「医療」系の職業・仕事

医師 医学の専門知識を有し、病気やケガの診察・治療や、病気の原因を解明する研究を行う

医師の仕事の範囲は、勤務する施設によって変わります。大きな施設では、小児科、心療内科などに細かく科が分かれ、それぞれの医師が専門の治療を行いますが、町の診療所などでは、一人ですべての症状を見ることが求められます。医師になるためには、医学部で学び、医師国家試験に合格することが必要です。医学部への入学は難関であり、入学後も国家試験の勉強に追われます。また、私立の場合、学費が高いため経済的に余裕がなければ厳しくなります。国家試験合格後は、2年間の研修を経て、医師として働くことができるようになります。医師は高給と言われていますが、その分心理的、身体的負担も大きい仕事です。開業医になるまでは、不規則な生活を覚悟しなければなりません。

薬剤師 医薬品の専門知識を持ち、処方箋に基づく薬の調剤や、患者さんへの服薬指導を行う

薬剤師は、病院や薬局で、薬剤の調剤と服薬指導を行う仕事です。調剤とは、医師の処方箋に従って、医薬品を調合することであり、服薬指導とは、どの薬をどのようなタイミングで飲めばいいかを患者にわかりやすく説明することです。医薬分業が進み、これまで以上に薬剤師の専門性が求められてきています。勤務先には、病院、調剤薬局、ドラッグストア、製薬会社などがあります。薬剤師として働くためには、薬学部にて6年間学び、薬剤師国家試験に合格しなければなりません。薬剤師になるまでに勉強しなければならないことは多く、薬学部の学費も高いですが、就職後の給料は安定しています。特に地方においては薬剤師が不足している状況であり、就職に困ることもありません。

看護師 医療現場で患者さんの心身のケアを行い、医師の診察・治療をサポートする

医師が患者の診察や治療を行う際に補助をしたり、病気や怪我の患者のケアを行う仕事です。血圧、体温、脈などの測定、注射、点滴、採血などの治療の補助、食事やお風呂、ベッドメーキングなどの身のまわりの世話などを行います。看護師になるためには、看護師養成の課程がある学校において3〜4年学んだのち、看護師国家試験に合格し、看護師免許を取得することが必要です。看護師国家試験の合格率は90%前後となりますが、看護学校の倍率は高いものとなっています。医師や薬剤師、栄養士などがチームを組んで治療を行う「チーム医療」において、看護師は今まで以上に重要な役割を担うようになってきていますが、高齢化社会が進む状況において、看護師は不足している状況です。

保健師 企業、学校、保健所などに勤務し、病気の予防や健康増進のための指導とアドバイスを行う

保健師は、地域の人々や学校の生徒などが健康に暮らせるようサポートする仕事です。医師や看護師が病気や怪我の治療が主なのに対し、保健師は予防や健康増進をする役割を担っています。健康診断や予防注射、健康相談、乳幼児の検診など、業務内容は多岐に渡ります。保健師になるためには、看護師の資格をもっていることが前提となります。そのうえで、保健師国家試験に合格する必要があります。国家試験の合格率は高いですが、主な就職先である地域の保健所や保健センターにおいての採用は、欠員補充が中心となるため、求人数は多くありません。ですが、採用後は地方公務員の待遇となるため、給料は安定しており、比較的規則正しい勤務時間で働くことが可能です。

助産師 お産介助から妊娠・出産前後の心身ケアまで、女性の健康を総合的ににサポートする

助産師は、妊娠、出産から出産後のケア、育児の指導まで、出産に携わる女性をサポートする仕事です。助産は、医師と助産師のみに許されている行為です。正常な経過の自然分娩であれば、助産師のみで出産を行うことができます。勤務先は、病院の産婦人科か助産院となります。助産師になるためには、看護師の資格を持っていることが前提となります。そのうえで、助産師国家試験に合格する必要があります。近年、産婦人科の医師が減少し、助産師への期待は高まるなか、助産師になる人は増えてきています。一方で、助産師の労働環境は、出産時間が読めないということから長時間になりがちであり、待遇の改善が求められています。

救急救命士 救急車に同乗し、医師の指導の下で救急救命処置を実施。一刻を争う事態に最善を尽くす

救急救命士は、主に救急車に同乗し、病院までの搬送中に心肺停止などの緊急事態が起こったときに、医師の指示の下で救急救命の処置を行う仕事です。身分は消防士であり、地方公務員となります。救急救命士になるには、1.救急救命士養成校を卒業して消防署に勤務する、2.消防署に勤務後に講習を受ける、の2つのルートがあります。いずれにしても、消防官採用試験に合格することが必要となり、救急救命士への道のりは簡単ではありません。救急救命士は処置できる行為が限定されているため、救える命を救えなかったという事例もあります。救急救命士への期待は高まっており、より広い範囲の救命行為を行えるよう検討が進められています。

