【2021年版】養蜂家の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「養蜂家」とは

ミツバチを飼育してハチミツを採取する

養蜂家とは、ミツバチを飼育して、花粉を集めさせ、ハチミツや蜜蝋を採取する仕事です。

ミツバチを媒介して受粉を行う農作物のために利用されたり、ローヤルゼリーやプロポリスといったハチミツ由来の産出物をつくったりすることもあります。

日本で飼育されているミツバチは、主にセイヨウミツバチとニホンミツバチの2種類です。

ニホンミツバチは伝統的に養蜂に利用されてきましたが、性格が神経質なこともあり飼育が難しく、現在国内で流通する多くのハチミツはセイヨウミツバチから採取されたものです。

養蜂の種類には主に「定置養蜂」と「移動養蜂」の2種類に分けられます。

「定置養蜂」は、ある一定の場所でそこに咲く花の蜜を集める方法で、「蜂場(はちば)」とよばれるミツバチの巣箱を置く場所を固定して行います。

「移動養蜂」は、特定の花が開花する時期に合わせ、蜂場をうつしながらハチミツを採取していくことで、レンゲやアカシアなど固定の花の蜜を採取することができます。

日本での養蜂は、近年環境や食生活の変化により生産量が減少傾向にありますが、自然を相手にするやりがいのある仕事です。

養蜂家になるには、養蜂場に就職するか、養蜂家のもとで働き、必要な知識や技術を直接指導してもらう方法があります。

「養蜂家」の仕事紹介

養蜂家の仕事内容

ハチミツを採取したり、巣箱をレンタルしたりする

養蜂家の仕事で一番大切なことは、ミツバチを適切に飼育することです。

ミツバチを驚かせたり怖がらせてしまったりすると、自分が刺されてしまったり、臆病または攻撃的な性格になってしまったりすることもあります。

ミツバチは滅多に人を刺す虫ではありませんが、丁寧に注意深く扱うことが大切です。

ハチミツをたくさん採取するためには、ミツバチの状態をよく観察し、女王バチを育てたり、産卵やさなぎの様子を確認したり、病害虫を取り除いたりといった細かい作業が非常に多くあります。

