「歯科衛生士」の仕事とは

歯科衛生士の仕事内容

歯科医師の診療補助、予防措置を行う

歯科衛生士は、歯科医師が患者さんの診療を行う際の補助や歯科予防措置、歯科保健指導を行う仕事です。

国家資格を持っている歯科衛生士は歯科医師同様、患者さんの口の中に手を入れて処置することが認められています。

歯科衛生士の業務範囲は幅広く、レントゲン撮影補助や診療器具の準備、歯の型どり、削った歯の仮詰めなど、能力や経験によってできることも増えていきます。

主な業務は、虫歯を予防するための歯石除去やフッ素塗布、日常の歯みがき指導、介護施設での歯みがきサポートなどであり、歯科衛生士は予防的措置のプロといえます。

近年では虫歯予防の考えが普及しており、小学校に行って虫歯についての授業をしたり、歯垢の染め出しを行ってみがき残しのないよう指導したりなど、活躍の場は広がっています。

歯科衛生士の就職先・活躍の場

歯科医院、検診センター、介護施設など

歯科衛生士は歯科診療の補助も仕事の一つですが、虫歯を予防することが第一の使命として活動をしています。

そのため、歯科医院はもちろん、他のいろいろな場所で虫歯予防のための活動をしています。

例えば、検診センターなどに勤務して、歯の検診と予防のための指導を専門に活動している歯科衛生士もいます。

また、介護施設に勤務して、寝たきりの人の歯みがきを介助したり、定期的にお口の中の検診を行い、少しでも長く自分の歯でご飯を食べられるような手助けをする人もいます。

歯科衛生士1日

歯科衛生士は他職種と連携で働く

歯科衛生士は、歯科医師や歯科助手だけでなく、時にはナースや介護職員などの異職種と連携して働くこともあります。

今回は、介護施設に勤務する歯科衛生士の1日を挙げてみましょう。

介護施設勤務の歯科衛生士のスケジュール


08:00 出勤
介護職員、リハビリ職員、ナース、管理栄養士、歯科衛生士などが集まり、夜勤職員からの申し送りと引き継ぎをします。

09:30 ベッド調整ミーティング
入所者・退所者、利用者の状況についての報告を受けます。

10:00 体調を崩されている入所者、経管栄養者の口腔ケア
口から栄養を摂れなかったり、体調を崩している高齢者は免疫力が衰え、口の中の細菌が繁殖しやすくなります。
そのため積極的に口腔ケアを行い、カンジダなどの日和見菌が悪さをしないよう常に清潔に保ちます。

10:30 合同カンファレンス
医師、ナース、介護職員、リハビリ職員、ソーシャルワーカー、ケアマネジャー、管理栄養士、歯科衛生士などが一堂に会し、入所者の食事摂取の状況について報告検討します。

11:00 口腔内アセスメント
入所されている皆さんの口腔ケアと検診を行い、義歯の具合や歯肉の状態、粘膜に炎症が起きていないかなど、丁寧にチェックし、他職種の職員に報告します。

11:30 記録
午前中に行ったケアの状況をカルテや記録用紙に記録します。

12:00 食事観察
きちんと噛めているか、むせてはいないか等、歯科衛生士だけでなく医師や介護職員、リハビリ職員などと一緒に観察を行います。

12:30 昼食後の口腔ケア
一人ひとりの状態に合わせて、歯みがきを介助したり、誤嚥(ごえん)のもとになる食べ残しが口に残っていないかチェックしたりします。

13:30 口のリハビリ
口の筋肉が衰えたりしていると、せっかくの食事が楽しめないため、口の体操や喉の筋力を向上させるリハビリを行います。
また、コミュニケーションをとって口を動かしてもらうことも大切なリハビリになります。

