歯科技工士の需要・現状と将来性

歯科技工士の現状

歯科技工業界では、急激なデジタル化が進んでいます。

CAD/CAMをはじめとする専門ソフトの普及や新素材の開発も次々に行われており、歯科技工士を取り巻く環境は、は大きな変革期を迎えているといっていいでしょう。

最近では、歯科医師の過剰・歯科クリニックの乱立などといった歯科関係のニュースを目にする機会が多くある一方、歯科技工士はなり手が少なく、実際に20代の歯科技工士数は全体の1割ほどにまで減少し、高齢化が進んでいます。

世間の流れとしては、高齢化社会である現代において歯の健康は不可欠であることが広く認知され、年齢を問わず自然で美しい歯を求める声も高まっていることからも、今後ますます歯科技工士の役割は重要になっていくでしょう。

デジタル技術の普及などといった時代の流れのなかで、若い世代の歯科技工士のニーズは高まるばかりです。

しっかりと技術を身につけることができれば、引く手あまたな存在となれる可能性はおおいにあります。

一方、歯科技工士は長時間労働のわりに給与面でそれほどの恩恵を受けられないといったイメージが根強くあり、歯科技工士になろうとする若い世代の減少が問題視されています。

今後の労働環境や待遇面での改善が期待されます。

歯科技工士の需要

求人は多く出ている

上述の通り、歯科技工士はベテランの従事者が多い反面、若手の人材が不足する状況であることは間違いないため、若い世代の需要は年々高まっています。

歯科医療を行ううえで歯科クリニックや患者さんにとっても歯科技工士はなくてはならない大切な存在です。

今後、高齢社会に入っていく時勢の中で需要がなくなることはありませんし、仕事も豊富にありますので、就職先が決まらなくて困るような状況は考えにくいでしょう。

ただし、近年、アジアを中心とする海外からの技工物の輸入が増えており、価格の面で日本の歯科技工所が押され気味な一面があるのも確かです。

しかしながら、自由診療で審美性や完成度を求める患者さんは日々増えています。

世界トップレベルの日本の歯科技工技術の信頼が揺らぐことはなく、確かな腕を持っていればどこにでも通用します。

就職に関しては、大手の歯科技工会社でなければだめだとか、自身のキャリアの中で譲れないこだわりがある場合を除いて、歯科技工士の業界での就職状況は良好だといえます。

毎年の定期採用もある事業所も多いので、新卒者でも優位な就職活動が展開できるでしょう。

活躍の場も幅広くなっている

また、さらなるスキルアップを求めて職場を移る人もいて、年度途中での中途募集も多いので転職やブランクのある人でも再就職しやすい印象です。

なかには歯科機材メーカーに就職する歯科技工士もいます。

歯科医療の分野も発展が著しく、歯科材料関連のメーカーや企業でも常に開発競争が続いています。

新規技術や材料の研究開発をはじめ専門知識を持った営業職採用など、民間企業でのニーズも広がっており、そういった働き方でもやりがいも感じられるでしょう。

歯科技工士の将来性

歯科技工士を取り巻く環境は何かと厳しく見られがちですが、現状が厳しくなってしまった理由のひとつとして、日本国内だけでまかなっていた歯科技工の仕事や材料がアジア各国から安い輸入の技工物に取って変わってきたということも要因として挙げられます。

法律上も問題があるのではないかという考え方もあるようですが、海外からの歯科技工物の輸入のバランスを取るような法律やガイドラインが整っていないためどんどん価格競争に押されています。

当初は質が悪いと評判はあまりよくありませんでしたが、単価も安く、技工レベルも上がってきていることから、海外の技工品を選ぶ歯科医師も増えています。

そういった現状を踏まえると将来性を確かなものにするためには、歯科技工士一人ひとりのスキルをアップして、精度の高いものを目指していくことが大切でしょう。

自分の腕を常に磨いていて、歯科医師から求められるような仕事を継続していくことで歯科技工業界全体の将来が明るくなるはずです。

一方で高い技術をもった日本の歯科技工士が、海外で働くというケースもあります。

簡単な技術で作成できるものは、アジア各国で作られていく流れにあります。

国内、海外問わず、今後はより高いレベルの技術を取得した歯科技工士が活躍していくことになるでしょう。

歯科技工士の活躍の場

歯科技工所で働く人が多い

歯科技工士が活躍する場所は、まず歯科技工所が挙げられます。

歯科技工士が独立開業し、ラボや技工所、また法人化した組織で勤務歯科技工士として業務に当たります。

また、歯科に併設された歯科技工ラボやクリニックじたいで勤務する場合もあり、そのケースではおもに歯科のある病院や歯科クリニックなどが対象になります。

病院や歯科クリニックでは多くの場合、そこで治療や診察に当たっている歯科医師から直接指示を受けますが、歯科技工所では複数の提携、取引先である歯科クリニックや病院などから製作オーダーを受けることになります。

また、高度な技術を習得し、熟練すれば、将来として独立開業することも可能です。

勤務する場所で磨けるスキルの分野が異なることも

歯科技工所で働く場合と、クリニックなどで歯科技工士として勤務する場合の大きな違いはいくつかあります。

たとえば歯科技工所では、それぞれ得意とする技工分野や専門分野があるため、その技工所に特化した仕事をたくさん受けることになり、専門性が高まります。

一方、歯科クリニックや病院では、そのクリニックで発生した仕事を全部引き受けることになるので、細かな調整や修正など、より現場や患者さんに即した経験を広く積むことができます。

とくにクリニックなどの場合は、歯科技工士が複数勤務するケースはまれであると考えられますので、必然的に対応力や技術が磨けるといえます。

また、院内技工士の一番のメリットは「患者さんの反応や口腔内を直接見ることができる」という点にあります。

色や形、実際に口腔内に置いた時の噛み合わせなどは模型に合わせて作るのと、実際に患者さんの口を見ながら作るのでは、できあがりが雲泥の差だといいます。