自衛隊の仕事内容をわかりやすく解説! 普段はどんな仕事をしている?

自衛隊は、防衛活動や緊急救助活動、国際平和協力活動などを通して、国際社会の平和と安定に貢献し、日本の平和と独立を守っています。

ここでは陸地を守る「陸上自衛隊」、日本の領海を守る「海上自衛隊」、空の防衛を守る「航空自衛隊」の仕事内容について詳しく解説していきます。

自衛隊の仕事とは

自衛隊は、日本の平和と独立を守り、国の安全を保つために国民と領土を防衛するための組織です。

その歴史は古く、第二次世界大戦後の1954年に設立されました。

現在は全国におよそ260ヵ所の勤務地があり、およそ23万人もの自衛官が所属する巨大な組織です。(2021年3月31日現在)

自衛隊の活動は、大きく下記の3つに分けられます。

自衛隊の活動
  • 防衛活動
  • 緊急救助活動
  • 国際平和協力活動

防衛活動

日本の平和と独立を維持するための活動です。

日本の領空や領海を常時警戒監視して侵略行為を防ぎます。

平時から準備・訓練を行って、有事の際には速やかに対応できるようにしています。

緊急救助活動

地震や台風などの大規模災害、あるいは事故が起きた際には人命救助を行います。

捜索や被災民の生活支援、被災地の復旧、離島の救急患者の輸送などにも携わっています。

国際平和協力活動

自衛隊の活動は国内だけでなく、災害派遣や国連PKOへの派遣など海外にもおよびます。

テロや地域紛争などの問題が発生した地域で、その地域の平和を維持するための活動をし、国際社会に貢献します。

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自衛隊の業務の内容

自衛隊の業務内容は、職種・職域・階級等によってさまざまなものとなっています。

ここでは陸上自衛隊を例に挙げて、いくつかの代表的な業務を紹介します。

陸上自衛隊の業務内容
  • 戦闘の現場で活躍する
  • 情報収集や後方支援を行う
  • 自衛隊の組織や自衛官の生活を管理する

戦闘の現場で活躍する

日本や日本国民を守るために、現場の最前線で戦闘できる体制を整えています。

もちろん、普段は実際に戦いが行われているわけではなく、日々訓練をしながら有事の際に備えています。

普通科(機動力、火力、近接戦闘能力を有し、作戦戦闘に重要な役割を果たす)や機甲科(主に戦車部隊・機動戦闘車部隊・水陸両用車部隊及び偵察部隊を構成する)などの職種の自衛官がいます。

