【2021年版】都道府県職員の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「都道府県職員」とは

広域の行政サービスを行う国と市区町村間の橋渡し役

都道府県職員とは、地方公共団体の公的機関で働く人のことです。

全国では1都1道2府43県の自治体があり、各都道府県庁などの役所をはじめとした機関で働いています。

都道府県職員には区分があり、さまざまな仕事を総合して行う「一般行政」、道路や河川を担当する「土木」、建築物の申請や検査などを行う「建築」、社会福祉に携わる「福祉」などがあります。

国家公務員に比べると、地域レベルの課題に取り組み、地域住民に接する機会も多いのが特徴です。

一方で、市区町村レベルでは対応が難しい総合的な都市開発計画や、義務教育・社会福祉の維持、条例の策定など、市区町村の枠を超えた大きな仕事に取り組みます。

また地域の産業を盛り上げ経済発展のために尽力したり、まちづくりなどを通し街の魅力を発信したりすることも重要な仕事の一つです。

比較的規模の大きな課題に挑むことも多いため、長期的なプロジェクトに関わることも多く、結果を出すことを魅力に感じる人も多くなっています。

都道府県職員は公務員であるため、地方公務員試験を受けて各都道府県に採用される必要があります。

各地域によって差はありますが、大卒程度は「上級」、短大卒程度は「中級」、高卒程度は「初級」と区分しており、それぞれの学歴にあった試験を受け採用されます。

大都市圏は一定の人気がありますが、近年は「地元に貢献したい」と地方や地元の都道府県で働くことを志望する人が増えています。

「都道府県職員」の仕事紹介

都道府県職員の仕事内容

住民対応よりも連絡調整役が多い

都道府県職員の主な仕事は、市区町村の運営をサポートしたり、国と市町村を結ぶパイプ役となったりすることです。

各都道府県は人口や気候、地域を担う産業や文化にもそれぞれ違いがありますが、住民が安心快適に暮らせるよう、まちづくりを行うのが都道府県職員の役割です。

たとえば、条例を制定したり、公園を整備したり、道路や河川を整備したり、地域の産業を支援したりすることなどです。

また、住民票や戸籍の管理、予算や税金などを扱う経理、国と市町村を結ぶ調整などを行います。

そのほか、子どもやお年寄りなどへの支援をする社会福祉担当、建築物に関わる仕事を担う建築担当、機械設備の維持保全を行う機械担当など様々な区分に分かれて仕事をしています。

地域によっては、農業や林業、畜産、水産などの分野がある場合もあります。

地域の暮らしに関わる仕事としては市区町村職員の仕事と共通する部分もありますが、地域住民に直接関わることの多い市区町村職員に対し、都道府県職員は住民と関わることはあまりありません。

市区町村が行うさまざまな活動をサポートしたり、各市町村の足並みを揃えたり、国と市区町村間の連絡調整役になったりと、より広い枠組みでの仕事をすることが多いです。

都道府県は地域全体の仕事を担うため、管内にある市区町村との連絡調整は、職員の非常に大きな仕事といえるでしょう。

都道府県職員になるには

公務員試験を受験する

都道府県職員は地方公務員です。

そのため、都道府県職員になるには、各都道府県の職員採用試験に合格しなくてはなりません。

試験内容や合格基準は各都道府県によってまちまちで、各地域によって差があるのが特徴です。

また、採用人数は毎年変動し、都道府県によっては退職者がいない限り採用をしない区分もあるため注意が必要です。

一般的には大卒程度は「上級」、短大卒程度は「中級」、高卒程度は「初級」と区分しているケースが多くなっています。

大卒で採用試験を受験する際は「県庁職員上級試験」を受けることが多く、試験内容の代表的なものは一般教養試験、専門試験、論文試験、面接試験です。

試験の難易度は、地方公務員試験の中では難易度が非常に高いといわれ、「国家公務員一般職」と同程度の勉強が必要だとされています。

警察官や教員などの専門職の場合は、専門の試験を受けなくてはならないため、区分や試験内容の詳細は、希望する各都道府県のホームページなどを調べておきましょう。

また、都道府県によっては年齢制限がある場合があるので、中途採用を希望する場合は確認が必要です。

学生時代から都道府県職員を希望する場合は、どの区分を受験するのかを考え、対策をしておく必要があるでしょう。

ちなみに、都道府県の職員は採用された地域内でのみ効力を発揮するため、地方公務員となった場合は、採用区分以外の都道府県や市役所などへ転勤するといったことはありません。

