私たちの安全・安心な暮らしを守るために、さまざまな専門職が活躍しています。

ここでは、人の命や、社会の治安・安全維持に貢献する「保安」系の職業・仕事の種類について紹介しています。

公務員として働く仕事や、海外との関わり合いが強い仕事もあります。

正義感の強い人や、体を張って社会の安全を守りたいと考えている人には、きっと気になる職業が見つかるでしょう。

保安系

人の命や、社会の治安・安全を守る仕事です。 警察や消防をはじめ、公務員として国や自治体の専門機関に所属して働きます。 正義感や使命感、公正・公平に物事を見る力などが求められます。

警察官

国・都道府県の警察組織に所属し、事件や事故の捜査や取締りを行って社会の治安を保つ。

警察官は、社会の治安と国民の安全を守る職業です。

警察の組織は、国家に関わる公安や警察組織全体の調整を行う「警察庁」と、各都道府県が管理し、その地域で発生した事件を担当する「都道府県警察」に分かれています。

警察庁勤務の警察官は「キャリア」と呼ばれるもので、こちらを目指すには国家公務員試験へ合格し、警察庁に採用されることが必要です。

一方、都道府県警察の警察官は地方公務員で、なるためには各都道府県で実施される警察官採用試験において採用される必要があります。

配属先は多岐にわたり、地域のパトロールや交通違反の取り締まり、犯罪の捜査など、多様な仕事をする警察官がいます。

警察官の勤務体系は、たとえば交番勤務の場合、夜勤も含めた変則的なスケジュールになることが多いです。

時に危険をともなう仕事ですが、その分、給料や福利厚生の内容は充実しており、使命感とやりがいをもって働いている人が大勢います。

仕事内容

なるには

給料・年収

学校

就職・転職

コラム

消防士

地方自治体の消防本部や消防署に所属し、火災の消火や救急活動を行って住民の安全を守る。

消防士(消防官)の仕事は、地方自治体の消防本部や消防署に所属し、消火活動や救急活動などを行って地域の人々の安全を守ることです。

消防士の活動内容は、大きく「消火」「救助」「救急」「防災」「予防」の5つに分かれます。

火災現場で火を消したり救助活動をしたりするだけではなく、交通事故や災害の現場で人命救助にあたることもあります。

加えて、火災を起こさないための啓蒙活動や、建物や設備の耐火性・安全性を確認する検査業務を行うことも、消防士の役割の一部です。

消防官になるためには各自治体が実施する「消防士採用試験」を受験して合格し、採用されなくてはなりません。

採用試験では学力試験に加えて体力検査も行われ、基礎的な体力があるかどうかや、健康状態がチェックされます。

勤務体系は、24時間勤務→非番日→週休日というように交代制となり、やや不規則です。

火事や災害の際にはすみやかに現場へ出動しなくてはならず、危険とも隣り合わせの職業ですが、その分、給料や福利厚生は公務員のなかでも恵まれています。

仕事内容

なるには

給料・年収

学校・講座

就職・転職

体験談

刑務官

刑務所など法務省管轄の刑事施設に勤務し、施設の運営や警備、受刑者の指導を行う。

刑務官とは、刑務所や拘置所など、法務省管轄の刑事施設に勤務する国家公務員のことです。

各種施設の運営管理と保安業務を担当し、収容者の適切な生活管理・教育指導を通じて、平穏で秩序ある施設内の生活を手助けします。

また、各種教育や訓練によって、受刑者の速やかな社会復帰と更生を手助けする職業です。

刑務官には、公的な任務に携わるための良識や人間性、一定の知識教養と運動・身体能力を所持していることが期待されます。

刑務官採用試験で筆記試験や人物試験などを受けて、合格し、採用された人だけが刑務官として働けます。

定員を超える受刑者を抱えている刑務所もあり、刑務官は男女問わず需要のある職業といえます。

ただし心身ともにハードな仕事であるため、目指すには強い使命感や覚悟が必要です。

仕事内容

なるには

給与・年収

就職・転職

コラム

法務教官

少年院や少年鑑別所に勤務し、非行を犯した少年が更生するよう教育や訓練、助言を行う。

法務教官とは、法務省の国家公務員として、非行に走った少年に対し、社会復帰ができるようにサポートする専門的職員のことをいいます。

おもに少年院もしくは少年鑑別所に勤務し、少年院では個々の少年らの気持ちに寄り添いながら、教育的な指導や生活態度の指導を行います。

また少年鑑別所へ配属された場合は、家庭裁判所から送致された少年について、法務技官とともに少年らの資質を調査することとなります。

職務の特性上、給与水準は事務などに携わる一般的な国家公務員の給与体系よりも、やや高めの基準が適用されます。

少年の心の安定を図りながら、社会復帰への専門教育を行ったり資質調査を行ったりするこの仕事は、精神的にも体力的にも易しいものではありません。

