製薬会社の年収はいくら? 初任給や給料が高い理由についてくわしく解説

製薬業界で働きたい人にとって、給与に関する情報は気になるところです。

製薬会社の社員の給料は、職種や経験、企業規模などによって異なるものの、一般的に高めとなることが知られています。

この記事では、製薬業界の年収の傾向と、各職種の平均給与について詳しく解説します。

製薬会社社員の平均年収・給料の統計データ

製薬会社の平均年収は、約500万円から600万円ほどがボリュームゾーンとされています。

製薬業界は他の業界と比較して給与水準が高く、その中でも製造業部門の中ではトップクラスの平均年収です。

職種によって給与は異なりますが、特に営業職(MR)は売上に応じたインセンティブが多く、高水準の給与が支給されることが多いです。

また、男性・女性ともに20代から30代にかけて、年収の増加率が高くなります。

国内大手の製薬会社や外資系の製薬会社では、平均年収が1,000万円を超えるケースも多く見られます。

製薬会社社員の手取りの平均月収・年収・ボーナスは

製薬会社の昇給は通常年に1回行われ、賞与(ボーナス)は年に2回支給され、合計で4ヵ月分の給与となります。

ただし、大手製薬会社では業績がよい場合、年に3回支給され、合計で8~10ヵ月分の賞与が支給されることもあります。

基本給が35万円の場合、年に2回のボーナス(合計4ヵ月分)が支給されると、年収は約560万円程度となります。

手取りの年収は約435万円前後と考えられます。

大手製薬会社は平均年収が高く、安定したボーナスが支給される傾向があります。

そのため、一般的な企業の会社員の平均年収を上回る収入を得ている人が多いようです。

製薬会社社員の初任給はどれくらい?

製薬会社の社員の初任給は、企業によって幅があり、職種や最終学歴によっても異なります。

大手製薬会社の場合、学部卒の初任給は月給22万円前後、大学院の修士卒で月給25万円前後、博士卒の場合は月給28万円前後が一般的な水準です。

たとえば国内製薬会社最大手の武田薬品工業では、2023年の支給実績は以下の通りです。

<研究職、研究技術職、開発職、生産技術職、総合職>
博士卒=335,000円
修士卒=301,000円
学部卒=277,000円

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す(PR)

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

製薬会社社員の給料・年収の特徴

ほかの業界に比べ給料が高い理由は?

製薬会社では、高度な専門知識が求められます。

新薬の研究開発には、化学生物学の知識が欠かせません。

さらに、大学卒業でも得られないような高度な専門性が求められます。

このため、製薬会社は高い年収を設定し、専門的なスキルを持つ人材を確保することを目指しています。

さらに製薬業界は高い利益率が特長で、今後も成長が期待されている分野です。

特に日本の製薬会社は、政府の支援も受けています。

新薬は20年間の特許保護を受けるため、初期投資が大きいものの、その後の利益率が高く、ビジネスモデルとして成功しやすいのです。

MRはインセンティブがある

職種によって給与額は異なり、営業職(MR)の場合はセールスに応じてインセンティブが付与されることが一般的です。

平均年収は企業の規模や経営状況によって変動しますが、高水準な企業では40代で年収1000万円を超えるケースも珍しくありません。

研究開発職に注目があつまる

2010年ごろから、現行の医薬品は次々と特許が切れるため、研究職や開発職が注目を浴びています。

次々と新薬の開発が進行中であり、一方でジェネリック薬品は価格競争が一段と激しくなる、といったように業界は大きな転換期に立たされています。

さらに、薬価自体も年々改定され下がる傾向にあります。

ただ、研究開発には莫大なコストが掛かるため、収益性の低い薬の中止やジェネリック薬品への移行も進行中です。

この変化に適応し、時代に合った新薬をつくりだす研究開発職は、優秀な人材を集めるため給料も高くなる傾向にあり、今後さらに人気を集めると考えられます。

製薬会社社員の職場別の給料・年収

大手の国内製薬会社は外資系企業並み

国内の製薬会社の給与や年収は、外資系の製薬会社と比べると若干低いものの、基本的に他の業界よりも高水準です。

武田薬品工業、アステラス製薬、大塚ホールディングス、第一三共、エーザイなど、国内の主要な製薬会社では外資系企業と同程度の年収が一般的です。

また、住宅手当や営業手当などの福利厚生が充実しており、これらの手当を加えると、給与は外資系企業を上回る場合もあります。

国内の製薬会社では、年齢や勤続年数、役職に応じて給与が比例して上昇する年功序列制度が一般的です。

そのため、社員間でボーナスに大きな差が生じることはあまりありません。

年収のめやすとしては、30歳で約500万円から600万円、40歳で約900万円から1,000万円以上が一般的です。

外資系の製薬会社は給料が高め

近年、製薬業界でも外資系企業の進出がめざましく、国内の製薬会社で勤務していた人が外資系の製薬会社に転職するケースが増えています。

外資系の製薬会社は、国内の製薬会社と比較してさらに高い給与を提供していることで知られています。

しかし、年俸制の給与体系を採用していることが多く、実力に応じて給与額が大きく変動するしくみが一般的です。

特に営業職(MR)の場合、セールスの成果が給与に直結するため、売上を伸ばせない場合は翌年の収入が大幅に減少する可能性があります。

また、外資系企業は国内の企業と比較して福利厚生の制度が整っていないことが多いため、将来的なリスクに備えて資金を蓄えておくことが重要です。

年収のめやすとしては、30歳で約700万円から800万円、40歳で1,000万円以上が一般的な水準とされています。

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

製薬会社の職種別の平均給料・年収

営業職(MR)

