【2023年版】ケアマネジャー(介護支援専門員)試験の難易度・合格率

介護保険のプロフェッショナルであるケアマネジャーとして働くには、まず所定の実務経験を積んで「ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)」の受験資格を得て、同試験に合格したのちに、実務研修を修了することが必要です。

ケアマネジャー試験そのものは決して難関ではありませんが、出題内容の各分野で7割程度の得点率が必要であること、また合格率は年度によっても差が見られるため、きちんとした対策や準備が必要です。

本記事では、ケアマネジャー試験の試験内容や、難易度・合格率、勉強方法の種類などについて詳しく解説しています。

この記事のポイント

・ケアマネジャー試験は、実務経験などの受験資格を満たした人のみ受験可能
・介護支援や保健医療福祉サービスに関する専門的な知識が求められる
・合格率は15~20%程度(年度によって差がある)

ケアマネジャー(介護支援専門員)資格とは

ケアマネジャー(介護支援専門員)とはどんな資格?

ケアマネジャー(介護支援専門員)とは、介護を必要とする人が適切な介護サービスが受けられるように、サービス計画書(ケアプラン)の作成やサービス事業者との調整・連携をはじめとする各種サポートをする職種です。

ケアマネジャーは各都道府県が認定する公的資格であり、2000年の介護保険制度の開始にあわせて設立されました。

第三者のケアマネジメント業務に従事するためには、ケアマネジャー資格を取らなくてはなりません。

ケアマネジャー資格を取得するには、都道府県ごとに行われる「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格したのちに、実務研修を修了することが必要です。

その後、各都道府県の介護支援専門員名簿に登録を行い、介護支援専門員証の交付を受けることによって資格を得られます。

このように、ケアマネジャー資格登録までには、いくつかのステップを踏んでいく必要があります。

ケアマネジャー(介護支援専門員)資格取得のメリットは?

ケアマネジャー(介護支援専門員)資格取得には、以下のようなメリットがあります。

キャリアアップを目指せる

ケアマネジャーになることは、介護業界で働く人にとって、さらなるステップアップにつながります。

ケアマネジャー試験合格者の職種別割合は「介護福祉士」が最も多く、介護現場で働いていた人が、キャリアアップを目指してケアマネジャーに挑戦するケースが多いことがわかります。

ケアマネジャーの給与水準は、一般の介護職員と比べてやや高めとなっているため、収入を上げていきたい人にもメリットが大きい資格といます。

転職時に有利になる

ケアマネジャーは、無資格や未経験でなれる職業ではありません。

医療・介護・福祉系の国家資格に基づく業務、あるいは介護施設等での相談援助業務において一定期間以上の実務経験がないと、ケアマネジャー試験を受けることはできないのです。

そのため、ケアマネジャー資格を取得した人は、関連する業務で一定のスキルや知識があるものと判断され、転職時にプラスに評価されることが多いです。

また、高齢化社会が進む日本において、ケアマネジャーはまだまだ不足しています。

全国どこでも働けるチャンスがあることも、ケアマネジャー取得のメリットの一つです。

日勤のみの働き方が可能になる

介護職員の場合、夜勤が入る職場での勤務をするケースもしばしば見られます。

しかしながら、ケアマネジャーの勤務体系は基本的には日勤となっているため、規則正しいリズムで生活したい人や、夜勤をすることが難しい人にはおすすめです。

介護業界での仕事に年齢を重ねて体力的に不安が出てきても、ケアマネジャー業務であれば介護職よりも身体的な負担は少なくて済みます。

将来を見越してケアマネジャーになることのメリットも大きいといえるでしょう。

ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の出題内容・形式

出題内容

ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の出題内容は、以下の通りです。

  • 介護支援分野:25問
  • 保健医療福祉サービス分野:35問

配点はすべて1点で、60点満点です。

出題形式

出題形式は、5つの選択肢から正しいものを複数選んで回答する五肢複択式です。

都道府県によって異なりますが、大半はマークシート方式となっています。

合格基準点

ケアマネジャー試験の合格基準点は、各分野において正答率70%程度とされています。

ただし、問題の難易度によって合格基準点は補正されます。

ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の受験資格は?

ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)を受験できる人は、以下の2つのパターンのうち、いずれかを満たす人です。

  • 1.医療・保健・福祉等の各種国家資格(基礎資格)を有し、かつ実務経験が5年以上かつ900日以上ある人
  • 2.所定の施設等での相談援助業務が5年以上かつ900日以上ある人

1で示されている「基礎資格」には以下のようなものがあります。

2のパターンで示されている「所定の施設等での相談援助業務」としては、たとえば生活相談員、支援相談員、相談支援専門員、主任相談支援員などとしての実務経験が挙げられます。

ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の難易度はどれくらい?

ケアマネジャー試験の難易度・合格率

ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の合格率は15~20%程度

ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)は特別に難関というわけではなく、国家試験や公的試験のなかでは標準的なレベルの試験です。

仕事をしながらでもうまく時間を使って勉強をすれば、そこまで苦労することなく取得できます。

しかし、近年では合格率が大きく下がっている年もあるため、油断せずに勉強しましょう。

ここからは、試験の詳しい合格率についてご紹介します。

ケアマネジャー試験が開始された1998年から、しばらくの間の合格率は40%台が続いており、比較的多くの人が合格していました。

当時は新設されたケアマネジャーの養成を急ピッチで進める必要があったために、難易度を低くしていたと考えられています。

しかしながら、介護保険制度がスタートして20年以上が経ったいま、ケアマネジャー試験の合格率は低下し、おおむね15~20%程度で推移しています。

ただし、年度によって合格率には差が見られ、令和4年度までの過去10年間の結果を振り返ると、最も低かったのが平成30年の10.1%、最も高かったのは令和3年度の23.3%となっています。

平成30年は受験資格が厳しくなり、受験者数が大幅に減ったとともに合格率も急激に落ちました。

合格率20%を超える年度もあるものの、誰でも自由に受験可能な試験ではないことを考えると、決して楽に合格できる試験ではないといえるでしょう。

ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の合格率が低い理由は?

ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の合格率が低い理由の一つとして、ケアマネジャーの質向上のために、試験の難易度が高められていることが考えられます。

最近のケアマネジャー試験が厳しくなっていることは、平成30年(2018年)の受験資格の改定からも見て取れます。

この受験資格の改定によって、ケアマネジャー試験の受験資格を得るためには、医療・介護・福祉系の国家資格者としての実務経験や、相談援助業務の実務経験が求められるようになりました。

つまり、現在のケアマネジャーには、より専門的で高度な知識・スキルを備えている人が求められており、試験もきちんと勉強しないと合格基準をクリアできないようになっています。

また、ケアマネジャー試験では「介護支援分野」と「保健医療福祉サービス分野」の両方で合格基準をクリアしなくてはなりません。

ケアマネジャー志望者は働きながら試験勉強する人が多いため、十分に試験勉強の時間を取れずに不合格になってしまう人も一定数いるようです。

ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の勉強時間・勉強方法

ケアマネジャー試験の勉強方法

ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の勉強方法の種類

ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の勉強方法としてまず挙げられるのが、通信講座を受ける方法です。

通信講座では、ポイントをおさえた最新の教材を使って効率的な学習が可能です。

学習プランも目安となるものが立てられているため、初学者でもスムーズに勉強を進めていけます。

ケアマネジャーの通信講座には「ユーキャン」「資格の大原」「たのまな」などがあり、「ニチイ」では通信講座のほか「通信+スクーリング」の講座も用意されています。

費用は3万円程度~5万円程度が相場ですが、講座内容によっても異なります。

通信講座では不安がある人は、スクールに通学する方法もあります。

「三幸福祉カレッジ」では、通学コースと通信コースそれぞれを開講しています。

通信講座よりも費用は高めですが、限られた時間で密度の濃い勉強をして、最短での合格を目指したい人にはおすすめです。

このほか、すでにケアマネジャー試験の出題範囲についてある程度の理解が進んでいる人や、一人でコツコツ勉強することに自信がある人は、独学するのもよいでしょう。

ケアマネジャーは人気資格のため、書店で手に入るテキスト(参考書・問題集など)は数多く出版されています。

それらとあわせて、アプリや動画教材を使って学習するのもおすすめです。

ライフスタイルや実力に合わせて勉強方法を決めましょう。

ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の勉強時間は約200時間・勉強期間は半年

ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)合格のために必要な勉強時間の目安は、初めて勉強に取り組む人の場合で200時間ほどといわれています。

