診療情報管理士の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介

診療情報管理士の仕事とは

診療情報管理士とは、四病院団体協議会と医療研修推進財団による民間資格の名称です。

設立当初は診療録管理士という名称でしたが、1996年に現在の名称に改訂されました。

参考:日本診療情報管理士会 診療情報管理士とは

診療情報管理士は、患者の診療記録であるカルテの保管、病名のコーディング、在所確認・把握、破棄といった、カルテの保存と活用に関わる業務を担当します。

診療情報管理士は、ある患者が来院した際に、その患者が過去にどのような診察を受けたかを、医師が把握するためにとても重要な存在です。

過去の診察で付いた病名、治療内容、薬の処方内容を一目瞭然にすることで、新規診察の正確さの向上とスピードアップに貢献しているのです。

診療情報管理士は、医師の作成したカルテの医学用語が正しいか、記入もれがないかといったチェックも行います。

もしも間違いがあった場合、担当医師に報告して修正を求めます。

患者の診療データに基づいた病名や薬の内容の検討といった重要事項に関わるため、医療に関する深い知識も必要となります。

診療情報管理士は大まかには医療事務に分類されますが、専門的な医療知識を持ち、それを利用して活躍しています。

そのため、一般的な医療事務に比べて責任範囲も広く、やりがいの大きい仕事ということができます。

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診療情報管理士の業務の内容

診療情報管理士のメインの業務として、カルテのデータベース化があります。

カルテ情報をコーディングに沿って登録し、医師の求めに応じてカルテを参照できる状態に用意する仕事です。

電子カルテの導入が進んでいない病院であれば、紙のカルテに索引番号を振り、物理的に分類・保管します。

最近ではカルテ情報は電子カルテとしてデータ管理をする病院が増えてきているため、医師が書面で作成したカルテをデジタルのデータベースに入力する業務もあります。

このとき、病名をWHOの定める国際疾病分類基準(ICD)に基づいてコーディングすることも大切な仕事です。

なぜなら、包括医療費支払い制度方式(DPC)の運用に不可欠だからです。

また、がん登録と呼ばれる、カルテを読み取ってがんの種類を分類し、コーディングして登録する作業もあります。

診療情報管理士の役割

診療情報管理士の仕事は、例えるならば医療機関内でのカルテの司書、ということができます。

医療機関においては、患者のカルテや検査結果など、患者にひもづく情報が膨大に発生します。

これらの情報をもれなく、また誰もがいつでも簡単にアクセスできる状態に整えることは、診療情報管理士の重要な役割の一つです。

あるいは、診療報酬の請求や公的な報告が滞りなく行われるよう、一般的なフォーマットに則った形にすることも重要な仕事です。

診療情報管理士の仕事がなければ、医療機関におけるデータや情報管理がうまくいかず、その結果診療に支障が出る可能性すら考えられます。

診療情報管理士は表立って医療行為に当たる医師や看護師とは異なりますが、彼らの仕事を陰から支える、縁の下の力持ちなのです。

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診療情報管理士の勤務先の種類

医療機関であれば、診療情報を適切に管理する仕事は必ず必要になります。

そのため、病院や診療所、各種クリニックなど、診療情報管理士の仕事が必要な機関は多くあります。

しかし、実際に資格を持って活躍するレベルの専門性を持った診療情報管理士がいるのは、多くの場合は大規模病院に限られます。

大規模医療機関であれば、管理しなければならない診療情報が多くなるからです。

専門性が高く病院経営から考えても重要な役割を担うポジションとなるため、小規模な医療機関の場合、資格者はいないか、いても1~2名という場合も少なくありません。

就業先によっては医療事務としての業務と兼務となることもあります。

診療情報管理士の仕事の流れ

診療情報管理士は、その医療機関における診療情報全体を管理する責任をもっています。

そのため、その業務範囲は広いです。

例えば、新規の患者さんのカルテデータが揃っているか、入力されている内容や表記はICD(国際疾病分類)に即しているか、などの確認があります。

また再来の患者さんのカルテ情報の整合性や、新しい情報が正しく更新されているかといった内容も重要な確認事項です。

これらのデータにおいて、万一不備や不明な点があれば、担当医師など、そのカルテを記載した担当者に確認を行い、必要があれば修正を依頼します。

医師の勤務時間や業務内容によっては、その日の勤務時間内に完了しないこともあるため、早目の対応が必要です。

その他、患者からカルテ開示請求があった場合や、医療訴訟の証拠として提出が必要な場合など、イレギュラーな業務も発生します。

診療情報管理士はカルテ情報における専門家であるため、カルテに関連する業務は幅広く取り扱う必要があるといえます。

診療情報管理士と関連した職業

診療情報管理士と関連した職業に、医療事務があります。

診療情報管理士の業務は、主にカルテなどのデータ管理、病名のコーディング、データ調査・分析です。

患者と関わることはほとんどなく、パソコン業務が多い裏方業務です。

医師や経営部門から依頼され業務をこなすこともありますが、必要があれば彼らに意見することもできる、国家資格を持たない事務職としてはある意味特殊な立場にあります。

一方医療事務は、受付や医師の業務補助で患者と接する機会があり、事務といえども表に立つことが多い職種です。

受付回りや医師の庶務をこなす役割といえます。

また、待遇にも違いがあります。

診療情報管理士は正社員として採用されることが多く、医療事務はパート職員や派遣社員、契約社員などの臨時職員が多いようです。

給与面ではそれほど大きな違いはありませんが、福利厚生や安定性では診療情報管理士が大きくリードしています。

反面、求人数については医療事務が診療情報管理士を大きく上回ります。

これは、診療情報管理専任者は各医療機関に1人配置されていれば診療報酬点数対象になるという理由で雇用されることが多いのに対し、医療事務は実際に日々の業務をこなしていく人数が必要なためです。

いずれもカルテを扱う事務方の仕事ですが、役割や業務内容、待遇が異なるため、自分の希望に合った働き方を選択する必要があります。

医療事務の仕事