「医師」の仕事とは

医師の仕事内容

大きく分けると二つの道がある

医師は大きく分けると患者を診る「臨床医」と、基礎研究などを行う「研究医」の二つの道があります。

テレビドラマなどで取り上げられる一般のイメージの医師は「臨床医」であることが多く、大学病院や街の病院、クリニックなどで外科や内科などに分かれて診察や投薬のための処方箋を書いたり、手術をします。

基礎研究は、少し前までは「医学」のメジャーなイメージではありませんでしたが、近年基礎研究で日本の医学者がノーベル賞を取ったりなどのきっかけもあり、一般にも広く認識されるようになった医師の進路のひとつです。

「臨床」と「研究」は、どちらか選択しなければならないものではありません。臨床をしながら研究を続け、論文にまとめたり学会で発表したりする医師も少なくありません。

医師の就職先・活躍の場

就職先は大学関連医療機関、開業も

臨床医としての医師の就職先は、医学科卒業後の初期臨床研修先である病院であり、多くは大学病院となります。

研究医の道と決めている人は大学院にそのまま進むこともありますが、2年の初期臨床研修はまず修了してから研究医の道に入るケースが多いといえます。

その後、後期の研修に入りますが、ここでは出身大学の大学病院でない研修先を選ぶケースも多くみられます。

医師として一人前になった後の活躍の場は病院やクリニックなどに限定されず、大学や研究機関、行政機関など、様々です。

医師1日

医師も決められたタイムテーブルで勤務する

医師だからといって、業務の流れが決まっていないということはなく、臨床の勤務医の場合は特にタイムテーブルは決まっています。

大学病院などの場合は、午前中に外来の診察を終え、午後からは手術や入院患者の診察、カンファレンスや会議、研究などの大枠で業務をこなします。

夕方以降に勉強会やセミナーなどが入っていることも多く、事務職のように定時で終業できることはあまりありません。

また、外部の関連病院などに外来診察に行くこともあり、その場合は曜日などによって行先が決まっています。

大学病院勤務の医師の1日


8:00 出勤
医局にデスクがあるので、そこでまず論文の和訳や研究の続きなど勉強会の準備を進めます。

9:00 外来診察
午前中は外来の診察をします。診察、カルテ入力や検査などが主な業務です。

13:00 手術や入院患者の診察
休憩を取りながら簡単なミーティングなどを行う日もあります。

17:00 カンファレンスや会議
医局での勉強会などが入る曜日もあります。この時間から、医師はそれぞれの勉強や研究などに集中できます。

夕方以降に勉強会やセミナーなどが入っていることも多く、事務職のように定時で終業できることはあまりありません。

また、外部の関連病院などに外来診察に行くこともあり、その場合は曜日などによって行先が決まっています。

医師になるには

医師免許を取得する

日本で医師として働くには、まず国家資格である医師免許の取得が必要です。

高校卒業後に大学の医学部や医科大学で6年間学び、医師国家試験に合格しなければなりません。

医学部の入試は競争率や難易度が高いですが、入学後も将来の希望に関わらず全ての科について学ぶため、勉強量は相当量となります。

医師免許取得後は病院で2年間の臨床研修ののち、さらに最低5年の実地研修を行い、専門医試験に合格することで、内科や眼科などの専門医として働くことができます。

専門医資格は必須ではありませんが、患者さんの安心のために、多くの臨床医が取得をキャリアに含めています。

医師の学校・学費

医学部医学科の卒業が必須

日本で医師として勤務するためには、医師免許を取得することが必須です。

医師免許は、医師国家試験をパスする必要がありますが、医学部医学科を卒業して初めて受験資格が与えられますので、医師になるためには6年制の医学部医学科を卒業しなければなりません。

国公立と私大の医学部とでは学費が10倍近く違う場合もありますので、多くの受験生は国公立大学の医学科を第一志望にする傾向があります。

国公立大学の医学部医学科の学費は他の学部と同じ金額になっています。

医師の資格・試験の難易度

医師国家試験の難易度は国内でも最難関レベル

医師免許を取得するための医師国家試験は、国内の国家資格難易度で見ると最難関のレベルに位置するといわれています。

医師国家試験は、合格率が全国平均で90%を超えることもめずらしくないため、難易度は低いのではないかといわれるケースもあります。

ですが、6年間かけて膨大な範囲や量の専門知識を蓄えた医学科卒業生のみが受験するきわめて特殊な国家試験であることを考えると、最難関レベルであることは間違いありません。

医師の給料・年収

高収入だが責任が重く拘束時間も長い

研修期間中の年収は400万円程度、大学病院等の勤務医の平均年収は1000万円以上といわれています。

大学病院に勤める場合、助教、講師、准教授、教授とキャリアアップしていくにつれて給料は上がり、待遇も良くなります。

全体的に医師の給料は高めですが、不規則な生活や長時間労働もあるなど、責任が重く楽なことばかりではありません。

独立した開業医の中には2000万円以上稼げる人も少なくありませんが、設備や人件費などの経費も多くかかるため、経営が軌道に乗るまでは厳しい生活になる可能性もあります。