ハチミツは人間が直接食べるものであるため、とくに薬を使う際には慎重に行う必要があります。

そのほか、ミツバチの天敵である夏の暑さやスズメバチから守ること、越冬できるように手助けをすることなども大切な仕事です。

ハチミツを採取する際は、ミツバチをおとなしくさせるために燻煙器を使用し、巣の枠についたミツバチを払い落とし、巣についたハチミツをナイフで切り取っていきます。

切り取られたハチミツ部分は、遠心分離器にかけられます。

回転させることでハチミツを振り出すしくみで、取り出されたハチミツをろ過して、製品に加工するなどします。

こうしたハチミツの採取に関わる仕事のほかに、採取したハチミツを加工して売り出したり、受粉のためにミツバチを必要とする農家に巣箱を貸し出したりすることもあります。

近年はミツバチが世界的に激減しており、こうした虫媒のためのレンタル業に力を入れている養蜂家も多いです。

養蜂家になるには

養蜂家のもとで学ぶのが一般的

養蜂業界は、飼育方法やノウハウ、経験などがオープンにされていないことが多く、一から始めるのは非常に難しい仕事です。

まずは養蜂業者や養蜂園に就職したり、養蜂家に弟子入りしたりして、養蜂について学ぶ必要があるでしょう。

養蜂業者の求人は山間部などに見られ、特に養蜂の中継地点として知られる岐阜県には求人が集中しますが、一般的な業種に比べると非常に数は少ないです。

近年は、山間部でなく都心部で養蜂をしている企業もあるため、こうした企業で求人はないかを調べてみるのもよいでしょう。

なお養蜂業者でも、実際に養蜂に関われるかどうかは適正により、就職したとしても販売や加工、管理などを任されることもあります。

実際にハチの飼育をする人は「作業員」などという名称で募集されることが多いため、仕事内容はしっかりと確認する必要があります。

個人で養蜂を行いたい場合、養蜂をしっかりと学びたい場合は、既に活躍している養蜂家に弟子入りするのが一般的です。

事前に養蜂を見学してコネクションを築いておいたり、地域の養蜂家に問い合わせてみたりするのもよいでしょう。
 
実際に仕事をしながら養蜂の知識やスキルを身に付けていきますが、弟子の間は収入が非常に少ないことも多いため注意が必要です。

そのほか、インターネットなどで知識を集めることで小規模の養蜂を趣味で始めることは可能です。

自宅に庭や飼育場所を確保できるのであれば、自治体に飼育届を出し、誰でもミツバチを買うことはできます。

養蜂家の学校・学費

養蜂について学べる学校はない

日本には養蜂を専門的に学べる学校はまだありません

大学でミツバチの研究を専門としているところもありますが、数は非常に少ないです。

養蜂の盛んな地域では養蜂体験を行ったり、養蜂に興味のある人に対し研修を行ったりしているところもあり、まずはこうしたところで基礎を学ぶのもひとつの方法です。

養蜂家になる際に特別な知識は必要ありませんが、本格的に養蜂を学びたいのであれば、フランスやニュージーランドなどの養蜂の本場を訪れるのがよいでしょう。

留学や移住をしなくても、ワーキングホリデーを利用して海外の養蜂家のもとで学ぶという方法もあります。

養蜂は世界各地で行われており、国によって飼育方法は大きく異なるため、日本で養蜂をする際にも大きな糧となるでしょう。

養蜂家の資格・試験の難易度

養蜂をする際には届け出が必要

養蜂家になるにあたって、特別な資格や免許は必要ありませんが、ミツバチを飼育する際には自治体に届け出が必要です。

参考:大分県

もし一定の地域に養蜂家が集中してしまうと、ミツバチが花の蜜を取り合うため、ハチミツの生産量が減少してしまい、最悪養蜂家間のトラブルにつながる恐れもあります。

また、万が一病気が発生した際に、蔓延を防止する目的もあります。

病気の発声が起きた際は、素早く近隣の養蜂家に情報を伝えなくてはならないため、行政が飼育状況を把握しておくことが必要なのです。

養蜂家が飼育数と場所を申告して届けることで、行政が必要に応じて配置場所や数を調整する役割を果たします。

なお、飼育届を出す際に飼育スキルや資格を確認されるということはありません。

養蜂家の給料・年収

養蜂の規模や飼育方法によって異なる

養蜂家として純粋にハチミツを採取するだけで生計を立てられる人は少なく、養蜂の規模や飼育方法によって収入は大きな差があります。

個人や家族で養蜂を行う場合、ハチの巣一群で10000~15000円ほどの利益が出るといわれており、250群で、年収300万を超えると計算できます。

とくにニホンミツバチの養蜂は費用がかかりにくく、初期投資も少ないため、手軽に始められるというメリットがあります。

セイヨウミツバチの場合は群を購入する必要がありますが、一度飼育を始めると他の動物のようにエサ代や薬代が多量にかかることは少なく、大きな手間をかけることなく成長するため、損益は出にくいです。

