医学とは? 大学で学ぶことや就職先は?
医学の概要・理念
医学は、人体についての研究をもとに、病気の治療や予防に関する研究を行う学問です。
紀元前3世紀のエジプトでは、外傷者に対する診断や治療が行われ、その手法がパピルスに書きつけられて残っているなど、人類と医学の歴史は長きにわたります。
科学の進歩に伴い、医学も年々進歩を続けています。
陽子線治療や重粒子線治療といった先進医療と呼ばれる最新鋭の治療に代表されるように、現代における医療は細分化が進み、求められる知識もますます高度になっています。
病院では内科や耳鼻科といった診療科目を掲げていますが、医学を学ぶ上では専門分野だけを学べばいいのではなく、すべての診療科目に関わる知識を総合的に学ぶ必要があります。
医学は医師として活躍するための土台となる学問でもあります。
人の生命を預かる仕事を担う者として、高い倫理観が求められるのは間違いありません。
生命とは何か、という深淵なテーマと向き合い、社会貢献に対する使命感を持って学ぶことが求められる学問といえるでしょう。
医学で学ぶこと
医学は「基礎医学」「臨床医学」「社会医学」の3つの分野に分けることができます。
基礎医学では、生理学や病理学といった、医学を研究するにあたって必要とされる基礎的な理論について学びます。
臨床医学では、内科系であれば内科学・小児科学、外科系であれば整形外科学・脳神経外科学といったように、専門分野における臨床について、実習を交えながら学んでいきます。
実習は現役の医師たちが働く医療現場での診察や治療を体験することになり、医師として働くための実践的な訓練の場となります。
社会医学では、法医学や予防医学といった、医学と深い関わりのある社会的事象について学び、医師として持つべき知識や教養を習得することを目指します。
医学部のカリキュラムは6年間ですので、これらの分野の学問を6年かけて学び、探求していくことになります。
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医学の大学での授業科目の例
組織学
人体の細胞構造を観察・考察することを通じて、細胞間に見られる構造や機能について解明していきます。
生化学
人体の仕組みを生体物質レベルで理解することにより、治療法への理解を深めたり疾患の原因を明らかにしたりすることに役立てます。
病理学
病気の原因や発生のメカニズムを解明し、診断を確定するために役立てる方法を学びます。
症例検討
実際の患者の症例について検討し、意見を出し合うことにより、診断や治療に対する理解を深めます。
薬理学
生体内外の物質と生体との相互作用を研究することを通じて、薬物が及ぼす影響や創薬のための知見を得ることに役立てます。
医学のレポート・テーマの例
大学の医学部では、レポートが非常に多く課されることで知られています。
とくに臨床実習時のレポートは重要な位置を占めており、学んできた知識をいかに医療現場で発揮し、応用できるかが試される機会にもなっています。
- ・食道穿孔後の縦隔炎への治療期間
- ・人工血管感染の治療期間
- ・挿管チューブの交換頻度と人工呼吸器関連肺炎
- ・膿胸における外科的処置
- ・高齢者における推定糸球体濾過量の算出
医学と関連する学問
医療・保健系の学問としては、医学のほかに薬学・歯学・看護学・栄養学・保健衛生学などがあります。
医師として症状にあった薬を判断し、処方箋を出すのも重要な役割ですので、薬学の知識は不可欠といえます。
また、近年では特定の病気に着目する以外にも、全身を総合的に見て診断することの重要性が見直されていますので、歯学と連携して治療にあたることもあります。
このほか、法医学の分野においては法学と深い関わりがあり、医療倫理という点においては倫理学や社会学とも関わりを持っています。
医学を学んで就職に有利な業界・仕事
医学を学ぶ人のほとんどが医師免許の取得を目指して国家試験を受検します。
医師として働くためには医師免許がなくてはいけませんので、就職にあたって有利になるというよりは必須の資格といえます。
医師免許を持っていて就職先に困ることはほとんどありませんので、希望する病院に着任できるかどうかが重要な部分となります。
勤務先としては、総合病院をはじめとする医療機関に勤務医として勤めるほか、厚生労働省での医療・保健・福祉分野を担当したり、自治体で公衆衛生医師や監察医として働いたりする道があります。
勤務医として医療現場に貢献することに使命感を覚える人もいれば、ゆくゆくは独立して開業医になることを目指して勤務医時代を修行期間と捉える人もいます。
なお、医師として活躍するには、医師免許を取得後2年間の研修医期間(初期臨床研修)が必要です。
この期間は、大学の紹介などで総合病院へ配属され、実地で経験を積むことになります。
医学の知識は人生でどう役立つ?
日本は今後、超高齢化社会へと突入していきます。
健康寿命が伸び、元気で健康な高齢者が増える一方で、健康に気を配り病気を予防するとともに、病気に罹ったことをできるだけ早く察知して治療することが求められていくでしょう。
こうした時代を迎えるにあたって、医学の知識がますます重要度を増していくのは間違いありません。
今後、AI(人工知能)が問診を行ったり、ナノロボットが体内で治療を施したりする時代が訪れるかもしれません。
しかし、患者を直接問診する役割や、外科手術など複雑な処置を行う役割においては、人間の医師が求められ続けていくと考えられます。
医学の知識は今後も人命を救い、QOLを高めるための学問として、社会に貢献し続けていくに違いありません。
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