歯科医師(歯医者) 歯や舌、あごなど口腔内全般の診察・治療を行い、患者さんの口の健康と美を守る

歯医者の仕事は、歯の治療が第一ですが、口の中や舌に関する病気全般や、ときにはあごの病気も歯医者のカバーする領域です。また、近年は歯の矯正やホワイトニングを行う「審美歯科」を専門にしている歯科医院もあります。歯科医師になるには、6年間歯学部で学び、歯科医師国家試験に合格することが必要です。ここ数年は、国家試験の難易度が上がり、合格率が下がってきています。都市部では歯科医師数が飽和に近い状態にあり、開業をしても経営に苦しむ医院が増えてきています。開業し、軌道に乗れば高収入が期待できますが、虫歯の子どもが減ってきているという状況もあり、他の歯科医院と差別化を図ることが求められるようになっています。

歯科衛生士 歯科医療の現場で、歯科医師の診療補助や、虫歯・歯周病予防措置、歯科保健指導を行う

歯科衛生士は、歯科医院において歯科医師のサポートを行う仕事です。歯科衛生士には、歯石や歯垢の除去、フッ化物等の薬物の塗布を行う「歯科予防処置」、歯科医師の指示によって歯科医療の一部を補助する「歯科診療補助」、ブラッシングのやり方などを教える「歯科保健指導」の3つの役割があります。歯科助手とは異なり、歯科衛生士は国家試験に合格することが必要です。歯科衛生士養成校において、所定の課程を修了することによって受験資格を得ることができます。試験の合格率は95%前後なので、しっかりと勉強すれば合格することができるでしょう。近年は福祉の分野などにも活躍の場が広がり、求人ニーズが増えてきています。

歯科技工士 特殊な道具と技術を駆使して、入れ歯、被せ物、矯正装置などを作る歯科業界の職人

歯科技工士は、歯科医師の指示に従って、入れ歯や差し歯、歯の矯正装置、マウスピースなどを作成する仕事です。身体の一部になるものを制作するため、職人的な緻密さや正確さが必要とされます。歯科技工士の約7割は歯科技工所での勤務です。その他、歯科医医院や病院で勤務する人もいます。歯科技工士になるためには、歯科技工士養成所で学んだ後に国家試験に合格することが必要です。各都道府県ごとに試験は実施されますが、概ね高い合格率となっています。歯科技工士は細かい作業が続くため、手先の器用さや忍耐力が求められます。海外からの輸入が増え、単価が下がっている一方、日本の歯科技工士の技術力は、海外で高い評価を受けるようになってきています。

臨床検査技師 医師の指導の下、病気の診断や治療に必要な心電図・脳波・血液などの各種検査を行う

臨床検査技師とは、病院や保健所などにおいて、医師の指示の下で、病気の診断や治療のために、各種の検査を行う仕事です。心電図や脳波など患者本人の体の生理的反応や機能を測定する「生理学的検査」、患者の体の組織や血液や尿などを採取し、それらの成分や細菌の有無などを調べる「検体検査」などを行います。データの分析力や根気の強さが求められます。臨床検査技師になるためには、臨床検査の養成課程がある学校で3年以上学び、臨床検査技師国家試験に合格することが必要です。新しい機器や検査法が次々に生まれ、医療の専門化が進んでいる状況において、検査のスペシャリストである臨床検査技師の役割は高まってきています。

診療放射線技師 医師の指導の下、放射線を用いた各種検査や、がん治療の際の放射線治療を専門的に行う

診療放射線技師は、医師の指示の下で、放射線を用いて検査や治療を行うことです。CTやMRI、微量の放射性物質を用いて病気を診断するラジオアイソトープ検査(RI検査)や、がん細胞を破壊する放射線治療などを担当します。放射線の照射は人体に害を及ぼす危険性があるため、放射線の専門化である診療放射線技師と医師、歯科医師にしか認められていません。診療放射線技師になるためには、放射線技師の養成課程がある大学や専門学校で3年以上学び、国家試験に合格することが必要です。近年は、乳がん検診やマンモグラフィ検査(乳房X線検査)など、女性に対する検査ニーズが増えているため、女性技師への需要が高まっています。

