「繊維メーカー社員」とは

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合繊繊維や天然繊維など、衣料品や産業用にも使われる各種繊維の開発・製造を行う。

繊維メーカーとは、合成繊維(ナイロン、ポリエステル、アクリルなど)や天然繊維といった各種繊維の開発・製造を行い、世の中に提供する企業のことをいいます。

大手繊維メーカーの大半は新卒採用を毎年行っており、基本的に「大卒以上」の学歴が求められます。

また新卒では「総合職」としての採用が基本となっていますが、大きく分けると「技術系」と「事務系」の2種類の職種があり、技術系に関しては、化学、電気・電子制御、機械といった理工系の学生が多く集まります。

平均年収は500万円~600万円程度といわれていますが、繊維メーカーは数が多く、また古くから続く中小規模の企業もたくさんあるため、企業ごとに給与や待遇面にはだいぶ差があると考えておいたほうがよいでしょう。

国内では衣料用繊維の需要が縮小しているものの産業用繊維の需要は増加傾向にあるとされており、大手繊維メーカーを中心に世界的にも需要が大きな高機能繊維の開発に力を入れ、グローバル市場で競争していこうとする動きが強まっています。

「繊維メーカー社員」の仕事紹介

繊維メーカー社員の仕事内容

繊維の開発や製造、供給を行う

繊維メーカーとは、合成繊維(ナイロン、ポリエステル、アクリルなど)や天然繊維といった各種繊維の開発・製造を行い、世の中に提供する企業のことをいいます。

繊維業界は、私たちの生活に必要不可欠な「衣食住」の一つである、衣料品を製造するための素材を供給する産業として、古くから成長してきました。

ただ近年では、国内市場の縮小や、新興国からの安価な繊維素材が台頭している影響もあり、単に衣料品用繊維を供給するだけでは事業経営が立ち行かない厳しい局面を迎えています。

このため、衣料品向けに限らない高機能繊維を開発したり、本業で培ってきたノウハウを生かせる、樹脂やフィルムなどの別事業を展開する企業が増加傾向にあり、その仕事内容は多様化しています。

繊維メーカー社員の就職先・活躍の場

企業により事業の方向性は異なる

繊維メーカーは、取り扱う繊維の種類によって、「合成繊維系」「天然繊維系」「加工品系」などに分類することができます。

コマーシャルで目にする機会の多い大手企業など、あらゆる繊維を取り扱う「総合系」といわれるメーカーもありますが、企業ごとに手掛ける繊維や保有する技術、主な供給先、活躍の場は異なります。

高機能繊維についても、消防服や防弾チョッキなどに用いられる「アラミド繊維」や、航空機や自動車の車体に用いられる「炭素繊維」など、企業によって研究開発している素材はさまざまです。

繊維メーカー社員の1日

研究施設内で1日の大半を過ごす

繊維メーカー社員のスケジュールは配属部署などによって異なりますが、一例として研究開発職の1日をご紹介します。

研究開発には膨大な時間を要するため、研究施設内での作業に1日の大半を費やすようです。

8:00 出社
部内ミーティング、実験準備などを行います。

9:00 実験
さまざまな加工方法を考案し、実験を繰り返します。

12:00 休憩

13:00 外部打ち合わせ
供給先の法人担当者に対し、新製品の開発状況を報告したり、試作品を提供したりします。

15:00 デスクワーク
実験で得られたデータを整理・分析し、資料に取りまとめます。

18:00 帰社

繊維メーカー社員になるには

各企業が実施する採用試験を受ける

繊維メーカーの社員として働くには、各社が実施する採用試験を受験する必要があります。

新卒では「総合職」としての採用が基本となっていますが、大きく分けると「事務系」と「技術系」の2種類の職種があり、大手の多くでは職種別の採用がなされています。

事務系としては営業、商品企画、マーケティング、人事、経理など、技術系としては生産管理、研究(基礎、応用)、開発、プラントエンジニア・生産設備設計、品質管理などがあります。

