救急救命士の1日のスケジュール・生活スタイル

救急救命士の業務スケジュール

消防署がおもな勤務先となる救急救命士は地方公務員として働くため、勤務形態は各自治体によって異なりますが、多くの場合「24時間勤務」となっています。

24時間勤務では、休憩と仮眠の時間が合計して6時間〜8時間設けられています。

しかし、常に出動体制をとっているため、緊急の際には仮眠中であっても出動しなければなりません。

24時間勤務の翌日は非番となっていることが多く、1日おきに勤務するスタイルが一般的です。

1日の業務は出動の数によって左右されるため、決まったスケジュールはありません。

現場へ出動し、病院へ搬送してから消防署へ戻ってくるまで短くても1時間はかかります。

帰署したら書類を作成する必要があるため、1件の出動には1時間半ほどの時間を使います。

救急救命士の1日の流れ

消防署に勤務する救急救命士の1日

ほとんどの救急救命士は消防署で働いており、24時間勤務をしています。

ここでは、消防署に勤務する救急救命士の、出動がある日の流れをご紹介します。

出勤、点呼、点検
前日から勤務していた隊員から引き継ぎをおこない、車両や資機材の点検をします。
8:30 待機
出動指令が出ると、即座に現場へ出向きます。
12:00 昼休憩
休憩中も、いつでも出動できる体制を整えています。

食事は基本的にご飯ものが多く、緊急出動から戻ってきた後に冷めた丼物などを食べることも。

13:00 待機
出動がない時間には、訓練もおこないます。
17:00 夕食、風呂
待機しながら夕食をとり、風呂を済ませます。
18:00 待機
出動以外の時間には、報告書作成や統計データのまとめ、救急講習準備など、事務作業も多くこなしています。
23:00 仮眠
深夜の時間帯は、出動指令がない限り仮眠をとります。
06:00 起床・交代
仮眠が終わったら、この日に当直をするメンバーに引継ぎをおこないます。

上記のすべての時間において、出動要請が入ればただちに現場へ向かいます。

現場では、傷病人の状況を確認して救急車に乗せ、受け入れ先の病院と連絡をとりながら救急車を病院まで走らせます。

病院に勤務する救急救命士の1日

最近は、消防署ではなく病院で働く救急救命士も増えています。

ただし、救急救命士の仕事は「病院までの搬送途上」の救急処置なので、消防署に勤務する救急救命士とは業務内容も異なります。

8:00 出勤
病院へ出勤し、救命衣に着替え、業務スケジュールの確認をおこないます。
8:30 カンファレンス
医師看護師の会議に参加し、救急搬送されて入院している患者さんの状態や治療について話し合います。
9:30 ドクターカーの点検
ドクターカー内の資材の点検や、赤色等の動作確認などを実施します。

ただし、ドクターカーの出動は1日3件ほどなので、待機している間は医師・看護師のサポートや事務作業などをおこないます。

10:30 待機、受け入れ準備
ドクターカーの出動に備えて待機しながら、患者の受け入れなど、ほかの医療スタッフをサポートします。
12:30 昼休憩
食堂で他のスタッフと一緒に昼食をとります。
13:30 待機、出動
午前に引き続き、ドクターカー出動に備えて待機します。

出動指令があれば、救急医、看護師、運転士とともに現場へ向かい救急処置を施します。

20:00 退勤
決められた勤務時間が終わったら退勤します。

病院によっては24時間体制で救急救命士が常駐しているところもあります。

出動がない日の救急救命士の1日

消防署に勤務していても、出動がない日もあります。

出動がない日の救急救命士の1日の流れは以下のようになります。

8:00 出勤、点呼、点検
出勤したら、免許証を提示して点呼をおこないます。

前日に勤務していたスタッフからの引き継ぎをして、当日使用する車両の点検をします。

8:30 ミーティング
引き継ぎを終えたら、当日の業務に関するミーティングをします。

救急処置以外にも、自治体の住民を対象にした救急救命法の講習や、防災を目的としたイベントにおける展示訓練など、さまざまな業務があるため、打ち合わせにも時間を割きます。

9:15 事務作業
出動に備えて待機をしながら、書類作成などの事務作業をおこないます。
11:15 救急訓練
さまざまな救急現場を想定した訓練をおこないます。

救助技術向上のため、救急救命士と救急隊員が連携して訓練することもあります。

12:30 昼休憩
待機をしながら、食堂で昼食をとります。
13:30 訓練、事務作業
出動指令がないときは、救急訓練や勉強をしたり、事務作業をしたりします。

近年は、救急処置のほかにも救急救命士が担う業務の幅が増えているため、書類作成や訓練指導の準備といった事務作業も多くなっています。

17:30 夕食
昼食時と同じく待機をしながら夕食をとります。

18時以降は料理のために火を使う家庭や店舗が多く、火災が発生する可能性が高いので、夕食は早めに済ませます。

18:15 勉強、体力錬成
出動指令がなければ、仮眠の時間までそれぞれ訓練や体力錬成(トレーニング)をおこないます。
23:45 仮眠
仮眠をとりますが、指令があれば1分以内に出動する必要があるため、熟睡はできません。
6:00 起床、交代
仮眠が終わったら次の勤務者へ業務を引き継ぎ、帰宅します。

結果的に出動がなかった日も、勤務中はいつ指令があるか分からないため、出動に備えて柔軟なスケジュールで動くことが多いです。

1日の出動件数、出動の多い時期などは?

地域や時期によっても大きく異なりますが、1日の出動件数は、およそ数件から多いときは10件前後となっているようです。

1日に10件も出動が入る日は、消防署にいる時間よりも現場にいる時間や移動時間の方が長く、寝食ままならないこともあります。

消防署に通報のある事案の多くは救急ではありますが、火を扱うことの多い冬場、空気の乾燥した初秋から晩秋は、火事の出動件数がとくに多くなる傾向にあるようです。

救急救命士の勤務時間・休日