警察官の採用状況(大卒・高卒)

都道府県警察の採用状況概要

都道府県警察官の定員数

地方公務員である都道府県警察官は、各自治体によってその定員数が定められています。

全国の都道府県警察すべてを合計した数はおよそ26万人ですが、各自治体の定員数は基本的に人口に比例するため、都道府県ごとの差がかなり大きくなっています。

4万人を超える警視庁(東京都)を筆頭に、北海道、埼玉、千葉、神奈川、愛知、大阪、兵庫、福岡の8道府県は、職員数が1万人を超えています。

その一方、大半の都道府県警察は5,000人に満たず、地方では1,000人~2,000人規模の警察が目立ちます。

同じ警察といっても、4万人を抱える組織と1,000人の組織では、仕事の進め方や個々の役割分担など、さまざまなものが違ってくるでしょう。

都道府県警察の採用人数

例年、どの都道府県警察でも警察官の採用を実施していますが、上記のとおり職員数自体に大きな開きがあるため、その採用人数もばらばらです。

警視庁の採用人数は毎年1,000人前後、職員数1万人を超える都市部の警察は150人~300人、そのほかの地方警察は30人~100人ほどです。

なお、採用は学歴別・男女別に行われるうえ、都道府県によっては年に2回~3回の採用試験が実施されることもあるため、それぞれの試験における採用枠は少ないところでは数名単位となります。

詳細については、就職を希望する地方自治体のホームページなどを参照してください。

都道府県警察の採用倍率

各地方自治体、学歴や男女といった区分、試験実施回など、すべてを合計して平均化した都道府県警察官の採用倍率は、およそ7倍~10倍とされています。

採用人数の多いところのほうがチャンスも大きいように思う人もいるかもしれませんが、実際の傾向としてはむしろ逆となっているケースが目立ちます。

一概にはいえないものの、採用枠の多い都市部のほうが就職希望者数も多いぶん高倍率となり、反対に地方では、自治体によっては2倍~3倍程度のところも見受けられます。

また、実施回数が複数ある場合、第2回や第3回よりも第1回目のほうが倍率が低くなりやすいようです。

相対的に競争の厳しくない枠を狙っていくなら、人口の少ない地方警察の第1回試験を受けるとよいかもしれません。

都道府県警察の採用状況(大卒)

大卒者の採用区分は、警視庁では「Ⅰ類」と呼ばれますが、そのほかの自治体では「A区分」、あるいは単純に「大卒区分」と呼ばれます。

自治体にもよりますが、高卒区分よりも大卒区分に多くの採用人数が割り当てられていることが一般的で、警視庁を例にとると採用枠全体の7割ほどが大卒者です。

採用倍率については、警視庁の場合、男性で5倍~9倍、女性で6倍~11倍前後で推移しています。

そのほかの都道府県警察は、男性で3倍~6倍、女性で4倍~7倍のところが多く、警視庁と同様、採用枠自体が少ないせいもあって、わずかながら女性のほうが倍率が高いようです。

都道府県警察の採用状況(高卒)

高卒者の採用は、警視庁では「Ⅲ類」、ほかの都道府県警察では「B区分」または「高卒者」という名称で実施されます。

近年の採用倍率をみれば、警視庁では男性で5倍~8倍、女性で4倍~7倍と、あまり大卒との差がありません。

しかし、そのほかの都道府県では地方自治体によってかなりばらつきがあり、男性で2倍~12倍、女性で3倍~13倍程度です。

採用倍率=難易度というわけではありませんが、高卒者の場合は、ある程度「警察官になりやすい道府県」と「なりにくい道府県」が分かれているといえます。

過去の採用状況を地方自治体のホームページから調べ、専願でも十分に就職できる可能性があるか、併願したほうが望ましいかなどを検討しておくとよいでしょう。

警察庁の採用状況

警察庁に勤務する警察官は、国家公務員総合職採用試験を受けたいわゆる「キャリア」と、国家公務員一般職採用試験を受けた「準キャリア」の2種類に分けることができます。

ただ、いずれもその採用人数はごくわずかであり、キャリア・準キャリアをすべて足しても10名~20名前後、うち女性は数名程度です。

採用対象も大卒者に限定されるうえ、全国各地から難関大学の学生が多数集まりますので、できる限り高学歴であることが求められます。

毎年、全国合計で15,000人前後の採用が実施される都道府県警察と比較すると、警察庁の採用状況はきわめて狭き門であるといえるでしょう。