警察官の転勤・人事異動はどうやって決まる? 県外への転勤もある?
警察官として働く場合、転勤や異動は避けられないことがあり、希望が通ることもあれば通らないこともあります。
地方公務員として働く警察官は、基本的に採用された都道府県内での異動となります。
これまでとはまったく異なる仕事を手掛ける部署に異動することもあるため、自分が望んでいなかった業務でも、積極的にチャレンジしていく姿勢が必要です。
本記事では、警察官の転勤・異動に関する情報を解説します。
警察官の転勤・異動は多い?
数年で異動を命じられる人が多い
警察官をはじめ、公務員の仕事には転勤・異動がつきものです。
地方公務員として都道府県の警察署で働く警察官は、一般的には3年~5年ごとに転勤があります。
ただし、1~2年で転勤になる場合もあれば、10年以上ひとつの部署に留まる場合もあり、明確な基準はありません。
何らかの問題を起こした場合には、1年以内に異動を命じられることもあります。
転勤は主に春と秋の年に2回あります。
原則として、採用された都道府県内での異動になりますが、地域によっては引っ越しをしなくてはなりません。
そのため、新しい環境や働き方になじむまで苦労する一面もあります。
転勤・異動先の希望は通る?他部門へ異動することもある?
都道府県の警察官は、転勤や異動があります。
主な異動先は、都道府県内の警察署、交番、駐在所または警察本部です。
同じ部門内での配置換えもあれば、「交通部門」から「地域部門」、「機動隊」から「刑事部門」といったように、部門間をまたいで異動することもあります。
とくに若手の警察官は、幅広い業務を経験することでスキルを高めていく必要があります。
そのため、まったく違った仕事を手掛ける部門に異動することもあります。
異動については、本人の希望も考慮されますが、必ずしも希望がかなえられるとは限りません。
最近では、家族の勤務事情や子どもの学校の都合などで、転居の負担が重いと判断される場合には、ある程度転勤先が考慮されるケースも増えているようです。
ただし、異動の希望と同様、必ずしもすべての事情が考慮されるかというとそうではありません。
転勤がない異動が増えている
警察として働く場合、異動は避けられないものですが、転勤をせず自宅から通える範囲で仕事を続けるケースが増えてきています。
最近では、転勤を免除したり、引っ越しなしで異動できるようにする企業が増えてきて、警察でもこの動きが広がっています。
警察官は勤務する警察署の管内に住むことが一般的で、以前は別の警察署に異動すると引っ越しが必要でした。
たとえ自宅から通える勤務地に異動しても、単身赴任をすることがあったのです。
しかし、2019年に鳥取県警は警察官の住む場所に関するルールを大幅に緩和し、離れた自宅から警察署へ通うことができる制度をとりいれました。
今は、転勤の発令も「個別の事情を最大限に配慮する運用」とし、異動する人数も減少傾向にあります。
転勤を減らすことで、仕事を続けることができるだけでなく、働く人がやる気を持ち続けることもできます。
他の都道府県に転勤することはできない
警察官は『地方公務員』として採用されており、原則的には各都道府県ごとに採用されます。
つまり、千葉県警で働いている警察官は、大阪府警に異動することはできません。
たとえば他の都道府県に住む人と結婚した場合や、介護などの理由で他の都道府県に住む親と同居する場合など、警察官の人事異動においては都道府県をまたぐ配置は考慮してもらえません。
ただし、採用試験を受験する前であれば、どの都道府県でも受験することができます。
自分がどの都道府県で生活したいかをしっかりと考えておくといいでしょう。
転勤・異動の時期は主に年2回
警察官は年に2回、3月と10月に転勤することが多いですが、4月や7月、1月でも転勤の可能性があります。
この時期に多い理由は、新人が配属されたり、昇進・降格があったりすること、また現職者のキャリアアップのためなどです。
特に仕事ぶりが評価されたり、今後キャリアアップが期待されたりする人は異動が増える傾向です。
内示は都道府県によって異なりますが、10日から14日前ほどに出されます。
異動で人気の部門は刑事課や交通課など
刑事に憧れて警察官になった人は多く、多くの若手警察官が希望する部署です。
刑事課に入りたい場合は、まず地域課で経験を積み、刑事課の人々と人脈を作ることが重要です。
白バイに乗るには交通機動隊に入る必要があり、まずは警察署の交通課を目指します。
交通課で実績を残すことも重要ですが、白バイ隊員を養成する研修で良い成績を残すことも大事です。
多くの警察官が所属する部署で、とくにパトカーに乗りたい警察官が多く志望します。
しかし、パトカーには選ばれた警察官しか乗れません。
パトカー乗務員には、職務質問や取締りでの実績が必要で、現場での冷静な判断力も求められます。
また、自動車警ら隊にはパトカー乗務員の精鋭が集まっているため、自動車警ら隊を目指す人も地域課を志望します。
少年係は、18歳未満の少年少女が被疑者となる事件に対応する部署で、万引き事件から他人を殺傷する重大事件まで、幅広い捜査に対応します。
取調べの相手が18歳未満の少年であるため、対応方法は成人とは異なり、試行錯誤が求められます。
一筋縄ではいかないことが多いですが、少しずつでも少年と信頼関係を築き、不良少年を更生させるというやりがいは少年係の醍醐味といえます。
国家公務員と地方公務員の転勤先の違い
国家公務員試験に合格して警察官になる「キャリア組」は、異動で全国各地に赴くことがあります。
一般的には昇進すると、それだけ転勤する頻度が高くなる傾向があります。
キャリア組としてトップを目指すなら、ある程度プライベートを犠牲にする覚悟が必要です。
警察組織だけでなく、人材交流やスキルアップを目的として、外務省などの他省庁に出向することもあります。
一方、都道府県警察で働く地方公務員の警察官は、原則として都道府県内での異動です。
異動の距離は様々で、転居が必要な場合もあれば不要な場合もあります。
警察本部や警察署周辺には独身寮や家族向けの宿舎があり、経済面における負担は少なくなっています。
また、民間の賃貸住宅に入居しても、家賃の一部は補助される制度があります。
まれに、本人の希望や努力によって、海外勤務(在外公館勤務)や他の省庁への出向も可能です。
警察官の転勤・人事異動はどうやって決まる?のまとめ
人事異動と聞くと、慣れない業務や人間関係に戸惑ったり、覚えることが多くて負担に感じたりと、ネガティブなイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし、転勤や異動は決して悪いことばかりではありません。
今までとは違った仕事にトライすることで、視野が拡がったり、自分でも思わぬ適性が見つかったりすることがあります。
警察官を目指すのなら、転勤・異動を前向きに捉えて成長していきたいものです。