選択することができます。
さらに日本郵便の一般職は全国を200以上の配属エリアに分け、転居を伴わないことを基本としています。
郵便局員を目指す場合は、勤務地の希望をあらかじめ考えておいた方がよいでしょう。
郵便局員の1日
職種によって異なる
日本郵政グループでは多くの人が働いていて、職種や担当する業務によって1日のスケジュールは大きく変わります。
ここでは郵便配達員として働いている人を例にご紹介します。
7:30 出社
朝礼では全員で体操をし、健康状態の確認をします。
その後バイクに異常はないか点検をします。
8:30 配達準備
機械で区分できなかった郵便物や書留を配達順に整理し並び変えます。
9:30 午前の配達
安全運転でできるだけ定刻に配達できるよう心がけています。
12:30 帰社・昼食
13:30 配達準備
14:00 午後の配達
16:00 残務整理・事故処理
転居などで住所が変わっていたり、あて先がわからなかったりした人の郵便物などを調べます。
16:15 帰宅
配達料が多い日や繁忙期は残業になることもあります。
郵便局員になるには
日本郵政グループに就職する
郵便局員になるには、日本郵政グループグループに入社しなくてはなりません。
募集職種は総合職、地域基幹職・エリア基幹職、一般職に分かれています。
総合職を目指す場合は、学歴などさまざまな条件があります。
地域基幹職・エリア基幹職、一般職は一般的に転居を伴う転勤がなく、指定されたエリア内で働きます。
さらにその中から、郵便・貯金・保険の3種類に分けられ、それぞれ専門知識を生かして働きます。
あらかじめ自分が郵便局でどんな仕事がしたいかを考えておく必要があるでしょう。
郵便局員の学校・学費
学歴によって職種が分かれる
郵便局員になるために、特別な学歴は必要なく、学科も問わないとされています。
ただし日本郵政グループグループでは、短大・専門学校卒業か大学・大学院卒業かで求人職種が異なります。
大学・大学院を卒業した後は、総合職として商品開発や営業職などに就職することができます。
短大・専門学校を卒業した人は、一般職として窓口業務や営業事務などを行います。
また、公務員だった時代は高卒での求人もありましたが、郵政民営化後は高卒での求人がなくなったので注意が必要です。
郵便局員の資格・試験の難易度
特別な学歴は必要なし
郵便局員になるために特別な資格は必要ありません。
窓口業務で生命保険を扱う場合は、「生命保険募集人資格」が必要になることもありますが、こうした業務上必要な資格は、入社してから研修等を経て取得することもできるので、あらかじめ資格を持っていなくても構いません。
ただし、総合職のうち、「クオンツ」「アクチュアリー」と呼ばれる上級の求人では、「TOEIC 730点以上相当」などの条件があるので、こうした求人に応募したい場合は注意が必要です。
郵便局員の給料・年収
安定した給料
日本郵政グループグループのHPを見ると、初任給はそれぞれ総合職の場合、大学卒が212,500から238,000円、一般職では大学卒が162,100から191,280円、短大・高専・専門卒が159,700から190,330円となっており、いずれも平均的な給与となっています。
これに加え、営業・勤務実績に応じてボーナスも支給されます。
平均的には300万円~400万円の年収といわれていて、管理職になることができれば、年収は600万円以上となることもあります。
福利厚生もしっかりしているため、結婚・出産後の女性も働きやすい職場だといわれています。
郵便局員のやりがい、楽しさ
人々の生活に密着した仕事
郵便局員として働く大きな魅力は、すべてが生活に密着した仕事内容だということです。
手紙や荷物を届けたい、子どもや老後のために貯金をしたい、保険に加入したいなど、毎日の暮らしに寄り添った商品やサービスばかりなので、子どもからお年寄りまで多くの人に気軽に利用してもらえます。
窓口や配達・集配などお客さまと接する機会も多く、何度も顔を合わせるお客さまとは親しくなることもあります。
お客さまから直接感謝の言葉を聞くことができ、人々の役に立つ実感が得られる仕事でもあります。
郵便局員のつらいこと、大変なこと
覚えることが多くノルマが発生する
郵便局員の大変なところは、覚える業務内容が多いところです。
郵政民営化後は新規商品を取り扱うことも増え、サービス内容が爆発的に増加したことで業務量や覚えることが格段に増えました。
