看護師になるには
看護師になるまでの道のり
看護師になるまでの道のりは、ひとつではありません。
中学生や高校生が看護師を目指す場合には、大きく分けて、以下の2つのルートがあります。
(1)高校卒業後に「看護師養成校(4年制大学、3年制の短大・専門学校)」で学ぶ
(2)中学校卒業後に「5年一貫制看護高校」で学ぶ
いずれの場合でも、各学校で所定の養成課程を修了し、看護師に求められる専門知識・技術の基本を身につけます。
そして看護師国家試験を受験し、合格することで「看護師免許」が取得できます。
その後、病院や診療所、介護施設、企業などへ就職し、看護師として働きはじめるのが看護師になるための一般的な道のりです。
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看護師の資格・難易度
看護師として働くためには、「看護師免許」が必要です。
看護師免許は、看護師国家試験に合格することで取得できます。
看護師国家試験の合格率は、毎年90%前後となっており、新卒者に限っては、合格者の全体平均よりも高い数字になることがほとんどです。
看護師養成課程できちんと勉強をして、国家試験対策もしておけば、看護師国家試験への合格は決して難しいものではありません。
文系でも看護師の資格はとれる?
看護師は医療に関わる専門職であることから、理系分野が得意でないとなれないのではと心配する人もいるかもしれません。
結論からいうと、看護師は文系・理系どちらでもなれます。
看護大学の受験科目は学校によって異なりますが、英語と国語といった文系科目中心で受けられるところもあります。
その他の選択科目として、数学や理科(生物・化学)などから1科目ないし2科目選ぶ大学が多いですが、問われるのは高校の文系コースで学ぶくらいの基礎的な内容が中心です。
受験で高度な理系の知識が求められることはありませんし、看護学校でも、医療や看護の専門知識は基礎から一つひとつ教わっていけるため、心配いりません。
看護師になるための学校の種類
看護師になるための学校の種類はいくつもあります。
高校卒業後に通える看護師になるための学校
一般的な高校卒業後に進学できる学校としては3つ挙げられます。
・看護大学(4年制)
・看護系短大(3年制)
・看護専門学校(3年制)
近年は、最先端医療チームの一員を担う看護師にも高度な知識と学力が要求されるようになり、看護大学で学ぶ人が増えてきています。
4年制の看護大学では、取得する単位によっては「保健師」または「助産師」の国家試験受験資格を看護師と同時に得られます。
最近では看護専門学校でも、卒業時に保健師・助産師国家試験の受験資格が得られる4年制の「総合カリキュラム校」が増えつつあります。
中学校卒業後に通える「5年一貫制看護高校」とは
中学から最短で看護師を目指すのであれば、「5年一貫制看護師養成高校」という高校への進学がおすすめです。
5年一貫制高校では、最初の3年間で普通教科や看護に関する基礎科目を学び、その後の2年間は看護の専門科目を学びます。
この学校で所定のカリキュラムを修了すれば看護師国家試験の受験資格が得られます。
また、一般の高校を卒業した人と同じく高卒の学歴が得られますから、その後、大学や短大へ進学することも可能です。
高校には3年制の看護系学科もある
ひとつ注意したいのが、看護系学科を置く高校のすべてが「5年一貫制」ではなく、なかには「3年制」の学校もあることです。
3年制の看護系学科の高校で学んだ場合、資格試験の受験資格が得られるのは看護師ではなく「准看護師」となります。
准看護師は国家資格ではなく、医師もしくは看護師の指示を受けて看護業務にあたりますが、業務範囲は看護師と変わりません。
まずは准看護師として現場で働きはじめ、その後、看護師を目指す方法もありますが、最近ははじめから看護師になる道を選択する人が増えています。
看護師に向いている人
責任感と思いやりがある人
看護師は医療スタッフの一員として、患者さんの命に真剣に向き合うことが求められます。
看護師の行動ひとつが患者さんの病状の変化に影響をおよぼすこともありますから、強い責任感は必須です。
一方、病気や怪我で苦しんでいる患者さんの心に寄り添い、親身になれる思いやりの心も欠かせません。
心身ともにタフな人
看護師の仕事は体力的にも精神的にもハードなため、健康でタフな人に向いています。
勤務先によっては夜勤が発生し、不規則な勤務体系となるケースがありますから、日ごろから自分の健康管理にも努めることが大切です。
つらく困難な場面に直面したときにも、いかに気持ちを早く切り替えていくかが大事になってきます。
人と協力して行動できる人
医療現場では、医師をはじめ、看護師・栄養士・リハビリ担当・薬剤師・臨床検査技師といった、たくさんの専門スタッフと協力して動きます。
