消防士の志望動機と例文・面接で気をつけるべきことは?

消防士を目指すきっかけで多いものは?

消防士になる人は、比較的早い時期(中学生や高校生くらい)で、「将来は消防士になる」と決めていることが多いようです。

その背景には、消防士という職業が私たちの生活に身近であり、また、子どもたちにとっての憧れの対象となっていることがあるのかもしれません。

ニュース、あるいはテレビドラマや映画などで消防士が活躍する姿を見て、「自分もこんな風に人を助けたい」という思いから、消防士を目指す若者が大勢います。

また、近年の大規模な自然災害の際に、消防士が消火活動や人命救助をする姿がニュースなどで多く取り上げられていることなどから、世の中を守る消防士になることを決意する人もいるようです。

なかには、身内(親や親戚など)が消防士であることから、自分自身も消防士になるというケースもありますが、そうでない人もたくさんいます。

消防士の志望動機の考え方

全国の自治体が実施する消防官採用試験のほとんどでは面接や作文が行われており、その際に志望動機が聞かれないことはまずあり得ないでしょう。

消防士の志望動機を文章で書く、または口頭で伝える際のポイントをいくつかご紹介します。

消防士でなくてはならない理由を伝える

消防士は地域住民の生命と財産を守るための職業です。

しかし、単に人命救助を行うのであれば、他にも「医師」「看護師」「救急救命士」「ライフセーバー」などさまざまな選択肢があります。

面接官は「なぜこの人は数ある職業の中で消防士を選んだんだろう?」というところを見たいのです。

まずは消防士でなければならない理由を自分の中で整理し、自分の言葉で伝えましょう。

消防士の仕事を理解する

幼い頃に見た消防士の姿に憧れを抱き、この仕事に就きたいと思ったと話す人はたくさんいます。

もちろん、そうした素直な気持ちは大事にして構いませんが、これから本気で消防士を目指す以上は、消防士の仕事内容や責任の重さについてしっかりと理解しておくことが不可欠です。

消防士は、思っている以上に過酷で心身をすり減らす仕事です。消防士の厳しさを理解したうえで、それでも消防士になりたいという思いをアピールすることができれば、合格に近づいていくでしょう。

志望動機のNG例

面接・作文のNG例をいくつかご紹介しましょう。

1.エピソードによる過度なアピール

消防官採用試験の面接官は、年間で何百人、自治体によっては何千人もの受験生と接します。「自分は幼い頃に消防士に助けてもらって、その憧れを形にするために受験しました」といったエピソードは、うんざりするほど聞き飽きていると思って間違いないでしょう。

もちろん消防士を目指したエピソードを言うこと自体が悪いわけではありません。

単純にエピソードを語るのではなく、「その体験をきっかけにどんなことを感じたのか、なぜそう思ったのか、それをきっかけに自分がどう変わったのか」といったことを理路整然と答えられるようにしておくことが必要です。

2.「体力には自信があるので…」

部活動などに一生懸命取り組み、その延長上で体力勝負の消防士を志望するといったケースもよく耳にしますが、面接官にとっては「体を使うなら運送業でも何でもいいのに、なんで消防士に?人命救助の切迫した状況で冷静に動いてくれるのか」という気持ちになってしまいます。

体力に自信があることはプラス要因にはなりますが、それだけでは志望動機の本筋にはならないため、注意が必要です。

自分がどんな消防士になりたいのかといったことを具体的にイメージして、「そのために今までどんなことをしてきたのか、これからどうしていきたのか」といったアピールをするとよいでしょう。

消防士の志望動機の例文

例文その1

「私が消防士になることを目指した一番の理由は、以前、テレビのドキュメンタリー番組で見た消防士の姿でした。

そこに映る消防士たちは、大きな火災で荒れ果てた現場に出動し、まさに寝食を忘れて一人でも多くの人を助け出そうとしていました。

そのような姿を見て、私は「こんなに人のために頑張れる仕事は他にないのではないか」と感じ、自分もこの一員になりたいと決意しました。

実際の消防士は、この番組に映っていたこと以上に過酷な場面にもたくさん遭遇するのだと思います。

しかし、私はどんな困難な状況にぶつかっても決してあきらめることなく、全身全霊で人の命を救い、世の中の安全や安心を守りたいと考えています。」

例文その2

「私が消防組織に入りたいと考えたきっかけは、かつて祖父が急な体調不良で倒れた際に、迅速に助けてくれた救急救命士の方と出会ったことでした。

当時、子どもだった私は不安でいっぱいになっていましたが、119番通報を受けてやってきた救急救命士の方が「大丈夫、任せてね」と声をかけてくれ、とても心強く感じたことが印象に残っています。

その後、祖父は病院へ搬送されたのち、無事に命を救われました。

あのとき出会った救急救命士は、いまでも私のヒーローです。

この出来事をきっかけに、「今度は私が誰かのヒーローになりたい」と強く思うようになりました。

私は勇気を与えられる消防士を目指し、そして将来的には救急救命士の資格も取得し、一人でも多くの人の命を救いたいと思っています。」

消防士の面接で聞かれること・注意点

消防士の採用試験では、大きく分けて「筆記試験」「体力試験(身体検査)」「面接試験」の3種類の試験が行われています。

たとえば東京都の場合、第1次試験として筆記試験が、第2次試験として身体・体力検査と口述試験が実施されていますが、この場合は口述試験というのがいわゆる面接にあたります。

面接は、どの自治体の消防士採用試験においても合否を判断する重要な試験となっています。

面接試験の流れは、だいたい以下のようにあんっています。

まず、受験生には面接に先立って「面接カード」が配られます。

このカードには必要事項を書き込む欄と併せて面接官からの質問事項が記されています。面接の順番がまわってくるまで、質問事項に対する答え方をイメージしておきましょう。

すべてを質問されるわけではありませんが、下記はその一例となるものです。

・消防官を志望した動機は
・消防に入ってどんな仕事をしたいか
・希望の職種に就けなかったらどうする
・ボランティア活動についてどう思うか
・受験に際して両親の意見は
・消防学校は全寮制だが大丈夫か
・周りとの人間関係などうまくやっていけるか
・他の消防本部の採用試験を受験したか
・なぜ○○消防本部を希望したのか
・○○市について知っていることは
・卒論のテーマを簡潔に
・あなたの性格についてどう思うか
・具体的に長所・短所をあげるとしたら
・友人はあなたのことをどう思っているか
・学校でのクラブ活動は
・これまでに受賞歴などはあるか
・これまでに違反歴はあるか

消防士の自己PRのポイント

面接での自己PRを通じて判断される最も大きなポイントは、「消防士としてふさわしい人物かどうか」ということです。

過酷な現場で人命救助に携わる消防士は、ものすごく重い責任と使命を抱えて働くことになります。

見た目や言葉遣いからだらしなさを見せてしまったり、軽率な印象を残してしまったりすれば、その時点で合格はほぼ難しいと考えておいたほうがよいでしょう。

面接官の質問には明るくハキハキと答え、誠実かつ真面目な印象を与えることが大切です。

もちろん、先に挙げたような質問例に対して自分なりの考えをきちんと述べられる準備をしておくことも欠かせません。