しかし、それだけにやりがいも大きく、社会への貢献度もある重要な仕事であるといえます。

仕事内容

なるには

給料・年収

就職・転職

コラム

麻薬取締官

違法な麻薬の流通と薬物犯罪を取り締まり、特別司法警察官として状況に応じて逮捕を行う。

麻薬取締官とは、薬物犯罪を取り締まり、薬物汚染から日本を守るための仕事をする国家公務員です。

麻薬取締官の所属は厚生労働省ですが「特別司法警察官」としての権限が与えられ、状況に応じた武器の所持が認められています。

麻薬取締官の主要な業務のひとつは、違法薬物の使用者の逮捕や、国外から密輸される薬物の取り締まりなどを行うことです。

また、医療用に使用されている麻薬の流通状況の監督や、不正使用防止のための助言、薬物使用に関する相談や啓発業務なども担当します。

麻薬取締役官になるためには、厚生労働省麻薬取締部の採用試験への合格が必要です。

基本的に4年制大学の法学部か薬学部を出ていることが条件となり、専門性の高い業務を担います。

麻薬取締官の定員は日本全体も300名弱であり、毎年の新規採用人数は若干名で狭き門となっています。

仕事内容

なるには

給与・年収

就職・転職

皇宮護衛官

皇宮警察本部に所属し、天皇・皇后両陛下や皇族の護衛と皇居、御所、御用邸の警備を行う。

皇宮護衛官とは、天皇・皇后両陛下や皇族の護衛と皇居、御所、御用邸などの警衛を行う国家公務員です。

警察庁の附属機関である皇宮警察本部に所属し、勤務地は皇居と赤坂御用地での勤務を中心とし、全国の御用邸などでも警備にあたります。

皇室行事の際には、各都道府県の警察と協力して警備を行い、国賓や海外の大使の皇居参内時における護衛にも携わります。

皇宮護衛官になるためには、皇宮護衛官採用試験に合格することが必要です。

高卒あるいは中卒からでも目指せる職業ですが、採用人数が少ないため、倍率は30倍を超えることもあります。

皇宮護衛官は国家公務員のなかでも特殊な仕事となり、警察官としての一般的な能力だけでなく、礼儀正しく教養豊かであることが求められます。

仕事内容

なるには

給与・年収

就職・転職

コラム

国境警備系

日本と海外をつなぐ空港や港などの場所に勤務し、日本の平和と安全を守る仕事です。 海の向こうから不審な人やものが運ばれないかや、外部からの侵略の可能性などに関して常にアンテナを張り、危険を未然に防ぎます。

自衛隊

「陸・海・空」から日本の平和と安全を守り、外部侵略に対して防衛する任務を果たす。

自衛官は、日本の平和と安全を守り、外部からの侵略に対して防衛する任務をもつ公務員です。

自衛隊の活動には、国家を守る「防衛活動」大規模災害のときに救助をする「緊急救助活動」海外の紛争地域で、その地域の平和を維持する「国際平和協力活動」などがあります。

自衛隊は非常に大きな組織のため、募集している職種が多岐に渡ります。

必要とされる学歴もさまざまであるため、自分が希望する職種の募集状況を確認することが必要です。

震災時の救助活動による活躍で、自衛隊に対する期待や注目度は高まりをみせています。

また、日本近海において緊張が高まっている現代では、防衛面においても自衛隊の重要性が増してきている状況です。

仕事内容

なるには

給料・年収

就職・転職

体験談

コラム

海上保安官

日本の海域を常に監視し、不審船の取締りや海洋情報を収集して海の治安と安全を守る。

海上保安官は「海の警察官」として、日本の海域を巡視船や航空機を使って監視し、海の治安と安全を守ります。

身分は海上保安庁に所属する国家公務員です。

おもな業務は、不審船の取り締まりなどを行う「警備救難業務」、安全な航海のための情報を集める「海洋情報業務」、海上交通の管理をする「海上交通業務」があります。

海上保安官になるための一般的なルートは「海上保安大学校」もしくは「海上保安学校」に入学し、1年~4年かけて所定の教育を受けることです。

在学中は学生でありながらも国家公務員の身分となり、給与をもらいながら海上保安官として必要な知識・技術を高めていきます。

広い領海をもつ島国の日本において、海の治安を守る海上保安官は高い需要のある職業です。

仕事内容

なるには

給与・年収

資格・試験

学校・講座

就職・転職

コラム

入国警備官

入国管理局に勤務し、日本への不法入国、不法滞在の疑いがある外国人を調査、摘発する。

入国警備官は、日本に不法に入国、あるいは不法に滞在している外国人を取り締まる法務省の国家公務員です。

日本各地の入国者収容所入国管理センターのほか、地方入国管理局や空港、港に勤務し、法律に違反している疑いがある外国人を調査し、違反が判明した場合には、身柄を拘束します。

