飲料メーカー社員の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

「飲料メーカー社員」とは

飲料メーカー社員の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説

水、お茶、ジュースなどのさまざまな飲料品を企画・製造し、安全に流通させる。

飲料メーカーとは、水、お茶、ジュース、コーヒーなどのさまざまな飲料品を製造し、販売する会社のことです。

世の中のニーズに合わせた商品を考えて新しい商品を生み出したり、既存商品のリニューアルを行ったりしています。

飲料メーカー社員になるには、各飲料メーカーが独自に実施している採用試験を受け、採用される必要があります。

大手飲料メーカーの多くが定期的な新卒採用を実施しており、大きく分けて理系学生を対象とした「技術系」と、学部・学科不問で応募できる「事務系」で募集されます。

平均年収は他の業界と比べてもやや高水準で、最大手クラスの企業になると、40代で平均年収が1000万円に迫るケースも見られます。

飲料業界は、シェアのほとんどを大手メーカー数社が占めており、限られたパイを各社が奪い合っている状況です。

また、国内市場が縮小傾向にあるなか、最近では海外メーカーとの提携によって事業拡大を目指すメーカーも登場しています。

「飲料メーカー社員」の仕事紹介

飲料メーカー社員の仕事内容

飲料品を企画・製造し、消費者へ届ける

飲料メーカーとは、飲料品を企画・製造し、流通や販売する会社のことです。

「飲料」にはさまざまなものがありますが、その種類を大きく分けると、ビールをはじめとする「アルコール飲料」と、コーヒーや炭酸飲料、茶系飲料などの「清涼飲料」があります。

最近よく聞くようになった特定保健用食品(トクホ)飲料や、エナジー系飲料などもあります。

これらの飲料は、食品と同じく人々の生活に不可欠なものであると同時に、「安心・安全」が強く問われる製品であることが特徴です。

飲料メーカーのさまざまな職種・仕事

飲料メーカーはいくつもの部門に分かれ、各部門でさまざまな役割をもつ社員が活躍しています。

代表的な仕事としては、新商品を検討する「企画・マーケティング」、新商品の開発に携わる「研究開発」、実際に工場で飲料を製造する「製造」、商品を販売する「営業」、商品を効率的に輸送する「物流」などがあります。

飲料メーカーは規模が大きな会社が多く、社員たちは各配属先で担当業務にあたりながら効率よく仕事を進めています。

関連記事飲料メーカーの仕事とは? わかりやすく仕事内容を紹介

飲料メーカー社員になるには

大手飲料メーカーでは定期的な採用活動が行われている

飲料メーカー社員として働くための最初のステップは、各メーカーが実施する社員採用試験を受験することです。

大手飲料メーカーでは新卒採用が毎年行われています。

募集区分は、大きく分けると「事務系」と「技術系」の2つです。

事務系は、企画やマーケティング、営業、物流、広報、人事などのさまざまな業務を担当する職種で、通常は学部・学科不問で応募できます。

技術系は、研究開発や生産、エンジニアリングなどの業務に携わる職種で、通常は理系分野を専攻してきた学生が対象となります。

とくに技術系を志望する場合は、学生時代の学びと志望職種の関連性が重視される傾向にあるため、その点に気をつけて応募する必要があります。

また、大手企業の新卒採用では、「大卒以上」の学歴が応募資格となることが多いです。

入社後のキャリアパスは?

事務系として採用された場合、入社後は本人の適性や希望、会社の事情などを考慮して配属が決まります。

その後は幅広い職種を経験しながらキャリアアップを目指します。

とくに大企業で全国各地に拠点を設けている企業は転勤、あるいは海外赴任の可能性もあります。

ただ、飲料メーカーによっては、遠方への転勤がない「エリア採用」を行っています。

技術系で採用された人は、基本的には各部門・業務のプロフェッショナルになることを目指し、経験を重ねていきます。

職種問わず、長く働いて経験を積めば役職者になり、チームのマネジメントに携わることができます。

関連記事飲料メーカー社員として働くには(大学・学歴・学部など)

