内科医の仕事内容・なり方や必要な資格・給料を解説

内科医の仕事内容

内臓疾患を手術でない方法で治療する

内科医は、主に内臓の疾患を診療し、手術ではない方法で治療をほどこす医師です。

内科では生活習慣病や慢性疾患の患者さんが多いため、薬を用いたり、食事や運動など、生活全般の指導をすることによって、患者さんの病状を改善するのが主な仕事になります。

中には循環器内科のように、心筋梗塞などの急性疾患を発症する患者さんもいるために、素早く正確な診断が必須とされる診療科もあります。

内科医にはたくさんの種類があり、循環器内科、免疫血液内科、消化器内科、内分泌科、呼吸器内科、脳神経内科(神経内科)など、多くの診療科があります。

どの診療科においても常に研究を怠ることなく、それぞれの専門分野において深い知識を持っています。

一方で、専門分野だけに偏らず内科全般に精通し、あらゆる内科疾患の患者さんを高い水準で診療できる能力を持つ内科医を「認定内科医」や「総合内科専門医」として認定する制度があります。

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就職先、活躍の場

総合病院からクリニックまでさまざま

大学卒業後、医師の国家試験に合格してから2年間は、指定の医療機関で研修医として働かなければいけません。

研修期間中は、内科医志望であれ、外科分野も含めた全ての診療科で一定期間の研修を受けます。

そのあと、自分の標榜したい診療科を決め、医局に入り、内科医として働き始めます。

現在では細分化された診療科だけでなく、総合内科を標榜する病院もあり、そこに入局する医師もいます。

また、呼吸器学会認定の呼吸器専門医、消化器病学会認定の消化器病専門医などの資格を取得し、更に専門性を追求することもできます。

ある程度の実務経験を積んだあとは、独立して診療所やクリニックを開業する人もいます。

内科医の1日

外来診察、病棟診察、研究など

内科医の1日の業務は、病院の規模によっても違ってきますが、新たな治療法確立のための研究は欠かせません。

ほとんどの病院では、研究日といって、だいたい週に1日、研究にあてることができる日を設けています。

ここでは、入院施設のある病院の内科医の1日を追ってみましょう。

内科医の1日のスケジュール

08:00 予約患者の確認、病棟診察
その日の予約患者さんのカルテを確認します。診察前に血液検査・尿検査が必要な場合は、検査部に指示を出します。病棟患者さんの診察をします。
08:30 医局ミーティング
医局内で共有すべき情報をやり取りし、その日の診察について確認します。
09:00 診察開始
予約患者さんの診察の合間に予約のない患者さんの診察もします。診察前に検査をした患者さんは、そのデータを見ながら診察をしていきます。
14:00 休憩
午前中の患者さんの診療が終わると休憩です。病院が大きいと、診察が午後までずれ込むときもあります。
18:00 外来診察終了・病棟診察
外来の患者さんの診察が終わると、必要に応じて病棟の入院患者さんの診察をします。
19:00 カンファレンス
ひとつの症例に対し、治療の成果や今後の治療方針についてなど、討論形式で検討をします。
20:00 書類業務
さまざまな書類関係の仕事をします。
21:00 予約確認
明日の患者さんの予定を確認し、業務終了となります。

 

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内科医になるには

医師として研修後、内科に入局する

医師の国家資格を取得したあと、指定の研修病院にて2年間の研修を行ったのち、入局したい内科医局に希望を出し、許可がおりると入局することができます。

診療所やクリニックで好きな診療科を標榜して、開業することもできますが、基本的には大きな病院でしばらく勤務医をする人がほとんどです。

2年間の研修が終わった後、さらに指定された病院の内科において1年以上研修をし、一定水準以上の診療能力を持つことで「認定内科医」の認定試験を受けることができます。

認定内科医の資格を得た後、更に一定期間以上の研修を修了しすると「総合内科専門医」の受験資格が与えられます。

総合内科専門医には、広く研修医・レジデントや他診療科医からのコンサルテーションにも応じて適切な指導や内科診療を指示できる臨床能力、患者さんとのコミュニケーション力、新たな治療に関する研究力、後進の医師を育てる教育力が求められます。

内科医の給料・年収

病院の規模、認定医の取得状況による

内科医の年収は、勤務する病院の規模や地域にもよりますが、だいたい1000万円~2000万円くらいです。

総合内科専門医の資格を取っていると、年収は2000万円を超える勤務医もいます。

昇給がある場合は年およそ1回、役職に就任すると役職手当がつきます。

同じ医療関係の職種の中でも年収のうえでは最も高額といえますが、人の命を預かっているため、休日でも病院から呼び出しがあれば急きょ病院に直行しなければいけません。

待遇の面では、研究日が週に約1日、医師賠償責任保険加入など、医師ならではの待遇があります。

内科医のやりがい、楽しさ、魅力

医療を身近に感じてもらえる

多くの患者さんは、体の異変を感じたときには内科を訪れると思います。

そこで診察を受け、必要があれば外科へ紹介され、手術を受けることになります。

手術をするのは外科医の仕事であり、術後の経過を観察し、適切な処置を施すのも外科医の仕事ではありますが、術後の経過が安定したあとは、また内科医が診察をすることになります。