「チーム医療」の考え方は年々重要性を増していますから、いかに他者と協力・連携して動けるかが大事です。
看護師としての専門性を存分に生かしながら、他の専門スタッフと協力して、一人ひとりの患者さんに最適なケアをすることが求められます。
コミュニケーションをとるのが好きで、チームへの貢献意識がある人に向いているといえます。
看護師のキャリアプラン・キャリアパス
看護師は国家資格を取得して、現場に配属されてからがキャリアのスタートです。
学生時代にも専門的な勉強をたくさんしていますが、実際に患者さんのケアをするようになってからも、学ばなくてはならないことがたくさんあります。
自分一人で患者さんの状態を見極めて適切な看護ができるようになったり、他の専門スタッフとうまく連携できるようになったりするには、普通、2~3年はかかります。
多くの病院で、3年目からは新人看護師の指導係を任されるため、そこからは広い視野をもって、専門性を磨いていく必要があります。
看護師は基本的に現場でスキルアップしていきますが、その後のキャリアパスのひとつに「専門看護師」や「認定看護師」の資格取得を目指す道があります。
これらの資格をとると、各職場でより高度な役割を任されるようになったり、業務範囲の幅が広がったりします。
あるいは看護管理者となり、看護部のマネジメントに携わるポジションを目指すこともできます。
また、他の種類の職場(例:病院から介護施設など)へと転職し、それまでと別の道で看護師としての経験を積んでいく人もいます。
看護師の雇用形態
看護師の9割以上を占める女性の場合は、結婚・出産・育児などのライフステージによって、心身の状況や仕事にかけられる時間は大きく変わります。
近年は雇用形態も多様化し、それぞれの状況やライフスタイルに合った働き方を選べるようになっています。
最も一般的な働き方は、勤務先に看護師として正規雇用される「正職員」です。
正職員の所定労働時間は1日あたり8時間、週40時間程度ですが、最近では既婚の看護師向けに、勤務する時間や日数を短縮した状態でも正職員としての待遇を受けられる「短時間正職員制度」を導入する機関が増えてきました。
また正職員でも、夜勤を行わない「日勤限定」や土日に休みを固定する「平日限定」などの働き方ができる場合があります。
正職員以外にも「アルバイト・パートの看護師」または「派遣看護師」として働く方法があります。
昨今では価値観が多様化し、出産や育児を経験した女性看護師だけではなく、独身の看護師でも自ら働くスタイルを決めて、正規雇用から非正規雇用に雇用形態を変更しながら働き続ける人が増えています。
病院やクリニック、介護施設でも、慢性的な人員不足から正規雇用だけではなく非正規雇用をはじめ、多様な雇用形態を受け入れざるを得ない状況です。
正職員の看護師
正職員の働き方の特徴
正職員は、雇用に一定の期間がなく「午前9時~午後5時」などの決まった勤務時間で長期間にわたって働くスタイルです。
勤務した年数によって給料が上がっていくことは多く、昇格して役職がつくこともあります。
研修など教育支援も充実しており、スキルに応じて責任のある仕事も任せてもらえるため、看護師としてのキャリアアップを目指しやすい環境だといえます。
正職員のメリット・デメリット
正職員は一般的によほどのことがない限り、一方的に解雇されることがないため、長期にわたって安定して働くことができます。
専門性や経験値を高めやすく、将来的には看護師長などの上位職位や管理職を目指せます。
また昇給やボーナス・退職金の支給があり、各種手当や福利厚生も充実しているため、長く働くほど金銭的メリットが大きくなり、生活水準を高くしやすいといえます。
一方、デメリットとしては夜勤や残業が多く、過酷な労働環境になりやすいことです。
正職員は責任をともなう仕事が多いため、仕事とプライベートをうまくコントロールすることが難しい場面も考えられます。
派遣の看護師
派遣の働き方の特徴
派遣会社に希望する仕事やスキルを登録し、条件に合う勤務先に派遣される仕組みの雇用形態です。
賃金や社会保険は雇用元である派遣会社が負担し、仕事上の指揮命令は実際の職場となる勤務先が行います。
一つの派遣先で働ける期間は最長3年と法律で定められています。
看護師の派遣については、労働派遣法で、有料老人ホームやデイサービスなど医療行為をともなわない施設にのみ認められており、病院やクリニックなど医療施設への派遣は、紹介予定派遣と産休・育休の代替派遣を除き禁止されています。
紹介予定派遣とは、ある一定期間派遣スタッフとして勤務し、その後双方が合意をすれば、派遣先の職場に直接雇用される働き方です。
委員会やカンファレンス、勉強会などへの参加義務はない場合が多く、勤務時間は残業がないように配慮されるため、点滴や食事補助など短時間で終わる仕事を任されやすい傾向にあります。
