法務教官の仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介

法務教官の仕事とは

法務教官は国家公務員の一つであり、非行に走った少年たちを再び社会復帰できるようにサポートするのがおもな仕事です。

法務教官になるには、法務省専門職員(人間科学)採用試験の法務教官区分に合格しなければなりません。

参考:人事院 法務省専門職員(人間科学)採用試験

採用後は少年院や少年鑑別所などに配属され、少年ら一人ひとりの気持ちに寄り添いながら、社会復帰に必要な知識を教育したり相談や助言などを行ったりします。

犯罪を犯してしまった未成年者と長い時間をかけてじっくりと向き合うことが求められ、精神的にも肉体的にも負担の大きい仕事です。

しかしその分、サポートしてきた少年たちが無事に社会復帰できたときには大きなやりがいを感じられるでしょう。

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法務教官の業務の内容

少年院での仕事

罪を犯した少年が家庭裁判所で保護処分の審判を受けると、少年院へ送られます。

少年院は、保護処分の審判を受けた少年たちが共同生活をしながら、必要な教育や訓練を受ける施設です。

ここで少年たちへの教育・指導を行うのが法務教官のおもな仕事です。

教育・指導といっても実際の仕事内容はさまざまで、たとえば資格取得のための訓練や体育などの授業を行ったり、採点や成績経過の作成といったデスクワークを行ったりします。

少年鑑別所での仕事

少年が罪を犯すと家庭裁判所で審判を受けることになりますが、その前に観護措置となった少年を収容するのが少年鑑別所です。

少年鑑別所は一定期間にわたって少年を収容し、規律正しい生活を送らせるなかで少年の資質を見極める場所です。

少年鑑別所に勤務する法務教官は、少年の相談に乗ったり助言を行ったり、罪を犯してしまった少年たちの心情の安定を図ります。

また法務技官と協力して、少年の人間性や性格をくみ取りながら更生の可能性を判断し、少年審判などに用いる資料を作成するのも法務教官の重要な仕事です。

刑事施設での仕事

少年院や少年鑑別所以外にも、刑務所や少年刑務所、拘置所などの刑事施設に勤務し、受刑者の改善指導にたずさわる法務教官もいます。

刑事施設では教科指導や就労支援指導に加えて、性犯罪や薬物依存症などの問題に取り組むための指導も行っています。

法務教官の役割

法務教官の役割は、少年犯罪を犯した未成年者を更生させ、社会復帰できるように指導・支援することです。

少年院を出所した少年が再び罪を犯すケースも少なくありません。

このような再犯を防ぐためには、少年院などの矯正施設において、法務教官が少年たちをしっかりと教育・指導し改心させなければなりません。

またインターネットやSNSの発展により、今後は少年犯罪の低年齢化や多様化がますます進行する可能性もあります。

安定した社会を作り上げていくうえで、法務教官はとても重要な役割をになっているといえるでしょう。

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法務教官の勤務先の種類

法務教官の勤務先には、少年院、少年鑑別所、刑事施設(刑務所や拘置所など)が挙げられます。

少年院については第一種から第四種まで4つの区分があり、非行少年の年齢や犯罪の程度、初犯か再犯か、薬物依存の有無などによって収容先が分けられています。

法務教官は国家公務員であるため数年ごとに異動がありますが、最初に採用された施設を所管する「矯正管区」の管轄地域内での異動が原則です。

矯正管区とは少年院などの施設を指揮・監督する機関のことであり、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・高松・福岡の全国8か所にあります。

参考:全国の矯正管区

大半の施設には近隣に宿舎が設けられており、宿舎費は原則無料です。

法務教官の仕事の流れ

法務教官は、家庭裁判所の審判の結果「少年院送致」となった未成年者一人ひとりと向き合い、非行を犯した少年たちが立ち直れるように教育や助言を行います。

少年院の収容期間は原則2年以内であり、その間、日常生活の指導やレクリエーション活動、基礎学力を身につけるための教科指導などを実施します。

また、少年鑑別所で働く法務教官は入所した少年たちの生活全般に関わり、落ち着いた気持ちで審判を受けられるように相談や助言を行うのがおもな役割です。

そのほか、施設見学の対応や職員の給料の支払いなど、施設を管理・運営する部署で働く法務教官もいます。

参考:法務省 法務教官とは

法務教官と関連した職業

法務教官と法務技官(矯正心理専門職)の違い

法務技官(矯正心理専門職)は非行少年の社会復帰を心理的な面からサポートする仕事です。

面接や心理検査などを通して、その少年が「なぜ犯罪に走ってしまったのか」を見極める役割をになっています。

法務教官は24時間体制で少年たちの生活指導から教育までを行いますが、法務技官は少年たちと毎日向き合っているわけではありません。

両者を比べると、法務教官のほうが少年たちにとってはより身近な存在といえるでしょう。

参考:法務省 矯正心理専門職区分

法務教官と保護観察官の違い

保護観察官は、少年院から仮退院した少年が、施設から出たあとも再び非行に走ることなく社会生活を送れるように指導・援助を行います。

法務教官は少年院などの施設内で少年の教育にたずさわるのに対して、保護観察官は施設から出た少年の支援を担当します。

保護観察官は、施設から出た少年と定期的に面談を行ったり、電話で連絡を取ったりして更生をサポートします。

参考:法務省 保護観察官について

法務教官と刑務官の違い

刑務官は、刑務所や拘置所に入所している受刑者の監督・指導をしたり、社会復帰のための更正の促進などを行ったりする仕事です。

刑務所などの刑事施設で成人を中心とした受刑者を監督するのが刑務官であり、少年院などの矯正施設で未成年者の教育を行うのが法務教官です。

そのほか、刑務官には階級制度があるのに対し、法務教官には階級制度がないという違いもあります。

参考:法務省 刑務官採用試験
刑務官の仕事