病院経営のセンスなども重要になってくるため、開業がすなわち成功とは限りません。

医師のやりがい、楽しさ

社会に対する貢献度が特に高い仕事

医師は、人間の心身を治療するという特殊な仕事に携わる職業です。

その反面で、人に寄り添うという意味で非常に難しく、頭を悩ませることが多い仕事でもあります。

病院を訪れる患者さんの悩みや症状は人それぞれですが、こうした悩む人たちに対してあらゆる医療技術を駆使し、チームで治療にあたることで、その人のその先の人生を助けることができます。

患者さん一人ひとりに向き合い、徹底的に患者を救うことに貢献できることが医師としての最大のやりがいです。

医師のつらいこと、大変なこと

思うように治療の結果が出ない場合も

医師として、最大限目の前にいる患者さんと向き合い、寄り添ってチームで医療を施してきたとき、思うように治療の結果が出ない、患者さん本人に快復の兆しが見られないということが、医師としてつらいことだといえるでしょう。

勉強熱心で親身な医師ほど救えなかった時の虚無感は大きいものです。

また、少しのミスが患者さんの健康や生命に関わる可能性がありますので、日常的にいつも緊張感を抱きながら業務につかなければいけない点も医療従事者である医師ならではの大変なことだといえます。

自身の健康に頓着できないという意味で「医者の不養生」ということわざがあるように、勤務が激務であることも大変なことのひとつです。

医師に向いている人・適性

学力面以外でも適正は必要

医師になるには、難関の医学部受験を突破しないといけませんので、勉強が好きかどうかという適性が重要ですが、患者さんという人間相手に寄り添う仕事のため、一定のコミュニケーション能力や誠実さが不可欠です。

また、治療に際して前向きな考え方が持てることや、雑・面倒くさがりでないといった本人の性格も影響してきます。

医者は体力仕事ともよく言われますので、長時間の拘束や手術など、体力的にタフであることも意外と重要な適正です。

医師志望動機・目指すきっかけ

「憧れの職業だった」も少なくない

ドラマや漫画などで描かれることが多い職業でもある「医師」は、小さいころからあこがれの職業だったのがそのまま実現した、といったケースも少なくありません。

また、高校生の頃の進路指導で成績がよく適性がありそうだから先生に勧められたり、家族に医師がいてその影響で志したなど、周囲の影響で医師への道を選ぶ場合もあるようです。

人のために仕事がしたい、自分が病気やけがをしてそれがきっかけで医師を目指したという志望動機もよく聞かれる職業です。

医師の雇用形態・働き方

勤務医か開業が二つの王道

医師の雇用形態は、大学病院や街の病院などに勤務する勤務医と、開業医の二つのパターンが王道として考えられます。

開業医も、自らがクリニックや病院を開業するパターンと、親や親戚の病院を継ぐなどといったパターンなどがあり、開業した場合は完全に自分の采配で働き方をコントロールすることができます。

また、最近では、大学病院でも女性医師の育児との両立を支援するという考え方から、非常勤や時短勤務などさまざまな働き方が選択できるようになりつつあります。

医師の勤務時間・休日・生活

勤務時間は不規則で長時間にわたることも

特に大学病院での勤務医は、一日の大部分を職場で過ごすことがめずらしくありません。

始業前の勉強会から始まり、定時終業後も研究や医局の勉強会など、様々な予定がぎっしりつまり、日々長きにわたって白衣を着ていることが多くなっています。

休日には、学会やセミナーなどが入ることも多く、特に専門医などは一定数の単位を取得しなければ維持できないため、仕事の予定と照らし合わせて遠方の学会に出かけていくこともあります。

まとまった休みも一般の社会人と比較すると取りにくいといえるかもしれません。

医師の求人・就職状況・需要

科によって偏りはあれど、ほぼ安泰

医師免許を所有していて、就職できないといった可能性は限りなくゼロに近く、科や地域によって差はあれど、ほぼ安泰といって差し支えないでしょう。

人手不足の科や病院では、一般の相場よりも随分高い給料を提示して医師を集めるケースもよくありますので、就職に困ることはないと考えてよさそうです。

また、近年増える傾向にある老人向け施設でも、施設基準として医師を置く必要がある場合もありますので、医師の需要はますます高まっていく見通しです。

医師の転職状況・未経験採用

転職は大いにある業界

一般的に、医師は所属する病院や大学の関連施設などに転勤することも多く、一つの病院やクリニックで長きにわたって勤務するというケースは、勤務医の場合はあまりスタンダードではありません。

あちこちで経験を積んで、役職などについていき、少しずつ出世していきます。

未経験での採用は、研修医以外はほぼないと思って間違いありません。

また、科を変えるとゼロからのスタートとなるため、こちらもあまりみかけることのないケースです。

医師の現状と将来性・今後の見通し

高齢社会の今、ますます需要は拡大する見込み

わたしたちの生命・健康維持のため、医療に携わる医師は時代を問わず需要の高い仕事です。

ただし、時代背景などによって人気のある科とそうでない科に差が出ており、特に重労働といわれる産科や小児科などは人材不足が課題となっています。

また、医師は最新の情報が入ってきやすい大都市圏に集中しやすく、地方都市や田舎町では病院の経営難や医師不足により、若い医師の確保が難しいケースが問題になっています。

今後は環境の整った都会の大病院だけにこだわらず、人材不足の病院や地域で働ける強い使命感を持った医師の存在価値が、ますます高まるものと考えられています。