飲料メーカー社員の学校・学費

技術系職種は理系学生を対象とする

飲料メーカー社員は、目指す企業や職種によって通うべき学校が異なります。

まず、大手企業の正社員になりたい場合には、最低でも大学に進学しておくほうがよいでしょう。

企画や営業などの事務系職種は学部・学科不問で応募でき、文系・理系も問われません。

一方、技術系職種については、理系の学生を対象とした採用が行われています。

なかでも研究開発職は生物系、化学系、農学系、薬学系、またエンジニアリング職は電気系、機械系、化学工学系などを専攻してきた学生が対象となることが多いです。

「学生時代に深く学んできたことを各社の仕事でどう生かせるか」といったことが問われます。

飲料メーカーに就職を希望する場合には、自分がどのような仕事をしたいかをしっかりとイメージしておきましょう。

飲料メーカー社員の資格・試験の難易度

資格よりも専攻や意欲が重視される

飲料メーカー社員として働くうえで、特別な資格やスキルが求められることはほとんどありません。

資格よりも重視されるのが、大学での学部・学科や専攻です。

とくに技術系職種に応募する場合は、大学で学んだ内容が、採用試験での選考基準の一部となることもあります。

しかし、それだけで合否が決定するわけではなく、仕事に対する意欲や人間性なども重視して総合的に判断されます。

そのほか、一般的に取得しておくと有利なスキルとしては「英語力」に関するものが挙げられます。

大手飲料メーカーはグローバルな事業展開を行っているところが多いため、語学堪能な人は評価されやすかったり、海外関連の仕事を任されやすかったりすることもあります。

飲料メーカー社員の給料・年収

他の企業と比べて高水準で安定している傾向

飲料メーカーの平均年収は650万円から750万円程度といわれています。

飲料メーカーは大手企業が多いため、他の業界と比べても給与は比較的高水準です。

景気の影響を受けて一時的に経営状況が悪くなったり、M&Aなどによって組織体制や事業展開が大きく変わったりする可能性はありますが、とくに大手企業では恵まれた待遇で働きやすいと考えておいてよいでしょう。

長く働いて確実に成果を出していけば昇給し、順調に出世していくと、30代後半から40代で年収1000万円に迫るケースも見られます。

福利厚生も充実している企業が多く、通勤手当、家族手当、住居手当などの各種手当、また社宅・寮制度、退職金制度、社員持株会制度、財形貯蓄制度など、さまざまなものがあります。

