歯科技工士になるには? 必要な資格は?

歯科技工士になるまでの道のり

歯科技工士になるためには、歯科技工士国家試験に合格することが必要となります。

受験資格を得るためには、高校卒業後、歯科技工士を養成する大学や短大・専門学校に入学しなければなりません。

文部科学大臣指定あるいは厚生労働大臣指定の歯科技工士養成機関で、2年以上学び、所定の課程を全て修了すると国家試験の受験資格が与えられます。

養成機関には、大学・短期大学・専門学校があり、4年制大学を除くと修業年限は、2年制、3年制が中心です。

養成機関では歯科技工士国家試験を念頭に置いた知識の定着や技術の習得が行われます。

一般教養のような科目から歯科理工学や歯の解剖学をはじめ歯科技工学の専門分野にいたるまで、座学と実習を重ね、国家試験で課される内容をしっかりと学習します。

とくに歯科技工士国家試験では実地試験といった歯科技工の実技試験が行われるので、学校での具体的にスキルを身につけることがとても大切となります。

国家試験に合格後、登録機関に申請することによって、はじめて歯科技工士免許が交付されます。

歯科技工士になるまでのルート

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歯科技工士資格を取得した後の道のり

毎年行われる歯科技工士の国家試験に合格して保健所に免許申請を行うと、歯科技工士免許証が交付されます。

これによって歯科技工士として仕事を行うことができるようになります。

歯科技工士としてスタートするには、新卒者はまず全国に約1万5千ほどあるといわれている歯科技工所に就職するか、大きな歯科クリニック、また病院などで働くこととなります。

大学病院などの求人は欠員募集程度に狭き門である場合が多いため人気が高く、病院への就職は困難です。

就職後は歯科技工所で、学校で習った知識とスキルをもとに、先輩にフォローしてもらいながら、実際の歯科技工の業務を通じて自分の腕や経験を磨いていきます。

また、歯科技工士は、開業をすることが認められている職業です。

経験と技術を磨き、独立して歯科技工所を経営している人も少なくありません。

歯科技工士国家試験の難易度・合格率

歯科技工士になるための学校の種類

歯科技工士として働くには、歯科技工士養成所として厚生労働大臣や文部科学省大臣が指定した教育機関で、国公立や私立の学校法人や歯科関連の業界団体が設立していますが、その歯科技工士養成機関で、2年以上実習や座学など所定の課程を全て修了する必要があります。

養成施設には、大学・短期大学・専門学校があり、修業年限は2年制、3年制が中心です。

4年制大学というルートもありますが、働きながら通学ということになると、専門学校の夜間部という選択肢が挙げられます。

夜間制に通学する場合、修業年限は3年間となります。

養成機関では、理論や知識を学ぶほか、多くの時間が歯科技工実習に充てられているのが特徴です。

また、あまり一般的な道のりとはいえませんが、6年制大学の歯学課程を卒業しても受験資格は得られます。

歯科技工士になるための専門学校

全国、北海道から鹿児島まで全国の主要都市に約50校、歯科技工士になるための専門学校があります。

県によっては、県内に1校のみという県も多く、自宅から通いたいと考えた時に選択肢はあまり多くないのが現状ではありますが、最もスタンダードな学び方であるといえます。

ものづくりの現場で働く歯科技工士になるための学校ですので、座学が中心というよりは、しっかりと実習を取り入れたカリキュラムの実学教育をとっている学校がほとんどです。

学費は学校によって大きく異なりますが、私立の学校であるため初年度納入金は教材費などを含み120万円前後~200万円となっています。

歯科技工士になるための4年制大学

歯科技工士になれる4年制大学は、全国に数えるほどしかありません。

4年制大学では、座学や実習での歯科技工技術の習得だけでなく、一般教養をはじめ、体系的に口腔保健を学びます。

口腔から健康に貢献する「口腔保健工学士」としての活躍が期待される人材を育成するためのあらゆる分野を横断した、4年制大学ならではの分野を横断、網羅したカリキュラムが組まれています。

また、他の看護学科や理学療法学科など、医療系学科との交流もあり、昨今では語学教育も手厚くカバーしてくれる傾向にあり、国際的な視野をもつ人材育成も行われています。

就職先は、歯科技工所や歯科医院のほか、歯科・医科関連のメーカーや企業が多いことも特長です。

専門学校と大学の違い

専門学校では歯科技工士としての技術を中心に一般的な医学知識や歯科に関する事柄を学んでいきます。

一方、大学や短大では歯科技工士としての技術とともに一般教養などがカリキュラムでしっかり組み込まれている特徴があります。

歯科技工士を養成する大学や短大はそれほど数が多くはありませんが、もし将来に歯科技工士以外の道を選択する機会も残しておきたい、というのであれば大学や短大に進学するほうが無難かもしれません。

大学卒業という学歴などにこだわりがなければ、2年制の専門学校でみっちりと技術を習得して、早いうちに就職するのもよいでしょう。

歯科技工士の実習内容は?