また、小さい郵便局や簡易郵便局で勤務する場合には、自分の担当以外に郵便、貯金、保険についてすべてを網羅していなければなりません。
さらに、それぞれに目標というノルマがあり、常に売り上げを求められるので、やりがいだけでは難しい部分もある仕事です。
郵便局員に向いている人・適性
親しみやすい接客ができる人
郵便局員は、多くのお客さまと接する仕事です。
特に窓口業務では、お客さまからの要望を聞き取り、納得のいくサービスや提案を行わなくてはなりません。
親しみやすい接客ができることはもちろんですが、繁忙期には窓口が混雑したり、郵便物が大量に増えたりすることもあるため、手際よく仕事をこなせる効率の良さも重要なポイントです。
また、日々変わっていく業務内容やサービス内容に対応できるよう、常に商品知識を勉強する向上心があることも求められるでしょう。
郵便局員志望動機・目指すきっかけ
入社後どんな仕事がしたいかがポイント
郵便局は安定性があり、地元で働けるため人気の職業と言われています。
たくさんの候補者の中から目に留まる志望動機をつくるためには、「郵便局の仕事をしっかり理解しているか」「入社後はどのように働きたいか」の2つのポイントを盛り込むことが大切です。
日本郵政グループでは総合職、一般職の区分に加え、郵便・保険・貯金と部門が分かれているため、それぞれの仕事内容も異なります。
自分がどのように働きたいかをしっかりと考えたうえで、志望動機を考えましょう。
郵便局員の雇用形態・働き方
正社員・またはアルバイトが一般的
日本郵政グループで働く人は、多くが正社員として採用されます。
総合職・「クオンツ」「アクチュアリー」と呼ばれる上級の総合職・一般職・地域基幹職・エリア基幹職に分けられていて、それぞれ採用の条件や給与などに違いがあります。
また、地域や郵便局ごとに個別に窓口業務や配達、仕分け作業などを担うアルバイトを募集していて、アルバイトとして働く人もいます。
アルバイトの中には実力が認められ、正社員に登用される人もいます。
郵便局員の勤務時間・休日・生活
基本的には4週8休制
日本郵政グル―プで働く場合、基本的には4週8休制がとられています。
特に窓口業務の場合は、郵便局が閉まる土日が休みとなります。
土日でも開いている大きな郵便局で勤務する場合は、配達・仕分けを担当する場合はシフト勤務となり、交代で休みを取ります。
お歳暮や年賀状などの繁忙期は残業や休日出勤することもあります。
ただし年次有給休暇・特別休暇(夏期・冬期・結婚・出産・忌引・ボランティア)・病気休暇・育児休業・介護休業等の福利厚生もしっかりしていて、休みはとりやすい環境と言えるでしょう。
郵便局員の求人・就職状況・需要
新卒採用の求人数は多い
2019年の新卒採用予定数を見ると、地域基幹職・エリア基幹職は窓口コース約700名、郵便コース500名、JP金融アドバイザーコースは800名とかなり求人数は多くなっています。
さらに一般職になると、窓口コースが約1,500名、郵便コースが約700名と大量に募集していることがわかります。
少子高齢化に加え、郵便局は全国にあり平均的に配属するためにはどうしても採用人数が多くなるのです。
ただし、希望エリアは都市部や政令指定都市などに人気が偏りがちで、倍率は高くなりやすいのが現状です。
郵便局員の転職状況・未経験採用
アルバイトや派遣社員からの登用も多い
安定性や働きやすさを求めて他業種から郵便局員に転職するケースも増えています。
日本郵政グループは、アルバイトや中途採用も常に募集があり、求人数も一定の数があるため、転職しやすいといえるでしょう。
アルバイトであれば、未経験からでも可というところがほとんどです。
また、郵便局は年末年始に年賀状の仕分けや配達の短期アルバイトを募集します。
その仕事がきっかけで、仕事に興味を持ちアルバイトとして入社するという人も多いようです。
郵便局員の現状と将来性・今後の見通し
同業他社との差別化が急務
日本郵政グループは、郵便・貯金・保険と異なる3つの仕事を抱えています。
しかし、いまはどの仕事も競合他社に顧客を奪われつつあり、他社との差別化が急務となっています。
特に郵便事業は、ネットショッピングが普及し荷物の配送数が増えているにも関わらず、取扱件数自体は年々減少しています。
元々国営事業のため、郵便局がなくなってしまうということは考えられませんが、手厚いサービス内容など付加価値を付け差別化を図らなければ、今後他社との競争に生き残っていくのは難しいかもしれません。