最終学歴によって初任給には差がつく

飲料メーカーの多くが、最終学歴による初任給の差をつけています。

学部卒は22万円~23万円程度、修士卒は25万円程度、博士卒は28万円~30万円程度といったように、学歴が上がるほど初任給が高めです。

技術系職種の社員は大学院を出ている人が多いこともあって、他の職種よりもやや高めの収入を得やすいといえるでしょう。

ただ、文系出身の人でも個人の成果が収入に反映されていくケースもあるため、基本的には入社後の努力によって収入アップを実現できます。

関連記事飲料メーカー社員の年収はいくら? 給料についてくわしく解説

飲料メーカー社員の現状と将来性・今後の見通し

大手メーカーの存在感が強く、海外事業を強化する企業も

飲料は、食品と同じように、人々が生きていくうえで欠かせない製品のひとつです。

時代によって求められる飲料には違いも見られ、たとえば近年は健康を意識した「トクホ」飲料や、低カロリー飲料が好調です。

エナジー飲料や強炭酸飲料のように、時代の中でヒットしている商品群もあります。

ただ、近年の飲料業界では同業界のメーカーや食品メーカーとの統合・買収といった動きも激しく、小規模なメーカーは飲料事業から撤退する例も出ています。

飲料業界はそのシェアのほとんどを大手メーカー数社が占めており、今後もこの様相が大きく変わることはないでしょう。

国内市場が縮小傾向にあるなか、昨今では食品・医薬品など他分野への進出と、海外メーカーとの提携によって事業拡大を目指すメーカーが登場しています。

「グローバルビジネス」は、飲料業界においても重要なキーワードのひとつになっているといえるでしょう。

関連記事飲料メーカー社員の現状と将来性

飲料メーカー社員の就職先・活躍の場

大手企業を中心に、さまざまな飲料メーカーがある

飲料メーカーは、誰もが名を知る大手企業を中心に、数多くの企業が存在します。

清涼飲料の分野だと、コカ・コーラグループ、サントリー食品インターナショナル、アサヒ飲料、キリンビバレッジ、伊藤園などが代表的な飲料メーカーです。

中小規模のメーカーでも、商品の数を限定したり独自性のある飲料を製造したりして、地域で長く親しまれているところはあります。

清涼飲料のほかには、アルコール飲料を扱う酒類メーカーが数多くあります。

なお、大手の飲料メーカーの多くが「ホールディングス化」しており、グループ全体で多種多様な飲料を企画・製造しています。

昨今は経営統合や買収などの動きも活発なため、飲料メーカーへの就職を希望する場合は、各企業の特色や体制をよく確認しておきましょう。

飲料メーカー社員の1日

大きく分けて「本社勤務」と「工場勤務」で異なる

飲料メーカー社員の1日の動き方は、配属部門や職種によって異なりますが、とくに「本社勤務」の場合と「工場勤務」で、大きな違いが見られます。

本社勤務の場合、朝9時くらいに始業して夕方に終業する、一般的な日勤のオフィスワーカーと同じようなライフスタイルとなります。

シフト勤務や夜勤は基本的にありません。

1日中社内のデスクでパソコンに向かって仕事をする人もいれば、打ち合わせや会議の時間が多い人、あるいは営業など外回り中心の仕事をする人、動き方はさまざまです。

一方、工場勤務の場合は、本社よりも朝がやや早めになることが多く、始業は7時半から8時ごろ、そのぶん終業時間も早くなります。

工場の生産方法によっては、シフト勤務や夜勤もあります。

飲料メーカー社員のやりがい、楽しさ

自分が関わった商品が世の中に受け入れられること

飲料メーカー社員としてのやりがいは、各部門や職種ごとにさまざまなことがあります。

全体を通して言えるのは、たくさんの人々の目に触れる商品をつくり、手に取ってもらえることです。

自分が関わった商品が、店頭に並んでいるのを目にしたとき、CMやポスターなどで取り上げられているのを見たとき、あるいは「おいしい!」という声を聞いたときなどに、大きな喜びを感じられるでしょう。

