警察官の年収・給料はいくら? 年収1,000万円の階級や初任給も解説

公務員である警察官の給料は国や自治体によって決められており、基本的には年功序列で昇給します。

社会や地域の安全を守るという厳しい業務の特性上、一般企業で働く会社員よりも高額な年収を得ることができ、待遇も充実しています。

ここでは、警察官の年収・給料の特徴について詳しく解説します。

警察官の平均年収・給料の統計データ

警察官の給料は、国家公務員であれば人事院が定める「俸給表」、地方公務員であれば各都道府県が定める「給料表」に則って支給されます。

警察官は、消防士などと同じ「公安職」に分類され、その職務の危険性などから、事務を担当する行政職よりも、やや高めの水準となっています。

基本的には年功序列で昇給していくものの、警察官の給料は、巡査や巡査部長、警部補、警視といった階級ごとに明確な差がつけられており、個人間のばらつきがかなり大きいのが特徴です。

ただ、それでも一般会社員の平均年収を超える水準であり、市民の安全を体を張って守るという尊い業務にふさわしい、手厚い待遇が期待できます。

総務省の「地方公務員給与実態調査結果の概要」によると、警察官の平均年収は約700万円ほどと想定されます。

ただし、都道府県警察に所属する警察官の場合、勤務する地域によっても大きな差がつきやすいです。

参考:総務省 地方公務員給与実態調査結果の概要

警察官の平均年収・月収・ボーナス

地方公務員給与実態調査を参照すると、ボーナスにあたる警察官の期末・勤勉手当は、月収の約4か月分支給されていることがわかります。

一般的な警察官の年収を700万円と想定すると、月収は約44万円、ボーナスは約175万円です。

そこから、所得税や住民税、社会保険料などを差し引くと、独身者の場合、月々の手取りは34万円~35万円、ボーナスの手取りは約132万円という計算になります。

警察官は、事件や事故に巻き込まれてけがをする心配は尽きないものの、経済的な心配はあまりないといえるでしょう。

警察官のボーナス

国家公務員のボーナスは法律で定められており、令和4年のボーナスは年間で標準報酬月額の4.4か月分となっています。

地方公務員のボーナスについては、国家公務員のボーナスを基準に決められます。

その金額は各自治体の予算によって決められるため、多少の差があります。

令和3年の場合、東京都の警察である警視庁のボーナスは4.55ヵ月、神奈川県警察や福岡県警察は4.45ヵ月でした。

新卒1年目からでも他の警察官と同じようにボーナスは支給され、初任給は23万円と考えると、ボーナスは約105万円と推測されます。

警察官の経験年数別の平均年収

地方公務員給与実態調査をもとに、警察官の経験年数別の平均年収を計算すると以下のようになります。

 

経験年数 年収のめやす
1年目~5年目 約500万円
5年目~10年目 約550万円
10年目~15年目 約650万円
15年目~20年目 約700万円
20年目~25年目 約750万円
25年目~30年目 約800万円
35年目以上 約850万円

警察官の年収は経験年数にともなって上がります。

勤続25年(50歳ごろ)には800万円を超える人も少なくありません。

勤務する自治体や階級にもよりますが、他の職業と比べると高い水準であることがわかります。

警察官の福利厚生・待遇と各種手当

公務員である警察官は、手厚い福利厚生や待遇の下で働くことができます。

また、特殊な業務に携わることに対する手当も充実しているため、基本給に手当が大きく上乗せされ、それが収入アップにつながっている面もあります。

福利厚生は充実

警察官の福利厚生は、以下のように非常に充実しています。

【警察官の福利厚生の例】

  • 健康診断費用
  • スポーツ観戦費用
  • ジム利用料
  • 旅行費用
  • 引っ越し費用
  • 運転免許取得費用の補助
  • また、警察官専用の独身寮や社宅も完備されているため、生活費を抑えやすいことも特徴的です。

