自衛隊になるには?【自衛官のなり方を詳しく解説】

自衛隊になるには、自衛隊の採用試験を受けて合格する必要があります。

採用試験はコース別になっており、中卒から大卒、社会人まで広く門戸が開かれています。

防衛大学校など、幹部候補生を要請する教育機関では、学費・入学金などは不要で給与を受け取りながら勉強することができます。

この記事では、自衛隊になる方法を解説しています。

自衛隊になるには【中卒・高卒・大卒・社会人からなれる】

自衛官になるまでのルート

自衛隊になる流れは上の図の通り、色々なルートがありますが、どのルートにしても自衛隊の採用試験を受けて合格する必要があります。

自衛隊は、大きく分ければ次の3種類に分けられます。

  • 陸上自衛隊
  • 海上自衛隊
  • 航空自衛隊

自衛隊は約22万人もの自衛官が所属する非常に大きな組織です。

したがって、募集している職種は多岐に渡り、将来のキャリアの選択肢もひとつではありません。

この章では、自衛隊に入る方法を解説していきます。

自衛隊員の候補生の種類

自衛隊の採用試験では、複数のコース(種目)が設けられており、学歴や年齢等によって応募できるコースが異なります。

✅ 自衛官の募集種目

学歴 募集種目
大卒 幹部候補生
高卒 防衛大学校
防衛医科大学校医学科学生
防衛医科大学校看護学科学生
一般曹候補生
航空学生
中卒 陸上自衛隊高等工科学校

たとえば、大卒の人は「自衛隊幹部候補生」試験を受けることができ、高卒の人であれば「一般曹候補生」や「自衛官候補生」試験を受けることができます。

このほか「航空学生」や「防衛大学校学生」のように、自衛隊ならではの特殊な学校で教育を受け、自衛官として任官される道もあります。

少しでも若いうちに自衛隊になりたいという思いがあるのなら、中学卒業後に「高等工科学校生徒」となって、自衛隊に入ることが可能です。

自分がどのような学歴から自衛隊に入りたいのか、そしてどのようなキャリアを目指していきたいのかをよく考えて、応募するコースを決めることが大事になってきます。

自衛隊の採用試験の詳細は、自衛官募集の公式ページをチェックしてください。

参考:防衛省 自衛官募集
自衛隊の採用試験の内容は? 体力は必要?

自衛隊になるための進路・大学の選び方

自衛隊になる人の中学校卒業後の進路としては大きく2つに分けることができます。

  1. 一般の高校・大学などを卒業して自衛隊採用試験を受ける
  2. 防衛大などの自衛隊の教育機関を卒業する

1.一般の高校・大学などを卒業して自衛隊採用試験を受ける

自衛隊への応募は、採用試験のコースによっては、どのような学校を出ていても可能です。

幹部自衛官を目指す「一般幹部候補生コース」や、部隊で活躍する自衛官を目指す「一般曹候補生コース」への応募には特別な資格が必要ではないからです。

大学であれば学部・学科を問われることはなく、高校も普通科とそれ以外の学科で応募に制限はありません。

ただし、一般幹部候補生のうち「歯科・薬剤科幹部候補生」に応募するには、大学の歯学または薬学の課程を修めて卒業することが条件になっています。

2.防衛大などの自衛隊の教育機関を卒業する

自衛官としての専門知識を特別な学校で十分に身につけてから、現場で働く道もあります。

自衛隊の教育機関
  • 防衛大学校:幹部自衛官を育成。人文社会科学系・理工学系あわせて11学科
  • 防衛医科大学校医師の幹部自衛官を育成
  • 防衛医科大学校看護学科保健師看護師である幹部自衛官を育成。
  • 陸上自衛隊高等工科学校:陸上自衛官を育成。応募できるのは17歳未満の男性
  • 航空学校:海上・航空自衛隊のパイロットを育成

上記の学校の生徒は「特別職国家公務員となり、毎月の手当てと期末手当を受け取れます。

入学金や授業料も不要で、全寮制で食事もついています。

公務員なのでアルバイトはできませんが、手当を受け取りながら勉強でき、国家資格の取得も目指せることが魅力です。

✅ 防衛大学校で支給される手当

  • 毎月117,000円
  • 期末手当(ボーナス)年間397,800円

「航空学生」や「防衛大学校」を卒業すると、将来的に幹部として活躍できる可能性も開けます。

ただし、防衛大の試験は難しく、一般の大学受験と同じように英語や数学の筆記試験も行われるので、十分な勉強が必要です。

自衛隊はさまざまな年齢や学歴の人に門戸が開かれているため、自分の能力に適した制度を利用することで、自衛隊に関われる可能性はぐっと高まります。

陸上自衛隊の高校「高等工科学校」とは? 給与は支給される?