商品がヒットすれば、その後、何十年も愛され続けるロングセラー商品になる可能性もあります。

あるいは、そこまで売れていなかった商品を改良してリニューアルし、それが人々に受け入れられたときにもやりがいを感じられます。

飲料メーカー社員の一人として、自社ブランドを育てていくことも、この業界で働く大きな魅力です。

関連記事飲料メーカー社員のやりがい、魅力

飲料メーカー社員のつらいこと、大変なこと

安全性を何よりも厳しく問われる仕事

安全性を何よりも厳しく問われる仕事

関連記事飲料メーカー社員のつらいこと、大変なこと、苦労

飲料メーカー社員に向いている人・適性

「食」への興味関心と、誠実さがある人

飲料メーカー社員は、人々の生活に欠かせない「飲料」をつくり、広く世の中に届けていく役割を担います。

人が口にするものを扱う以上、飲料はもちろん「食」そのものに興味を持っている人が望ましいといえるでしょう。

そして、飲料を通じて世の中に笑顔や幸せを届けたいと思えるかどうかも大切です。

また、飲料メーカーは、安全性を確実に追求し続けることが強く求められます。

どれだけ革新的な商品を生み出しても、それが身体に入るものである以上、安全・安心でないものは絶対に受け入れられません。

飲料メーカーで働く一人ひとりの社員にも、誠実さや倫理観のようなものが求められると考えておきましょう。

関連記事飲料メーカー社員に向いている人とは? 適性や必要な能力を紹介

飲料メーカー社員志望動機・目指すきっかけ

製品への親しみから志望する人は多い

飲料は、食品と同じように、わたしたちの生活に欠かせないものです。

スーパーやコンビニなどで商品を見かけたり、口にしたり機会も多く、飲料業界はなじみ深い存在として目指す若者が多くいます。

「特定のメーカーの製品が子どもの頃から好きで、ぜひその企業で働きたいと思った」と話す人もいます。

ただ注意したいのは、志望動機で「製品が好き」「会社が好き」というだけでは説得力に欠けやすく、また他の志望者との差別化を図るのも難しいことです。

その会社や製品が好きになったきっかけなど、具体的なエピソードを盛り込みながら、飲料メーカーで自分が何をしていきたいのかまで語れるようにするとよいでしょう。

各社が求める人物像についてもよく調べておき、自分がどう力を発揮していきたいのかを話せるようにすることが大切です。

飲料メーカー社員の雇用形態・働き方

正社員を中心に、職種によっては派遣社員や契約社員も活躍

飲料メーカー社員の雇用形態の中心は、正社員です。

とくに新卒採用は、基本的に正社員を募集するかたちで行われているため、入社後は、各部門で責任ある業務を経験しながら長期的にキャリアを形成していくことが可能です。

一方、派遣社員や契約社員といった非正規雇用で働く人もいます。

非正規雇用の場合、職種は営業や事務、品質管理、製造など、事務系職種や工場での勤務が多くなるでしょう。

大手飲料メーカーは人気が高く、正社員で採用されることが難しい場合もあります。

中途採用では多様な雇用形態で求人が出されているため、飲料メーカーへの転職を希望する場合には、正社員以外の求人も探してみるとよいでしょう。

飲料メーカー社員の勤務時間・休日・生活

部門ごとに勤務時間が定められており、安定した働き方が可能

飲料メーカー社員の勤務時間や休日は、各社の就業規則によります。

一般的には、大きく分けると「本社勤務」の場合と「工場勤務」の場合で異なり、本社では9:00~18:00くらいの間に勤務します。

工場では本社よりも若干朝が早めとなっており、8:00~17:00頃の時間帯に設定されている企業が多いようです。

最近では残業時間削減に取り組む企業が目立ちます。

休日については、土日を休みとする「週休2日制」が一般的ですが、工場では、本社とは別のカレンダーに従って休みをとるケースもあります。

大手飲料メーカーでは、休暇制度を充実させているところが多く見られます。

一般的な有給休暇や年末年始休暇、夏季休暇のほか、慶弔有給休暇、リフレッシュ休暇、メモリアル休暇などを整えている企業が多いようです。

関連記事飲料メーカー社員の勤務・労働時間・休日・残業

飲料メーカー社員の求人・就職状況・需要

新卒者を募集する飲料メーカーは多い

飲料メーカーでは、大手企業のほとんどで定期的な新卒採用を実施しています。

新卒採用は、基本的に志望者が自由に応募できる「公募」の形となっています。

毎年、就職活動が解禁される時期になると各社の採用専用ホームページが開設され、そこから情報を集めてエントリーを行う流れになります。

このほか、就職情報サイトにも求人情報が出されます。

なお、飲料メーカーでは、職種によっては応募可能な学部や専攻が指定されていることがあるため、事前に募集要項を確認しておきましょう。

競争倍率は高くなる傾向に

飲料メーカーは新卒者を積極的に採用しているため、就職を目指す学生には十分なチャンスがあるといえますが、各社とも、採用人数についてはそこまで多くありません。

大手飲料メーカーの採用実績を見ると、技術系職種と事務系職種あわせて50名以下、多くても100名に満たないほどの企業が目立ちます。

飲料業界は知名度の高い企業が多く、多数の学生が応募するため、競争倍率は相当に高くなる可能性が高いと考えておいたほうがよいでしょう。

飲料メーカー社員の転職状況・未経験採用

中途採用では即戦力になれる人材が求められる

飲料業界は、他の業界と比較すると離職率は低めといわれています。

その理由として、飲料メーカーは給与や福利厚生が充実している大手企業が多く、働きやすさや安定性といった点から、一度勤めると長く働き続ける人が多いことが考えられます。

大手飲料メーカーでは、採用活動は新卒者を中心に行うため、中途採用の求人はそこまで多くありません。

ただし、各社とも人員不足になった際や、事業を拡大する際に、不定期で転職希望者を募集することはあります。

転職者については、各職種の社会人経験が豊富な人、すぐに活躍できるスキルを持っている人が採用されることがほとんどです。

異業種であっても、志望職種に相応する経験・スキルをアピールできるかどうかが、転職の成功に関わってくるといえるでしょう。

関連記事飲料メーカー社員への転職、中途採用

大手の飲料メーカーはどこ?

飲料のジャンルごとにいくつもの大手メーカーがある

飲料業界を大きく分けると、アルコール飲料を取り扱う「酒類メーカー」と、茶系飲料やペットボトルコーヒー、炭酸飲料などを取り扱う「清涼飲料メーカー」があります。

酒類の大手企業の一例は、「サントリー」「アサヒ」「キリン」「サッポロ」です。

これらの企業は、酒類の主力ブランドをいくつも持っています。

また、それぞれホールディングス化しており、複数の子会社でビールや清涼飲料、あるいは食品などの商品開発や製造を行っています。

清涼飲料メーカーとしての大手は「コカ・コーラボトラーズ」「伊藤園」「ヤクルト本社」「大塚ホールディングス」などがあります。

国内市場が停滞するなか、最近は業界全体として他分野への進出が活発で、食品分野や医薬品などの事業を手掛ける企業も増えてきています。