警察官の階級一覧・階級別の役職・仕事内容・年収を解説

警察官の階級とは

警察官には、警察法で定められた9つの階級があります。

それぞれの名称は、下から巡査、巡査部長、警部補、警部、警視、警視正、警視長、警視監、警視総監であり、階級を上げることを「昇任」といいます。

このほか、警察法にある正式な階級というわけではありませんが、巡査と巡査部長の間には「巡査長」、警視総監の上には「警察庁長官」という地位として運用されている階級があり、実質的には11段階です。

なお、身分としては、基本的に警視までが地方公務員、警視正からは国家公務員になります。

各都道府県警察に警察官として新任されると、全員巡査として横並びのスタートを切りますが、警察官は実力主義の世界であり、その後昇任していくスピードは個人によって異なります。

昇任して階級が上がると、収入がアップしたり、就くことのできる役職が増えたりするといったメリットがあります。

また、制服には階級章を付けることが義務付けられており、一目で階級がわかるようになっています。

以下では、階級と役職の関連性、昇任する方法などについてご紹介します。

警察官の階級一覧

警察官の階級一覧です。

階級と仕事内容

階級名称 概要
①巡査 交番や駐在所勤務。パトロールや事務作業を行う
②巡査長 交番や駐在所勤務で巡査の指導役割
③巡査部長 警部・警部補を補佐、巡査・巡査長の指導監督
④警部補 警察庁・警察本部の主任、警察本部の係長クラス
⑤警部 警視庁・警察本部の係長や各都道府県警察本部の課長補佐
⑥警視 警察本部の管理官や中小規模の警察署の署長
⑦警視正 大規模警察署の署長。警視正以上は国家公務員
⑧警視長 警察本部の部長。キャリア採用者は22年目以降順次昇任
⑨警視監 警視長になった人全員が昇格できる。全体で40名
⑩警視総監 警視庁のトップ。日本に1名

階級と出世年齢・年収

階級名称 出世年齢(キャリア) 出世年齢(ノンキャリア) 平均年収
①巡査 22歳 570万円
②巡査長 20代後半
③巡査部長 20代後半 630万円
④警部補 22歳 30代前半(この職で退職する人も多い) 660万円
⑤警部 23歳 30代半ば~(この職で退職したら出世) 720万円
⑥警視 26~29歳 ~40代後半(なれる人は少ない) 780万円
⑦警視正 33~38歳 50代~(ほぼいない) ~1000万円
⑧警視長 41歳~48歳 50代後半(ほぼいない) ~1100万円
⑨警視監 49~52歳 ~1200万円
⑩警視総監 56歳頃(1人) ~1500万円

警察官の平均年収は700万円前後であり、一般的な公務員よりも高く設定されています。

業務に危険がある他、勤務体系も当直があるなどハードであることが理由です。

警察官の年収の詳細については、以下の記事も参考にしてください。

警察官の給料・年収

階級ごとのの階級章や肩章、活動服、活動帽の違い

警察官は階級ごとに階級章(バッジ)や肩章、活動服、活動帽が細かく分けられており、一目見ただけで階級がわかるようになっています。

以下では、階級章と肩章の一覧を紹介します。

階級章(バッジ)一覧

全ての警察官が左胸に着けているのが階級章(バッジ)です。

階級ごとの階級章を紹介します。階級が上がるほど金色の部分と縦線が増えていきます。

警察官階級章バッジ一覧

参考:宮城県警

肩章一覧

制服の肩の部分についている肩章です。

階級が上がるにつれて横幅・立幅が大きくなり、金属製日章(真ん中の星形のバッジ)が多くなります。

警察官肩章一覧

参考:警視庁警察官服制規定

警察官の階級とキャリア・ノンキャリアの関係

警察官にはキャリアとノンキャリアと呼ばれる区別があるのを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