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自衛隊になりたい人が知っておきたい5つのこと


自衛隊を目指している方向けに以下の5つのことをまとめました。

晴れて自衛隊員になった後のキャリアもイメージしてみてください。

  • 自衛隊で必要な資格・条件・年齢制限
  • 自衛官の年収・福利厚生
  • 女性も自衛官になれるのか
  • 自衛隊への入隊後のキャリアパス
  • 自衛隊の現状と将来性

自衛隊で必要な資格・条件は?年齢制限はある?

自衛隊に応募するには特別な資格が必要なコースは少ないです。

したがって、応募条件として気にするべきなのは年齢といえます。

自衛隊を目指せる年齢は、採用試験に応募するコースによっても異なります。

もともと、自衛隊は比較的年齢が若い人を採用する傾向にありましたが、最近では自衛官不足が大きな課題となっており、採用年齢の引き上げが積極的に行われています。

主なコースごとの年齢要件を紹介します。

✅ 自衛隊への応募の年齢制限

募集名 学歴など条件 年齢
自衛官候補生 高卒~社会人まで可 18歳以上33歳未満
一般曹候補生
幹部候補生(一般) 大卒程度 22歳以上26歳未満
修士課程修了者等(見込含) 20歳以上28歳未満
幹部候補生(歯科) 専門の大卒(見込含) 20歳以上30歳未満
幹部候補生(薬剤科) 専門の大卒(見込含) 20歳以上28歳未満
航空学生 高卒 海上:18歳以上23歳未満
航空:18歳以上23歳未満
防衛大学校 高卒( 見込含) 21歳未満

上記以外のコースも、それぞれ年齢制限が設けられていますので、詳しくは最新の自衛隊の採用情報をよく確認してください。

自衛官の年収・福利厚生は?

自衛官の年収の目安
  • 平均年収:約640万円
  • 2士(一番下の階級):平均年収約300万円
  • 1佐(幹部クラス):平均年収約1,000万円

自衛官俸給表より

自衛官の年収は階級や家族構成などにより上下しますが、目安としては上記の通りです。

自衛官は危険を伴う職業であるため、ほかの国家公務員よりも給与が高く設定されています。

また、自衛隊に入隊すると、原則は寮生活。家賃や食費、衣服などの費用は気にしなくてよいので、手取り額は平均年収の額面より多いといえます。

自衛隊の給料・年収

女性も自衛官になれる?

昔と違い、今では多くの女性が自衛隊に入ってきています。

「平成30年度防衛白書」によれば、2018年3月末時点では、女性自衛官の数は約1.5万人で、この割合は全自衛官の6.5%であると発表されています。

少子高齢化による自衛官の人材不足は大きな課題となっており、今後は女性自衛官の採用について、2030年までに全自衛官に占める女性の割合を9%以上にすることを目標としているようです。

体力勝負の面もある自衛隊は女性には不利と思うかもしれませんが、実際、その任務は多様化・複雑化しており、女性が活躍できる場もたくさんあります。

実際、女性自衛官が就くことができる職種は、潜水艦勤務など一部を除けば、戦闘機パイロットも含め、ほぼ全般におよんでいます。

また、海外派遣されて発展途上国で任務にあたる女性自衛官も少なくありません。

女性の活躍推進のために、自衛隊の組織でも女性が仕事を長く続けられるための取り組みに力を入れ始めています。

自分の意欲や頑張り次第では長く働きながらキャリアアップし、幹部を目指すことも不可能ではありません。

女性の自衛官のキャリアパス・結婚後の生活

自衛隊に入った後のキャリアパスは?

