皇宮護衛官の仕事内容

皇宮護衛官の仕事とは

皇宮護衛官とは、天皇・皇后両陛下や皇族の護衛と皇居、御所、御用邸などの警衛を行う仕事です。警察庁の附属機関である皇宮警察本部に所属し、身分は国家公務員となります。

皇宮護衛官が所属する皇宮警察本部には、大きく分けて2つの仕事があります。

ひとつ目は「護衛」です。天皇皇后両陛下や皇族各殿下をいかなる状況下でも確実にお護りするのが役割です。

また、国賓や海外の大使などの皇居参内時における護衛も行っています。

ふたつ目は「警備」です。普段から皇居や御所、御用邸などへの不審者の侵入などを防ぎます。また、一般参賀などの儀式や宮中行事の際に、何事もなく平和に終わらせるように警戒・警備することも大切な仕事です。

皇宮護衛官の業務の内容

3つの部門がある

皇宮護衛官は、大きく「警務部」「警備部」「護衛部」の3つの部門に分かれて働きます。

警務部

皇宮警察本部の人事・総務・予算・福利厚生などを担当し、組織の基盤を支える役割を担います。

皇宮警察に所属する人たちの働きやすい環境づくりに取り組みます。

また、警務部・警務課の中には「音楽隊」があり、園遊会などの皇室行事で演奏を行うこともあります。

警備部

「儀礼服」という特殊な制服を着用し皇居、赤坂御用地、正倉院などの警備を行います。

また、天皇誕生日及び新年一般参賀、園遊会等の警備に必要な企画・立案を始め、装備資器材の配備・開発運用なども担当します。

さらに警察として管轄内での消防活動を唯一行うことも、皇宮警察の警備部門の特徴のひとつです。

護衛部

天皇・皇后両陛下や皇族各殿下のご身辺の警護を担当します。

白バイや騎馬で護衛にあたるほか、行事の際には各都道府県の警察との打ち合わせも行います。

語学力やスキー、テニスなどの技術も必要とされ、幅広い知識や能力が求められます。

皇宮警察には専門部隊もある

皇宮警察には、突発対応事案などへの対応をする「特別警備隊」や、火災が発生した場合に即座に消火活動を行う「消防隊」、また馬に乗って護衛を行う「騎馬隊」などの専門部隊も存在します。

これらの専門部隊も、皇宮護衛官のなかから本人の希望や能力、適正に応じて選ばれた人たちで構成されています。

警察と同じように、「白バイ隊」を目指すことも可能です。

ただし、皇宮警察の白バイ隊は、都道府県警のそれのように交通取り締まりをするのではなく、皇族の乗車する車の先導や護衛などを中心とする仕事を行います。

そして、天皇皇后両陛下、皇族各殿下を最も近くでお護りするのが「側衛官」です。

皇族が日本各地、また海外を訪問される際にも同行し、護衛を行います。

側衛官は、武道や体力、乗馬技術などに自信があるだけでなく、語学力、丁寧な立ち振る舞いや言葉遣いのよさなど、人間的にも優れていると認められた人のなかから選抜される、皇宮護衛官のエリートといえます。

