警察官で殉職はある?

警察官の殉職する割合

警察官の業務は、凶悪犯を追いかけたり、事件や事故の現場に立ち会ったりと、危険が伴うケースも少なくありません。

そういった際に、殉職してしまうのではないかと不安に思う人もいるかもしれません。

過去の統計をみれば、日本において警察制度が創設された明治7年から現在に至る150年ほどの間に、約5500名の警察官が不幸にも殉職しています。

単純に計算すると年間40名弱の警察官が業務中に亡くなっていることになりますが、近年はかつてほどの死亡率ではなく、昨今1年間に殉職する人数は10名前後です。

現職の警察官は全国に約30万人いるため、年間10名という殉職者数が多いか少ないかは人によって感じ方が異なるでしょうが、業務に一定の危険性を孕んでいるということは認識しておくべきでしょう。

現場に出る警察官は皆、そうしたリスクを少しでも減らすために、毎日厳しい訓練に臨んでいます。

警察官が殉職するケース

交通事故とその事例

テレビドラマなどでは、犯人を確保する際に抵抗を受けて、刃物で刺されたり、けん銃で撃たれるといったシーンがよくありますが、実際の殉職理由で最も多いのは「交通事故」です。

交通違反を取り締まったり、あるいは犯人を追跡する際には、ときに猛スピードで車両を走行させないといけないケースもあるため、運転を誤ったり、追跡車や対向車とぶつかったりすることが多いそうです。

近年では、2006年に高知県警の白バイ隊員がスクールバスと衝突して死亡した事故が、数多くの疑義をはらんだものとして、メディアで大きく取り上げられました。

犯人に殺害されるケースとその事例

交通事故と比較すると、事例としては圧倒的に少ないものの、あさま山荘事件や三菱銀行強盗殺人事件のように、犯人によって警察官が殺害されるケースもなくはありません。

比較的最近に起こったものとしては、愛知県警のSAT(特殊急襲部隊)隊員が、人質を取って立てこもっていた元暴力団員の犯人に銃殺された事件が挙げられます。

天災とその事例

警察官は災害発生時の救助活動も業務の範疇であり、大規模な天災が発生した際には、被災者を助ける過程で警察官が殉職するケースもあります。

2011年に起きた東日本大震災では、25名の警察官が死亡、5名の警察官が行方不明となりました。

ほとんどは津波からの避難誘導に当たっていた警察官で、なかには非番だったにもかかわらず現場に駆け付け、津波に飲まれてしまった人もいたそうです。

過労死とその事例

警察官の仕事は質・量ともにハードであり、交番勤務など、ときに長時間勤務が常態化するケースもあります。

年末年始やお盆などの連休時期で事件・事故対応が立て込んだり、オリンピックなど国家規模のイベントで警備業務が激増すると、ろくに睡眠時間も取れないまま働くことになり、過労死の危険性が高まります。

2003年には、大阪府警の巡査が、東京サミットに関連した人手不足によって、24時間勤務の「当番」を3回連続で繰り返した結果、急性心疾患で死亡するという痛ましい事案がありました。

犯罪事件を追う刑事部門でも、早朝から深夜に及ぶ聞き込み捜査などで、過労で倒れてしまう警察官もいるようです。

民間企業と同じように、警察組織についても、業務負担への配慮は重要な課題といえます。

殉職したあとの補償

もしも警察官が殉職してしまった場合、警察官の遺族に対しては「弔慰金」や「賞じゅつ金」が支給されます。

また、殉職した警察官は、敬意を込めて「二階級特進」になることが慣例となっており、階級が上がることで、遺族が受け取る「死亡退職金」や「遺族年金」も割り増しされます。

警察官の家族にとって、殉職によって失われるものは計り知れませんが、少なくとも経済面については手厚い補償がなされるといえます。