14:00 医師の回診
医師が入所者を回診し、報告事項があればナースから歯科衛生士が報告を受けます。

15:30 歯科診療
虫歯になっていたり、歯科医師の診療が必要な人の診療補助を行ったり、歯のクリーニングを行います。

17:00 午後の記録
午後の口腔ケアについて記録をし、書類等の整理をして業務が終了します。

歯科衛生士になるには

歯科衛生士の国家資格を取る

歯科衛生士として働くには、国家資格である歯科衛生士の資格取得が必要です。

高校卒業後に歯科衛生士養成課程のある4年制大学や短期大学(3年)、専門学校(3年)に通い、国家試験受験資格を得ます。

国家試験に合格すると、歯科衛生士として働くことができます。

歯科衛生士国家試験の合格率は例年95%程度と非常に高いため、きちんと勉強していれば合格は難しいものではありません。

しかし、養成課程には臨床実習も多く含まれるので、通信教育で歯科衛生士の国家試験を受けることはできません。

歯科衛生士の学校・学費

歯科衛生士の養成課程のある学校

歯科衛生士になるためには、高校卒業後、歯科衛生士の養成課程のある大学に4年間通うか、専門学校に3年間通い、国家試験の受験資格を得る必要があります。

今のところ最も多い選択肢は専門学校ですが、18歳以下の人口の減少、4年制大学への志向が高まっていることなどから、4年制大学が少しずつ増え、逆に専門学校は減ってきています。

学費は、専門学校の場合3年間で100万円~350万円程度、短期大学・大学だと、卒業までに350万円~450万円程度のようです。

歯科衛生士の資格・試験の難易度

合格率は例年高めで安定している

歯科衛生士として働くには、必ず歯科衛生士の国家資格が必要です。

国家試験を受けるには、高校卒業後、専門学校もしくは短期大学(3年)、または4年制大学に通い、所定の課程を修めないといけません。

歯科衛生士の国家資格がないと、患者さんの口の中に手を入れてする処置は許されませんので、そのような業務をしたい場合は必ず国家資格が必要になります。

歯科衛生士の国家試験は、例年90%を上回るもので、試験範囲を把握し、日ごろからきちんと勉強をしていれば、難しいものではありません。

歯科衛生士の給料・年収

勤務先により差があるが昇給は少ない

給料も待遇も勤める歯科医院によってだいぶ差があります。

歯科衛生士全体でみると、平均年収は330万円〜350万円程度となっています。

待遇も各種保険制度や残業手当、退職金手当などが充実している医院もあれば、そうでない医院もあります。

単純に医院の規模が大きければ給料が高い、待遇が良いというわけではないようです。

年齢が上がっても給料にさほど変動がないため、あえてパート勤務で複数の勤務を掛け持ちしている人もいます。

歯科衛生士のやりがい、楽しさ

患者さんに安心感を持ってもらえる

歯科衛生士は虫歯の予防に力を入れるため、歯科医院を嫌わずに定期的に足を運んでもらえるよう、声掛けなども穏やかに努めている人が多くいます。

そのかいもあってか、歯科衛生士の処置は恐怖を感じずに受けてくれる患者さんが多いです。

患者さんに自分の口の中の様子をより鮮明に知ってもらうため、染め出しをしたり、手鏡で一緒に覗くなどの努力をしています。

数か月後の検診で、指導したことが患者さんの健康的な歯肉やみがき残しの少なさという結果となって戻ってくるときには、やりがいを感じる人が多いようです。

歯科衛生士のつらいこと、大変なこと

指導がなかなか結果に繋がらないとき

歯科衛生士は直接歯を削って虫歯を治すことはできませんし、虫歯を削っても歯は元通りになるわけではありません。

そのため現在では小学校や幼稚園でも食後の歯みがき習慣をつける工夫がなされており、歯科衛生士もそれに関わって指導をしたりすることもあります。

しかし、いくら歯科衛生士が懸命にアドバイスをしても、日々のケアを続けるか否かは患者さん自身にかかっています。

なかなか口腔内の状態が改善されないとき、歯科衛生士としては無力感も感じますし、更に工夫を練らなければなりません。

歯科衛生士に向いている人・適性

辛抱強く指導できる、血が苦手でない人

歯科衛生士の処置や指導は、必ずしも一度きりで効果が出るわけではありません。

人々の日々の生活のリズムの中に虫歯を予防する習慣を無理なく組み込むために、忍耐強く指導を続けられる人材が向いているといえるでしょう。

さらに、歯科衛生士がかかわることの多い歯肉炎などの歯周病では、歯石を取るだけで出血してしまうこともしばしばあります。

歯を削らないからといって血を見なくて済むと思うと大違いですので、歯科衛生士の業務内容についてきちんと理解していること、血が苦手でない人であることも必要な条件です。

