眼科医の仕事内容・なり方や必要な資格・給料を解説

眼科医の仕事内容

最も重要な感覚である視覚を扱う仕事

高齢になると白内障や網膜疾患など、眼科疾患に悩む方は増えてきます。

また、若い方でも1日のうちでモニターをみる時間が長く、目の不調を訴える方も大勢います。そのような目の不調に対して治療するのが、眼科医の仕事です。

人間の五感を司る器官の中で、最も大切な感覚器は目だと考える人も多いでしょう。

外から入る情報の大半は目から入るため、視力の低下は人間にとって重大な障害になります。

眼科医の仕事は目と眼球周囲のほとんどで、近視、遠視はもちろんですが、老眼や白内障、緑内障、網膜症などの目の病気の診断や、それらの手術も行います。

時には眼球周囲にできる腫瘍についても診断し、治療に関わります。

眼科で行う手術は、基本的に顕微鏡をのぞきながら行うマイクロサージェリーです。

比較的短時間で済むものが多く、力はあまり必要としませんが、細かい作業が多く、高い集中力を持続させることが必要です。

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眼科医の就職先・活躍の場

病院・クリニックでの勤務・自身で開業・研究施設で活躍

病院やクリニックで勤務医として働くほか、自分で開業し、経営者として手腕をふるうことも可能です。

また、眼科疾患にも未だ治らない病気は多く、かつ失明にまで至ると生活の質が大きく低下してしまうため、眼科領域の研究は非常に重要です。

眼科医にとっては、大学で研究に関わることもひとつの選択肢になります。

眼科は比較的救急が少なく、ワーク・ライフ・バランスが良いので私生活を充実させたい方に人気があり、女性医師も多数活躍しています。

眼科医の1日

開院準備・午前の診察・昼休み・午後の診察

眼科医の1日は、医療機関によりさまざまです。病院勤務であれば外来診療、病棟業務、手術を中心に行います。以下に一例を挙げてみます。

9:00 出勤・外来
朝は入院患者の回診をした後、外来診察室で、外来患者の診断、処置、薬の処方を行います。
12:30 昼休憩
13:00 午後の診療 ときに手術
午前中と同様、外来患者の診断、処置、薬の処方などを行います。
曜日によっては午前もしくは午後に手術を行う場合もあります。
16:00 外来診療を終え、病棟へ
夕方に外来が終われば、病棟へ行き、病棟患者の回診や、看護師への指示出しなどを行います。
手術を予定している方への説明なども行います。
17:30 帰宅

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眼科医になるには

医師免許を取得後、眼科専門医を目指す

眼科医になるには、まず大学の医学部に入学して医学部を卒業する必要があります。

厳しい受験戦争を勝ち抜いて大学の医学部または医科大学へ入学し6年間で医師になるために必要なことを学び、医学部を卒業します。

そして医師国家試験に合格することが眼科医になるための第一段階です。

その後、2年間の初期臨床研修を修了してから眼科の後期研修を行います。

眼科専門医を取得する場合、2年の初期臨床研修に加えて4年の眼科臨床研修が必要となるため、医師免許を取得してから通常6年かかります。

その前後で大学院に進学し、医学博士を取得する方もいます。

また、海外に留学して研究生活に没頭するケースもあります。

眼科医の学校・学歴・学費

眼科医の学校・学歴・学費

日本では医師免許を有した医師であれば診療科を自由に標榜することができます。

つまり、医師免許をとれば誰でも眼科医を名乗ることは可能です。

しかし、実際には眼科領域は専門性が極めて高く、眼科以外のほとんどの医師は眼領域の疾患についてはほとんどわからないため、きちんと眼科研修を受けて、眼科専門医を取得することが大切です。

大学の医学部を終了するまでに必要な学費などは、個人差や選んだ学校によりさまざまです。

一概には言えませんが、国公立の大学であれば、年間で約60万円ほどです。

これ以外に必要な金額として、入学金・医学書の購入費用・医師国家試験の受験料・医籍登録の費用・眼科専門医の受験料などが必要になります。

私立の医学部や医科大学であれば、学費や寄付金などを含めて年間300万円から1000万円ほどかかります。

眼科医の資格・試験の難易度

眼科専門医を目指すには

眼科専門医になるには、日本眼科学会が眼科研修プログラムとして承認した施設で、一定の期間、眼科に関する検査、治療、手術などの研修を受け終了し、試験に合格しなければなりません。

さらに、認定試験を受験するために、自分自身で1本以上論文を書き、学会発表を2回以上行う必要があります。

認定試験は、眼科全般の知識を問う筆記試験や口頭試問などが行われ、合格率は約6割ほどと、他の科と比べても厳しめになっています。

一般的に6割が受かる試験といえば比較的受かりやすいイメージを持たれるかもしれませんが、早慶・東大レベルの大学を出て実務経験を6年以上積んだ受験者しかいないため、しっかり対策をしないと受かりません。