    とくに警察官だけが加入できる保険は掛け金に対する補償が非常に厚く、民間保険と比べると、同程度の補償内容で3割ほど安いといわれています。

    各種手当が手厚い

    警察官には、一般的な公務員に支払われる手当のほかにも「特殊勤務手当」が支払われます。

    特殊勤務手当の例
    • 捜査等業務手当
    • 交通整理手当
    • 警ら手当
    • 爆発物等処理手当

    こうした手当が充実していることで、警察官は給料がアップしやすくなっています。

    ただし、手当が多いということは、それだけ責任があり、重要な任務についているということでもあります。

    警察官の退職金

    「令和2年地方公務員給与実態調査」によれば、地方公務員の警察職の60歳定年退職者への退職金額平均(鳥取県を除いた46都道府県)は2201.8万円です。

    上位の都道府県を見ると、1位が東京都(2305.9万円)、2位が神奈川県(2290.6万円)、3位が静岡県(2269.5万円)となっています。

    勤続年数が11年以上25年未満の定年退職では約1,122万円、勤続年数が25年以上の定年退職では約2,228万円となっています。

    退職金は退職理由によっても差があり、自己都合退職の場合は約296万円と、定年退職の場合に比べると圧倒的に金額が低くなります。

    高卒と大学卒の警察官の年収の違い

    令和3年度地方公務員給与の実態によると、高校卒区分の警察官の平均基本給月額は280,455円、短大卒区分の平均基本給月額は289,477円、大学卒区分の平均基本給月額は304,509円です。

    ボーナスを4.5か月分として計算すると、平均年収は以下のようになると考えられます。

    月給 年収
    高校卒 280,455円 4,627,508円
    短大卒 289,477円 4,776,371円
    大学卒 304,509円 5,024,399円

    高卒も大卒も、まずは現場で経験を積んでいきますが、階級を上げるための昇任試験を受けるのに必要な勤続年数には差があります。

    高卒者は4年間であるのに対し、大卒者は2年間となっているため、昇任していくスピードは、高卒より大卒のほうが早くなりやすいのです。

    そのため、得られる給与も大卒のほうが高くなる可能性が高いです。

    しかしながら、その後は経験年数と階級に応じて年収が上がるため、全体で見ると高卒と大学卒の年収差はそこまではっきり現れないと考えてよいかもしれません。

    【地域別】警察官の初任給

    警察官の初任給は学歴によって変わります。

    経験年数1年未満の警察官の平均給与は、大学卒で215,401円、短大卒で196,409円、高校卒で183,216円です。

    また、初任給は所属する都道府県によっても変わり、都市部のほうが高くなる傾向にあります。

    都道府県 初任給(大学卒の場合)
    東京都 253,300円
    神奈川県 244,000円
    大阪府 235,562円
    愛知県 238,900円
    福岡県 219,000円
    北海道 203,800円

    警察官の給料・年収の特徴

    ここからは、警察官の給料・年収の特徴について、さらに詳しく紹介します。

    特徴1.採用区分・学歴による差が大きい

    警察官の給料は、上述の通り所属している階級によって決まり、同じ階級であれば、どの採用区分で警察官になったとしても、基本的に同じ金額です。

    しかし、階級をあげるためには、昇任試験を受けて合格することが必要であり、この試験の受験資格を与えられるまでにかかる年数が、採用区分ごとに大きく異なります。

    警察官になった後、1度目となる巡査から巡査部長への昇任試験を受けられるのは、大卒程度のⅠ類は2年、高卒程度のⅢ類は4年であり、その次の警部補への昇任試験も同様です。

    このため、結果的に昇任スピードに大きな差が生じることになり、Ⅰ類試験を受けて警察官になった人と、Ⅲ類から警察官になった人では、平均年収にして100万円以上もの開きがあります。