即戦力として働けるスキルを身につける

歯科技工士になるためには座学で専門知識を得るだけではなく、実習を通して就職後にすぐ役立つような技術を身につけることが必要です。

これは、単に歯科技工士としての仕事をスタートしてからのためだけではなく、歯科技工士国家試験には実際に実地試験と呼ばれる実技試験が実施されているためでもあります。

歯科医療が年々高度化していくのにつれて歯科技工の分野でも最先端の技術や機器が次々と開発されて現場に導入されています。

学生が歯科技工所に入ってからスムーズに仕事ができるよう、最先端技術を積極的に取り入れた実習を行う学校も増えています。

日進月歩の医療技術において、最新技術や素材、流行を学ぶことは非常に重要であるといえます。

さらに、高齢化社会によってますますお年寄りの方々の歯科通院が急増することが予想されるため、歯科口腔介護が学べるカリキュラムを組んだ養成校もあります。

確かな知識を身につけたうえで患者さんの一人ひとりの痛みを考えながら仕事ができる歯科技工士を養成するためにも、養成校での実習は不可欠なのです。

具体的に学ぶ内容は?

2年制の養成施設であれば、1年次では入れ歯の作り方といった基本的な技術からスタートし、型取りや詰め物や被せ物の技工、入れ歯やインプラント、歯科矯正などの製作や歯科技工物で使われている材料が人体に与える影響などを実習しながら実際に手を動かしながら学んでいきます。

歯科理工学実習では口の中に入れる歯科技工物の特徴や性質を実験しながら確かめて、口腔内で使用できる安全な歯科技工物とは何かを学びます。

また、カービングと呼ばれる口腔解剖学基礎実習では、削ったり形を整えたりする歯科技工のテクニックを身につけます。

この実習が、歯科技工士の業務に直結する最も重要で歯科技工士らしい実習といえます。

2年次に入ると、歯科技工演習において1年次で身につけた基礎的な歯科技工技術をより深め、実際の現場で役に立つスキルを磨きます。

また、パソコンを使った歯科模型製作を3次元CAD・CAM装置で実際に行なっていきます。

特殊なソフトを用いますので、パソコンの技術や知識も不可欠です。

歯科技工士の学校選びのポイントは?

歯科技工士になるには、前述のとおり、専門学校と4年制大学、2年制の短期大学があります。

この養成機関で、2~4年の時間しっかりと学び、歯科技工士として必要となる知識・技術を蓄えていきます。

最も一般的なのは、数も多い2年制の専門学校で、現役の高卒生などはストレートで歯科技工士を目指す場合、2年制の昼間の課程で勉強するケースが多いといえます。

より幅広く、高度な歯科技工技術を身につけ、スキルと知識のある歯科技工士になりたいと考えるなら、さらにじっくりと学ぶことができる3年制の専門学校を選択する方法もよいでしょう。

一方、4年制大学では、一般教養科目や歯科技工技術の習得はもちろん、座学として生体工学や再生医療学などの講義や実習も行われています。

大学卒業の学位を考えると、もし将来的に歯科技工士以外の道を選択する可能性も考慮し、4年制大学や2年制の短期大学に進学するほうが長い目で見ると無難である可能性もあります。

また、専門学校のなかには夜間過程を設けている学校もあり、社会人が多く選択する学び方です。

まずは、最短で歯科技工士となり現場で技術を学んでいきたいのか、もしくは、歯科技工士の分野を幅広く学びたいのか、経済的な理由は大きいのかなど、それぞれの状況によって選ぶ学校は必然的に決まってきます。