ここまで紹介してきた通り、自衛隊になるためのルートはひとつではありません。

また、自衛隊は「陸上・海上・航空」という3つの自衛隊があり、さらにそれぞれで多彩な職種が存在します。

自分の得意分野や個性を十分に生かすことができる仕事も見つけられるでしょう。

ただし、無事に自衛隊に入隊してからも、キャリアを積んでいくためには努力が必要です。

それは日ごろの勤務状況ももちろん大切ですし、ある程度の段階で「昇任試験」を受ける必要があります。

自衛隊は明確な階級社会となっており、階級によってその人の自衛隊としての評価が決まってきます。

より上の階級にいきたければ昇任試験に合格しなくてはならず、状況によっては昇任試験に合格できないと自衛隊に残れない場合もあるため、訓練や勉強をしっかりと行う必要があります。

自衛隊の現状と将来性【人員不足も】

自衛隊の役割は大きく以下の3つがあり、日本の平和を守るために欠かせない存在となっています。

自衛隊の役割
  • 国の防衛
  • 国際協力
  • 災害派遣

近年は自衛隊が定員割れを起こすことも多く、人手不足が深刻になっています。

ただし、自衛隊に誰でもなれるわけではなく、防衛大学校の倍率は30倍~40倍となるなどエリートコースの人気は依然として高くなっています。

日本が国際的に信用され、平和な国を維持していくためには国際協調が欠かせません。

近年は自衛隊が国連平和維持活動(PKO)や国際緊急援助活動に参加するなど、国際的な活躍の場を広げており、今後も日本のみならずアジア・世界全体の平和維持への貢献が求められます。

自衛隊に向いている人の特徴3つ


自衛隊は安定した給与や福利厚生がある反面、肉体的にハードで有事の際には家族のもとを離れて任務にあたるなど、厳しい側面もあり、誰にでも務まるものではありません。

自衛隊に向いている人の特徴は次の3つです。

自衛隊に向いている人の特徴
  • 「人のために」という気持ちが強い人
  • 協調性がある人
  • 心身ともにタフでいられる人

「人のために」という気持ちが強い人

公務員でもある自衛隊は、民間企業へ就職するのとは異なり、国や国民全体のために仕事をすることになります。

自衛官として生きていくうえでは「社会全体を守るため」「困っている人を助けるため」という強い使命感や責任感が求められてきます。

自衛隊の訓練や任務では、ときに過酷な状況に追い込まれることもありますので、自衛官として強い使命感を持っていられるかどうかが、この仕事を長く続ける重要なポイントになるでしょう。

協調性がある人

自衛隊では、集団行動をする機会が非常に多くなります。

チームの中でそれぞれの役割を果たしながら任務を遂行しなくてはならず、日頃の訓練なども複数の隊員が一緒に行うものが多くあるからです。

こうしたチームワークを養うため、入隊後しばらくの間は自衛隊の基地内にある宿舎に寝泊まりして集団生活を送ります。

集団行動が嫌いという人では、自衛隊の生活は苦痛になってしまうかもしれませんので、協調性があり、チームプレーが好きな人のほうが向いているといえます。

心身ともにタフでいられる人

自衛官は、国の安全を守り、有事の際に国民の命を守るために働くことを使命としています。

そのため、自衛官となる人には人並み以上の体力が求められます。

入隊後に訓練を続け、いざというときに活躍するためには、ある程度タフでないと務まりません。

もちろん、体力は少しずつつけていけば問題ありませんが、身体的に問題を抱えていないかどうかも重要な要素となってきます。

入隊の時点でも、健康状態や一定の基準以上の肺活量や視力・聴力があるかどうかはチェックされますので、自衛隊に入るための条件を確認しておきましょう。

自衛隊に向いている人・適性・必要なスキル

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自衛隊になるには|まとめ

自衛隊に入る方法
  • 学歴を問わず応募できるコースは幅広くある
  • 自衛隊が管轄する教育機関に進学する方法もある
  • 自衛隊に入るには年齢制限があるので注意

自衛隊に入る方法は、学歴などに応じて様々なルートがあります。

自衛隊を目指す人は、自分がどのようなキャリア・職種で自衛官になりたいのかを決めて進学先を選ぶことが重要です。