臨床工学技士 病院で使用する生命維持のための機器操作や保守点検を行い、医療現場を支える

臨床工学技士は、医師の指示を受け、生命維持管理装置の操作を行ったり、それらの機器の保守点検を行う仕事です。臨床工学技士が扱う医療機器には「人工心肺装置」、「人工透析装置」、「人工透析装置」などです。人工透析の仕事が多いですが、勤務先によっては手術中や集中治療室などで機器を操作する業務もあります。最新の機器が次々と開発されている領域であり、機材の扱いに慣れていることが求められます。臨床工学技士になるには、臨床工学技士養成課程がある学校で3年以上学び、国家試験に合格する必要があります。就職先は、診療所(透析クリニック)が多いですが、病院での求人もあります。臨床工学技士の数はそれほど多くないため、就職先は比較的見つけやすい状況です。

視能訓練士 眼科医の指導の下、目に関する各種検査や、機能回復のための訓練、リハビリを行う

視能訓練士とは、医師の指示の下で、目に関する検査や目の機能を回復するための訓練をする仕事です。検査器具を用いて、視力、眼圧、視野、色覚、光覚などの目の検査を行う「眼科検査」や斜視や弱視など両眼視機能に問題がある患者さんに対して訓練プログラムを作成する「矯正訓練」などにより、視力機能の回復を図ります。視能訓練士になるためには、視能訓練士養成施設で学んだのちに、国家試験に合格することが必要です。就職先は、眼科の診療所か病院となります。視能訓練士国家試験の受験者数は増加傾向にありますが、需要も高まってきており、求人ニーズは高くなっています。他の医療職と異なり、夜勤もほとんどないため、女性にとっても働きやすい仕事です。

医療事務 病院の受付窓口業務や診療報酬明細書を作成する、医療現場における事務のスペシャリスト

医療事務は、病院や診療所において、医療に関わる事務全般を処理する仕事です。医療事務の仕事には、「受付窓口業務」、「レセプト作成業務」などがあります。受付窓口業務は、保険証や診察券の確認、診察料の徴収などを行います。レセプトとは、診療報酬明細書のことで、レセプト作成とは患者の医療費を計算する作業です。資格は所持していなくても働くことはできますが、レセプト作成にはある程度専門的な知識が求められるため、資格があると働く際に有利になることがあります。医療事務の民間資格として有名なのは、「医療事務技能審査試験」と「診療報酬請求事務能力認定試験」です。医療事務の待遇は、一般的な事務職とあまり変わりありませんが、派遣やパートなど多様な働き方が可能です。

医療秘書 医療機関における事務職のスペシャリスト。医師や他スタッフの活躍を裏方でサポートする

医療秘書は、医療機関における事務職のスペシャリストです。病院や薬局、製薬会社などで働いており、来客のもてなしや電話応対、郵便物の整理など一般企業の秘書と同じような業務もあれば、学会の資料作成の手伝いといった医療現場ならではの業務もあります。この職業に就く上で国家資格や免許は必要ありませんが、医療秘書の技能検定に合格してから採用試験を受ける人が多いようです。給料は月収15万〜25万円ほどで、正規雇用だけではなく非正規雇用も多いという現状があります。

歯科助手 歯科医院での受付やカルテ整理、治療の補佐など、裏方として歯科医師をサポートする

歯科助手は、歯科医院において、歯科医や歯科衛生士のサポートをする仕事です。掃除やタオルの洗濯、予約の管理、会計、後片付け、カルテの整理などを行います。その他、器具の準備や受け渡し、バキュームやライト、セメントの練和なども担当します。歯科助手は、歯科衛生士と異なり、患者の口の中に手を入れることはできません。また、資格も必ずしも必要とはされていません。歯科助手の認定資格を取得しているということが採用の条件となっている場合もあります。求人状況は悪くなく、特に都市部は歯科医院が多いため、働き先に困ることはあまりないでしょう。採用の雇用形態は、正社員だけでなく、アルバイトの募集も多い仕事です。

登録販売者 薬局等で一般用医薬品(第2類・第3類)を販売するために必要な資格を持つ人のこと

登録販売者とは、ドラッグストアや薬局などにおいて、一般用医薬品(第2類・第3類)を販売するために必要とされる資格であり、その資格を持っている人のことをいいます。薬剤師に次ぐ医薬品のスペシャリストとして、専門知識を駆使してお客さまに確かな医薬品の知識を提供することが求められます。なるためには、都道府県が行う登録販売者試験に合格し、都道府県知事の登録を受ける必要があります。試験そのものに年齢や学歴の制限はありませんが、店舗管理者や管理代行者になるためには実務経験を積む必要があります。近年はコンビニ、スーパー、家電量販店など活躍の場が広がっているものの、有資格者の数も増加し続けているため、給与面など、より良い条件の職場で働くための競争は厳しくなることが予想されます。