製薬会社の営業職は、「MR(Medical Representative)」または「医薬情報担当者」とも呼ばれ、新薬の効果や副作用などの知識を持ち、医療関係者に提供する役割を果たします。

この職種の平均年収は、20代で約500万円、30代で約700万円前後とされています。

MRは製薬会社内で高い給与水準が認められており、20代から30代でも高水準の給料を受け取ることができる職種です。

研究・開発職

製薬会社の研究職は、医薬品の開発を実験や分析を通じて行い、その安全性や効果を確保する役割を果たします。

開発職は、薬物が生体に与える影響を実験し、データをまとめて安全性を確認します。

この職種の平均年収は、20代で約400万円、30代で約550万円前後とされています。

高度な学識と専門知識を求められるため、一般的なメディカル系技術職と比較して、70万円~100万円ほど高い年収になることが一般的です。

製造オペレーター

製造オペレーターは、製薬会社の工場で医薬品の製造や設備の点検整備などを担当します。

平均年収は企業や工場の規模によって変動しますが、一般的には300万円から450万円程度が相場とされています。

この職種は、特別な専門知識や業務経験がなくても、短期間の研修を受けることで働けるケースが多いです。

ただし、製薬会社で働く職種の中でも年収は低めの傾向があります。

製薬会社社員が所属する代表的な企業の年収

会社名 平均年収 平均年齢
武田薬品工業 1105万円 42.4歳
大塚ホールディングス 1041万円 43.6歳
アステラス製薬 1062万円 42.3歳

出典:2023年現在(各社有価証券報告書より)

武田薬品工業の平均年収

武田薬品工業の平均年収は1105万円、平均年齢は42.4歳です。

武田薬品工業は製薬業界において国内最大手企業であり、2019年に医療用医薬品の売上高で世界9位にランクインしています。

230年以上の歴史を持ち、ビタミン剤「アリナミン」や風邪薬「ベンザ」など一般的にもよく知られた医薬品を製造していますが、連結売上高の約9割は医療用医薬品が占めています。

近年の平均年収は2016年の959.6万円から、5年間で約14%上昇しています。

大塚ホールディングスの平均年収

大塚ホールディングスの平均年収は1041万円、平均年齢は43.6歳です。

大塚ホールディングスは、大塚製薬をはじめとする「大塚グループ」の持株会社で、世界90ヵ所に工場をもつ医薬品売上国内第2位の大手製薬会社です。

ポカリスエットなどの食品・飲料部門も拡大中ですが、抗精神病薬を主力とし、がんや循環器疾患など3分野を中心に研究開発を行っています。

ここ数年の平均年収はやや減少傾向にありますが、10年以上安定して1,000万円以上の年収をキープしており、業種別年収ランキングでも77社中10位にランクされています。

アステラス製薬の平均年収

アステラス製薬の平均年収は1062万円、平均年齢は42.3歳です。

アステラス製薬は、2005年に山之内製薬と藤沢薬品工業が合併して誕生した会社で、医薬品売上国内第3位の大手製薬会社です。

医療用医薬品に特化しており、泌尿器、移植分野に加え、米国社買収で抗がん剤を第3の柱に育成しています。

ここ数年の平均年収は横ばいの傾向にありますが、経営状況は基本的に上向きのため、安定して高収入が望めそうです。

製薬会社の待遇の特徴

福利厚生も充実

製薬会社は、他の業界に比べて高い年収だけでなく、充実した福利厚生が整っており、社員への待遇は非常によいといえます。

特に住宅手当が充実しており、大手の製薬会社では家賃の8割以上を補助するケースもあります。

営業職には「営業日当」に加えて、MR認定資格を持っている場合には「MR手当(営業手当)」が支給されることもあります。

その他にも、「配偶者手当」「子ども手当」「出産手当」「入学祝い手当」「寒冷地手当」「引越し手当」などの手当が提供されており、これらの手当が年収を引き上げる要因の一つとなっています。

社員の健康面もサポート

製薬会社は商品の性質上、従業員の健康管理にも力を入れており、医療費に関する手当が充実しています。

一部の企業では家族全員の健康診断費用やインフルエンザワクチンの接種費用を全額免除するなどの支援が行われています。

さらに、定期的に一般用医薬品やマスク、絆創膏などが支給されるケースもあります。

ただし、外資系企業では実力をつけて転職することが一般的であり、終身雇用の概念がないため、住宅補助や退職金制度といった福利厚生が存在しない場合もあります。

製薬会社の年収のまとめ

製薬会社社員の年収は、職種や企業規模によって幅広く異なります。

平均年収は20代で約400万円から600万円、30代で約600万円から800万円程度が一般的です。

特に営業職や研究職は高収入の傾向があります。

近年は外資系企業の進出も目立ち、高い給与水準と実力主義の文化が特徴です。

ただし、職種や業界の特性を踏まえ、将来のキャリアや福利厚生面でも検討することが大切です。