拘束した外国人を収容施設に収容したり、本国へ送還するのも入国管理官の役割です。

入国警備官になるためには、入国警備官試験に合格することが必要です。

学歴の制限はありませんが、採用倍率は例年30倍前後と非常に高くなっており、難関の職業といえます。

入国警備官には、警察と同様に拳銃の所持などの権限が与えられており、日本の治安を守るための正義感が求められる仕事です。

仕事内容

なるには

給与・年収

就職・転職

入国審査官

空港や港の地方入国管理局などに勤務し、日本に出入国する外国人の審査と管理を行う。

入国審査官とは、日本各地にある空港や港において、日本へ入国する人の審査や日本にいる外国人の管理をし、国の安全を守る仕事をします。

具体的な業務としては、日本に訪れる外国人の入国の可否を決定する「出入国の審査」、不法入国や不法滞在者を取り締まる「違反審査」、在留期間の変更を審査する「在留資格審査」などがあります。

外国から日本へ、禁止されている薬物や武器などが持ち込まれないかや犯罪者が入ってこないかないか、あるいは定められた在留期間を超えて不法滞在をしていないかなどを厳しくチェックします。

入国審査官は法務省に所属する国家公務員であり、なるには国家公務員採用試験に合格したうえで、各地方の出入国在留管理局によって法務事務官として採用され、経験年数を重ねる必要があります。

外国人とコミュニケーションをとる機会が多いため、働く際には語学力が求められます。

仕事内容

なるには

給与・年収

就職・転職

税関職員

全国の空港や港で、輸出入貨物の審査・検査や手荷物の検査、不正薬物の密輸取締等を行う。

税関職員とは、日本各地の税関にて、税に関する申告の受付、輸入や輸出に関する書類のチェック、品物の検査などを行う国家公務員です。

日本から品物を海外に輸出するとき、また、海外から日本へ輸入するときに、関税や消費税などがきちんと払われているかをチェックして輸入や輸出の許可を出します。

また、麻薬や覚せい剤、銃などが不正に国内に持ち込まれないように水際で取り締まる役割も果たしています。

こうした税関職員の仕事は、凶悪犯罪やテロ行為を未然に防ぐことにもつながります。

税関職員として働くには、人事院が行う「国家公務員採用総合職試験」を受験し、財務省に採用される必要があります。

特別な資格は必要ないものの、採用試験の応募者は多く、競争倍率は高くなっています。

グローバル化が進む社会において税関職員の活躍にはますます期待が高まっており、強い使命感をもった熱意ある人材が求められています。

仕事内容

なるには

給料・年収

就職・転職

民間警備系

おもに民間の警備会社に勤務し、公務員とは異なる立場から施設の警備や人の警護にあたる仕事です。 人々が安心して日常生活を送れるように厳しく目を光らせ、不審者や不審物を発見したときは速やかに対処します。

警備員

工事現場や商業施設などの警備や人の警護を行い、人々と社会の安全・安心を守る。

警備員は、施設や人混みなどで警備をする「ガードマン」をイメージする人が多いですが、実際にはそれ以外にも警備員が担当している業務は多岐にわたります。

夜中の道路工事現場での交通誘導、ショッピングセンターでの館内案内、万引きGメン、要人警護、機械式警備のメンテナンスなど、警備員が担う役割は幅広くあります。

警備員のおもな就職先は警備会社です。

必要な資格や特別に必要な知識などはありませんが、警備業法では、新規に警備員を採用して現場に送り出す際には所定の教育を受けさせることが決められています。

依頼があると、目的に合った人数の警備員が各現場や施設などに送り出され、警備員は各現場で与えられた仕事を遂行します。

社会の安全を人知れず守る縁の下の力持ちという存在で、その重要性が増すのと同時に業務内容の専門性は高くなる傾向にあります。

「そこにいること」が警備員の最大の業務であった時代から、総合的なセキュリティサービス業へと業界全体がシフトし、専門的な知識を有する人材が活躍できる環境になってきています。

仕事内容

なるには

給料・年収

資格・試験

就職・転職

働き方

ボディーガード

公的機関や民間企業で、身辺警護や要人警護などの警備業務に携わる人のこと。

ボディガードは、「身辺警護」や「要人警護」などの警備業務に携わる人のことをいいます。

ボディガードの警護対象者となるのは、海外の著名人やロイヤルファミリー、企業要人、政府関係者などさまざまです。

ボディーガードになるために特別な勉強をする必要はありませんが、公的機関で働きたいのであれば、警察官や皇宮護衛官の採用試験を受けて警護を行う部門に配属されること、民間の警備会社であれば、各社の採用試験を受験して採用されることが必要です。

民間の場合、警備会社へ就職できたとしても「警備員」として、施設の見回り業務だけを担当する場合もあります。

重要な警護をするボディーガードになりたいのであれば、しっかりと訓練を受けてスキルを身につけていける環境を探し、経験を積んでいくことが重要だといえるでしょう。