派遣のメリット・デメリット
派遣は基本的に数ヵ月単位で期間を限定して勤務するため、そのときどきの状況やライフスタイルに合わせて柔軟に働けます。
また残業や休日出勤が少ない勤務先が多いため、プライベートや家族との時間を充実させやすいといえます。
紹介予定派遣は、事前に就業先の雰囲気や人間関係などを知ることができ、理想とのミスマッチが少ないのがメリットです。
しかし、自分の希望条件に合った求人先があるとは限らず、派遣期間終了後に更新があるという保障もないため、雇用が安定しているとはいえません。
また短期の派遣の場合は、社会保険には加入できません。
アルバイト・パートの看護師
アルバイト・パートの働き方の特徴
アルバイト・パートは「月曜・金曜」や「午前10時~午後3時」といったように、正職員よりも少ない日数、短い時間で臨時的に勤務する雇用形態です。
アルバイト・パート看護師の仕事内容は血圧測定や採血、検診の案内や書類整理など、正職員看護師の補佐としての業務が多く、責任のある仕事を任せられることはまずありません。
アルバイトでは、コンサートや中高生の修学旅行での健康管理など1日だけの単発の仕事もあります。
結婚や出産などの理由で休職をし、ブランクから復帰する際に、就業感覚を取り戻すために、アルバイト・パートの看護師として勤務する人
もいます。
なお、アルバイトとパートはほぼ同じ意味で使われており、法律的にもそれぞれの名称にとくに明確な区分はありません。
アルバイト・パートのメリット・デメリット
アルバイト・パートは時間的な拘束が少なく、働く日数、時間帯を自由に選んで働けることが一番のメリットです。
賃金を配偶者の扶養の範囲内にとどまる程度に調整したり、逆に効率的に収入を得るために夜勤専門で働いたりすることもできます。
メインの仕事をしながら、空いた時間を活用してダブルワークをすることで収入の補填もできます。
ただし、正社員に比べて突然職を失ってしまうリスクがあります。
社会保険が完備されていない場合や、ボーナス・退職金が支給されない場合もあり、正職員より給料や福利厚生面で劣るケースが多いです。
また臨時雇用が前提のため、責任のある仕事を任せられることは少なく、スキルアップを目指すのは困難といえます。
看護師を目指せる年齢は?
看護師国家試験の受験資格や、看護師免許をもつことに関する年齢制限はありません。
医療現場でも、大規模な病院では60歳くらいを看護師の定年とするのが一般的ですが、個人経営の診療所や介護施設では、定年後の再就職も可能なところがあります。
近年は「手に職をつけたい」「ニーズが大きく、将来性のある仕事がしたい」などの理由で、社会人から新たに看護師を目指す人の数が徐々に増えつつあるといわれています。
40代以上で看護学校へ入学する人も少なからずおり、年齢が上がっても、看護師を目指すことは可能です。
しかし、看護師の最も代表的な職場である病院では夜勤が入ることが多く、体力的にハードです。
日勤のみで働ける場もありますが、就職先として人気があり、狭き門となる場合があります。
こうした点をクリアできるのであれば、やる気次第で何歳でも看護師を目指せます。
看護師に学歴は必要?
看護師になるための道のりや学校の種類にはさまざまなものがあるため、どのような学校を選ぶべきか迷う人もいるでしょう。
最近は大学進学を選択する人が増えてきていることから、「学歴は高くないといけないのか」心配になるかもしれません。
しかし、看護師にとって学歴はほぼ関係ありません。
看護師が現場に入れば、看護師同士で出身校が話題のひとつになることはあっても、それで優劣をつけたり差別したりといったことはまずありません。
専門学校卒もしくは短大卒や大卒とで業務内容にも違いはありませんから、その点は心配いりません。
とはいえ、就職した医療機関などによっては、学歴によって初任給に1~3万円ほどの差がつけられている場合があります。
規模の大きな病院によっては、管理職になるのは大卒の看護師が中心ということもあります。
看護師に関するデータ
看護師数の推移
手に職をつけたいという理由で、看護師を目指す人も増えています。看護師数は年々増加を続けており、令和2年時点での看護師の人数は1,280,911人となっています。
また、男性看護師の比率が徐々に高まっています。令和2年には男性の比率が8.1%になりました。

出所:厚生労働省 令和2年衛生行政報告例
年齢別の看護師数
年齢別の看護師数で最も多いのは40〜44歳の181,281人です。年齢構成に大きな隔たりがないことから、長く働くことができる職業であることがわかります。

出所:厚生労働省 令和2年衛生行政報告例
看護師の雇用形態
看護師の雇用形態は、正規職員82.1%、非常勤職員17.6%、派遣0.3%となっています。

出所:厚生労働省 令和2年衛生行政報告例