消防士の仕事で大切にしていること(体験談)

大切にしている3つの考え方

人によってさまざまだと思いますが、私が大切にしているのは「昨日を引きずらないこと」「常に前向きに考えること」「毎月1つ、自分の課題を解決していくこと」の3点です。

消防士の1日は、普通のサラリーマンに比べると非日常的なことが多く、うまくいくこともあれば思ったようにいかないときもあります。

その程度であればいいのですが、人の命を左右する現場に出動するなかで、場合によっては「自分があのとき、もっとこうしていたら…」と後悔の念にかられてしまう出来事に遭遇することもあります。

そのときは反省をし、必要なところは自分の中で改善・修正をすべきですが、それ以外のところで悩んでしまっても何の意味もないことが多いのです。

だからこそ、私が新人のころには、今お話しした「昨日を引きずらないこと」と「常に前向きに考えること」の2点を自分のモットーとして仕事に従事してきました。

問題と向き合い、解決していくことが重要

「引きずらずに前を向く日々」というのは、それが習慣になればなるほど、自分を爽快な気持ちにさせてくれました。

しかしあるとき、そうした私の行動を見ていた先輩から、「ただ前向きなだけなら意味がない、お前は、昨日を見ないようにして明日と向き合っているだけだ」と厳しく叱られたことがあります。

それは、現場に出て、いざ放水という段になって操作を誤り、消火に手間取ってしまったときのことでした。署に戻った私が明るく振る舞っていることが、返って不自然に思えたのでしょう。

「嫌なことは早く忘れてしまおう」という自分の気持ちを見透かされたような強い衝撃を受けました。

先輩に言われたのは「前向きになるのは、なぜそのような事態になったのか、自分で問題点を検証して反省が終わってからだ」ということ。そのときの自分は、まさに指摘された通りでした。

そうしたことがあって、3つめの「課題解決」というモットーが加わったのです。今思えば、新人時代には一番大事な部分が欠落していたと思います。

真剣に仕事をしていれば、課題はいくらでも出てきます。毎月1つのペースでは追いつかないほどですが、無理に飛躍しようとしてもうまくいかないからこそ、焦らずに地道に頑張りたいと思っています。