どのような学び方をして、どんな歯科技工士になりたいのかをじっくり考え、学校を選ぶ必要があるでしょう。

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歯科技工士に向いている人

では歯科技工士に向いている人は、どのような適性がある人でしょうか。

手先の器用さ

スケールや彫刻刀などの器具を用いて加工物を作る仕事のため、まずは手先が器用であることが必要です。

患者さんの身体の一部となるものであるため、少しのずれも許されません。

1ミリ以下の正確さが求められる、職人並みの精確な作業が苦にならないことが最も大事な適性です。

忍耐力のある人

歯科技工物の製作や調整には、長時間の細かい作業を続けることが強いられます。

長時間に渡り作業に集中することができる集中力や根気、忍耐力が求められます。

好奇心があり試行錯誤を惜しまない人

歯科技術は日々技術が進歩し、新しい技術や素材が生まれており、それは歯科技工も同様です。

最新の技術を学びたいという好奇心や探究心、また試行錯誤をしてより良いものが作れるようなモチベーションがあることが好ましいでしょう。

歯科技工士に向いている人・適性・必要なスキル

歯科技工士のキャリアプラン・キャリアパス

就業環境や待遇面があまり整っていないことなどから、若い世代のなり手が少なく問題視され始めている歯科技工士ではありますが、予防歯科や歯科治療に対する世間一般の意識が高まっていることや、高齢化社会を迎えているなかで、ますます期待が高まっている職業でもあります。

歯や口腔内が健康でないと、食事がうまくできず、十分な栄養を取得できない恐れがありますし、全身の健康に影響を及ぼすことも知られています。

また、歯が弱くなるとなかなか元気になれず精神的にも落ち込んでしまう傾向があります。

自分で食べ物をしっかり噛め、食事ができるようにすることは、高齢者だけでなくヒトにとって、健康面だけでなく精神面でも大切なこととされています。

そういった側面からも、確かな腕を持つ歯科技工士は歯科の分野でなくてはならない存在です。

また、昨今乱立が言われている歯科クリニックの経営は厳しいところが多く、経費を抑えるためにも義歯を中国やベトナムなどの人件費の安い国から輸入するという現象が起きています。

低価格化が進むと価格競争をうみ、結果歯科技工士の待遇悪化につながっている面もあります。

反面、日本の歯科技工力の高さは世界でもしっかりと評価されており、日本の国家資格を持つ歯科技工士がアメリカなどの海外で活躍するケースも増えており、活躍のフィールドは広がる傾向にあります。

歯科技工士を目指せる年齢

歯科技工士になるための年齢制限はとくにありません。

歯科技工士として働くためには歯科技工士免許が必要ですが、社会人になってから手に職を付けたい、また社会貢献のできる仕事に転職したいと考えて専門の学校に行き直し、歯科技工士を目指す人も少なくありません。

新しいことをまた一から学校に行って学び、学生をやりながら実習をこなしたりその先のキャリアパスを考えたりといったことは、一度社会に出た社会人としては勇気のいる選択かもしれません。

しかし、その分しっかりと学び、吸収して仕事に生かすという意欲は高いものと考えられます。

ただ、そうはいっても体力的なピークは人それぞれです。

細かく繊細な作業が要求される歯科技工士の業務においては、視力の衰えや長時間同じ体勢で加工や調整にあたる体力など、若いに越したことはないかもしれません。

新しい技術やコンピュータソフトなどもどんどん開発されています。

学校に入り、歯科技工士免許を取ることがゴールではないと考え、キャリアパスを検討したいものです。

参考:歯科技工士のデータ

歯科技工士数の推移

歯科技工士の数は、ほぼ横ばいの傾向です。令和2年時点での歯科技工士の数は34,826人でした。

歯科技工士数の推移_r2
出所:厚生労働省 令和2年衛生行政報告例

歯科技工所数の推移

歯科技工所の数は、ほぼ横ばいで推移しています。令和2年時点での歯科技工所の数は20,879となっています。

歯科技工所数の推移_r2
出所:厚生労働省 令和2年衛生行政報告例

年齢別の歯科技工士数

年齢別の歯科技工士数は、65歳以上が最も多くなっています。若い世代になるほど歯科技工士の数は少なく、今後歯科技工士の数が減少していくことが想定されます。

なお、歯科技工士の女性比率は50代では10%強ですが、25歳未満は56%となっており、女性比率の高まりが見て取れます。

年齢別歯科技工士数_r2
出所:厚生労働省 令和2年衛生行政報告例