「専門商社社員」とは

専門商社社員_画像

食品、アパレル、化学品など、ある分野に特化した商品を扱う商社。

専門商社は、サプライヤーから商品を買い付け、顧客に卸売りをする仲介業です。

このビジネスモデルに基づき、さまざまな職種が存在します。専門商社社員になるには大学卒業以上の学歴が必要な場合がほとんどです。

しかし有名大学や難関大学出身でなくても、希望の企業に入社できる可能性はあります。

専門商社の給料は他業界に比べて高い傾向にあり、トップクラスの企業では平均年収が800万円という場合もあります。

若手の頃から高給が期待できる業界です。

しかし激務の代償として年収が高いという側面があります。

専門商社は安定業界ですが、仲介業を通さず直接取引を行う企業が増加傾向にあるため、新しい付加価値を提供していく努力が求められるでしょう。

「専門商社社員」の仕事紹介

専門商社社員の仕事内容

特定分野の商材の仕入れ、卸売りを行う

専門商社の仕事は、それぞれの特定分野に属する各種商品の仕入れと、販売業者への卸売りです。

商社のなかには、分野に関係なくさまざまな商品を取り扱う「総合商社」もありますが、一般的に特定分野の売上が50%を超えると、専門商社と見なされます。

専門商社は、手掛ける特定分野の種類によって、おおまかに企業規模や事業特性の傾向があります。

石油や液化天然ガスなどのエネルギー、鉄鋼、機械部品を取り扱う専門商社は、一般的に資本金や取引額の大きい大手企業が多く、業務が多忙となる反面、高収入が期待できます。

医薬品、化学製品などを手掛ける専門商社は、仕入れ先や卸先が固定化している中堅企業が多く、一度仕事を覚えてしまえば比較的安定して働けるようです。

アパレル、食品などを扱う専門商社は、少規模の企業が乱立しており、特殊性の高い商材を卸すニッチなビジネスを展開するところが目立ちます。

専門商社社員の就職先・活躍の場

輸出業社と輸入業者に大別される

専門商社には、商品を海外業者から輸入して国内業者に卸売する輸入事業のビジネスモデルと、国内業者の商品を海外業者に卸売する輸出事業のビジネスモデルがあります。

両ケースとも、基本的に仲介業から発生する中間利益を収益源としている点は同じです。

過去は、輸入事業を行う商社が多数を占めていましたが、近年では日本製品が海外でブランド化している影響もあり、国産の食料品や衣料品、IT関連製品などを販売する輸出業者が増加傾向にあります。

専門商社社員の1日

商品の仕入れ・納品のほか、情報提供や提案も行う

専門商社社員のスケジュールは企業や担当業務によって異なりますが、一例として医薬品商社で働く営業職社員の1日をご紹介します。

国内外含め、幅広いメーカーの医薬品のなかから患者に合わせて最適な商品を選択してもらうため、納品業務だけでなく、詳細な情報提供を行うことも重要な役割です。

9:00 出社
メールチェック、案件ごとの打ち合わせなどを行います。

10:00 納品
取引先病院や診療所をまわり、商品を納入します。

13:00 休憩

14:00 医師面談
休診時間を利用し、医薬品の効能や副作用について情報提供したり、商談を行います。

15:00 内勤
帰社し、商品の発注手続きをしたり、見積書や報告書を作成します。

17:00 サプライヤー交渉
仕入れ先外資系医薬品メーカー担当者と、調達単価を折衝します。

18:00 帰社

専門商社社員になるには

有名企業社員になるのは簡単ではない

専門商社社員になるには、各社が実施する採用試験を受ける必要があり、さまざまな業務を担当する「総合職」と、事務を担当する「一般職」に分けて募集されるケースがほとんどです。

総合商社のグループ企業など、有名どころには高学歴の学生が多数集まるため、内定を得ることは容易ではありません。

ただ、専門商社は大小合わせて膨大な数の企業があり、また取扱い商品の分野もさまざまですから、企業規模や知名度にこだわらず、自分に合った企業を探してみることが大事です。

専門商社社員の学校・学費

大卒以上の学歴が必須条件

専門商社への就職は、大学卒業以上の学歴を条件としているところがほとんどです。

企業によって取扱い分野が異なるため、特定の大学や学部・学科が有利となるわけではないようです。

大手専門商社であれば、有名大学や難関大学の学生が好んで採用される傾向はありますが、学歴がすべてではありませんし、本人の適性次第でどのような大学でも採用に至るチャンスはあります。

また、おもに事務を担当する一般職であっても、貿易関連など複雑なタスクが多いため、大手などでは基本的に大卒以上の学歴が必要になる点が、専門商社の特徴として挙げられます。

専門商社社員の資格・試験の難易度

語学検定や資格があれば有利

専門商社における業務は、部署によっては、英語をはじめとして外国語を使用する機会が頻繁にあります。

このため、TOEICスコアが一定以上であったり、各種語学検定を取得していることが採用条件になるケースもあるようです。

また、輸出入関連の事務手続が多いため、「貿易事務検定」などの貿易関連資格を所持しているとアピール材料になります。

これらの資格は、数段階の難易度に分かれているため、個々の力量に合わせて受験することが可能です。

例えば貿易事務検定の最も易しいc級ならば、学生でも十分に独学で合格できるでしょう。

専門商社社員の給料・年収

平均的サラリーマンよりも高給

総合商社ほどではありませんが、大手専門商社であれば高額な年収が見込め、とくに財閥系総合商社の子会社などのトップクラスでは、平均年収が800万円を超えているところも見受けられます。

また、昇給率が非常に高い点と、ボーナスが多い点が業界の特徴として挙げられ、30歳時点の月給が50万円に達する企業もあるほか、ボーナスは年に4か月分支給されることが一般的です。