患者さんにとって、より身近な存在であり続けることができるのは、内科医ならではの醍醐味といえるでしょう。

総合内科専門医ともなれば、患者さんの病気だけでなく、その背景まで視野に入れ、細やかにコミュニケーションを取りながら診察することになります。

ただ病気を診るだけでなく、包括的な視点での診療は、患者さんにとって医療というものを身近に感じてもらえる契機にもなるでしょう。

内科医のつらいこと、大変なこと

内科診療にも限界がある

外科医にも言えることではありますが、重篤な患者さんの場合は、内科での診療ではどうにもならないこともあります。

そのようなときには、他の診療科と連携して患者さんを治療していく必要があります。

また、昨今では国民病ともいえる糖尿病などに対しては、患者さん自身の生活改善への姿勢が問われますが、いくら内科医とはいえ、患者さんの生活を強制的に変えることはできません。

薬の力も借りながら、QOL(生活の質)を落とさずに患者さんが生活できるように、内科医は日々心を砕き、あれこれと頭を悩ませながら診療に励んでいます。

内科医に向いている人、適性

人との接し方、観察眼がとわれる

内科医は、病変をじかに観察するわけではなく、患者さんの話を聞き、上手に情報を引き出しながら、同時に全身の状態を観察します。

聴診器を使ったり触診をしながら、患者さんの状態を探っていく必要があります。

ですから、人と接することが得意なこと、なおかつ全身状態を診ながら、どこに異常があるのかを見定めることのできる人が求められます。

また患者さんは病状も、それに対する考えもさまざまです。

患者さんそれぞれに合った接し方で診療をし、状態を快方に向かわせることのできる人が適任であるといえるでしょう。

内科医の志望動機・目指すきっかけ

身内の事情による部分が大きい

自分の親が内科医をしていて、その背中を見て育った人はやはり内科医を目指すことが多いようです。

ただ親と同じだから目指すのではなく、親世代が苦労していたことを意識し、それを改善できるような医師を目指すイメージです。

身内の事情のもう一つのパターンは、親や兄弟の病気による苦労や死を間近で見ていた経験から医師を目指す人です。

病棟に訪れてくれていた先生に感謝しており、同じようにさまざまな患者さんと接していける内科医を目指そうと決意する人も少なくありません。

内科医の雇用形態、働き方

正職員、パート、アルバイト等

内科医の雇用形態にはさまざまなものがあります。

主だった雇用形態は常勤の病院正職員になりますが、アルバイトやパートの求人も数多く見受けられます。

アルバイト・パートを採用している病院では、オンコール待機や夜勤、在宅診療をパート勤務の医師に任せ、常勤医師と業務を分けている病院もあります。

これにより、常勤医師の休日を確保したり、在宅患者の急な容体の変化のために診察を中断することのないよう、配慮をしている病院もあります。

若い医師ですと、常勤以外に他の病院でアルバイトを掛け持ちして、経験を積む人もいます。

パート勤務では週に1日から働けるため、女性医師も子育てをしながら現場にたずさわることができます。

内科医の勤務時間・休日・生活

勤務形態により差が大きい

開業医の場合は、自分自身で休診日を設けることができるので、ワークライフバランスを取りやすい傾向にあります。

病院勤務をしている医師ですと、当直やオンコールを任せられるときもあり、休日出勤があることもあります。

外科医のように長時間のオペをしたりすることは無いので、大幅に生活サイクルが狂うことは少ないといえるかもしれません。

ですが、人命を預かっている限りは、常に緊張感を持っていなければならないのは言うまでもありません。

内科医の求人・就職状況・需要

病院により必要とされる診療科が違う

地域により医師の数が不足しているため、内科医の求人は常に一定数ありますが、ひとくちに内科と言っても必要とされる診療科は違います。

患者さんを総合的に診断して、適宜必要な診療科に振り分けていくために総合内科医を必要としている病院もありますし、専門性の高い医師を求めている病院もあります。

病院の需要と、自分の持つアビリティが一致を見れば、就職は困難ではありません。

企業からの内科医の求人はあまりありませんが、英語力があればメディカルライターとして働くこともできます。

内科医の転職状況・未経験採用

転職のほかに開業する医師もいる

内科医が転職を考える場合として、二通りの理由があります。

自分にとって、もっと良い環境の病院で求人が出ていた、という理由と、開業をするという理由です。

病院は、規模や地域によっても待遇が違ってきますし、それ以外に自分の研究分野の診療を熱心にしていることもあります。

開業をする場合、勤務医よりも患者さんにもっと身近な存在として、地域密着型の診療をしたいといった理由が多いようです。

開業医になると、経営も含めすべては医師の力量次第といえますが、病院から病院への転職は、応募資格に沿っていればまず採用されるといってもよいでしょう。

また、医師は2年間の研修の間に外科・内科の両方を経験しているため、未経験採用はありません。

内科医の現状と将来性・今後の見通し

地域診療と総合病院診療の連携がかなめ

高齢化社会が進む現代では、地域の診療所・クリニックのはたらきが今後さらに重要になってくると予想されます。

年齢にかかわらず、まずは地域のクリニックや診療所で診察を受け、必要な場合は大きな病院に紹介状を書くといった具合に、地域医療と総合病院の連携がキーポイントとなります。

それに応じて、さまざまな内科的疾患を的確に診断することのできる認定内科医や、生活保護や介護保険制度にも精通している総合内科専門医の役割がより大切になってきます。

広く診察する医師と、深く診察する医師、また地域医療と総合病院の医療が縦横に活躍することで、より良い医療環境へとつながります。