総合職社員は、数年単位で部署異動を繰り返し、複数の職種を経験しながらキャリアを形成していくことになります。

繊維メーカー社員の学校・学費

基本的に大卒以上の学歴が必要

大手繊維メーカーの大半は新卒採用を毎年行っており、基本的に「大卒以上」の学歴が求められます。

事務系は学部・学科不問である一方、技術系に関しては、化学・物理系、電気系、機械系といった理工系の学生が採用の中心となっており、専攻別に採用枠がある程度定められている企業もあります。

ただ、中小企業などでは、技術系であっても学部・学科が問われなかったり、またそもそも事務系・技術系の区分なく一括して採用しているところもあり、企業によって採用事情は異なるようです。

繊維メーカー社員の資格・試験の難易度

新卒採用時に特別な資格は必要ない

新卒で繊維メーカーに就職する際、必要となる資格やスキルなどはとくにありません。

入社後に、それぞれの配属先で必要なスキルや、繊維などに関する専門知識を学んでいくことになるでしょう。

ただ、国内の事業環境が厳しさを増している影響もあって、各社は海外への事業展開を推し進めており、繊維メーカー社員が働くうえで英語力が必要になる場面も今後増えてくると思われます。

採用時点で英語力が問われることはありませんが、英検1級資格やTOEICハイスコアなどがあれば、他の学生との差別化に繋がるでしょう。

繊維メーカー社員の給料・年収

事業規模などによって年収に差がある

繊維メーカーの平均年収は、500万円~600万円程度といわれています。

ただ、繊維メーカーは数が多く、誰もが知る大手上場企業から、古くから続く中小企業まで、その規模はさまざまですので、企業ごとに給与や待遇面にはだいぶ差があると考えておくべきです。

最大手では年収700万円以上となっているところもある一方、地場の小さな繊維メーカーでは業界平均以下となるでしょう。

初任給は最終学歴によって異なり、大手であれば学部卒は20万円~22万円、大学院修士卒は25万円前後、大学院博士卒は28万円前後くらいになっているようです。

繊維メーカー社員のやりがい、楽しさ

生活のなかに繊維製品は溢れている

繊維メーカーで働く社員のやりがいの一つは、自分の担当した繊維が用いられた製品を日常生活の中で見かけたときです。

繊維はあくまで素材であり、普段あまり脚光を浴びることはないかもしれませんが、身の回りには衣料品をはじめとして多くの製品に繊維が使われています。

また、繊維メーカーの手掛ける高機能・高付加価値繊維は、衣料品にとどまらず、自動車や航空機などの車体、タイヤ、ブレーキ、あるいは光ケーブルなど、さまざまな製品の基になっています。

自社製品を街中で見かける機会は、今後ますます増えていくでしょう。

繊維メーカー社員のつらいこと、大変なこと

新しい技術を開発し続けなければならない

既存の繊維を生産するだけで、ある程度の業績を確保できた時代は終わろうとしています。

これからの繊維メーカーは、衣料品向けであれば吸湿性や速乾性に優れた高機能繊維を、それ以外なら強靭性や軽量性に優れた繊維など、世の中になかったものを開発していかなければなりません。

しかし、新製品や新技術の開発は、一朝一夕でできるものではなく、長年にわたる研究と努力が必要です。

ものづくり全般にいえることですが、新しいものを生み出すには、大変な苦労が伴います。

繊維メーカー社員に向いている人・適性

興味の範囲が広い人

繊維メーカーの事業は近年多様化しており、本業の繊維がさまざまな用途向けに開発されると共に、樹脂やフィルム、ケミカル、電子情報材料など、繊維以外の素材も取り扱うようになっています。