キャリアは警視庁で警察行政を計画・管理するデスクワークが中心です。

一方、ノンキャリアは各都道府県警でキャリア組が構築した仕組みの実務部隊です。

キャリアになるためには、外務省などへの入庁する人が受ける「国家公務員総合職採用試験」に合格し、さらに面接を経る必要があります。

試験を受けるためには大卒以上の学歴が必要で、東京大学など官僚を多く輩出している大学の受験者が多いです。

ノンキャリアになるための警察官採用試験には、大卒程度、高卒程度などの区分はあるものの、学歴は条件ではありません。

キャリア・ノンキャリアの違いについては以下の記事に詳しく書いています。

警察のキャリア組とノンキャリア組の違い

警察官の階級による役職、業務内容の違い

この章では、警察官の階級によって就くことができる役職や業務内容の違いについて、漫画やドラマのキャラクター例も交えて解説します。

警察官の階級と役職①巡査

交番や駐在所などに勤務し、パトロールや事務作業などを行います。

高卒・大卒関係なく、ノンキャリアは全員が巡査からスタートです。

警察学校を卒業した新任警察官は、巡査として数年間の交番勤務を行うケースが一般的です。

巡査のキャラクター例
漫画『こち亀』中川・麗子、ドラマ『相棒』冠城 亘(反町隆史)、ドラマ『古畑任三郎』今泉 慎太郎(西村雅彦)

警察官の階級と役職②巡査長

巡査と共に交番勤務などをこなすとともに、巡査の指導的役割を担います。

警察法上は正式な階級ではありませんが、仕事上の地位として明確に規則に定められており、給与も巡査より上です。

巡査として数年間のキャリアを積み、勤務成績が優良であると認められた人のなかから、巡査長が選考されます。

巡査長のキャラクター例
ドラマ『踊る大捜査線』和久 平八郎 (いかりや長介)、漫画『こち亀』両津勘吉

警察官の階級と役職③巡査部長

巡査部長は、警察本部の係員や警察署の主任として担当業務を行いつつ、上司である初級幹部の警部・警部補を補佐したり、巡査・巡査長の指導監督を行ったりします。

警部補以上になると、管理職としての業務が多くなるため、現場の第一線でバリバリ働きたいという人は、あえて階級を上げず、定年まで巡査部長として勤め上げるケースもあるようです。

階級としては巡査部長であっても、上位の階級保持者よりはるかに実務に習熟しているケースもありますので、警察官の実力は、階級だけでは一概に判断できない面もあります。

巡査部長のキャラクター例
アニメ『名探偵コナン』高木 渉、ドラマ『SP 警視庁警備部警護課第四係』井上 薫(岡田准一)

警察官の階級と役職④警部補

警部補は、警察庁・警察本部の主任、警察本部の係長クラスで、現場責任者として指揮命令を発することがおもな役割です。

各種令状の請求ができるようになったり、部下の勤務評定を行ったりと、手掛けられる事務作業の幅が一気に拡がり、プレイングマネージャーとしての活躍が期待される階級です。

年齢的にみても、30代や40代の人が多く、警察官として気力・体力ともに充実している頃といえます。

警部補のキャラクター例:
ドラマ『古畑任三郎』古畑 任三郎(田村正和)、ドラマ『踊る大捜査線』青島 俊作(織田裕二)、ドラマ『アンフェア』雪平 夏見(篠原涼子)

警察官の階級と役職⑤警部

警部は、役職としては警視庁・警察本部の係長や各都道府県警察本部の課長補佐などで、それぞれが担当する分野の責任者として部下を束ねます。

管理職としてのデスクワークがほとんどであり、現場に出る機会は少ないといえます。

警部のキャラクター例
アニメ『名探偵コナン』目暮 十三、アニメ『ルパン三世』銭形平次、ドラマ『相棒』杉下 右京(水谷豊)

警察官の階級と役職⑥警視

警視の役職として代表的なのは、警察本部の管理官や中小規模の警察署の署長などです。

管理官とは、捜査一課や捜査二課といった複数の課を統括するポストで、重大事件の捜査指揮などを行います。

警視のキャラクター例
ドラマ『踊る大捜査線』袴田 健吾(小野武彦)、 ドラマ『相棒』角田 六郎(山西惇)