都道府県職員の学校・学費

どんな学歴でも受験できる

都道府県職員になる際、採用に特別な学歴は関係ありません。

地方公務員試験の区分は、大卒程度は「上級」、短大卒程度は「中級」、高卒程度は「初級」と区分されており、どのような学歴でも受験できるようになっています。

さらに、こうした区分はあくまで「試験内容の難易度」を表す区分であり、学歴によって受験資格を制限するものではなく、最終学歴が高卒の人でも、大卒程度である上級試験を受験することは可能です。

地方公務員の採用試験は、純粋に筆記試験と面接試験の点数だけで判断されるため、特定の学校に通わなくてはならないということもありません。

ただし、自治体ごとで各区分の年齢制限がある場合はあるため、その点には注意が必要です。

都道府県職員の資格・試験の難易度

資格免許職を受験する場合は指定の資格が必要

都道府県職員の採用試験には各地方で基準や倍率は大きく異なります。

とくに大卒者が受験する「上級」はレベルも高く採用枠も限られ、倍率が高くなっています。

特に東京都や大阪府、神奈川県や北海道、福岡県などは非常に人気が高いことで知られています。

一般行政など事務系の区分での受験は特別な資格は必要ありません。

ただし、獣医師や保健師などの「資格免許職」と呼ばれる区分で受験する場合は、決められた特定の資格を取得している必要があります。

資格免許職の募集職種や採用人数などは自治体ごとで大きく異なるため、各都道府県の採用ページなどで確認しておくとよいでしょう。

都道府県職員の給料・年収

公務員として定められた給料が支払われる

2019年におこなわれた総務省の調査によると、都道府県職員(一般行政職)の平均給与月額は、412,987円です。

市職員の給料が401,621円とされているため、市町村職員と同程度から若干高めの設定となっているようです。

ただし、東京都職員の場合、1類(大学卒)の初任給は183,700円、3類(高校卒)の場合は145,600円と大きな差があります。

学歴の違いだけでなく、将来の幹部候補生であることからも、どうしても上級で採用された人の方が給料は高くなる傾向にあります。

こうした各都道府県職員の給料は、税収や民間企業の給料などを踏まえたうえで各都道府県によって定められており、地方によって多少の違いがあります。

公務員は基本的に俸給表によって等級が決められているため、勤続年数や成績により、級や号が上がっていくにつれて給料も高くなっていきます。

都道府県職員としての経験を積むにつれ給料が徐々に上がっていく仕組みであり、民間のように勤務成績で大幅に給料がアップすることはありません。

また公務員であるため、家族手当、通勤手当、住居手当などの手当てや、有給休暇や出産・育児休暇、介護休暇など各休暇制度や福利厚生面も整っています。

職種や部署によって違いはありますが、基本的には日中に働き、土日は休みという働き方となるため、ワークライフバランスを保ちながら働くことができるでしょう。

都道府県職員の現状と将来性・今後の見通し

採用増に転じる都道府県も

各都道府県は、都市部など一部を除き、少子高齢化や人口の減少によって税収が減少するなど、窮地に立たされるところが増えてきています。

地域経済を活性化させ、地域の暮らしを維持していくことは、都道府県職員の大きな役割であり、今後都道府県職員の仕事はますます重要視されると考えられます。

また近年は人件費を削減するために、採用者を大幅に削減する傾向にありましたが、災害対応などの際に職員が足りないことが問題となり、採用人数を増やし始める都道府県も増えてきています。