このため、繊維だけでなく、あらゆる素材事業に関心があり、興味を抱く範囲の広い人は、繊維メーカー社員に向いているでしょう。

また、国内市場が頭打ちであることもあって、海外へ販路を拡大する企業も増加傾向にありますので、グローバル志向の強い人も、繊維メーカーで働く適性があるといえます。

繊維メーカー社員志望動機・目指すきっかけ

最先端の技術に携わりたい人が多い

繊維メーカー各社は、炭素繊維やアラミド繊維をはじめとして、新しい製品の開発に注力しています。

繊維メーカーへの就職を志望するのは、そうした最先端の研究に魅力を感じ、それらを用いた製品開発に携わりたいと考える人が多いようです。

研究などの技術系社員だけでなく、事務系社員にも、そうした最新技術に触れる機会は多数ありますので、各社の新しい取り組みを知ったことが、繊維メーカーを目指す多くのきっかけとなっています。

繊維メーカー社員の雇用形態・働き方

繊維メーカー社員の働き方はグローバル傾向が強まる

繊維メーカー各社は、大手を中心として、海外での事業展開を積極的に推進しています。

企業によっては、採用時点で将来的な海外赴任を前提とした「グローバルコース」を設けているところもあり、繊維メーカー社員の働き方はより世界市場に目を向けたものとなっていく見通しです。

大手企業であれば、ほとんどのところで学生を対象としたインターンシップを実施していますので、それらに参加して、自分がそれぞれの職場で働く姿を具体的にイメージしてみるのもよいでしょう。

繊維メーカー社員の勤務時間・休日・生活

出張する機会が多い部署は忙しい

繊維メーカーの勤務時間は、勤務場所などによって多少異なります。

事務系職など、オフィスワークが主体となる場合は、おおむね9:00~18:00前後となっている一方、技術系など、研究所や工場勤務の場合は、8時頃始業、17時頃に終業というケースが多いようです。

残業時間については、企業や配属部署によってさまざまですが、衣料品企業や工場が比較的地方に多いこともあり、業界全体として出張する頻度が高めで、移動に時間を取られるケースもあるようです。

繊維メーカー社員の求人・就職状況・需要

業界は縮小傾向だが求人数は安定的

繊維業界全体でみれば需要は減少していますが、繊維メーカー各社がその取り扱い領域を拡大していることにより、求人数は大手を中心に比較的安定しています。

最大手企業では、事務系・技術系合わせて100名以上を採用するところもありますが、その内訳をみれば、事務系職よりも、事業の根幹を担う技術系職のほうが採用人数はかなり多めであるようです。

ただ、そういった大手企業は、知名度の高いところが多く、就職先として人気があるため、採用倍率は高くなりがちです。

繊維メーカー社員の転職状況・未経験採用

実務経験のあるキャリア採用が大半

繊維メーカーは大手を中心に中途採用も実施しており、通年で募集をかけている企業もあります。

採用の大半は即戦力人材を対象とした「キャリア採用」であり、繊維業界で働いた経験はなくても構いませんが、募集職種に応じてそれぞれの職務経験が必要となります。

近年、繊維メーカーが事業を多角化していることもあり、未経験者についても、時期によってはチャンスがありますが、募集人数はそう多くはありません。

繊維業界で働きたいなら、営業職であれば「TES繊維製品品質管理士」、技術系職種であれば「危険物取扱者」など、業務に関連性の深い資格を取得してアピールすることが必要かもしれません。

繊維メーカー社員の現状と将来性・今後の見通し

国際競争力のある大手はグローバル化していく

近年は、人口減少などにより衣料品自体の販売が伸び悩んでいること、そして中国や東南アジアから安価な繊維が大量に輸入できるようになったことなどから、国内の繊維需要は減少傾向にあります。

業界環境が厳しさを増していくなか、大手繊維メーカー各社は続々とM&Aに乗り出して、事業の多角化や規模の拡大を進め、収益の確保に努めています。

世界的にも需要が大きな高機能繊維の開発に力を入れ、グローバル市場で競争していこうとする動きは今後さらに強まっていく見通しです。