ただし、ハチミツの採取はミツバチ任せの部分も多く、運や天候に左右される部分も多いです。

またミツバチを増やすにしても広い飼育場所を確保するのが大変であり、数が増えれば増えるほど病気や害虫のリスクも高くなります。

そのため養蜂だけではなく、花粉交配のためにミツバチを農家に貸し出したり、採取したハチミツで加工品を作り売ったりすることで生計をたてています。

採取したハチミツは直売所や地元の店舗、インターネットなどで販売できますし、ハチミツを瓶詰めする作業は自宅でも可能です。

保健所に届けを出せば生産の許可がおりるため、特別な加工施設はなくても、ハチミツをつかった菓子や蜜蝋などを販売することは可能です。

養蜂家の現状と将来性・今後の見通し

養蜂家は減少しつつありミツバチ不足が深刻

養蜂業界は年々衰退してきており、養蜂を営む人も年々減ってきています。

これはミツバチが花粉をとる草花が減ってきていること、海外から安いハチミツが大量に輸入されていることなどによります。

また体力勝負の仕事であること、収入が不安定であることなどから後継者不足に悩む養蜂家も多いです。

こうしたなか花粉交配用のミツバチが減少し、農家が非常に苦労しています。

これまでのようにハチミツを採取し、それを販売するという収入モデルかだけでなくミツバチを農家などにレンタルして収入を得るモデルが増えてくると考えられます。

また、ハチミツの販売にも地域や個人によりブランディングが広まり、インターネットや海外など販路を拡大していくことでより収入はアップしていくでしょう。

養蜂家の就職先・活躍の場

養蜂業者への就職や養蜂家への弟子入り

養蜂家として働きたい場合、まずは養蜂業者に就職するか、養蜂家に弟子入りする道が一般的です。

大々的にセイヨウミツバチの養蜂を行っている業者は少なく、多くの養蜂家は家族経営など小規模で行っている場合が多いです。

求人が出ていることは非常にまれであるため、弟子入りして修業をしたい場合は、個人のつてを当たったり、地域にある養蜂場に問い合わせてみたりするとよいでしょう。

ニホンミツバチの場合は、インターネットで知識を身に付けたり、愛好家の指導を受けたりすることで、個人で飼育することもできます。

本格的に養蜂の道に進む前に、まずは趣味としてミツバチを飼育するところからはじめるというのもひとつの方法といえるでしょう。

養蜂家の1日

季節によって過ごし方は変わる

養蜂家は巣箱が置いてある場所に通い、ミツバチの状態を確認するのが仕事です。

季節によってハチミツを採取したり、ミツバチの入った巣箱を農家にレンタルしたりと作業内容は変わります。

8:00 移動
巣箱が置いてある場所は自宅から遠いため、車で向かいます。
8:45 到着・巣箱の内検
内検は、巣箱の中を確認する検査のことで、一週間に1度は必ず行われます。
幼虫やさなぎの育ちかた、ハチミツの量などを確認します。
11:30 昼食・移動
車内で昼食をとり、次の巣箱がある場所へ移動します。
13:00 到着・巣箱の内検
ここでも巣箱を同様に確認していきます。
病気やダニの被害がないかも入念にチェックします。
14:30 スズメバチ対策
ミツバチを襲うことがあるスズメバチがみられたため、わなをしかけるなど寄せ付けないように工夫をします。
16:00 移動・帰宅
養蜂は明るいうちにしかできないため、仕事がおわれば自宅に戻ります。

養蜂家のやりがい、楽しさ

ハチミツを採取する瞬間

養蜂家の一番のやりがいは、ミツバチを育ててハチミツを採取することです。

苦労して育てたミツバチが花の蜜を集め、それを採取する瞬間は、一年の苦労が報われる瞬間です。

ハチミツの味はミツバチの花粉の集め方で毎年変わるため、色々な花を試すなどしておいしいハチミツを作ることができた年は達成感を感じられます。

また、年々畑を大きくして収穫量を増やしていくように、ミツバチを増やして一群を大きくしていくことも喜びです。

セイヨウミツバチの場合、女王バチは1~8年ほど生きると言われますが、それ以外は数十日の寿命です。

ミツバチを育て増やし、次世代に受け継いでいくことは養蜂家にとっての大きなやりがいです。

養蜂家のつらいこと、大変なこと

生物と向き合う地道な仕事

養蜂家の大変なところは、ミツバチという生き物を相手にするため地道な作業が必要だということです。

手入れを怠ればミツバチが病気になったり死んでしまったりしてしまいますし、ハチミツの採取量が大幅に減少してしまったりします。

そのため長期的な休みをとったり、安易に転職をしたりすることはできません。

また、ほかの仕事に比べるとミツバチに刺されたり暑さ寒さにさらされたりするなど体力的にも厳しく危険性の高い仕事でもあります。

さらに養蜂を営む上ではハチのふんや死骸などで近隣からクレームが入る場合もあり、コミュニケーションをうまくとっていかなくてはならないという苦労もあります。

養蜂家に向いている人・適性

ミツバチを恐れない人

養蜂家に向いている人は、まずミツバチに関心があり、ミツバチに対して怖さを持っていない人です。

養蜂家として仕事をする上でミツバチに刺されるということは日常茶飯事です。

ミツバチの毒に対しアナフィラキシーショックを起こす人もいるため、まずはミツバチに刺されても平気なこと、ミツバチに対して恐怖心を抱かないということは大前提です。

一方で、ミツバチを過剰に愛しすぎることも仕事の支障になってしまうことがあります。

ミツバチの寿命は非常に短く、どれだけ手をかけても何度も世代交代を繰り返しながら養蜂を行う必要があります。

養蜂は畜産業に分類されますが、牛や豚を飼うのと同じように、ミツバチとビジネスライクに付き合っていくことも大切です。

養蜂家志望動機・目指すきっかけ

ミツバチや養蜂に関心をもったきっかけはさまざま

養蜂家の志望動機としては、もともとミツバチや養蜂に興味があったという人、山里など自然環境のある場所で働きたかったという人、趣味で養蜂をしていたという人などさまざまです。

