自衛隊の昇級・昇任試験の基準や階級の上がり方を解説 合格しないとクビになる?

自衛隊の給料は、階級によって決まります。

基本的には上から「幹部」「准尉」「曹士」となり、昇任試験を受けるか、一定の期間を経過することで階級が上がります。

ここでは、自衛隊の階級や昇級・昇任試験や昇任基準について詳しく解説します。

自衛隊の階級のしくみ

自衛隊は明確な階級社会

自衛隊は国家公務員であり、能力が評価されることによって、より上の立場に就くことができたり、給料がアップしたりします。

これは働く以上当たり前といえることですが、とくに自衛隊には「階級」があり、明確な階級社会の中で動かなくてはなりません。

簡単にいえば、階級によって、その人の自衛官としての立場がわかりやすく表されることになりますし、給料も決まります。

階級の名称は陸・海・空で多少異なりますが、基本的には上から「幹部」「准尉」「曹士」に大きく分かれます。

自衛隊内で階級が上がる方法としては、「昇級試験(自衛隊では正しくは「昇任試験」といいます)」で合格するパターンと、一定の期間の経過でなれるパターンがあります。

昇任試験はどのタイミングで行われる?

陸上自衛隊を例に挙げると、昇任試験は、大きく分けて士長から曹へ昇級するときと、曹長から幹部である3尉へと上がるときに行われます。

通常であれば全員が幹部へと昇級するわけではないので、一般的には曹へ上がる時に試験があるくらいです。

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昇任試験の内容

学科

士長から曹への昇任試験は、学科・実技・体力測定の3本柱で行われています。

学科では、自衛隊の教本に載っている内容と、自分の専門職(普通科であれば普通科、施設科なら施設科)に関する問題が出ます。

教本に載ってる内容としては、自衛隊の役目(防衛や災害派遣など)やそれに伴う法律の基礎的な知識などが出題されます。

内容は多岐にわたるので、試験を受ける隊員は最低でも半年以上は前から勉強を始めます。

武器に関する問題も出ますが、武器の性能に関する情報の流出を防ぐために、武器の性能は教本にも記されてません。

この部分は、すでに曹になっている先輩隊員に教わります。

仕事が終わった夜になると、試験を受ける隊員を相手にした勉強時間が設けられており、このときに先輩隊員から教本に載ってない部分や、どのような問題が出るのかを教わるのです。

体力測定と実技

体力測定は腕立て・懸垂・腹筋や持久走などがあります。

それぞれ規定の回数が決められており、その回数に届かないとその時点で不合格になります。

たとえば腕立てであれば最低でも80回はできなければいけません。

部隊を指揮する実技は、数人の隊員を規定のスペース(約25m四方)の範囲内で指揮するという内容です。

部隊を前進させたり停止させたり、または整列させた時に乱れがあればそれを注意して直すといったことをします。

指示する内容はあらかじめ決められており、それも覚えておかなければいけません。

実際に指示するとスペースが案外狭く、部隊がスペースから出てしまいそうになりますが、それは減点の対象になるので、これもかなり難しいです。

とくに部隊を指揮する試験は学科と違って普段の練習量がものをいうので、全員がかなり練習をしてきます。

この試験に受かるには、普段からの体力作りや学科の勉強に比重を置くのが重要になってきます。

普段の評価はどうやって決まる?

昇任試験以外の場でも自衛官は評価され、昇進に影響があります。

評価される基準は、一般の会社に勤務する場合とは大きく違ったものになります。

なんといっても「体力」が重要

自衛隊の評価要素となる大きなものが「体力」で、一番の評価対象になると言っても過言ではないでしょう。

なぜかというと、たとえば同じ距離を徒歩で移動するにしても、10kgのものしか持てない人と、20kgのものを持てる人とでは、明らかに後者の人のほうが重宝されるからです。

たとえ訓練であっても結構な重量のものを持ちますし、そのままで30kmを徒歩で移動することもあります。

そのときに、軽い物しか持てない人はそれだけで扱える武器なども制限されますし、また他の人を助ける余裕もありません。

しかし、体力があれば重い武器も持てますし、疲れた仲間を助けることもできます。

こうしたことから、体力は評価にも大きく影響してくるようです。

自分の役割を理解している

日ごろから訓練の意味や内容を自分なりによく考えて、準備や行動をすることも大切です。

そうすることで訓練中に上官の指示の意味がよく理解できますし、上官も信頼してくれるため、普段の訓練でもさまざまな経験をさせてもらえます。

自分である程度考えて、先を読めるように普段から行動するように心がけるといいでしょう。

一人ひとりの動きや努力を上の人は思っている以上に見ていてくれるものなので、普段から意識しておいて損はありません。

ただし、指示に反する行動はマイナス評価につながってしまうため、気をつける必要があります。

気遣いもポイントに

体力勝負の自衛隊とはいえ、訓練以外の日常でもちょっとした気遣いができる人は評価も高くなるようです。

昇進が早かったり、周りから信頼が厚い人は、すごく気遣いができる人であることが珍しくありません。

とはいってもあまり難しく考える必要はなく、率先して雑用などをこなしていくことから始めるといった心がけが大事です。

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昇任試験に合格しなかったらクビになる?

自衛隊で昇任できなかった場合にクビがよぎるのは「任期制自衛官」の場合です。

任期制自衛官は、民間でいう契約社員やアルバイト枠扱いで、任期ごとに契約を更新して働きます。

「士長」という階級までは自動的に昇任しますが、その次の階級「3曹」になるには昇任試験に合格しなくてはなりません。

一定の年齢や期間で合格できないと契約更新をしてもらえず、任期満了で退職をする流れになるのが一般的です。

もし自衛隊に残って働きたいのであれば、この昇任試験は避けて通れません。

基本的に、士長のままで自衛隊に残れる期間は約2任期(陸上は約4年、海上・航空は約5年)といわれており、この期間で昇任できないと、事実上の「肩たたき」にあうことが多いといわれています。

自衛隊の昇級試験の内容とは?のまとめ

自衛隊の昇任試験は、基本的に学科・実技・体力測定で行われています。

自衛隊の教本に載っている内容と、自分の専門職に関する問題が出題され、先輩隊員に教わることもあります。

また、自衛隊の評価の基準は、一般の会社とは大きく異なるため、自衛隊員としての自覚をしっかりと持つことが大切です。