MR 医薬品メーカーに所属し、医薬品に関する効能や副作用などの最新情報を病院に提供する

MR(Medical Representatives)は、日本語で「医薬情報担当者」を意味し、医薬品のスペシャリストとして病院などの医療現場に情報を提供する仕事です。飲み薬、塗り薬、注射や点滴で使う液剤など、あらゆる医薬品の情報を持ち、医師や看護師に副作用や適応症に関する正しい情報を伝えるとともに、医療現場から副作用に関する情報を吸い上げ、報告することで、医薬品の被害を最小限に抑える役割を担います。特別な学歴や国家資格が必要とされる職業ではありませんが、大手製薬会社のほとんどは「大卒以上」が採用条件となっています。成果主義の仕事であるため、個人の売上実績に応じてインセンティブがつく企業も多く、年収1000万円以上を得ることも可能です。MRの人数が増えたことなどから、今後は就職の倍率や難易度がさらに上がる可能性も考えられます。

治験コーディネーター 新薬の研究開発過程に必要な治験を行う際に、医療機関に代わってその進行をサポートする

治験コーディネーターとは、治験(製薬企業などによって開発された新薬が、実際の薬として使用されるために必要な臨床研究)を行う際に、医療機関や製薬会社、患者さんの間に立ち、それがスムーズに進行するようサポートする人のことをいいます。この仕事では、病院内に勤務する人と、治験施設支援機関などの民間企業に就職して医療機関に派遣される人の2通りの人がおり、民間企業で働く場合であっても、医学や薬学の知識を有していることや、看護師や薬剤師などの医療系資格を持っていると優遇されるケースがあるようです。日本では近年、新薬の開発が盛んであること、また国が治験の活性化を促していることも追い風となり、需要が拡大傾向にある職業のひとつです。

病棟クラーク 入院施設のある病院に勤務し、入院患者のカルテ管理や各種手続きを行い医師と看護師をサポートする

病棟クラークは、入院施設があるような大きな病院で、医師や看護師をサポートする仕事です。具体的には、患者さんが入院する際の書類の受け取りや病室の手配、名簿作成、ベッドにつけるネームプレートの準備などを行い、医師たちが患者さんの治療やケアに専念できるよう裏方として支えていきます。この仕事に就くために必要な資格はとくにありませんが、医療に関する基礎知識や事務スキルを身につけていると、業務を進めるうえで役立つでしょう。給与は一般事務職とほぼ同じ水準となっており、派遣社員や契約社員として働く人も多く、安定した待遇や高額な収入は望みにくいのが実情です。しかし、病棟クラークの認知度は時代とともに高まっており、今後、正社員としての雇用が一般的になるにつれ、よりよい待遇で働ける職場が増えることも考えられます。

診療情報管理士 

診療情報管理士は、医療機関においてカルテ管理・運用をする職業です。カルテ情報を国際基準で定められたコードに沿って登録したり、登録情報を調査・分析することで診療体制の円滑化を計ったり、経営に役立てたりします。診療情報管理士になるのに資格はいりませんが、現実的には診療情報管理技能資格を持っていないと、診療情報管理士としての就職は難しいでしょう。資格の取得には、日本病院会の指定校または通信教育を修了し、診療情報管理技能認定試験に合格する必要があります。収入面では、診療情報管理士は一般医療事務とさほど違いはありませんが、専門性の高さから正社員での採用が多くなっています。国の進める新制度運用に重要な役割を担うことが期待されるため、将来的には需要と認知度が伸びる職業と見られています。

獣医師 ペットや家畜の診察・治療を行う動物のお医者さん。食肉検査や野生動物保護に携わる人も

獣医師は、犬や猫などのペットの治療を行うというイメージがありますが、実際にはその他の分野でも多くの獣医師が働いています。畜産業の牛、馬、豚、鶏など家畜の診療や病気の予防、食肉の安全性の検査、動物園の動物の診療、野生動物の保護、管理など、獣医師の活動する領域は多岐にわたります。獣医師として働くためには獣医師国家試験に合格することが必要です。大学の獣医学部で6年間勉強し、獣医学の課程を修了することで受験資格を得ることができます。入試の難易度は高く、また学費も高額です。就職先として最も多いところは動物病院ですが、割合は50%程度です。それ以外では、地方自治体や農協、医薬・製薬関連企業などがあります。