大学で昆虫学や食品科学を学び、養蜂の仕事を知ったという人も多いです。

また養蜂は趣味でも行えるため、仕事を持ちながら週末などに養蜂を楽しんでいたという人が、規模を拡大して本格的に始めたという人もいます。

養蜂業者等に就職するのでなければ、志望動機を問われることはあまりありませんが、将来的に養蜂を長く続けたいのであれば、「どうして養蜂をしたいのか」をしっかりと考えておくべきでしょう。

養蜂家の雇用形態・働き方

養蜂業者の社員か個人事業主

養蜂家には、養蜂業者に勤めてサラリーマンのように雇用されて働く人と、個人事業主として働く人がいます。

就職をして働く場合、知識とスキルを身に付けながら安定した収入を得ることができ、その後独立することも可能です。

養蜂業者の作業員としての求人は非常に少なく、養蜂の盛んな地域のみに限定されています。

まったく1から農業をはじめるには多大な資金が必要となり収入も不安定となりますが、農業法人に勤めることで自営農家よりも安定した収入を得ながら農業を続けることができます。

個人事業主となる場合は、家族で養蜂をする、親の養蜂を引き継ぐ、独立して1から養蜂を始めるなどのケースがあります。

養蜂家の勤務時間・休日・生活

繁忙期と閑散期で異なる勤務時間

養蜂家は、季節によって勤務時間が変わります。

春から夏にかけての繁忙期は一日10時間ほど働くこともあれば、閑散期は一日に数時間という日もあります。

勤務時間は変動的ですが、主にミツバチが活動する日中が勤務時間となり、夜遅くまで働くことはあまりありません。

決められた休日はありませんが、天候や気温によって左右されることも多いため不定休となります。

ミツバチの世話をするため、長期で休みを取ることは難しく、一般的なサラリーマンのように連休をとって旅行に行ったりすることはなかなか難しいです。

養蜂業者のように社員が多い場合や、シフトを組み交代で休みを取ることが可能です。

養蜂家の求人・就職状況・需要

養蜂業の求人は非常に少ない

養蜂家の求人は非常に少なく、求人が出たとしても養蜂が盛んに行われている地域に限定されています。

ミツバチという生き物を扱うため、どうしても一定の土地が必要となりますし、植物や自然環境の豊かなところでなくてはハチミツを集めることができないからです。

養蜂をしたいのであればこうした地域に移住する必要がありますが、近年は街中でも養蜂を行うところが増えてきているため、都心部でも養蜂がまったくできないわけではありません。

なお、養蜂業は災害や食生活の変化を受け年々衰退してきており、花粉交配用のミツバチが世界的に不足してきているのが現状です。

花粉交配用のミツバチを求める農家や国産のハチミツを求める消費者も多いため、これから新規参入したいという人にはチャンスだといえます。

養蜂家の転職状況・未経験採用

脱サラして養蜂家になる人も多い

養蜂家は転職でなる人も多く、とくに脱サラして養蜂を始める人は非常に多いです。

養蜂は農業や畜産と比べると少ない土地で始めることができ、初期費用も少なくコストがかからないため、比較的始めやすい仕事であるといえます。

もともと趣味で養蜂をしていた人が、建研を積んで本格的に始めるようになったという人も少なくありません。

ただし、養蜂は毎年安定した収入が得られるとは限らず、天候や災害によっては全く収入が得られないこともあります。

また新規参入の際にはほかの養蜂家や近隣とのコミュニケーションが非常に重要で、安易に参入すれば蜂に刺された、ハチミツの収穫量が減ったなどクレームが入ってしまうこともあります。

転職する際はこうした点をしっかりと考えた上で行うようにしましょう。

養蜂家の歴史

現在の養蜂は明治時代から行われている

ハチミツは古代から世界中で貴重な食べ物として知られており、紀元前6000年頃からハチミツを採取していたと考えられています。

日本の養蜂は、643年に韓国からミツバチが輸入されたことが起源とされていますが、この時点では失敗に終わっています。

江戸時代になると、ニホンミツバチを使った養蜂がさかんになり、明治に欧米文化が入ってくるにつれてハチミツを食する人もより増えてきました。

明治6年にはオーストラリアからドイツの養蜂技術が伝わり、セイヨウミツバチを使った養蜂が始まったといわれています。

明治の終わりごろにはこの技術が全国に広まり、養蜂家が急増、養蜂が新しいひとつの産業として定着しました。

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