歯科衛生士志望動機・目指すきっかけ

歯医者や歯みがきが好きな人

歯科衛生士になる動機は、人によりいろいろです。

・もともと歯医者に行って口の中を診てもらったり、歯をみがくのが好きだった

・歯医者が好きだが、自分には虫歯がないので、他の人の口の中の健康を守るために歯医者で働ける歯科衛生士になった

・自分は虫歯で痛い思いをしたが、歯みがきをきちんとすることで虫歯にならなくなったので、虫歯予防の大切さを周知するために歯科衛生士を志すようになった

などの理由があります。

歯科衛生士の雇用形態・働き方

正職員のほか、パート勤務も盛ん

歯科衛生士の雇用形態としては、歯科医院の正職員やパート職員が中心となっています。

昨今では歯科衛生士の需要が供給に追いついておらず、正職員・パート職員ともに重宝されています。

正職員として働く場合、シフト制か定時制かにもよりますが、残業は少なく時間の融通も利きやすく、なおかつ一定の収入が見込めます。

パート職員の場合は、子育て中の勤務でも自由度が高く、働きやすい環境であるといえます。

その分給与は正職員に比べて少なく、福利厚生も正職員のように受けられないといったデメリットもあります。

歯科衛生士の勤務時間・休日・生活

外来診療の時間帯の勤務が中心

歯科衛生士の勤務時間は、外来診療の診察時間とほぼ同じですが、歯科助手とともに診療に使う器具を補充したりするため、少し残業することもあります。

検診センター勤務ですと、4月の健康診断シーズンは繁忙期となるため、検診が終わった後もカルテの記録整理に追われ、残業しなければならないときがあります。

ただし検診センターの場合はスケジュールがあらかじめ決まっていて、いつ忙しいかが分かっているので、そういった点では生活スタイルを合わせやすいといえます。

歯科衛生士の求人・就職状況・需要

医歯連携により一般病院でも需要がある

歯科衛生士は現在圧倒的に不足しており、必要な人数の歯科衛生士を確保できていない歯科医院も多くあります。

そのため求人は常に多数あり、就職も比較的容易であることが多いといえるでしょう。

また近年では「医歯連携」と言って、体の病気で入院している人の口腔ケアをする病院が増えており、一般病院でも需要が出てきています。

また、歯科医院のほか、検診センターや介護施設、デイケアセンターでも需要があり、歯科衛生士の需要はますます拡大しています。

歯科衛生士の転職状況・未経験採用

転職・未経験採用ともに多くある

歯科衛生士は不足しているうえ、現場において経験を積んだ人材であれば引く手はあまたです。

個人経営の歯科医院で一定の経験を積んだ後、昇給の見込める総合病院の求人があればそちらに転職する、といった人もいます。

また、歯科助手で働いている間に、自分の業務内容に不足感を覚え、改めて歯科衛生士の資格を取り、再就職する場合もあります。

新卒採用においても、現在は歯科衛生士の資格取得者は貴重であり、求人は多数ありますので、よい経験の積めそうな勤務先をきちんと見極めて就職するとよいでしょう。

歯科衛生士の現状と将来性・今後の見通し

高齢化による歯科衛生士の役割は大きい

世の中の高齢化・グローバル化が進む中、歯科診療も変化しつつあり、外国では一般にみられる男性の歯科衛生士も少しずつ増えています。

体が不自由になり在宅診療を希望する人や、入れ歯の需要が増加し、噛み合わせがずれないように虫歯や歯肉炎を予防する歯科衛生士の働きが期待されています。

また、歯を失った部分に人工の歯根や歯を取り付けるインプラントへの注目も高まっています。

インプラントは装着後の定期的なメンテナンスによる虫歯予防が、美しい外見を保つためには必須なため、歯科衛生士の役割は大きくなっています。

口腔ケアはどの世代の人にも重要なものであるため、今後も歯科衛生士の活躍が大いに期待されるところです。