1日に1~2時間程度勉強するとして、半年ほどの期間は見ておきたいところです。

ただし、仕事が忙しいなどで、なかなか勉強する時間がとれない日が続く場合には、さらに長期間の勉強が必要になる人もいます。

一方、出題範囲について十分な知識を身につけている人、過去に少しでも勉強したことがある人など、100時間程度で合格しているケースもあるようです。

ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の受験者数・合格率

介護支援専門員(ケアマネジャー)試験受験者数の推移

ケアマネジャー試験の令和4年度の受験者数は54,406人となっています。平成30年に大幅に受験者数が減少しているのは、受験資格の変更が原因です。

介護支援専門員(ケアマネジャー)試験受験者数_令4

介護支援専門員(ケアマネジャー)試験合格率

ケアマネジャー試験の合格率は前年度23.3%でしたが、令和4年度の合格率は前年よりやや下降し19.0%となりました。

介護支援専門員(ケアマネジャー)試験合格率_令4

令和4年度 介護支援専門員(ケアマネジャー)試験職種別合格者数

令和4年度のケアマネジャー試験の職種別合格者数は、介護福祉士が圧倒的に多く、6,096人となっています。続いて看護師・准看護師が1,849人、社会福祉士が815人、理学療法士が594人です。

介護支援専門員(ケアマネジャー)試験職種別合格者数_令4

令和4年度 介護支援専門員(ケアマネジャー)試験職種別合格者数(累計)

令和4年度までのケアマネジャー試験職種別合格者数の累計は、介護福祉士が330,225人でトップとなっています。続いて、看護師、准看護師が174,930人、相談援助業務従事者・介護等業務従事者が79,215人となっています。

介護支援専門員(ケアマネジャー)試験職種別合格者数累計_令4

令和5年度 東京都介護支援専門員実務研修受講試験の概要

試験日 令和5年10月8日(日)午前10時開始
申込書受付 令和5年6月1日(木)~6月30日(金)※当日消印有効
試験地 都内の大学等(予定)
受験資格 保健・福祉・医療分野で、原則として5年以上かつ900日以上の実務経験を有する者など
試験科目

介護支援分野

介護保険制度の基礎知識
要介護認定等の基礎知識
居宅・施設サービス計画の基礎知識等

保健医療福祉・サービス分野

保健医療サービスの知識等(基礎)
保健医療サービスの知識等(総合)
福祉サービスの知識等

合格率 19.0%(令和4年度)
合格発表 令和5年12月4日(月)
受験料 12,400円
詳細情報 東京都介護支援専門員実務研修受講試験

独学でケアマネジャーになれる? 学習内容は?

独学でケアマネジャーになれる?

ケアマネジャーの試験は簡単ではない

近年、ケアマネジャーの試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の合格率は、15%から20%程度を推移しています。

