海上保安官になるには

海上保安官になるまでの道のり

海上保安官になるための代表的なルートは、海上保安大学校または海上保安学校を卒業して海上保安官として採用されることです。

つまり海上保安大学校または海上保安学校に入学することが海上保安官への第一歩となりますが、それぞれ中卒での入学はできず、高等学校または中等教育学校(中高一貫校)の卒業が最低条件です。

なお受験できる期間は決められており、4月1日時点で海上保安学校は高等学校または中等教育学校の卒業日の翌日から5年を経過していない人、海上保安大学校は2年を経過していない人が対象です。

教育期間は専攻によって違いますが、海上保安学校は1~2年、海上保安大学校は本科4年ですが、その後は専攻科を6カ月、国際業務課程を3カ月修習するため計4年9カ月です。

卒業後、晴れて海上保安官となり全国の基地に配属され巡視船などの乗員として経験を積んでいきます。

海上保安官の資格・難易度

必要な資格

海上保安官になるために必要な資格はありませんが、海上保安官になってから活動するためには職種ごとに必要な資格が必ずあります。

巡視船などで働く場合、航海科職員は5級海技士(航海)以上、機関科職員は5級海技士(機関)以上、通信科職員は1級または2級総合無線通信士などが必要です。

航空基地で働く場合、飛行科職員(パイロット)は事業用操縦士の資格以上の技能証明書や航空無線通信士、通信科職員は航空無線通信士または第1級、第2級総合無線通信士などの資格が必ず必要です。

いずれも国家資格で、海上保安大学校または海上保安学校で訓練を行いながらこれらの資格取得に向けた勉強も行います。

海上保安大学校・海上保安学校の入学倍率

海上保安大学校は毎年600人前後の受験者に対して合格者は80人前後で、倍率は約6~8倍となっています。

一方、海上保安学校は課程によって応募人数も倍率も大きく変わります。

<倍率の目安>
・船舶運航システム課程:合格者は約460人で倍率は約8倍
・航空課程:合格者は約18人で倍率は約11倍
情報システム課程:合格者は約77人で倍率は約4倍
・海洋科学課程:合格者は約21人で倍率は約5倍

なお、毎年5月に第一次試験が行われる海上保安学校学生採用試験(特別)の倍率は約10倍です。

海上保安大学校の難易度・合格率・倍率
海上保安学校の難易度・合格率・倍率

海上保安官になるための学校の種類

海上保安大学校

海上保安大学校は海上保安庁の幹部候補を教育する学校です。

幹部に必要な学術や技能を本科4年、専攻科6カ月、国際業務課程3カ月の計4年9カ月のカリキュラムで身につけさせます。

カリキュラム自体は学校教育法の大学設置基準によるもので、卒業すると日本で唯一の学位である学士(海上保安)が与えられます。

受験するには高等学校または中等教育学校を卒業していることが条件となる以外は特に必要な資格はありません。

在学中は寮生活が基本ですが、入学と同時に国家公務員扱いになるため給与が支給され、学費も無料です。

海上保安学校

海上保安学校は海上保安庁で活躍する専門職員を育成する学校です。

船舶運航システム課程(1年)、航空課程(1年)、管制課程(2年)、情報システム課程(2年)、海洋科学課程(1年)の5つの課程があり、海上保安官として必要な全課程共通科目に加え、それぞれに応じた専門科目を学びます。

受験資格は高等学校または中等教育学校の卒業のみが条件で海上保安官として必要な資格は学校生活を通して取得を目指します。

海上保安大学校と同じく、在学中は寮生活が基本ですが国家公務員として給与が支給され、学費も無料です。

海上保安官に向いている人

協調性

海上保安官になるための第一歩である海上保安大学校や海上保安学校は寮生活ですし、巡視船に配属されてからも自分の担当職種はもちろん、他職種職員と常に協力しながら船を航行させます。

潜水士や飛行職員も同様で、常に仲間と行動を共にし、時に危険な場面に遭遇することも多い海上保安官にとって協調性は必ず必要な適性といえるでしょう。

強じんな体

過酷な訓練と現場を乗り切るには強じんな体が必要です。

一度巡視船に乗れば2週間も帰ってこれないこともあり、航海中は常に注意を払わなければいけないため、体調を崩していては仕事になりませんし、仲間にも迷惑がかかるため常日頃鍛えておく必要があるでしょう。

加えて海難救助の際は安全を確保しつつ、救助者と一緒に移動しながら二次災害を起こさないような動きも必要なため一人で行動するよりも何倍もの体力が必要になります。

強い精神力

救助は必ず成功するとも限らないのが現実です。

残念な結果になったとしても、事故は待ってくれないため次につなげられる強い精神力が必要でしょう。

また巡視船などは長期間限られた空間で過ごすため、少なからずストレスも抱えますがそれに負けない精神力も求められます。

海上保安官に向いている人・適性・必要なスキル

海上保安官のキャリアプラン・キャリアパス

海上保安官にはさまざまなキャリアプランが考えられます。

海上保安大学校を卒業した人は初級幹部職員として、巡視船の主任航海士としてまず配属されます。

その後は本庁勤務、PC型巡視艦船長、本庁係長、外務省出向、PL型巡視船船長など、海上勤務と陸上勤務を繰り返し、幹部職員としての経験を積んでいくようです。

海上保安学校を卒業した海上保安官はスペシャリストとしてキャリアアップが考えられます。

航海士専門として経験を積みキャリアアップしたり、航海士を経て潜水士を目指し、特殊救難隊を目指す道もあるでしょう。

ここで紹介したのはあくまでも一例ですが、能力や適性に応じて多様なキャリアプランがあるのも海上保安官の特長といえます。

海上保安官を目指せる年齢は?

2012年の採用試験から年齢制限はなくなりました。

しかし冒頭で記したように、海上保安学校は4月1日時点で高等学校または中等教育学校の卒業日の翌日から5年を経過していない人、海上保安大学校は2年を経過していない人が受験可能対象者となります。

海上保安学校、海上保安大学校ともに試験年度の3月までに高等学校または中等教育学校の卒業見込みの者、または人事院が卒業と同等の資格があると認められた人も受験が可能です。

海上保安官は女性でもなれる?

1979年から女性の海上保安官採用がはじまり、平成29年4月1日時点で865名の女性が海上保安官として働いています。

割合としては全体の6%程度なのでまだまだ低いといえますが、海上保安庁としても積極的な採用を行うため職場環境の整備を進めています。

女性海上保安官は国際捜査官や鑑識官、運用管制官といったものから航空機のパイロットや巡視船船長など幅広く活躍しています。

2017年には女性初の海上保安部長が誕生しており、今後ますます女性の活躍する場が増えてくるでしょう。

女性の海上保安官のキャリアパス・結婚後の生活