業績が好調な営業職だと、ボーナスにはさらに「業績給」が上乗せされることもあります。

専門商社社員のやりがい、楽しさ

世界各国でビジネスができる

専門商社での仕事は、取り扱う分野にもよりますが、多くは仕入れ先または卸売り先のいずれかに海外企業、あるいは海外の官公庁が含まれます。

アメリカやヨーロッパなどの主要国はもちろん、分野によってはあまりなじみのない発展途上国で仕事をする機会もありますので、さまざまな国でグローバルに働ける点が専門商社の魅力といえます。

途上国などでは、これから成長期を迎えようとしている国に特有の、日本にはないダイナミックさと、大きなエネルギーを感じられるでしょう。

専門商社社員のつらいこと、大変なこと

高収入はハードワークを前提としている

専門商社では、若手のうちから高収入が期待できる反面、激務をこなさなければなりません。

競合他社に自社のシェアを奪われないため、頻繁に海外のサプライヤー(仕入れ先)や販売先を回る必要があり、飛行機による長距離移動を繰り返すことも珍しくありません。

体力的にきつくなる時期も出てきますし、難しい交渉事を多数抱えて、精神的に追い詰められるケースもあるかもしれません。

ただ、個人の成果は業績給などによって正当に評価される仕組みが整っているため、能力に自信のある人にとっては働きがいがあるともいえます。

専門商社社員に向いている人・適性

調整力とコミュニケーション能力に優れた人

専門商社では、メーカーなどとは異なり、サプライヤーと販売顧客の双方を相手に、仲介役としてビジネスをすることになります。

両者の事情や自社の状況を勘案しつつ、商品の種類や品質、納期、価格など、さまざまな面で条件を折衝しなければなりませんので、商社マンには高度な調整力が求められます。

また、それらを交渉するための前提となる、ビジネスレベルの英語などの語学力、そして異なる文化の人とも人間関係を構築できるコミュニケーション能力も必要になるでしょう。

専門商社社員志望動機・目指すきっかけ

特定分野に関心の高い人が目指す

商社には総合商社と専門商社があるなかで、総合商社でなく専門商社を志望するのは、特定の分野に強い関心がある人が多い印象です。

総合商社では幅広い分野を取り扱っているため、入社後にどの分野で働くかが決定されますが、必ずしも希望通りに配属されるとは限らないうえ、一度配属されると基本的に部署異動はありません。

このため、総合商社では、人によってはとくに興味のない分野の仕事に従事する可能性もありますが、専門商社ではピンポイントでアプローチすることが可能です。

やりたい仕事がはっきり定まっている場合、総合商社より専門商社を志望するほうがよいかもしれません。

専門商社社員の雇用形態・働き方

大手の雇用形態は多様化している

専門商社では、総合職などの正社員のほか、担当業務ごとに異なる雇用形態の社員が多数働いています。

ルート配送や倉庫での作業、警備などを担う社員の多くは、雇用期間の定まっている契約社員や、短時間勤務を前提としたパート・アルバイトです。

ただ、大手企業では、正社員でなくても、社会保険や退職金制度の対象となるなど、待遇面が充実しているケースもあり、また正社員登用制度を設けているところもあります。

マイペースに働きたい場合や安定的に働きたい場合など、個々の事情によって雇用形態は選択できるでしょう。

専門商社社員の勤務時間・休日・生活

商社マンは基本的にきわめて多忙

一般的に商社マンは激務のイメージが強く、とくに大手商社では、長時間に及ぶ残業や取引先との接待で、深夜に帰宅することが常態化しているケースが目立ちます。

ただ、企業規模のほか、分野によっても多少傾向の違いはあり、川上産業(消費者から遠い、エネルギー系や化学系産業)の商品を扱う専門商社は、相対的に忙しさはまだましであるようです。

激務でも高収入を望むなら、大手総合商社子会社の川下産業(消費者から近い、アパレル系や食品系産業)、激務を避けたいなら川上産業の中小企業を、それぞれ目指すとよいかもしれません。

専門商社社員の求人・就職状況・需要

何を優先するかで就職難易度は変わる

専門商社は大小さまざまに、また分野ごとに多数の企業があるため、数多くの求人情報を見つけられるでしょう。

ただ、一社あたりの求人数は少なめで、総合商社のグループ企業であっても、新卒の採用人数は50名程度、中小規模の専門商社では10名以下のところが大半を占めます。

就職先を選ぶ際には、規模や知名度を優先するのか、あるいは手掛けたい分野、待遇、勤務地にこだわるのか、それぞれのスタンスによって内定を得るまでの難易度は異なってくるでしょう。

専門商社社員の転職状況・未経験採用

商社間の転職が多い

新卒市場と同様、中途採用市場においても、専門商社の求人は非常に多くあります。

転職する事例として最も多いのは、キャリアアップのためや、給与面などでよりよい待遇を目指して、商社から商社へ移るケースです。

ただ、取り扱う商品ごとに異なる専門性があるため、分野をまたぐことは稀ですし、また異業種から転職する人も多くはありません。

しかし、自動車業界の企業に勤めていた人が自動車部品の専門商社に移るなど、関連性のある企業から転職するケースはあるようです。

専門商社社員の現状と将来性・今後の見通し

手掛ける商品分野によって将来性は多少異なる

石油などの資源に乏しい一方で、ものづくりが盛んな日本産業において、専門商社の地位は比較的安定しているといえます。

しかし、取扱い商品の分野によっては、景気の良し悪しや今後の需要が分かれるほか、メーカーや小売系企業自体が、専門商社を通さずに独自で資材や商品の供給に乗り出す事例も散見されます。

今後、淘汰されていく専門商社が出てくる可能性もありますので、分野ごとの特徴や将来性を見極めることが重要になるでしょう。