臨床工学技士と臨床検査技師の違い



臨床工学技士臨床検査技師の仕事内容の違い

「臨床工学技士」と「臨床検査技師」の仕事内容は、同じ医療職でもまったく異なります。

臨床工学技士の仕事内容は、透析などの血液浄化に関する業務、手術室で人工心肺の操作などをする業務、ICUの生命維持装置の操作業務などが挙げられます。

どれも工学的な知識を必要とし、さまざまな医療機器に携わる業務です。

いっぽう臨床検査技師の仕事内容は、血液検査、尿検査、微生物検査、生理検査、超音波検査、病理細胞診など「検査」に関わるものです。

血液・尿検査などオートメーション化によって機械操作がメインとなっている業務もありますが、生理検査や細胞診、微生物検査などは人の手や目を使っておこなう作業となります。

また、臨床工学技士は「穿刺(せんし)」が医療行為として認められていますが、臨床検査技師は穿刺をおこなえません。

一方、臨床検査技師は「採血」が医療行為として認められていますが、臨床工学技士は患者さんの血管に直接針を刺す行為はおこなえません。

臨床検査技師の仕事

臨床工学技士と臨床検査技師のなる方法・資格の違い

臨床工学技士になるには、臨床工学技士養成課程のある専門学校や短大(3年)もしくは大学を卒業したのち、「臨床工学技士」の国家試験に合格することが必要です。

一方、臨床検査技師になるには、臨床検査技師養成課程のある専門学校や短大(3年)もしくは大学を卒業したのち、「臨床検査技師」の国家試験に合格することが必要です。

同じ専門学校や大学などに、臨床検査技師の養成コースと臨床工学技士の養成コースが併設されていることもあり、履修科目には重複しているものもあるため、ダブルライセンスを目指す人もいます。

どちらも国家試験受験には、必修科目をすべて履修可能な国に認められた養成機関を卒業していることが条件となります。

臨床工学技士と臨床検査技師の資格・必要なスキルの違い

臨床工学技士として働くには「臨床工学技士」の国家資格、そして臨床検査技師として働くには「臨床検査技師」の国家資格が必要です。

どちらの国家試験も年に一度おこなわれ、合格率は両者ともに例年およそ80%前後で推移しており、必要な科目をきちんと学習しておけば合格できる難易度です。

ただ、臨床工学技士と臨床検査技師に求められるスキルは大きく異なります。

臨床工学技士の場合は「医療機器のプロフェッショナル」として、医療の知識だけでなく、医療で扱われるあらゆる機械に精通していなければなりません。

いっぽう臨床検査技師は「検査のプロフェッショナル」として、医療の中でも「検査」に関する幅広い知識を網羅していることが求められます。

ただし、臨床工学技士の業務範囲が幅広いのに対し、臨床検査技師のおこなう検査には手技の熟練を必要とする検査がいくつもあります。

そのため、臨床検査技師はさまざまな検査をオールマイティにこなす人よりは、一つの検査のスペシャリストが必要とされる傾向があります。

それに対し臨床工学技士は、あらゆる医療機器を広範囲に扱えるジェネラリストであることが求められる場面が多いです。

臨床工学技士と臨床検査技師の学校・学費の違い

臨床工学技士も臨床検査技師も、それぞれの養成課程のある大学や専門学校(3年制)を卒業し、国家試験に合格しなければならないという点では同じです。

医療系の専門学校など、同じ学校の中に臨床検査技師のコースと臨床工学技士のコースがある学校では、履修する科目が違うだけで、学費も同額であることが多いです。

学費の違いはどちらの職種を選ぶかよりも、大学に行くか専門学校に通うか、国公立か私立かなどによって大きく変わってきます。

ただし、学ぶ内容は同じ専門学校でも異なり、臨床工学技士の場合は生理学や解剖学、公衆衛生学などのほか、医用電気工学、計測工学、代替装置学といった工学系の必修科目が多いです。

臨床検査技師の場合も生理学、解剖学、公衆衛生学などの基礎専門科目は変わりませんが、その他に微生物学や医動物学、病理学といった生物学系の必修科目が多くなります。

臨床工学技士と臨床検査技師の給料・待遇の違い

臨床工学技士と臨床検査技師の給与や福利厚生などについては、同じ医療職の中でもあまり差はありません。

ただし、昨今の臨床検査技師の雇用形態は3~5年程度の任期制となっているのに対し、臨床工学技士は正職員採用が多いという違いがあります。

また、臨床検査技師は夜勤・当直勤務の職員が1日1~2名と少なめで、オンコール体制をとっている職場はあまりなく、作業量もそこまで多くはありません。

臨床工学技士は日勤のみの場合もありますが、救急救命部のある大きな病院などでは夜勤・当直やオンコールなど、24時間体制で臨床工学技士の協力をあおげるようになってきています。

どちらの職種の場合も、夜勤手当がどれだけつくかによって給与に差が出てきます。

臨床工学技士と臨床検査技師はどっちがおすすめ?

臨床工学技士は臨床検査技師に比べ、機械の操作やメンテナンス業務など、機械に触れることが多い職種です。

そのため、機械を操作することで医療に携わりたい人や、工学的な分野で活躍したい人には臨床工学技士は向いている職種といえます。

いっぽう臨床検査技師は臨床工学技士と比べると、採血や生理検査、エコー検査、顕微鏡での細胞診など、個々の手技がものを言う業務が多いのが特徴です。

自分の手技を熟達させていくことに興味がある人、人体のさまざまなデータに興味のある人などは、臨床検査技師になるのも一つの選択肢です。

また、臨床工学技士は生命維持に関わる装置なども扱うため、やりがいのある仕事ではありますが、そのぶん心身ともに負荷のかかりやすい仕事であるともいえます。

チーム医療では医療職が全体で患者さんを支えるので、臨床検査技師に責任感が必要ないわけではありません。

しかし臨床検査技師のおこなう業務は幅広い患者さんへ向けてのものであるため、手術や急性期医療などにより深く携わりたいという人は臨床工学技士を目指すのもよいでしょう。