また、眼科専門医の資格は、5年ごとに更新をしなければ失効してしまいます。

更新には、眼科診療を継続しており、日本眼科学会総会や学術集会へ参加をすることによって単位を取得することなどが必要です。

計画的に単位を集めれば更新はさほど困難ではありませんが、きちんと眼科診療を続けている場合でないと更新しづらくなっています。

眼科医の給料・年収

眼科医は比較的高い収入を得られます

眼科医の給与・年収は、勤務医であれば年収1000万円~2000万円の間におさまることが一般的です。

基本的に他科の医師と変わりませんが、残業代で稼ぎづらいため、アルバイトのできない国公立病院では安めになります。

一方、眼科診療自体は手術の保険点数も高く設定されており、医療経済的には比較的稼ぎやすい科のひとつです。

開業して、短時間で高単価の手術を集中して行うことで、数千万円~1億円近くの収入を得ている眼科医もいます。

クリニック勤務でも、近視治療のレーシック専門クリニックで年俸4000万という求人もあります。

眼科医のやりがい、楽しさ、魅力

目のトラブルを持った老若男女への貢献

眼科の仕事は、大人、子供、老人、男女を問わず眼のトラブルに悩むあらゆる人に役立つ仕事です。

そして、眼科の仕事は近視・遠視・乱視などの日常的な目の病気の診断から、硝子体手術や角膜移植まで、目に関することは何でも扱えるのが魅力です。

基本的に、ひとりで細かい作業をするのが好きな人は、楽しさを感じられるでしょう。

また、眼底検査をすることによって、内科的疾患(高血圧や糖尿病、動脈硬化)を見つけることもやりがいのひとつですし、何より、ほとんど見えなくなった患者さんがまた見えるようになったと感激されているのを見ることは、眼科医として喜びを感じる瞬間です。

眼科医の辛いこと、大変なこと

効率がよく、手際のよい診療が必要

眼科は、数多くの患者さんを診察しなければならず、テキパキと効率よく仕事をこなすことが必要になります。

目の中をみて一瞬で所見をとる必要があり、手際のよさがないと時間内に仕事を終えることができません。

眼科医はスペシャリストであり、専門性が高い科ですが、その反面全身管理は不得意です。

院内で急変した患者さんがいた場合に自信を持って救命処置を行える眼科医師は少ないでしょう。

「何でも診てくれるお医者さん」に憧れて医師になった人には向かない科かもしれません。

眼科医に向いている人、適正

オンオフをはっきりさせて、仕事に打ち込める人

眼科は専門性の高い科であるため、ひとつのことを突き詰められる人に向いています。

また、ひとりで行う手術も多く、そもそも細かい作業が多いこともあって、プラモデル作りやアクセサリー作りなど、細かい作業が得意な人に向いているといえるでしょう。

また、自身で目の問題を抱えていたり、身近で視力の弱い方がいたり、目の問題に悩む人のつらさを分かってあげられることも大切です。

目しか診ない科なので、それだけ目に対して興味を持ち続けることも重要なことです。

眼科医を志望する動機・目指すきっかけ

これから需要が拡大しそうな診療科の一つ

眼科医を目指す人のきっかけはさまざまです。

「見えることの大切さに気付いて」「眼に関して検査・診断・治療まで自分ででき、手術も若いうちからたくさん経験できる」「医療の研究を熱心に行いたい」「残業が少ないので、子育てと両立しやすい」「安定した生活ができ、収入も高い」「眼球の中が宇宙みたいできれい」といった理由などです。

眼科では緊急の手術が少なく、当直も少ないので、仕事だけでなく私生活も充実させたいワーク・ライフ・バランスを重視する方が志望する傾向にあります。

眼科医の雇用形態、働き方

個人個人の事情に合わせた働き方が可能

眼科医は、大学に残って教育や研究、臨床に励む、または、病院やクリニックで雇用され働くか、または、自身で開業することも可能です。

眼科の病院勤務医は全体の4割弱で、あとの6割強が開業医またはクリニックの勤務医です。

女性の眼科医が子育て中の場合には、時短勤務やパート・アルバイトなどの働き方をされている眼科医も多くいます。

眼科医の勤務時間・休日・生活

緊急対応や休日勤務も少ない生活が可能

眼科医の勤務時間は、勤務先や病院によって大きく異なりますが、基本的には、平日朝から夕方まで、土日は休みというパターンが一般的です。

病院によって、当直ローテーションに入っている場合があり、夜間の院内の点滴・処方や急変対応をすることもあります。

眼科医としては、休日や夜間に緊急対応することは比較的少なめです。

結婚・出産・子育てなどにおいても勤務時間の調整がしやすく、女性としてや個人の生活を大切にしたい方には適しています。

眼科医の求人・就職状況・需要

高齢化が進み今後眼科医の需要は高まる

高齢化が進む日本では、白内障、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症などの疾患は多く、パソコンや携帯電話の普及によるvisual display terminal(VDT)作業の増加による目の負担も増える一方であり、眼科医の需要は今後も高いままでしょう。

ただし、眼科は人気のある科であり、毎年眼科医は増えています。

とくに女性医師が多いため、短時間でコストパフォーマンスよく稼げる職場に入ることはやや難しくなってきています。

一方、手術や診療の経験を多く積んできた医師であれば、重宝されます。

眼科医の転職状況・未経験採用

眼科専門医を取得できる施設での研修が必要

眼科未経験の場合は、まず眼科専門医を取得できる施設で研修することを目指しましょう。

眼科はそのワーク・ライフ・バランスのよさから、女性医師が選択する科として人気です。

そのため、中には腰掛け的に在籍して資格をとり、あとは楽なアルバイトだけをして過ごす医師もいます。

そうした状況に対して、最近では制度の変更などにより大学病院やその関連の大きな病院で研修をしないと専門医がとりづらい状況になってきています。

基本的に、少なくとも専門医を取得するまでは大学医局に所属することが一般的でしょう。

眼科医の現状と将来性・今後の見通し

将来性があり今後も伸びる可能性がある

日本人の失明率は米国都市部の白人層の約半分以下と低く、日本の眼科医療とそれを支える医療制度は世界でもトップレベルです。

超高齢化社会を迎えた日本において、加齢黄斑変性症、白内障、緑内障や糖尿病患者の増加が予想され、網膜症の発症例も増加し眼底検査などの必要性が高まってきています。

また、スマホやパソコンなどの視覚機器の利用が増え、それに伴い目の不調を感じる方も次第に増えつつあります。

きちんとした研鑽を積んだ眼科医の需要は今後もしばらくは高い状況が続くでしょう。