この数字を見ても、決してやさしい試験ではないと考えておいたほうがよいでしょう。

付け焼刃では合格できない可能性が高いため、事前にしっかりと試験対策をし、本番に臨む必要があるといえます。

市販のテキストを利用して勉強

介護支援専門員実務研修受講試験の対策方法は、主に3つ挙げられます。

介護支援専門員実務研修受講試験の対策
  • 資格対策のスクールに通う
  • 通信講座を利用する
  • 市販の参考書や問題集を利用しての独学

ケアマネジャー試験を受験する人の大半は社会人であるため、時間やお金の制約から、独学での合格を目指す人も多くいます。

介護支援専門員実務研修受講試験は、長寿社会開発センターから出されている『介護支援専門員基本テキスト』(全3冊)の内容に基づいて出題されます。

このテキストを購入し、きちんと理解すれば合格できるでしょう。

また、試験範囲の内容をコンパクトにまとめた参考書や問題集はいくつも販売されています。

インターネット上にある無料の問題や情報を活用して効率的に勉強を進めることも可能です。

勉強に必要な材料は十分揃っているといえますが、出題範囲は広く、なかには専門的な内容も含まれているため、介護の知識がまったくない人にとっては難易度が高いと感じられるでしょう。

通信講座の利用

まったくの独学では不安という場合は、通信講座を利用する方法もあります。

通信講座では、重要なポイントや試験対策の情報がまとめられた教材(テキストなど)を利用できます。

スクールに通うよりは費用も安く抑えられるため、社会人でも手軽に学習しやすいでしょう。

独学の注意点

介護支援専門員実務研修受講試験の出題範囲に関連する内容は、法改正によってしばしば変更されます。

スクールに通っていれば、最新の情報を素早く教えてもらえますが、独学の場合は自分で法改正の情報まで追わなくてはいけません。

試験では改正内容について問われることも多いため、しっかりとチェックしておく必要があります。

また、ケアマネジャー試験では、すべての分野で約7割以上の得点を取らなくてはなりません。

試験範囲が幅広いため、まずは過去問題集などでどのような問題が出題されるのかをよく確認して、苦手分野をつくらないように勉強していくことが重要です。

また、どれくらいの時間を試験勉強に費やせるかを考えて、10月の試験当日から逆算して勉強計画を立てていきましょう。

ケアマネジャーになるために勉強すること

ケアマネジャー試験の試験科目は大きく2種類に分けられます。

ケアマネジャー試験の試験科目
  • 介護支援分野
  • 保健医療福祉サービス分野

介護保険制度

ケアマネジャーは、介護保険制度のことを深く理解していなくてはなりません。

介護支援分野では以下のような内容が出題されます。

  • 介護保険制度のしくみ
  • 要介護認定の手続き
  • 介護報酬
  • 介護保険サービスの内容や種類

いずれも私たちの日常生活ではあまりなじみがない内容となるため、専門用語や法律を一から覚える必要があります。

保険医療に関する知識

ケアマネジャーになるために絶対に学ばなくてはならないのが、保健医療福祉サービスに関してです。

ケアマネジャーが仕事をするうえでは、利用者(要介護者)の身体の状態を理解する必要があります。

認知症や感染症をはじめ、高齢者にどのような症状が出やすいのかといったことや、検査などの医学的な基礎知識の理解が必要です。

また障害者自立支援法・生活保護法・高齢者虐待防止法といった各種法律についてや、コミュニケーション技術や福祉サービスの事業所に関する知識も身につけておく必要があります。

ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)の難易度まとめ

ケアマネジャー(介護支援専門員)として働くためには、ケアマネジャー試験(介護支援専門員実務研修受講試験)に合格したのちに、実務研修を修了することが必要です。

この試験には受験資格が設けられているため、まずはその内容をしっかりと確認しておきましょう。

近年、介護支援専門員実務研修受講試験の合格率は15%から20%程度を推移していることから、簡単な試験ではないことがわかるでしょう。

受験者の大半は社会人であるため、時間やお金の制約から独学での合格を目指す人も多くいます。

介護支援専門員実務研修受講試験は、長寿社会開発センターから出されている『介護支援専門員基本テキスト』(全3冊)の内容に基づいて出題されます。

法改正のたびにこのテキストの内容も変更されるうえ、変更内容に関する知識を問う出題もあるため注意が必要です。

試験科目は介護支援分野と保健医療福祉サービス分野の2つに分けられます。

いずれも私たちの日常生活ではあまりなじみがない内容となるため、専門用語や法律を一から覚える必要があります。

独学で不安がある人は、通信講座やスクールを活用して効率的に勉強を進めていってください。