    もちろんお金がすべてではありませんが、高収入を望むなら、警察官にとって学歴や採用区分は非常に重要な要素といえるでしょう。

    特徴2.地域差が大きい

    警察官は、所属する都道府県によって初任給に差があるのと同様、その後の昇給ペースについても地域差が大きいことが特徴です。

    警察官の年収を都道府県別にみると、人口が多く、税収が豊かである自治体ほど高給で、警視庁(東京)や大阪府、愛知県など、大都市圏の自治体が上位となっています。

    その一方、少子高齢化によって財政事情が苦しい自治体ほど給料が低く、青森県や熊本県、鳥取県、高知県など、各地方における人口の少ない県が下位に位置しています。

    最も高い警視庁の平均年収が約770万円であるのに対し、最も低い青森県では約628万円となっており、150万円近い差が生じています。

    ただし、人口の集中している都市部ほど治安が悪く、犯罪発生率も高くなりやすいため、仕事量という点からみれば、給料とほぼ正比例しているとみることもできます。

    繁華街に勤務して激務に追われるよりは、給料は安くても、地元でマイペースに故郷の治安維持に貢献したいという人も少なくなく、どの自治体の採用試験を受けるかは各自の考え方次第です。

    特徴3.給料に占める諸手当の割合が高い

    警察官の諸手当は、ほかの職業よりも圧倒的に数が多く、またその支給額も高めです。

    【警察官の諸手当の例】

  • 超過勤務手当(残業手当)
  • 通勤手当
  • 扶養手当
  • 住居手当
  • 地域手当
  • 寒冷地手当
  • さらに、業務の専門性や危険性の高さを評価した特殊勤務手当まで加えると、手当の合計支給額は月平均13万円を超えており、年収に換算すると約170万円にのぼります。

    このため、警察官の給料は、諸手当に占める割合が非常に高い点が大きな特徴といえます。

    諸手当は、採用区分や勤続年数、階級などに関係なく支給されるため、警察官は誰でも一定以上の待遇が保証されているといえるでしょう。

    特徴4.男女による年収の差はない

    警察官の年収は、男性も女性も同額であり、差はありません。

    警察組織では女性のキャリアアップにも力を入れているため、男女における仕事の差はほとんどなくなりつつあります。

    ただし、女性は出産や育児のために退職したり、夜勤のない仕事をしたりすることで手当が少なくなり、結果的に年収が低くなる可能性はあります。

    警察官の役割・職種別に見る給料・年収

    警察組織は非常に大きく、その内部はいくつもの部門や役割に分かれています。

    ここでは、警察官の役割や職種別の給料・年収の違いについて紹介します。

    キャリアの警察官の給料

    キャリア組といわれる、国家公務員総合職採用試験に合格した警察官、いわゆる「警察官僚」は、順調に出世すれば30代後半で年収1000万円前後、その後も最大2200万円まで昇給し続けます。

    キャリアの警察官は、都道府県警察所属の一般的な警察官とは、就職難易度も給与水準も、業務内容そのものも大きく異なります。

    そのため、別の職業とみなしたほうがよいかもしれません。

    準キャリアの警察官の給料

    国家公務員一般職採用試験を受けて警察官になった準キャリアの給料は、30代後半で800万円~900万円前後が相場であり、キャリアに近しい高水準となっています。

    しかし、その後はキャリアほど伸びず、年収1300万円前後で頭打ちとなります。

    ノンキャリアの警察官の給料

    各都道府県が実施する警察官採用試験を受けて警察官になった人は、地方公務員の給与体系が適用され、働き盛りとなる30代後半の年収は700万円前後です。

    警察官のうち99.9%はノンキャリアであり、刑事や鑑識官、白バイ隊員、機動隊など、有名な職務を担う警察官もほぼ全員ノンキャリア組です。

    警察官のキャリアとノンキャリアの違いについては、以下の記事で詳しく紹介しています。
    警察のキャリア組とノンキャリア組の違い

    年齢別に見る警察官の年収

    基本的に年功序列となっている警察官の給料・年収は、年齢によっても違いが出ます。

    年代別の警察官の年収を見ていきましょう。

    20代の警察官の年収

    各種データで公表されている年収や、経験年齢別の平均年収から見ると、20代の警察官の収入は、月収約22~25万円、ボーナスが約90~100万円、年収にすると約350~360万円です。

