保健師のつらいこと・大変なこと・苦労(体験談)

保健師のつらいこと・大変なこと

指導的立場になること

保健師が果たすべき役割のひとつに、人々の健康教育やメンタルサポート、育児指導といった「教育・指導的役割」があります。

保健師として活躍し始める時点では、すでに人々にアドバイスするために最低限必要な知識・技術を身につけています。

しかし、新人保健師には経験値がありません。

看護師であれば、各職場に配属後、先輩たちの指導を受けながら少しずつステップアップできることが多いのですが、保健師はそもそも配属人数が少ないケースが多いため、職場教育の機会があまりありません。

職場によっては、いきなり自分一人で責任ある仕事を任される場面が多くなり、その点にプレッシャーやストレスを感じてしまう人もいるようです。

たとえ経験がなくとも、保健師として働くからには、地域住民や企業で働く人たちに対し、適切な指導する専門家としての活躍が期待されます。

仕事に慣れるまでは、とくに厳しさを感じる場面が多いかもしれません。

幅広い年齢に対する、広く深い知識が必要になる

保健師の仕事では、乳幼児育児指導や、母子保健、予防注射、成人健康診断、高齢者介護計画など、幅広い年齢層の人々に対し、さまざまな指導や働きかけを行います。

どれも専門的な知識を必要とし、人々の健康や健やかな日常を維持するために大切なことです。

どのような場で働くにしても、保健師はたいてい少ない人数でたくさんの業務をこなすことになります。

個々の保健師が責任をもって現場で正しい判断を行うには、それぞれの幅広く深い知識が必要です。

人の健康に関わる仕事をするからこそ、責任は重大です。

知識や経験をしっかりとアップデートし、使える自分のものにしていく努力を続けることも、保健師にとって大変なことのひとつといえるでしょう。

最小限の健康被害と、最大限の健康増進に取り組む

保健師の仕事の最大の目的は、人々の病気を予防し、健やかに過ごせるように支援することです。

人々が病気にならないために、病気についての正しい知識やその予防法、食事などの話をして公衆衛生の向上を図ったり、健康診断で病気になりそうなリスクのある人を発見し、保健指導を行ったりします。

この時に必要とされるのは、人々の話によく耳を傾け、健康状態を注視し、先を読む力です。

病院で働く医師たちは、現時点で病気になっている人を診て、「どんな病気か?どのような治療が必要か?」ということを考え、治療に入っていきます。

しかし、保健師の場合、現在は健康な人がこれからも病気にならないように導くことと、健康そうに見える人のなかに潜んでいる病気のリスクを見つけ、適切な指導をすることが仕事になります。

そのためには、一人ひとりの健康診断結果などのデータや、社会の変化や制度、最新の医療などを総合的に判断し、一歩先を読んでいく判断力が必要になります。

相手と対話する力はもちろん、論理的思考力やデータ分析力なども求められるところは、この仕事の大変な部分だといえるでしょう。

保健師の悩み

保健師は、多くの人に対し指導的役割をこなさなければなりません。

たとえ新人であろうと、頼れるアドバイザーとしての働きをまっとうしなければならない立場にあり、慣れるまでは苦労も多いでしょう。

また、保健師は、乳幼児に対する育児指導や予防注射、成人の健康診断、そして高齢者介護など幅広い年齢層と接します。

対象者が、自分よりも社会経験の多い年上や、親世代の年齢の人である場合も多々あります。

とくに若手保健師は、目上の相手に保健指導を行うことの難しさを感じやすく、コミュニケーションがうまく取れずに悩むこともあります。

保健師を辞める理由で多いものは?

配属先にもよりますが、保健師の働く現場では慢性的に人手不足である傾向が高く、一人あたりの業務量も過多になっている場合が少なくありません。

相談業務を自分一人で常時数十人分担当し、支援をしている場合などもあります。

また、同じ保健師の立場で働く人が職場にいないと、自分の業務に対して理解を得られにくい場合があります。

さらに「健康の専門家だから」と、関連する健康管理の業務はすべて保健師一人に丸投げにされてしまうと、心身ともに疲れてしまったり、気軽に悩みや相談ができずにストレスを抱えてしまったりする人もいます。

保健師の仕事にやりがいは感じていても、職場環境が合わない、負担が大きいなどの理由で、別の職場に移ることを考えるケースが見られます。