製薬会社の現状と将来性

製薬会社の現状

買収や提携が進んでいる

国内の医薬品業界規模は、2018年の厚生労働省「薬事工業生産動態統計調査」によれば、6兆9077億円となっています。

医薬品開発の最大の特徴は、開発にかかる費用が高額で、開発期間が長期にわたることです。

新薬の研究開発費用は一般的に数百億円以上かかるとされ、販売されるまでの期間は臨床試験も含めると9~16年ほどかかります。

近年、医薬品の研究開発費は増加傾向にあり、1社当たりの研究開発費は2004年に621億円だったのが、2017年には1,414億円となっています。

日本市場では医療費抑制のための度重なる薬価改定で成長が鈍化傾向にありますが、最大の市場である米国市場は伸びています。

こうしたなか、国内の製薬会社は新薬開発に力を入れると同時に、欧米企業との買収や提携を積極的に進めており、企業規模や事業領域の拡大を目指しています。

「特許切れ」に対する課題

製薬会社には、既存の商品の「特許切れ」の問題がつきまといます。

製薬会社が開発した医薬品は、特許を出願した日から20年間しか特許権が認められません。(ただし、新薬開発には安全性の確保などのために相当な時間がかかるため、申請によって「特許発明の実施をすることができない期間」として5年を上限に特許の延長が認められます)

この期間中には莫大な利益があったとしても、特許が切れると「ジェネリック」と呼ばれる後発医薬品の進出によって利益が激減してしまう、いわゆる「パテントクリフ」という現象が起きます。

主力医薬品の特許切れを目前に控えている製薬会社は、自社による新薬の開発や販売ができなければ、合併・吸収など他の方法で経営の根幹を見直さざるをえなくなります。

このような主力医薬品の特許切れとパテントクリフの問題、新薬開発の困難さは、多くの製薬会社を悩ませる問題となっています。

製薬会社の需要

大手製薬会社は社員数が多く、全国に拠点を構えているため、採用人数は多めです。

毎年、定期的に数十人単位で新卒の若手人材を採用する企業が多いです。

製薬会社には多様な職種の社員が活躍していますが、研究開発職に関しては理系の高度な専門知識が必要とされます。

薬理学や化学系を専門に学んだ人のなかでも、自社に必要な専門知識を狭く深く身につけている人を採用する傾向があり、大学院博士了の人が採用されるケースも多いです。

一方、製薬会社の総合職採用では営業職である「MR」としてキャリアをスタートするのが一般的で、大学卒の人も歓迎されます。

MRは文系・理系問わずに応募しやすく、将来的には経営幹部を目指す道が開かれる企業が多いです。

近年はジェネリック医薬品開発に力を入れる製薬会社も増えていますが、ジェネリックメーカーは中小規模の企業も多く、大手製薬会社に比べて採用人数が少ないケースが目立ちます。

製薬会社の将来性

現代社会は医学や科学の発展がめざましく、医薬品の研究開発についても、世界中の企業で激しい競争が繰り広げられています。

国によって国民の体質や食生活が違うことから寿命やかかりやすい病気に多少の違いはありますが、多くの国で共通の死因となっている「がん」「動脈硬化症」「心疾患」「糖尿病」「高血圧」に関しては、とくに新薬の開発が盛んです。

また、これからの時代は高齢化が進むため「認知症」や「パーキンソン病」などの患者数が増加する見込みもあり、こうした分野に力を注ぐ企業も増えています。

とくに患者本人の精神的な負担や家族の介護の負担、そして社会的な経済負担が大きい「アルツハイマー病」は患者数も市場規模も莫大なものとなっており、予防薬や治療薬の開発に、全世界の製薬会社が社運をかけて臨んでいる現状があります。

製薬会社社員の今後の活躍の場

近年、国内の製薬会社は競争力を高めるため、海外企業との吸収や合併を進める傾向が見られます。

この背景には、国内市場が縮小傾向にあることや、医療費抑制にともなう薬価引き下げの影響で利益が出しづらい状況に陥っていることなどがあります。

すでに日本の製薬業界では海外販売にシフトする傾向が見られ、売上シェアが大きなメーカーのほとんどは、売上高の半分以上を海外に依存しています。

今後の製薬会社は、ますますグローバルな視点が求められていくでしょう。

さらに、最近の製薬会社は新たな製薬技術として「バイオ医薬品」分野の開発に力を入れはじめています。

AI技術を融合させ、研究開発の期間を縮小させる動きもスタートしており、デジタル技術の活用が大きな課題となっていくものと考えられます。