診療放射線検査技師の年収・給料は低い? 男女別・年齢別の違いも解説

診療放射線検査技師の給料は、基本的に給料は学歴に応じて支払われます。

年収で見ると、一般のサラリーマンと比べ平均的でしょう。

しかし、給料は夜勤や当直などによる手当の有無によって、大きく差が出るため注意が必要です。

この記事では、診療放射線検査技師の給料・年収について解説します。

診療放射線検査技師の平均年収・給料の統計データ

診療放射線技師の年収は、景気の減退とともに下がり気味でしたが、ここ数年の平均月収は安定が続いています。

基本的に給料は学歴に応じて支払われ、勤務先の規模が大きいほど高くなる傾向にあります。

ただし仕事柄、夜勤や当直の有無によって給与が大きく変わることもあります。

診療放射線検査技師の平均年収・月収・ボーナス

賃金構造基本統計調査

診療放射線技師の平均年収_2022

厚生労働省の令和4年度賃金構造基本統計調査によると、診療放射線技師の平均年収は41.5歳で544万円ほどとなっています。

・平均年齢: 41.5歳
・勤続年数: 13.7年
・労働時間/月: 163時間/月
・超過労働: 9時間/月
・月額給与: 368,700円
・年間賞与: 1,013,000円
・平均年収: 5,437,400円

出典:厚生労働省「令和4年度 賃金構造基本統計調査」
診療放射線技師の平均年収の推移_r4

※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。

診療放射線検査技師の手取りの平均月収・年収・ボーナスは

厚生労働省の統計調査より、ボーナスが年間でおよそ3ヶ月分となっていることから、年収500万円の場合は

  • 月額総支給額は35万円
  • ボーナスは年間101万円

ほど支給されていると考えられます。

独身の場合、交通費などを除外して考えると月の手取り額は28~30万円ほどになると見込まれます。

一般のサラリーマンの年収は平均420万円のため平均的であるといえます。

ただし給料は夜勤や当直の有無によって、大きく差が出るため注意が必要です。

また、長期的なデータで見ると、診療放射線技師の平均年収は増加傾向といえます。

過去10年間では、1番平均年収が低かった2017年(平成29年)の503万円に比べると、2020年(令和2年)では549万円に増加しています。

診療放射線検査技師の初任給はどれくらい?大卒と専門卒で異なる?

地域や規模で一概に言えませんが、初任給はおよそ20万円が目安とされています。

専門学校や短大卒と四年制大卒では、初任給の段階から給与額に数千円~数万円ほど違いがあり、その後の昇給が異なる場合もありますが、勤続していくと大きな差にはなりません。

都内の病院で診療放射線技師として働く場合、

  • 初任給は20万円~22万円
  • 時給制の場合は2000円前後

となることが多いようです。

なお、病院やクリニックに就職した場合、新卒は研修として日勤のみとなり、仕事に慣れるまでは残業や夜勤などがなく、手当がつかないケースが多いです。

この間はどうしても手取り金額が少なくなってしまうことを覚悟しておきましょう。

診療放射線技師の勤務先の年齢別の年収(令和4年度)

診療放射線技師の年収を年齢別に見ると、年齢の上昇にしたがって、年収も上がっています。最も年収が高い世代は、55~59歳の702万円です。

全年代の平均年収は544万円となっています。

診療放射線技師の年収(年齢別)_r4

診療放射線技師の勤務先の規模別の年収(令和4年度)

診療放射線技師の年収は、勤務先の事業所の規模が1,000人以上である場合、やや高くなっています。

10〜99人規模の事業所に勤める診療放射線技師の年収は506万円、100〜999人の規模では530万円、1,000人以上規模は574万円、10人以上規模平均は544万円となっています。

診療放射線技師の年収(規模別)_r4

賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。

診療放射線検査技師の福利厚生の特徴は?

