消防士の勤務時間と休みの日を解説・勤務形態の種類は?

消防士が働く消防署では、24時間365日いつ起こるかわからない火災や災害などに備え、誰かが常に出動できる体制をとっています。

そのため、多くの消防士が「交替制」で働いており、夜勤や土日に仕事をすることも珍しくありません。

ここでは消防士の勤務体制や休日について詳しく解説します。

消防士の勤務体系は特殊

消防士の勤務体系は、大きく「交替制勤務」と「毎日勤務」の2パターンに分けることができます。

また交代制勤務は「2部制(2交替制)」と「3部制(3交替制)」があります。

どのパターンで働くかは、所属する消防本部によって異なります。

以下では、それぞれの勤務体系を詳しくご紹介しましょう。

交替制勤務(隔日勤務)

交替制勤務は、24時間36日いつでも消防署から出動できる体制をとるために、職員(消防士)が交替で勤務する働き方です。

「隔日勤務」と呼ばれることもあり、消防士の大半(8割ほど)が、この形で働いています。

2部制

交替制勤務の2部制とは、基本的に「当番→非番→休日→当番…」のルーティンでの交替勤務を指します。

4週8休サイクルで、この形をとっている消防本部が最も多いといわれています。

24時間勤務の後の非番日は残業が発生することもしばしばですが、基本的には自宅や寮に戻って体を休めることができます。

また、非番とは別に休日もシフト制で割り当てられます。

なお、しばしば誤解されがちですが、非番とは完全に休みという意味ではなく、事件や事故があれば出動することもあります。

3部制

交替制勤務の3部制とは、「当番→非番→週休→当番→非番→週休(ときに日勤)」に分かれる交代勤務を指します。

当番の日は24時間勤務で、2部制と同様に仮眠や休憩を挟みます。

3週6休のサイクルで当番の翌日は休みとなりますが、当番の曜日については基本的に週ごとに変わるため、休日の曜日も週によって異なります。

また、3週のうちに1回は朝から夕方にかけて働く日勤が設けられているのが特徴で、トータルの勤務時間は2交替制と同じです。

毎日勤務

毎日勤務は、基本的には「8時半から17時半まで」の時間帯で働く勤務体系です。

24時間通報を受けて出動する消防署で毎日勤務を採用しているケースはあまりなく、基本的にはデスクワークメインの消防庁の本庁が、この形をとっています。

また、災害に対する建物の安全性をチェックする予防業務を担当する職員は、この毎日勤務制が適用されることが多いです。

毎日勤務の場合は週休2日制となり、一般的な会社と同様に土日が休みとなります。

参考:勤務体制別 消防吏員数

勤務体制別消防吏員数_令3

出所:総務省消防庁 令和3年版 消防白書

消防士の勤務時間

消防士の勤務時間は、他の地方公務員と同じように1週間あたり38時間45分となっていますが、どのように働くかは所属する消防本部の勤務体系によってさまざまです。

消防士の特徴として、緊急の通報があれば365日24時間いつでも出動しなくてはなりません。

そのため、多くの場合では曜日関係なく「24時間勤務」と「非番」を繰り返す勤務時間をとり、誰かが常に働いている状況をつくっています。

とはいえ、配属先によっては平日の8時半に出勤して17時半には署を出るという働き方になるケースもあります。

自分が働きたいと考える自治体の消防署ではどのような勤務体系をとっているのか、調べてみるとよいでしょう。

消防士の休日・休暇

消防士の休日は、先に紹介した勤務体系の種類によって変わってきます。

毎日勤務をする場合には土日休みとなりますが、24時間勤務を含めた交替制での働き方をする場合には休日は不規則なものとなります。

消防士の業務内容は幅広く、緊急事態も発生するため、必ず決まった曜日に休みたいと思っていても、その通りにならないこともあります。

ちなみに、24時間働き続けるのは大変と感じるかもしれませんが、24時間のうちには食事休憩の時間や深夜の仮眠時間も含まれており、ずっと働き通しというわけではありません。

また勤務の後には非番日が設けられており、何もなければ実質的には休みのようなものです。

その翌日には完全オフの休日が入ることが多く、たくさん休める時間をとりやすいことは消防士の特徴です。(ただし、消防本部によって異なります)

また、1年間に20日の年次休暇(有給)があるほか、慶弔休暇、夏季休暇、ボランティア休暇、長期勤続休暇といったさまざまな休暇制度があります。

消防士の残業時間

消防士はシフトを組んで働くため、基本的には事前に決められた勤務時間内で仕事をします。

しかし、火災や災害現場への出動が必要になる案件の発生は予測ができないことであり、状況によっては残業をして対応しなくてはならない場合があると考えておいたほうがよいでしょう。

事務作業をする場合でも、膨大な書類をまとめなくてはならない日などに、1日に数時間程度の残業をすることがあります。

また、24時間勤務中には仮眠時間が設定されていますが、その時間は働いている時間とはみなされません。

しかし、仮眠時間中に救急出動や火災出動を行った場合には、一般企業でいう残業時間としてカウントされます。

残業をした場合には、いわゆる残業代にあたる「超過勤務手当」が支給されます。

消防士に夜勤はある?

2交代制あるいは3交代制で働く消防士は、24時間の勤務となるため、必然的に夜勤が含まれます。

夜勤中には事務処理や訓練・トレーニングを中心に行っていますが、まったく寝られないわけではなく、1回の勤務につき6時間半程度の仮眠時間が設けられています。

仮眠に入る時間は職場やその時々の状況によっても異なり、全員が一斉に寝ることはしません。

また、仮眠中も緊急案件があればすぐに出動できるように作業服(活動服)を着用します。

慣れるまでは「いつ呼び出されるかわからない」という思いから、なかなか身体を休めることができない消防士もいるようです。

消防士は忙しい? 激務?

人の命にかかわる現場に出動する消防士は、体力的にも精神的にもタフであることが求められます。

出動指令はいつ出るかわからないため、日によってはまったく休めない状況になることがありますし、救急隊はとくに忙しく、夜間でも連続で出動しなくてはならない日もあります。

身体を張って消火活動や救助を行わなくてはならない場面も多く、拘束時間が長くなりがちなことから、楽な仕事とはいえません。

ただ、先にも挙げた通り、交代制勤務は特殊な勤務体系によって非番や休みの日数が多く設定されているため、慣れてきたらプライベートも充実させることができるでしょう。

消防士の休日の過ごし方

人の命を守る消防士は決して楽な仕事ではないため、オフの日にはしっかりと心身をリラックスさせるなど、メリハリをつけていくことが大事です。

職場に人が足りていないなどの状況がなければ、年次休暇(有給)を使って連休をとることも可能です。

普段、忙しく働く消防士たちは、休みになると趣味のスポーツやアクティビティを楽しんだり、家族サービスに力を入れたりと、さまざまな楽しみ方をしています。

ただし、休日でも大災害があれば出勤を命じられることがあることは、この職業に就く以上、覚悟しておかなくてはなりません。

消防士の1日・生活スタイル

消防士の勤務時間は?のまとめ

消防士の勤務体制は特殊で、一般的な職業と比べると大変と感じる人が多いかもしれません。

一方で、仕事に十分なやりがいを感じており、働き方に慣れていけば、激務であることはさほど苦痛にならないと話す消防士もいます。

消防士は地方公務員として手厚い待遇があり、休日や休息時間も十分に与えられ、残業をした場合は手当も支給されます。

実際に働く際には、勤務中と休日でうまくメリハリをつけながら、心身の調子を整えていくことが大切といえるでしょう。