「視能訓練士」の仕事とは

視能訓練士の仕事内容

眼科における検査と機能回復がメイン

視能訓練士とは、医師の指示の下、目の検査や目の機能を回復させるための訓練をする仕事です。

眼科領域の専門家の一人であり、検査器具を用いて「視力」「眼圧」「視野」「色覚」「光覚」などの眼科関連の検査を行います。

そして、眼科医はこの検査結果を基に診療・治療方針を決定します。

このほか、弱視や眼球運動の改善、子どもの未発達の視覚を育てるための訓練、ルーペなど補助具の選定と使い方の訓練を行うリハビリ関連業務、学校や職場での集団検診などにも携わります。

視能訓練士の就職先・活躍の場

全国の病院の眼科および眼科医院で活躍

視能訓練士のおもな活躍の場は、医療法人や個人経営の眼科診療所です。

このほか、大学病院や総合病院の眼科に就職する人もいます。

眼科検査自体は無資格でも行うことができるため、すべての眼科で視能訓練士が働いているわけではありません。

しかし、近年は新しい眼科疾患が多く発見され、眼科診療や治療の技術も進歩していることから、視能訓練士のニーズは増しています。

近視・遠視などを矯正するレーシッククリニックに勤務するケースや、目のリハビリを専門的に担当するなど、活躍の場は以前よりも広がってきています。

視能訓練士1日

検査を中心に、病院を円滑に運営するための業務を担当

視能訓練士の1日は、患者さんが来院する前の準備から始まります。

ここでは、中規模病院の眼科に勤務する視能訓練士のある1日を紹介しましょう。

07:30 出勤
制服に着替え、カルテ準備、使用する検査機器や道具の点検などを行います。

08:00 ミーティング
スタッフミーティングを行い、当日来院予定の患者さんの情報や、実施予定の治療・検査内容について確認。

09:00 午前の診察開始
患者さん一人ひとりに丁寧に対応していきます。

12:30 昼食

14:00 午後の診察開始
午後は、時間のかかる大掛かりな検査や、弱視や斜視の子どもに対する改善訓練をメインで行います。

16:30 診察終了
院内の清掃、片付けをし、翌日に向けての準備を行います。

17:00 勤務終了
日によっては業務後に院内研修や外部セミナーなどに参加することも。

視能訓練士になるには

視能訓練士国家試験に合格し、病院などに就職

視能訓練士として働くためには、視能訓練士国家試験に合格する必要があります。

この国家試験の受験資格を得る一般的なルートとしては、高校卒業後、指定の視能訓練士養成施設(4年制大学あるいは3年制専門学校)で学ぶか、大学や短大などで指定の科目を履修し、さらに視能訓練士養成施設で1年以上学ぶ
道があります。