安定した身分で働けることや、新規での採用も活発に行われていることから、学生からも安定した人気が続くでしょう。

都道府県職員の就職先・活躍の場

各都道府県庁が中心

都道府県の職員が働くのは、主に都道府県庁です。

また、県税事務所、保健所、福祉事務所など地域の関係機関で働く場合もあります。

一般事務職や一般行政職などの場合は、こうした都道府県庁や地域機関などで各部署に配置され、それぞれの仕事を行います。

たいていの場合は数年おきに異動がありますが、そのほかに、職種によって特定の勤務先で働く場合も少なくありません。

警察事務の場合は、都道府県の警察本部や警察署に勤務し、警察の仕事に関わる資料作りや会計などの事務全般、データや備品の管理などを行います。

学校事務は、各都道府県の小中高校に勤務し、学校の運営に関する各種事務手続きや経理業務などを行います。

都道府県職員の1日

担当部署や所属先によって異なる

一般的な都道府県職員は、8:45~17:15前後の勤務時間と定められています。

ただし、所属部署や担当案件によってスケジュールは多少異なり、繁忙期は残業することもあります。

8:30 出社
出社するとメールをチェックし、書類など回覧に目を通します。
8:45 開庁
市町村役場のように来庁者が大勢来ることはありませんが、窓口や電話での問い合わせに適宜対応します。
10:00 定例会議
担当部署ごとに定期的に会議が行われます。
市町村ごとの対応や国からの通達などを踏まえながら、今後の動きを考えます。
12:00 休憩
13:00 会議の報告書作成
会議があれば議事録や報告書を作成し、その後の資料として残します。
14:00 来庁者対応
担当する案件に対し来庁者があったため、丁寧に対応します。
15:00 資料作り
次回の会議のために、過去の資料を調べたり、他県での対応を調べたりしながら資料を作ります。
17:15 定時・残業
各市町村からの問い合わせの回答に関する文書を作成したり、仕事の資料を整理したりします。
19:00 退庁

都道府県職員のやりがい、楽しさ

スケールの大きな仕事に取り組める

都道府県職員は、市区町村の枠組みを超えたスケールの大きな仕事に取り組むことが特徴です。

たとえば、観光プロジェクトなど町おこしに関わるもの、企業誘致など産業や経済を支えるもの、幹線道路や鉄道の整備など交通に関わるものなど、部署や部局の枠を超えて仕事をすることも珍しくありません。

