助産師になるためにはどんな勉強が必要? 学生生活は?

助産師になるために学ぶことは?

助産師国家試験の受験資格を得るためには、4年制大学の助産師養成課程に通う、あるいは看護師免許取得後に助産師養成学校で1年学ぶなど、最短でも4年かかります。

ここでは、助産師を目指す人が、助産師学校で学習することについて紹介していきます。

通う学校により授業内容の詳細には多少の違いがありますが、どの助産師養成校でも、厚生労働省の指導要項に準じた助産師養成カリキュラムが設けられています。

基礎助産学

基礎助産師学では、文字通り助産師という仕事の基礎を学ぶ重要な科目です。

具体的には、以下のような科目が挙げられます。

  • 助産師の歴史や社会的役割を学ぶ「助産学概論」
  • 女性の体と妊娠の仕組み、婦人科疾患について学ぶ「人間の性と生殖」
  • 妊娠・分娩・産褥について学ぶ「生殖の生理と病態」
  • 母親の心理や現代社会における母子のあり方を学ぶ「母子の心理・社会学

そのほか「生命倫理」「母子の健康」などもあり、どれも助産師学の基本となる重要な基礎科目です。

助産診断・技術学

助産診断・技術学では、実際に助産師として仕事をする上で必要な技術を学びます。

具体的には、以下のような技術を習得します。

  • 妊産婦の検診の仕方
  • 母親学級の指導計画
  • 分娩の介助技術
  • 沐浴・授乳など産褥期(さんじょくき)の指導
  • 新生児介助の技術

妊娠~出産~産褥期における助産活動のすべての範囲が対象になります。

また、助産活動は、初潮を迎えてからの性教育や知識の普及、更年期障害など、女性のライフサイクル全般に関して行なわれるため、それに応じた助産技術も習得する必要があります。

地域母子保健

地域における母子保健活動や、地域保健行政のあり方、活動についても学びます。

昨今では、行政や学校などでの講義や啓発活動などに助産師が関わる機会が増えています。

専門家として指導者的立場になることも今後は増えていくでしょう。

助産管理

助産師として仕事をする上で必要な法律や、よりよい業務を行なうための産院や産科のあり方を学びます。

学内実習

助産師に必要な知識と技術を座学で学んで習得出来たら、指導者のもと、現場で実践する「実習」があります。

実習を行なう前には、学内で十分な学習はもちろん、技術に関する演習をこなします。

たとえば、赤ちゃんをお風呂に入れる演習は、人形を使い、実際の赤ちゃんだと思って声をかけながら行います。

この時、お湯の温度は適切か?赤ちゃんの持ち方はよいか?など実際に起こり得るケースを体系立ててしっかり学び、一定レベルに達するまで演習を繰り返します。

臨床での実習を行なうのに十分な技術を身につけることで事故を防ぐと共に、自信を得ることができます。

助産師免許を取得するにあたり、「実習が一番大変だった」という声は少なくありません。

しかしながら、実習を乗り越え、実地で使える技術や知識を叩きこむことが、いざ仕事をスタートしてから大きく生きてきます。

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

助産師の学校の入学から卒業までの流れ

助産師になるための学校では、入学から卒業までのカリキュラムや流れに大きな差はありません。

なお、助産師養成学校の一部は病院附属の学校となっており、この場合は全寮制になっているケースも見られます。

入学とともに入寮し、同じ学年の数十名で卒業までの間、ひとつ屋根の下で時間を共に切磋琢磨します。

どの学校でも、入学式が終わるとすぐに授業が開始になることが多く、必修科目中心に時間割は埋まります。

授業の中で宿題が課されたり、4~5人で組んで話し合いをしながら課題をこなグループワークを行ったりし、課題に追われる日々を送ります。

アルバイトをしたり、自分の時間を持ったりといった時間的余裕は、一般学科の学生と比較すると少ないことは否めません。

学期中には何度も試験があり、それをパスしないと単位がもらえず卒業することができないため、試験勉強はなかなか大変です。

卒業後すぐに国家試験が待っていることもあって、学生は高いモチベーションで真剣に試験対策に臨みます。

冬が近づくと、国家試験対策が始まります。

冬休みは2週間ほどで、この時期に国家試験の勉強を集中して行いながら、卒業試験の対策も並行して進めます。

助産師の学校の実習

臨地実習の目的は?

助産師養成学校では、助産師としての学習と平行し、夏頃から「臨地実習」が始まります。

臨地実習とは、助産師を目指す学生が、学校で身につけた知識と技術を実際に医療機関や保健機関で展開、学習することをさし、全員がこなさなければいけない必修科目です。

実習先は、病院、助産所、周産期センター、保健センターなどで、助産診断技術実習や地域母子保健実習、助産管理実習などを行います。

そのうち、助産師診断技術実習は妊娠・分娩・産褥期における、妊婦検診、分娩介助、産褥介助、各期毎の指導を行います。

これは全実習の約8割を占めるとても重要な部分です。

とくに分娩介助は、実習の中でも最も緊張する瞬間であると同時に、助産師の仕事の醍醐味を感じる瞬間です。

実習を経験して、学生は助産師の仕事をリアルに感じることができます。

実習期間中はレポートの作成にも追われます。

実習はスケジュールも大変

臨地実習は、大学や専門学校などの種類に関わらず、すべての看護師・保健師の養成学校でも行われます。

専門的技術を習得する非常に重要で有意義な教育課程ですが、助産師の臨地実習は、看護師や保健師にはない特徴があります。

それは「夜間も実習を行なう」「突然呼び出されることもある」ということです。

助産師学校では、実習において、助産師および医師の監督の下で8~10例の正常分娩の介助を行なわなければいけません。

しかしながら、お産はおおよその出産予定日はわかっても正確な出産日時はわかりませんから、実習期間に入ると、いつでも分娩介助に入れるように夕方~夜まで病院や寮で待機します。

これをオンコールといい、医療現場の医師や助産師はこの体制で業務にあたっているため、実際の現場に大変即した実習であるともいえます。

とはいえ、自分が待機している時にお産がないこともあり、助産師学校の学生にとって、この「分娩介助10件」を行なうことは大きな課題です。

ときには、試験期間に重なって苦労することがあります。

命の誕生に関わるための大切な時間

このように、助産師を目指す人は、助産師養成課程の学生生活の間で実に多くのことを学び、実習をこなしていきます。

肉体的・精神的にハードな局面もあるため、助産師になりたいという志はもちろん、体力も必要になります。

これらの座学や実習での学びを通して、学生たちは助産師という仕事と本気で向き合っていく覚悟をもつようになります。