保健師の需要・現状と将来性

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保健師の現状

保健師は、以前から地域社会や企業において病気の予防や健康相談などに携わることで、健康に関する知識の普及や公衆衛生の向上に力を発揮してきました。

とりわけ現代社会では、人々が健康を保つために最も必要なことは病気や疾患の予防といわれるようになり、「予防医学」に関する研究も進んでいます。

生活習慣病や成人病といった疾病が増えている今、ますます予防医療の考え方が普及していくでしょう。

また、高齢化社会が進むなか、年齢を重ねてもいかに自立して本人らしく健康的な老後を送れるかが、本人とその家族の幸せにつながるといわれるようになっています。

健診や健康指導に携わり、健康を保つために何ができるのかを広く世間に周知していく保健師のニーズは、どんどん大きなものになっています。

保健師の需要

法律の改正により、2008年から「特定健康診査、特定保健指導」が実施され、40歳~70歳の国民に対し、高血圧・高血糖・高脂肪などで異常が見つかった場合は、生活習慣病として医師や保健師の指導を受けなくてはならなくなりました。

病気の兆候やリスクにいち早く気付くため、会社や地域での健康診断にも力が入れられており、保健師の活躍の場は、今後ますます増えるものと予想されます。

行政や病院、企業、学校、そして介護と、保健師の活躍が期待される分野は多岐にわたります。

医学的知識をバックボーンにしながら人々の身体と心の両面のケアを行える保健師は、人々が健やかに暮らすうえで欠かせない人材として、信頼を得ています。

保健師という仕事は、今後さらに注目度や需要が高まっていくといえるでしょう。

保健師の将来性

保健師の人数は増加傾向に

2018年に厚生労働省が発表したデータによると、2018年末現在の就業保健師は5万2955人となっており、2016年の調査から1675人(3.3%)増加しています。

また、同時期の就業看護師は121万8606人おり、人口10万人対で比較した場合、看護師が963.8人いるのに対し、保健師はわずか41.9人という結果が出ています。

人口10万人というとそれなりの大きさの市町村に匹敵しますから、それに対する人数としては、まだまだ保健師の数は足りていないという印象が否めません。

しかしながら、2008年は保健師の総数は4万3446人だったため、10年間で約9000人保健師が増えた計算になります。

それ以降、毎年保健師の数は増加の一途をたどっています。

保健師の就職先は門戸が狭いと言われることもありますが、成人病・生活習慣病の予防や企業・学校におけるメンタルヘルスケアの重要性には年々注目が集まっています。

行政や企業などで、保健師の必要性の認識が高まっていけば、保健師が活躍するフィールドはさらに広がり、生活者へ提供できるサービスの質もよりいっそう高まっていくと予想できます。

業務の細分化によってスペシャリストが求められる

少子高齢化とともに社会構造が複雑化し、保健師が対処する問題も多様化している現代では、いっそう保健師の扱う業務の細分化が進むことが予想されています。

これまでも、保健師は就業先によって高齢者や母子、精神疾患のある人、成人全般などのように担当が分かれていることが一般的でしたが、ひとくちに高齢者や母子といっても状況は多様化しています。

たとえば父母と同居していて家庭内での目が複数ある母親と、核家族かつ夫が多忙でほぼ一人で育児をこなさなくてはいけないワンオペレーション育児をしている母親とでは、置かれている状況や、抱える悩みは当然変わってきます。

また、母子家庭の母親や家庭内暴力に悩む母親、虐待・育児放棄をしている母親、また自身が病気を患っている母親など、解決すべき問題は、その個人によってさまざまです。

一方、介護領域で活躍する保健師の役割も注目されています。

たとえば、医療行為のできない老人介護施設では、入所している高齢者がいかに健康に暮らせるかといったポイントがQOLの観点でも重要視されています。

そのため、入所者やその家族の悩みや不安のを解決する窓口となる保健師は、時には看護師としての知識と技術も発揮できるマルチな人材として、これからさらに需要が高まると考えられます。

このようなさまざまなケースに適切に対処し、保健師が力を発揮するには、専門的な知識や関係各所との連携が必要になってきます。

今後は、各分野のスペシャリストを育成することが保健師にも求められる時代になっていくとみて間違いありません。

保健師の活躍の場

保健所や市・区役所の行政で活躍する行政保健師、企業や病院・学校で活躍する産業保健師に関わらず、保健師は地域に深く根ざし、幅広い生活者の目線に立ったサポートを行っています。

また、保健師には「独居老人と呼ばれる一人暮らしの高齢者」「ワンオペ育児として問題になっている日中一人で育児をしている母親」「職場や学校にうまく馴染めない人」など、どこにも吐き出せない悩みや孤独感、不安を抱えている人たちの心のよりどころとしての役割も期待されています。

たとえまだ病名が診断されていなくとも、心身の不調やさまざまなストレスを感じ、日常生活に支障をきたしている人は少なくありません。

予防医学や健康指導だけでなく、何かあったら、まずは近くの保健師に相談してみようとひとびとが頭に浮かぶような、身近な存在になることが今後期待される保健師像でしょう。

それにしたがって、保健師の活躍の場は保健所などの役所や病院、企業のみならず、もっとさまざまなニーズに対応できるよう広がっていくと考えて間違いありません。

誰もが健康的で幸せな毎日を送れる社会をつくるため、増大する医療ニーズまでいかない水際の予防医療において、大切な役割を担う足掛かりになっていくことでしょう。