また市町村に比べると予算も多いため、大規模な公共事業に関わることもできます。

各職員が担うのはそれぞれの一端ですが、大きな案件に携わり、無事に終えたときには大きな達成感が得られるでしょう。

また、地域の新聞やニュースで取り上げられることも多く、多くの人から評価や感謝の言葉をもらえることもやりがいにつながります。

都道府県職員のつらいこと、大変なこと

異動や転勤が伴うことも

都道府県職員(とくに一般行政職)になると、大半の場合は3〜4年ごとに人事異動があります。

さまざまな部署で幅広い分野の仕事を経験することになりますが、これまでと全く畑違いの部署に移る可能性もあります。

経験不足から仕事がうまくいかなかったり、改めて勉強をし直さなくてはならなかったりといった苦労があります。

また、各部署によって忙しさや仕事量が異なることに戸惑う人も多いです。

さらに、各都道府県庁以外の勤務先に異動になった場合は、転勤を伴うこともあります。

都道府県庁全体という広い地域にわたる仕事を行うため、勤務先によっては数年おきに転勤しなくてはならないことも珍しくありません。

都道府県職員に向いている人・適性

地域のために働きたいという思いがある人

都道府県職員になるために大切なことは、「地域と地域住民のために働きたい」という思いです。

都道府県職員は、自分自身が生まれ育ったり、これまでに訪れたりしたことで親しみを感じたり、魅力を感じたりした地域で受験する人が非常に多いです。

まず地域のことをよく知り、地域やそこに住む人たちに貢献したいという思いがなくては、この仕事は務まらないでしょう。

また、資格免許職や専門職など、自分の得意分野や専門分野を活かしたいという人には、最適な職業といえます。

さらに、都道府県職員はさまざまな人と関わりながらスケールの大きい課題に取り組んでいくため、コミュニケーション能力や調整力がある人にも向いているでしょう。

都道府県職員志望動機・目指すきっかけ

生まれ育った地域で働きたい

都道府県職員の志望動機としては「地域のために働きたい」というものが非常に多いです。

とくに自分の生まれ育った土地で働きたい、地域住民のために力を尽くしたいという志望動機は多く聞かれます。

そのほかには、県職員と何らかの接点があり、仕事に興味を持ったという人や、大学で専攻したことを地域の仕事として生かしたいというものがあります。

都道府県職員は国家公務員に比べると全国転勤がなく、給料も安定しているため学生から非常に人気があります。

実際に志望動機を考える際には、こうした内容はありきたりなものとなってしまうため、自分なりのエピソードやオリジナリティのあるものを考えなくてはならないでしょう。

都道府県職員の雇用形態・働き方

安定した環境で働ける

都道府県職員となった場合、基本的には正規職員として安定した身分が得られます。

特別な事情がない限り、民間企業のように解雇されることもありません。

一方で、非正規の身分で働く人もいます。

非常勤職員は、地方公務員法上「特別職」とされ、一定期間専門知識をもって働く人のことです。

近年は人件費を抑えるために、地方公務員の3分の1が非常勤職員とされています。

そのほかに、臨時職員という働き方もあります。

正式には「臨時的任用職員」といい、雇用期間は6カ月と定められていますが、雇用を延長するケースもあります。

どちらの場合も、曜日や時間を限定して勤務する場合や、フルタイムで働く場合など働き方はさまざまです。

都道府県職員の勤務時間・休日・生活

日勤が中心だが夜勤やシフト勤務がある場合も

都道府県職員の勤務時間は、ほとんどの自治体では「1日7時間45分、週38時間45分勤務」と定められており、基本的には朝出勤し夕方仕事を終える日勤です。

ただし、職種によっては夜勤や交代制勤務がある場合もあります。

一般行政職や全日制の学校教員は基本的には日勤、週休2日制で土日祝休みとなります。

一方、警察官や資格免許職などは、夜勤と交代制勤務があることもあり、シフトに基づいて休みを取ることになります。

残業については職種、部署によって大きな差があります。

残業なしで上がれる部署もあれば、慢性的な残業が発生する部署、閑散期と繁忙期で差がある部署など、部署によってさまざまです。

都道府県職員の求人・就職状況・需要

毎年採用はあるが事情は各都道府県で異なる

都道府県職員は毎年安定して求人があります。

ただし採用人数や区分については各都道府県によって大きな差があり、地方公務員試験の結果にも違いがあります。

その年によって採用人数に大幅な増減があることも珍しくありませんし、区分によっては採用がない年がある場合もあります。

そうなれば自然と倍率にも影響があるため、必ずしも安心とはいえないでしょう。

基本的には東京都や神奈川、千葉、埼玉などの首都圏、大阪や愛知、福岡や北海道など比較的規模の多い都道府県は採用人数も多く、学生からの人気も集中する傾向にあります。

また、多くの場合は「初級」の試験よりは「上級」のほうが難易度が高くなっています。

都道府県職員の転職状況・未経験採用

社会人経験者が都道府県職員になるケースも多い

一度民間企業などへ就職し、経験を積んでから改めて公務員試験を受け、都道府県職員になる人も多いです。

公務員試験は年齢制限がある場合もありますが、多くの場合は幅広く人材を集めるために、「民間経験者枠」「社会人経験者枠」などとして転職者も広く歓迎しています。

各都道府県で必要な要件などは異なりますが、近年は年齢制限が撤廃されるなど、40代や50代でも受験できるところも増えてきています。

即戦力となる優秀な社会人経験者を積極的に採用する動きが強まっているため、社会人経験者や転職希望者にとってはチャンスが広がっているといえるでしょう。