情報収集や後方支援を行う

自衛隊の活動に必要な情報を集めたり、現場の最前線で活動する部隊の後方支援に携わります。

情報科、施設科、通信科、武器科などの職種の自衛官がいます。

自衛隊の組織や自衛官の生活を管理する

自衛官が安全で健康的に過ごせるよう、体調管理や会計など、自衛隊組織におけるさまざまな活動やサポート業務を担当します。

警務科、衛生科、会計科、音楽科などの職種の自衛官がいます。

自衛隊の役割

自衛隊は、第二次世界大戦後に、日本の独立した防衛の仕組みを整えることを目的として作られた組織です。

日本の平和と安全を守ることが自衛隊の存在意義です。

自衛隊の任務上での役割は、大きく分けると3つあります。

自衛隊の役割
  • 日本を守る
  • 国際社会の平和と安定に貢献する
  • 災害・事故時に救助活動をする

それぞれについて詳しく解説します。

日本を守る

一つめは、「日本を他国から守ること」です。

現在日本はどこの国とも戦争をしていませんが、だからといって他国から侵略される可能性が絶対にないわけではありません。

万が一日本の領海や領土に攻め込まれたときに国民の安全を守れるよう、自衛隊は日々訓練を重ねながら実戦に備えています。

国際社会の平和と安定に貢献する

二つめの役割は、「国際社会の平和や安定に貢献すること」です。

自衛隊は、日本の平和だけを守ればよいというわけではありません。

難民の救援活動に参加したり、医療技術の発達していない国でケガや病気の治療を行ったりして、他国の国民が安定した暮らしを送れるよう支援活動も行っています。

災害時の救助活動

そして三つめの役割は、「災害から人々を守り、救うこと」です。

地震や大雨などの天災が起きたとき、真っ先に被災地に乗り込んで救援物資を届けたり被災者を救助したりします。

救援活動の様子に関しては、2011年の東日本大震災をはじめ、近年のさまざまな自然災害の報道で目にした人も多いのではないでしょうか。

こうした非常時の活動は、自衛隊の到着のスピードや救援内容が生存者の数を左右することもあり、非常に重要な活動になります。

また、日本国内だけでなく、海外で災害が起きたときにも自衛隊は救援活動を行っています。

人の命を守るために、日本はもちろん海外でも幅広く活動するのが自衛隊の役割です。

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自衛官の種類は? 陸上・海上・航空自衛隊の役割

自衛官の職種は多岐にわたる

自衛官というと、どのような仕事をしているイメージがあるでしょうか。

きっと、多くの人が「陸上自衛隊の戦闘部隊」や「海上自衛隊の通信員」「航空自衛隊のパイロット」のように、戦闘や防災に直接的に携わっている人のことを思い浮かべるのではないでしょうか。

しかし実は、「自衛官」には、100種類近くもの職種・職域があります。

「戦闘」や「災害時の救援活動」に携わる人もいれば、そういった人たちを後方支援をするための「看護」や「衛生」に携わる人もいますし、「物資の調達」の計算を専門にする人や、新しい装備の研究・開発をする人、さらに訴訟や損害賠償の「法務」に携わる人もいます。

また、隊員の士気をあげたり広報活動を行ったりするための、「音楽隊」に入っている人もいます。

自衛隊は巨大な組織であり、その組織内であらゆる業務が遂行できるよう、実にさまざまな職種の人たちが働いています。

自衛隊の種類と役割

それでは、具体的には自衛隊にどのような職域があるのか見ていきましょう。

ここでは、「陸上自衛隊」「海上自衛隊」「航空自衛隊」のそれぞれのおもな職務内容を紹介します。

陸上自衛隊

自衛隊の中でも最大の規模を誇るのが「陸上自衛隊」です。

陸上自衛隊は、おもに陸において行動し、日本の平和と独立を保つために直接および間接の侵略に対する防衛を行うことを主任務としている組織です。

また、歩兵部隊や戦車隊などの部隊だけでなく、道路や橋を建設する部隊もあります。

さらに外国からの国賓(重要な客人)を警護するほか、不発弾の処理災害時の給水をしたり、国際協力で現地の道路の補修をするような仕事もあります。

戦闘現場で戦うおもな職種としては、「普通科」「機甲科」「野戦特科」「高射特科」があります。

情報や設備の面からバックアップするおもな職種としては「航空科」「情報科」「施設科」「通信科」「武器科」「需品科」「輸送科」があります。

隊員の生活や労働環境を整えるおもな職種としては「会計科」「衛生科」「警務科」「化学科」「音楽科」があります。

海上自衛隊

海上自衛隊は、自衛隊のなかでも海上部門にあたる組織です。

日本の領海を守り、海上からの侵略を防ぐのが海上自衛隊の役目です。

日本の領海や排他的経済水域(接続水域を含む)などにおいて警戒監視、情報収集、各種訓練を行い、有事の際には海上交通の安全確保(シーレーン防衛)や周辺海域の防衛に対応します。

日本の領海を侵犯した船は、まず海上保安庁が対応しますが、対応が困難だった場合には、海上自衛隊に引き継ぐことになっています。

また、海外において商船を海賊から護衛する任務を担当することもあります。

海上自衛隊のおもな職種としては、まず海上での戦闘には欠かせない「射撃」「水雷」「機雷掃海」「潜水」があります。

海上の安全を守るための職種が「航海・船務」「通信」「気象・海洋」「機関」「艦船整備」「情報」です。

艦載のヘリコプターに搭乗する「飛行」「航空管制」「航空機整備」の職種もあります。

そして隊員の生活や労働環境を整える「経理・補給」「法務」「施設」「情報」「衛生」「音楽」など、多彩な職種から成り立っています。

航空自衛隊

航空自衛隊は、自衛隊のうちの航空部門にあたる組織です。

おもに空において行動し、日本の平和と独立を守り、直接侵略および間接侵略の脅威から日本を防衛することを任務としています。

基地は約73か所にあり、約4万人の隊員が任務に就いています。

航空自衛隊は、日本周辺の領空を警戒・監視し、不法に侵入しようとする航空機に対して警告を与え、外国の航空機が不法に日本の領空を侵犯した際には速やかに退去するよう対応をします。