警察官の階級と役職⑦警視正

警視正以上まで階級を上げるためには、基本的に都道府県警察が実施する警察官採用試験ではなく、国家公務員試験を受けたいわゆる「キャリア」として警察官になる必要があります。

ノンキャリアの場合、最短で昇任し続けても警視正にたどり着けるのは50代半ばであり、ほどなく定年退職を迎えることになります。

警視正は警視では就けない大規模警察署の署長になることができます。

警視正のキャラクター例
ドラマ『踊る大捜査線』秋山 晴海(斉藤暁)、真下 正義(ユースケ・サンタマリア)

警察官の階級と役職⑧警視長

警察本部の部長で、指揮監督が主な仕事内容です。

キャリアの警察官は、採用22年目に優秀な人から警視長になります。

キャリアの警察官は全員がなることができます。

国家公務員採用一般職試験で警察官になった準キャリアの警察官は定年前に全員が就くことができるポジションです。

ノンキャリアでは最高位で、警視長まで昇任できる人はほぼいません。

警視長のキャラクター例
ドラマ『踊る大捜査線』神田 総一朗 (北村総一朗)、ドラマ『相棒』内村 完爾(片桐竜次)

警察官の階級と役職⑨警視監

警視長まで昇任した人は全員が警視監に昇任します。

キャリアの警察官は50代で基本的に全員が昇任します。

警察官の中でも40人ほどしかいません。

キャラクター例
ドラマ『踊る大捜査線』室井 慎次 (柳葉敏郎)、ドラマ『相棒』小野田 公顕 (岸部一徳)

警察官の階級と役職⑩警視総監

警視庁のトップが警視総監で、日本で1人です。

国家公安委員会が都公安委員会の同意を得て、内閣総理大臣の承認も得ることで任命される役職になります。

なお、警察官の階級の外には警察庁長官がいますが、警視総監よりも階級は上です。

キャラクター例
ドラマ『相棒』田丸 寿三郎 (品川徹)

警察官が階級を上げるには

一般的な会社では、役職が上がることを「昇格」や「昇進」と言いますが、警察官では「昇任」と言います。

この章では、警察官が階級を上げる=昇任する方法を解説します。

警察官が階級を上げる方法①昇任試験を受けて階級を上げる

警察官が階級を上げる一般的な方法は、昇任試験を受けることです。

基本的に、大卒の場合は2年間、高卒の場合は4年間の勤続期間を経ると、昇任試験を受ける資格が得られます。

試験に合格した後は、それぞれの地方自治体の警察学校に入校して、一定期間の研修を受けることになります。

警察官が階級を上げる方法②選抜・選考によって自動昇任で階級を上げる

試験を受ける以外に、「選抜・選考」という制度を経て階級が上がることもあります。

これらの制度は、警察官として優秀ではあるけれども、業務が多忙すぎて昇任試験の勉強に打ち込む時間がないという人を救済する目的でつくられました。

一定の勤続年数があり、なおかつ勤務成績が優れていると、上位の階級にふさわしい知識や技能を備えていると認められ、昇任することがあります。

昇任試験の内容と難易度

昇任試験の内容は、憲法や刑法、警察実務、社会常識などの知識を問う筆記試験のほか、けん銃の実技、面接、論文、集団討論など、多岐にわたります。

試験をパスするのは容易ではなく、ときには合格倍率が100倍を超えることもあるといわれています。

試験勉強用の教材も販売されており、難易度は高いです。

警察官の階級についてのまとめ

警察官の階級について紹介しました。

警察官の階級は、人数・階級とも完全にピラミッド型で、厳しい縦社会です。

警察官は時に命に関わるような危険な業務もあるので、命令指揮系統がしっかり整っている必要があるのです。

階級章や肩章などで、見た目からもすぐに階級の区別がつくようになっています。

ノンキャリアの警察官は、高卒・大学卒の区別なく実力次第で昇任スピードが変わり、給与も高いので努力の甲斐がある職業と言えます。