視能訓練士の国家資格取得後は、病院(眼科)や眼科診療所といった医療機関の求人に応募し、採用を目指します。

視能訓練士の学校・学費

指定の「視能訓練士養成機関」で学ぶ

視能訓練士国家試験の受験資格を得るために通わなくてはならないのが、「視能訓練士養成機関」といわれる種類の学校です。

この学校は、大きく分けると高卒の人が通う3年制の専門学校や、4年制大学、また大卒の学歴を持つ人が通える1年制または夜間の2年制専門学校があります。

上記に当てはまる学校では、視能訓練士に必要な基礎知識や技術を学んでいくことができ、国家試験対策もできます。

ただし、学校によって校風や学費などには違いがあるため、学校選びは念入りに行うとよいでしょう。

視能訓練士の資格・試験の難易度

養成機関できちんと学んでいれば合格できるレベル

視能訓練士は国家資格のひとつで、他の医療系資格の多くと同様に厚生労働省が管轄しています。

視能訓練士国家試験は年に1回、東京と大阪の2ヵ所で行われます。

合格率は毎年8割以上あり、高い数値を保っています。

決して容易というわけではありませんが、試験問題の内容はすべて視能訓練士の養成機関で学習するため、在学中にきちんと授業を受けていれば合格できるといえるでしょう。

この資格には有効期限がないため、一度試験に合格したら一生「視能訓練士」を名乗ることができます。

視能訓練士の給料・年収

学歴によって初任給に差がつくことも

視能訓練士の年収は、350万円〜450万円未満程度がボリュームゾーンとされています。

アルバイトや非常勤で働く人もおり、その場合は時給1,300円〜1,700円程度が相場となっています。

ただし、この仕事の給与や待遇は勤務先によって差があるだけでなく、地域差も大きいといわれています。

また同じ新卒者でも、4年制大学卒の人と専門学校卒の人では、初任給の設定が異なるケースもあります。

視能訓練士のやりがい、楽しさ

患者さんに寄り添い、健康のために力を尽くす

視能訓練士が一番やりがいを感じる瞬間は、眼科分野の専門家の一人として、たくさんの患者さんの健康のために力を尽くしていけることです。

たとえ視覚補助具を使いながらであっても、患者さん自身が見たいものがよく見えるようになれば、患者さん本人はもちろん、そのご家族にも喜んでいただけます。

自分が力を尽くした相手の状態が少しでも良くなる瞬間に立ち会えることは、この仕事をしていて最もうれしいことだといえるでしょう。

人の役に立っている実感を味わうことができる仕事です。

視能訓練士のつらいこと、大変なこと

一人ひとりの患者さんの不安や悩みに寄り添うこと

視能訓練士が接する患者さんは、「ものが見えにくい」などの症状を抱えています。

そのような患者さんは本当に回復するだろうかという不安を感じ、心配しています。

そこで、視能訓練士は確かな検査を実施することはもちろん、患者さんの気持ちを和ませるような会話を行い、スムーズに検査を進めていく力が求められます。

眼の矯正訓練ではすぐに効果が出ないことも多いですが、患者さん一人ひとりが抱える悩みや不安に寄り添いながら、本当に相手のためになることをつねに考えていかなくてはならないのは、この仕事の大変な一面だといえるでしょう。

視能訓練士に向いている人・適性

人の気持ちに寄り添って、確実に物事を進められる人

視能訓練士の仕事では、何より正確性が優先されます。

医療ミスは決して起こしてはなりませんから、過去の検査結果を慎重に確認し、確実に検査を進めていく必要があります。

患者さんは何かしらの不安を抱えているため、相手の気持ちに寄り添い、親身になれるような人に適した仕事です。

また、眼科医など他のスタッフとの連携や協力も不可欠な仕事であるため、医療関係者の一員となり、患者さんのために頑張ろうと思える人がこの仕事には向いているといえます。

視能訓練士志望動機・目指すきっかけ

眼科医療の面で、人の役に立てること

医師や看護師、リハビリテーション職など医療に関わる仕事は他にもたくさんあるなかで、あえて視能訓練士を目指す人は、自分自身が視能訓練士にお世話になった経験があるという人も多いようです。

あるいは、身近に眼科に関連した仕事をしている人がおり、そこからこの仕事に興味を持ったと話す人もいます。

視能訓練士は国家資格を持つ専門職であるため、確かな能力を身につけ、人のために力になりたいという気持ちが多くの人の目指すきっかけになっています。

視能訓練士の雇用形態・働き方

正社員以外に、パートとして働く女性も多い

視能訓練士は、国公立の病院や私立病院の眼科、および眼科診療所に、正規の職員として就職して勤務する形態が一般的です。

しかし、この仕事はもともと女性の国家資格取得者が多いという特徴があり、結婚や出産といったライフイベントにも対応しやすい職業です。

実際、育児中や育児が一段落した女性が、時短勤務やパート・アルバイトの雇用形態で働くケースも比較的多いようです。

なお、どのような雇用形態であっても、医師のように当直や救急対応をすることはほとんどありません。

視能訓練士の勤務時間・休日・生活

勤務先の眼科診療所に合わせて働く

視能訓練士は、勤務先となる眼科診療所などの診察時間に合わせて働くのが一般的です。

ただし、診療時間前後で器具の準備や点検、片付けなどを行うため、朝は8時から9時頃に出勤し、退勤は17時から18時くらいになることが多いでしょう。

他の医療職と異なり残業はさほど多くありませんし、夜勤になることも基本的にありません。

勤務先の休診日は休日となりますが、ときに休みを使って院外研修などに参加し、自主的に知識・技術を磨く努力も求められてきます。

視能訓練士の求人・就職状況・需要

近年、需要が急激に伸びてきた職業

高齢化社会を迎え、目に問題を抱える人が増えているなか、眼科の検査を専門的に行える視能訓練士の需要は拡大しています。

とくに医療の専門化が進んでいることから、これまで視能訓練士を置いていなかった医療施設でも、新規に視能訓練士を採用する傾向があるようです。

視能訓練士は女性も多く活躍していることが特徴で、国家資格の強みを生かしながら働ける職業としても人気が高まっています。

ただし、求人の多くは都市部を中心に集中しており、地方では就職先を見つけることが難しいかもしれません。

視能訓練士の転職状況・未経験採用

視能訓練士の国家資格を取得して研鑽を積む

視能訓練士は転職によって目指すことも可能ですが、その場合でも国家資格の取得は不可欠です。

養成機関で所定のカリキュラムを修了し、国家試験に合格しなくてはらないことから、ハードルはやや高めといえるでしょう。

国家資格を取得してしまえば、実務未経験であっても採用されるチャンスはあります。

ただし、最近は国家資格取得者が増えていることから、未経験者の場合、年齢は若い人のほうが有利に転職できるかもしれません。

視能訓練士の現状と将来性・今後の見通し

高齢化社会に伴い、視能訓練士の需要は増加傾向

視能訓練士は、最近知名度が向上した職業です。

眼科検査自体は現在のところは無資格でも行えますが、眼科検査には最先端機器が使われることが多く、眼科医一人で診察と検査を完璧にこなしていくのは難しいため、専門スキルを持った視能訓練士を積極的に配置する眼科診療所が増えています。

まだまだ人材不足の職業であるため、これから目指していく人にも活躍のチャンスは大いにあるといえるでしょう。

ただし、国家試験合格者はここ10年程度でおよそ2倍にまで膨れ上がっているため、この先は就職が厳しくなることも予想されています。