状況によっては自衛隊機がスクランブル発進をし、日本の空を守ります。

常に領空を監視し、航空機だけではなく、巡航ミサイルの監視も常時行なっています。

また、航空機の整備や航空管制なども航空自衛隊の役割の一つです。

航空自衛隊の職種としては、まず空の上での戦闘には欠かせない「飛行」「航空管制」「要撃」「高射運用」「プログラム」「気象」「通信電子」「武装」「整備」「施設」が挙げられます。

さらに他の隊と同じように「衛生」「法務」「警備」「音楽」「会計」「補給」「輸送」といった職種もあります。

自衛隊はひとつの社会のようなもの

ここで紹介してきたように、ひとつの社会ともいえる自衛隊にはいろいろな仕事があります。

職域がこれほど多岐にわたる職場は、世の中を見回してもそうそうないでしょう。

自衛隊は体を張った仕事ばかりと思われがちですが、決してそうではなく、頭脳労働や、裏方としてたくさんの隊員を支えるような仕事も多くあります。

任務の幅が広がっていることから、隊員には多様性も求められるようになっています。

自衛隊で活躍したいという思いさえあれば、あらゆる人の個性や得意分野を生かしやすい組織だといえるでしょう。

参考:自衛官の現員

自衛官の現員_令3
出所:防衛省 令和3年版 防衛白書

自衛隊の仕事の流れ

自衛隊の仕事の流れは、配属先や職種によってまったく異なるものとなります。

基本的に毎日規則正しいタイムスケジュールに沿って生活し、朝6時頃に起きて、日中は訓練やトレーニング中心に行っています。

その他、警戒警備にあたる隊員、自衛隊活動で使用する機材・資材の整備をする隊員、総務・人事・会計・通信のような自衛隊の活動を支えるための仕事を中心に行っている隊員もいます。

17時頃に業務が終了する隊員の場合、以降は消灯時間まで食事や入浴をするなど自由時間です。

ただし、24時間体制で交替しながら働く隊員もおり、必ずしも全員が同じスケジュールで動いているわけではありません。

また災害発生時などに出動要請があった際には、上記の生活パターンも大きく変わる場合があります。

自衛隊と関連した職業

自衛隊と警察官の違い

自衛隊と警察官はどちらも公務員であり、広い意味で世の中を守る仕事をしますが、実際の仕事内容はまったく異なります。

自衛隊は防衛省によって管理され、自衛隊法に基づき日本の平和と独立を守り、国の安全を保つために設置された部隊です。

一方、警察は警察法の定めによって、個人の生命の保護、犯罪の予防や交通の取締り、公共の安全や秩序の維持などのために置かれた国の機関を指しています。

自衛隊の目的は、日本の平和と独立を守り、国の安全を保つことで、簡単にいえば、外国から日本や日本国民を守るための活動を主に行うのが自衛隊です。

それに対して、警察官は日本国内の安全や治安を守るために、日常的に起こる事件や事故を捜査したり、交通違反を防ぐための取り組みを行ったりします。

また、逮捕権をもつのは警察官のみです。

身分についても違いがあり、警察は一部の国家公務員と大多数の地方公務員で成り立っていますが、自衛隊は国家公務員となります。

警察官の仕事

自衛隊の仕事内容のまとめ

自衛隊は防衛省によって管理されている部隊で、日本を守り、国際社会の平和と安定に貢献し、災害時の救助活動という大切な役割を担っています。

有事の際に人の命を守るため、日々訓練・トレーニングを欠かしません。

また、総務や会計などの業務を担当し、自衛隊の活動を裏で支えている隊員も多く存在します。

ときに危険な場へ出向くこともありますが、国民が安心して暮らすためにも重要な役割を担い、大きなやりがいや誇りを感じて働いている人が多くいます。