いかなる場面においても「皇室守護のプロフェッショナル」という、強い責任感と志が必要になります。

皇宮護衛官の役割

皇室を護ること

皇宮護衛官が所属する皇宮警察本部は、明治19年(1886年)宮内省に「皇宮警察署」として誕生しました。

その後、 1954年には「皇宮警察本部」 と改称されましたが、創立以来「皇室守護」を目的とした国家機関で、大きな使命と伝統を持つ機関です。

こうした組織の下で働く皇宮護衛官に期待される最も大きな役割が、「皇室を護ること」です。

具体的には、日本各地にある皇居・御所・御用邸などの警備を行い、さらに天皇皇后両陛下や皇族各殿下が外出する際の護衛を担当します。

さらに各国大使が皇室を訪問される際の護衛、行事の警備などに携わるのも皇宮護衛官です。

国事行事でも活躍する

最近では、新天皇の「即位礼正殿の儀」などの皇室行事が大きな注目を集めましたが、このような皇室行事は日本の大事な行事として認識されています。

そうした各行事で警備を行い、無事にそれを終えるために力を尽くすのも皇宮護衛官です。

そのような場では、白バイや馬に乗ったりすることもあります。

また「儀仗勤務」といって、国事行事や国賓を接遇する際などに一糸乱れぬ動きで配置につき、護衛警備にあたる重要な役割を任されることもあります。

皇室に関わっていく業務の性質上、美しい所作や立ち居振る舞い、マナーなどが求められることも、皇宮護衛官の特徴です。

皇宮護衛官の勤務先の種類

皇宮護衛官が皇宮警察学校を卒業すると、まずは実戦経験を積むために皇居もしくは赤坂御用地内の護衛署に配属されます。

護衛署で約3ヵ月の勤務を行ったのち、再び皇宮警察学校に戻り、初任補習科生としてさらに2~3ヵ月間の勉強と訓練を行います。

それが終わると能力や適正などに応じて配属先が決まり、いよいよ皇宮護衛官として本格的な業務に就くことになります。

皇宮護衛官が配置される護衛署には、「坂下護衛署」「吹上護衛署」「赤坂護衛署」「京都護衛署」の4つがあります。

それぞれ担当区域が異なるのが特徴です。

・坂下護衛署(東京):皇居のうち宮殿および皇居東御苑などの警備
・吹上護衛署(東京):皇居のうち御所、賢所などの警備
・赤坂護衛署(東京):赤坂御用地(東宮御所・各宮邸など)および常盤松御用邸の警備
・京都護衛署(京都):京都御所、大宮仙洞御所、桂離宮、修学院離宮および正倉院(奈良県)の警備

また、神奈川県の葉山御用邸や栃木県の那須御用邸・御料牧場、静岡県の須崎御用邸も勤務地に当たります。

はじめは東京にある3つの護衛署のいずれかで勤務するのが一般的ですが、その後は本人の希望や能力、適正に応じて、より専門的な仕事に就くことも可能です。

たとえば、馬に乗って護衛を行う「騎馬隊員」や「白バイ隊員」を目指すことも可能ですし、「特別警備隊」といわれる突発対応時に対応する部隊もあります。

また、経験を積んでいき高い能力と適正が認められれば、皇族のすぐそばでお護りする「側衛官」になることも夢ではありません。

皇宮護衛官の仕事の流れ

皇宮護衛官には「皇室を護る」という明確な使命があり、個々の配属先や与えられた任務によって、仕事の流れはだいたい決まってきます。

たとえば、多くの新人皇宮護衛官が担当する「警備」の業務では、以下のような流れで働きます。

出勤後、前の勤務者から引継ぎを受ける
(護衛署等では、皇宮護衛官たちが24時間の交代制で警備を行っている)
 ↓
警備開始。不審人物が入らないか見張りを続ける。
 ↓
休憩
 ↓
決められた時間まで警備を続ける
 ↓
勤務時間中に、武道や乗馬などの訓練や行事準備などを行う場合も
 ↓
次の勤務者に引継ぎを行って業務終了

上記のように、基本的には担当の場所で警備にあたるのが最も重要な業務です。

ただし、それ以外にも体を鍛えるための訓練をしたり、行事が近い場合には準備を手伝ったりすることもあります。

皇宮護衛官と関連した職業

皇宮護衛官と似ているといわれる職業に「警察官」があります。

ただし、実際には皇宮護衛官と警察官の違いはいろいろとあります。

まず、皇宮護衛官と警察官では身分が異なり、前者が皇宮警察本部という組織に所属する国家公務員なのに対し、後者の大半は都道府県警察に所属する地方公務員です(ただし、一部の警察官は「キャリア組」として国家公務員の身分で働きます)。

そして、皇宮護衛官の管轄は日本の一部のエリアにある皇居や御所、御用邸となり、あくまでも「皇室を護ること」が使命となります。

一方、都道府県警の警察官は全国各地の交番や警察署に勤務し、事件や事故の捜査を行ったり、地域のパトロールや犯罪防止の呼びかけなど、さまざまな業務に携わります。

皇宮護衛官が一般市民と触れ合うことは日常的には多くありませんが、警察官は市民と深く関わりながら、地域の安全を守ります。

もちろん、皇宮護衛官と警察官ではなるための方法やルート、そして給料や配属先なども異なります。

警察官の仕事