診療放射線検査技師は一般的に、放射線作業手当がつきます。

透析業務に関わる場合、月5,000〜20,000円程度の手当が付き、さらに施設によっては資格手当も加わります。

そのほか、

  • 住宅手当
  • 通勤手当

などがあります。

ボーナスは年間で基本給の3〜4ヶ月分という施設が多く、結果として1年目の年収は300万円前後となるところが多いようです。

また、病院をはじめとした医療機関は産休や育休などの休暇制度もしっかりと整備されており、診療放射線検査技師の勤続年数は長くなりやすいようです。

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診療放射線検査技師の給料・年収の特徴

契約社員や派遣社員も多い

近年は診療放射線技師も契約職員や派遣職員が増えており、

  • 時給ベースで勤務をする人
  • 短時間の勤務をする人

も多くなっています。

診療放射線技師は、看護師や介護士などと比べると、午前中のみ働きたい、週1回だけ働きたい、など、プライベートに合わせたさまざまな働き方ができるため、こうした非常勤で働く人が増えています。

その場合の時給は1800円~2400円ほどのようです。

国公立病院で働く場合は公務員と見なされる

国公立病院勤務の場合は公務員となりますので、医療職の給与区分に準じた給与となります。

手当てやボーナス、福利厚生などは民間に比べて公務員のほうが大幅に恵まれているため、こうした施設で働くことを目指す人も多くいます。

一方で、国公立病院で働く診療放射線技師は少なく、採用も限定的であるため、なることは難しいことを覚悟しておきましょう。

女性より男性の方が給料が高い

病院をはじめ医療機関で働く場合は、当直やオンコールを担当するのは男性が多く、その分夜勤手当がつき給料がアップする傾向にあります。

また医療職は勤続年数が長いほど給料がアップする傾向にあり、出産や育児などで現場から一度離れたり、時短勤務をしたりした場合にはどうしても年収が下がる現状があります。

また、女性技師のなかには、日勤のみで時間の融通も効くパートやアルバイトなどの「非常勤」となる人も多いため、男性技士よりも低めの結果となっているようです。

一方で、近年ではマンモグラフィーなどの普及により、女性技師の需要は増えつつあります。

今後はさらに女性技師の増加や活躍が見込まれることから、徐々に男女差は縮まっていくと考えられます。

マンモグラフィーができると手当が高くなる傾向

診療放射線技士のなかでも、マンモグラフィーができる場合は特に年収が高くなる傾向にあります。

特にパートやアルバイトでも、マンモグラフィーを担当する場合には高い時給が設定されており、短い時間で高収入を目指すことも可能です。

大卒と専門学校卒で年収に違いはある?

規模の大きな病院や大学病院などの場合は、大卒を優先して採用したり、大卒の方が数千円初任給が高かったりなどのケースが見られますが、大卒と専門学校卒で大きな違いはありません。

とくに規模の小さい病院やクリニックなどでは、大卒と専門学校卒を明確に分け隔てているところは少なく、大幅な給料の違いはほとんどありません。

放射線技師は、CT検査やマンモグラフィーなど撮影のスキルが求められます。

学歴よりもどんな検査経験があるかによって評価が決まるため、学歴により年収の差は生じにくいといえます。

施設別の診療放射線検査技師の給料・年収

病院で働く診療放射線検査技師の年収

病院で働く場合は、規模によって給料が大きく異なります。

一般的に基本給にプラスして残業代や夜勤手当などが支給されますが、大きく異なるのが賞与の支給額です。

2ヶ月分というところもあれば5ヶ月分というところもあり、この幅が大きいと年収に差が付くポイントとなります。

大学病院の場合は、待遇が手厚いだけでなく学会や研究発表にも力を入れるため、残業代が高額となり結果として給料が高くなる傾向にあります。

国立・公立病院で働く診療放射線検査技師の年収

国立・公立病院で働く場合は公務員と同様の急用形態で、年功序列で給料がアップしていき、全体的に給料も民間より高い傾向にあります。

また産休や育休などの制度も整っており、女性でも継続して働きやすいといえるでしょう。

国立・公立病院を志望する人は公務員としての安定性を重視する人が大半で、長く働き続けたいという人が非常に多いです。

ただし、配属によっては数年で転勤となるケースもあり、同じ病院で長く経験を積みたいという人には向いていないかもしれません。

クリニック・健診センターで働く診療放射線技師の年収

クリニックや検診センターで働く場合の平均年収は、およそ350~400万円です。

診療放射線技師全体の平均年収と比べて低めですが、これはクリニックや健診センターでは夜勤や残業などが少ないためです。

一般的にクリニックや健診センターは月給が高めですが、その分賞与が少なかったり、なかったりするケースが多いです。

なかには年俸制で賞与がまったくないところもあります。

診療放射線技師が1人だけのクリニックや検診センターで働く場合、担当する職務が多い分、年収も高めに設定されることが多いです。

医療機器メーカーで働く診療放射線検査技師の年収

医療機器メーカーで働く場合、年収は400万~500万円程度となるようです。

医療機器メーカーでは、技師として働くのではなく「アプリケーションスペシャリスト」という職種として採用されます。

これは医療機器を病院などの医療現場に提案し、導入サポートを行う仕事で、営業に近い仕事です。

残業や出張が多い仕事のため、諸手当が付くと病院勤務よりも年収がアップする人もおり、外資系企業では年収600~700万円ほどになることもあります。

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診療放射線検査技師が収入を上げるためには?

