高卒から警察官になるには? 採用試験の難易度や高卒のデメリットとは

各地方自治体が実施している警察官採用試験には、基本的に大卒者を対象とした「Ⅰ類」や高卒者を対象とした「Ⅲ類」といったいくつかの区分があり、高校卒業してすぐ警察官になる人も大勢います。

学歴によって仕事内容が異なることはないため、警察官は高卒でも活躍しやすい職業といえるでしょう。

ここでは、高卒から警察官になるための具体的な方法やメリット・デメリットについて解説します。

警察官採用試験を受けられるのは何歳から?

警察官採用試験には、各区分ごとに年齢制限が設けられています。

上限については30歳、35歳など、地方自治体によって差がありますが、Ⅲ類の場合はどこも17歳です。

試験日程としては、9月中旬~10月中旬にかけて一次試験が実施されるケースが一般的です。

そのため最短では、高校3年生の秋に試験を受け、卒業と同時に警察官になることができます。

もちろん、高校を卒業してから試験を受けることや、たとえ在学中に受からなくても卒業後再受験することも可能です。

Ⅲ類の試験を受けて警察官になると、採用後に警察学校で10ヵ月間の研修を受け、集団生活をしながら警察官に必要な知識や技術を一通り教わります。

無事に修了すると、交番などに配属されて警察官として働き始めることになり、早い人では10代のうちからそのキャリアをスタートさせます。

高卒から警察官になる場合のメリット

採用試験の難易度が低い

高卒者をおもな対象とするⅢ類の試験は、Ⅰ類やⅡ類と比較すると、筆記試験が簡単だというメリットがあります。

Ⅰ類では、法律や経済、政策などの専門知識が問われるため、しっかりとした受験対策が必要です。

一方でⅢ類の内容は漢字の読み書きや作文といった一般常識の範囲内での出題であり、対策はそこまで難しくありません。

また、体力試験についても、若い年齢であることが有利に働きやすいでしょう。

早く実務経験を積める

高校卒業後すぐに警察官になった場合、大卒者と比較すると4年ほど早く社会に出て、警察官としてのキャリアをスタートさせることができます。

警察組織は、実年齢に関係なく勤続年数で先輩・後輩が決まるため、年上や同年齢の大卒者より立場的に上に立ち、指導することもあるでしょう。

また、経済的にみても、大学進学するケースに比べると学費がかからないばかりか、大卒者より4年分多く収入を得られる点は大きなメリットです。

高卒から警察官になる場合のデメリット

昇任スピードが遅い

警察官としての階級を上げるためには、その都度昇任試験を受けなくてはなりません。

試験を受けるために必要になる実務経験年数は、Ⅰ類よりⅢ類のほうが長く設定されています。

このため、Ⅲ類のほうがどうしても昇任試験を受けるスパンが長くなり、階級が上がりにくいことはデメリットといえます。

ただ、「警部」という階級以降になると、Ⅰ類・Ⅲ類で必要な実務年数に差はなくなるため、後から大卒者などに追いつくことは可能です。

また、そもそも組織内で出世することにそこまで強い関心がなく、現場でバリバリ働きたいという人にとっては、昇任スピードはそれほど重要ではないかもしれません。

離職の際には進路が狭まる

警察官の仕事は、常に危険がつきまとううえ、体力的にも精神的にも非常にハードであるため、離職率は決して低くありません。

厳しい上下関係、体育会系に近い組織風土など、人によって向き不向きが出やすい仕事です。

なんらかの事情で退職を余儀なくされたときには、民間企業などへ再就職する人が大半ですが、「高卒」という学歴は、大卒者と比べると不利になることは否めません。

離職した際に、希望の進路に進めない可能性があることは覚悟しておきましょう。

高卒でも警察官として活躍できる?のまとめ

高校卒業後に警察官になり、活躍している人も大勢います。

採用試験の難易度が低く、現場での経験を積みやすいというメリットがある一方、昇進スピードが遅いなどのデメリットもあります。

試験を受ける区分によって試験内容は大幅に変わるため、警察官を目指す場合は、できるだけ早く進路を決めることが大切です。

日頃から採用試験を意識してこつこつと準備をしておくとよいでしょう。