    各種手当などもあって、20代のうちから給料は高めとなっています。

    30代の警察官の年収

    30代の警察官の収入は、月収約30万円、ボーナスが約120~130万円、年収にすると約480~500万円です。

    30代になると、役職がついてくる人も少なくなく、年収がぐっと上がり始めます。

    40代の警察官の年収

    40代の警察官の収入は、月収約40万円、ボーナスが約150~170万円、年収にすると約600~650万円です。

    40代になると、昇進試験の結果によって年収に差が出始めます。

    50代の警察官の年収

    50代の警察官の収入は、月収約45~50万円、ボーナスが約150~200万円、年収にすると約800~850万円です。

    50代では勤続年数により給料が大幅にアップしますが、階級により年収に大きな差が出てきています。

    警察官が収入を上げるためには?

    警察官は、長く働き続けることはもちろん、階級を上げることでも収入アップが望めます。

    警察官が収入を上げる方法を以下で説明します。

    勤続して経験を積む

    警察官が一番年収をアップさせやすいのは、勤続して経験を積むことです。

    警察は他の公務員と同様に年功序列制であり、勤務年数が伸びれば給料も徐々にアップしていきます。

    昇進試験などに関係なく、真面目に働いていけば次第に給料は上がっていきますので、日々の業務をしっかりとこなしていくことが大切です。

    昇任試験に合格して階級を上げる

    警察官が自力で収入を上げるほとんど唯一の方法は、昇任試験を受けて、できる限りキャリアの早期のうちに上の階級にまで登っていくことです。

    試験勉強に励むのはもちろん、日々の業務を一生懸命こなして、上司からの高評価を得ておくことも必要ですので、昇任するには、平日も休日も他人より努力し続けなければならないでしょう。

    ただし、階級が上がれば上がるほど管理職としての仕事が増え、それに反比例して現場に出る機会は減少します。

    このため、あえて昇任試験を受けず、現場の最前線で働くことにこだわり続ける警察官も大勢います。

    キャリア組を目指す

    警察官の多くは地方公務員の立場ですが、「国家公務員採用総合職試験」に合格すると、いわゆる「キャリア組」になることができます。

    国家公務員の身分になり、警部補からのスタートになるため、地方公務員の警察官よりも早く上の階級に上がることができます。

    順調に出世すれば年収1000万円を超えることは珍しくありませんし、出世すれば2000万円を目指すこともできます。

    一方で、国家公務員採用総合職試験は非常に倍率が高く、倍率は10倍を超えることもあります。

    難関資格を乗り越えて合格しなくてはならない分、平均年収も高くなっているのです。

    警察官で年収1000万円を目指せる階級は?

    警察官で年収1000万円を目指すことができるのは、基本的には40代以上です。

    警察官は年功序列制であり、階級によって給料が決められているため、若いうちは努力をしても年収1000万円を目指すことは難しくなっています。

    若いうちから年収1000万円を目指す場合は、国家公務員採用総合職試験に合格し「キャリア組」を目指すとよいでしょう。

    公安職給料表のデータをもとに階級別の給料を考えると、「警部」「警視」になるころから号級によっては年収1000万円を超えてきますが、この階級に達するには勤続25年以上が必要です。

    キャリア組で一番階級の高い警視総監になると年収は2000万円を超えますが、警視庁のトップのため、全国で1名のみしかいません。

    地方警察官から警視総監になることはほとんどなく、キャリア組でない限り、警視総監になるのは難しいでしょう。

    「警察官の年収・給料」まとめ

    警察官の給料・年収は、一般企業で働く会社員の平均よりもずっと高く、とくにキャリア組や準キャリア組では高水準となっています。

    基本的には年功序列であるため、長く働くほど少しずつ収入はアップします。

    さらに大きく年収を上げたいのであれば、昇任試験を受けて階級をアップさせる必要があります。