診療放射線技師をはじめ、医療系の仕事は就職後に隣接する新たな医療資格を取得してステップアップをはかることにより、手当も見込め、日々の努力が給料につながっていきます。

また長年勤めるうちに管理職や経営側に回るという方法も考えられます。

技師長や事務長になれば昇給するだけでなく役職手当がつくため、給料も高くなります。

さらに、診療放射線検査技師が一人の病院に転職するという方法もあげられます。

小規模の病院では診療放射線検査技師が1人のみというところは少なくありません。

こうした病院で働くには高いスキルが求められ、その分給料が高くなることが考えられます。

診療放射線検査技師は年収1000万円を目指せる?

診療放射線技師は、一般的な働き方をする場合、年収1000万円はかなり難しいといえます。

放射線技師のみならず、医療系の仕事で年収1000万円を超えるのは、医師など限られた職業のみです。

かつては診療放射線技師という職業があまり知られていなかったため、人員が不足し、高い給料を払わないと雇えないという現実がありました。

放射線の被ばくに対しても、正しい知識を持つ人は少なく、世間では悪いイメージが浸透していたため、バブル期の診療放射線技士のなかには1000万円を超える人もいたようです。

しかし現在では、かつてのように診療放射線技師に悪いイメージを抱く人はほとんどおらず、志望者も急増しています。

年収面でも、経験を積み技師長や施設長などの管理職になったとしても、診療放射線技師の場合は700万円~800万円ほどがボリュームゾーンで、1000万円に届くことはほとんどありません。

診療放射線検査技師の年収が低いといわれる理由

診療放射線検査技師の年収が低いといわれる理由として、病院などの医療機関に勤めている場合、自分の努力によって年収をアップさせることはほとんどできないということがあげられます。

給料はあらかじめ決められた給与体系に沿って支払われるため、どれだけ努力をしたとしても民間企業のようにボーナスが高額になったり、突然給料が大幅にアップしたりすることはありません。

基本的には年功序列で上がっていくと考えた方がよいでしょう。

また、近年診療放射線技師は供給過多となっている現状があります。

診療放射線技師の仕事の多くは、ほかの医療職と比較すると、精神的・肉体的な負担が少なく、働き方も多様であるため、資格を生かして定年まで働く人が多い職業です。

そのため、どうしても需要に対し診療放射線技師の数が多くなっており、若い世代ほど採用倍率が高く、給料が伸びない傾向にあるのです。

診療放射線技師の給料は他の医療・介護職に比べて高い?

診療放射線技師の年収を他の医療・介護系の職業と比べると、高給である医師をのぞくと高めとなっています。

厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、診療放射線技師の平均年収約544万円は、薬剤師の約583万円に続く高い金額です。

臨床検査技師は約509万円、臨床工学技士は約443万円となっています。

このようにみると、診療放射線技師の平均年収はこうした医療系資格のなかでは高めの年収であることがわかります。

また、介護福祉士の平均年収300万円~350万円と比べても、診療放射線技師の年収は高めです。

診療放射線技師と看護師はどちらが給料が高い?

診療放射線技師の平均年収約544万円に対し、看護師の平均年収は約508万円で、診療放射線技師の方が若干高めとなっています。

ただし、これは一般的な数値で、当直や残業によって給料の増減があり、一概にどちらが高いとは言い切れません。

とくに看護師は、月の当直(夜勤)回数が診療放射線技師と比べると多いため、手当によっては看護師の方が給料が高くなることもあります。

「診療放射線検査技師の給料・年収」のまとめ

診療放射線技師は、医療系資格のなかでも年収が高めに設定されている職業です。

男女別にみると年収に開きがありますが、これは勤続年数の長さや夜勤などの手当ての多さが理由としてあげられ、現場で活躍する女性技士も増えつつあります。

勤務場所によっても給与にはばらつきがあり、それぞれ仕事内容も異なっているため、勤務先の特徴や仕事内容を把握したうえで志望することが大切です。