介護職員初任者研修とは? 通信や独学でも取得できる?

介護職をする上で必要となる「介護職員初任者研修」。ここでは、カリキュラムの内容や難易度、カリキュラムの内容などについて解説していきます。

また、通信講座や独学で取得可能かどうかについても触れていきます。

介護職員初任者研修とは?

介護職員初任者研修

2013年「ホームヘルパー2級」の資格が廃止され、それに相当する資格として「介護職員初任者研修」が誕生しました。

介護職員初任者研修はかつてのホームヘルパー2級と同レベルの資格と考えられており、取得のためにはホームヘルパーと同様、計130時間のカリキュラムを修了する必要があります。

カリキュラムの大きな変更点としては、在宅介護のみならず施設での介護にも対応できる内容に変わったことです。

かつてのホームヘルパー研修に定められていた30時間の施設実習がなくなり、その分、介護技術演習の時間が増えています。

介護職員初任者研修のカリキュラム

介護職員初任者研修は、以下の科目で構成されています。

  1. 職務の理解
  2. 介護における尊厳の保持・自立支援
  3. 介護の基本
  4. 介護・福祉サービスの理解と医療の連携
  5. 介護におけるコミュニケーション技術
  6. 老化の理解
  7. 認知症の理解
  8. 障害の理解
  9. こころとからだのしくみと生活支援技術
  10. 振り返り

これらの内容を通じて、介護職とは何かということから、介護の基本、そして認知症や老化といった医学的な基礎知識、障害への理解を深めていきます

介護職員初任者研修の演習

演習としてとくに時間をかけて行われるのが「9.こころとからだのしくみと生活支援技術」で、カリキュラム全130時間のうち演習は約90時間行われます。

演習では、実際に介護サービスを提供する際に必要とされる技術を学んでいきます。

たとえば、

  • 車いすの介助
  • 食事や入浴の介助
  • 排泄の介助やおむつ交換
  • 衣服の着脱
  • 調理や洗濯

などについて、実際にベッドや車いすを用いながら介護技術を身につけます。

演習期間中は、講師から実技指導を受け、受講生同士が協力しながら身体を動かして技術を学びます。

介護職員初任者研修の難易度は?

介護職員初任者研修の難易度

医師による研修内容の変更により、「実習がなくなって楽になった」「現場を知らずして研修を修了していくことなどから難易度は下がった」という声が聞かれます。

一方で演習により介護技術をみっちり特訓するため、「技術的なところが現場に出る前にしっかりと身につけられるが、難易度は上がった」という人もおり、難易度の捉え方は人によって異なっているのが現状です。

介護職員初任者研修の合格率

介護職員初任者研修では、全カリキュラム終了後に「評価試験」という形で筆記試験が実施されます。

試験内容は研修中に習った範囲の中で、研修を提供した各機関によって独自に作成されて実施されます。

介護職員初任者研修は国家試験ではありませんし、公的機関による合格率の公表もされていません。

研修を提供するスクールなどが独自で合格率を公表することもありますが、基本的に合格率に関する正確な数値は発表されておらず「ほとんどの人が合格している」と発表するスクールもあります。

研修は高度な専門知識を要求するものではなく、内容もそこまで難しいものではないため、介護職員初任者研修は16歳から60代以上の人まで幅広い年齢の人が修了しており、きちんと講座を受ければ合格はさほど難しくないことは確かです。

介護職員初任者研修は通信講座で取得できる?

通信講座だけでは取得できない

介護職員初任者研修のカリキュラムは「実技技能」の習得が必要であるため、通信講座のみでは修了できません。

介護職員初任者研修を取得するには、各都道府県が指定した養成機関(訪問介護事業所、自治体、専門学校など)に通う必要があり、通信講座の場合は必ずスクーリングを組み合わせなくてはなりません。

通信講座とスクーリング

通信講座を利用して資格を取得する場合「講義」のカリキュラムは通信講座を利用して、DVDやテキストを利用しながら自宅学習で勉強します。

車いすの介助・体位変換・入浴介助の技術などを身につける「実技」のカリキュラムについては、スクーリング(通学)で学びます。

介護職員初任者研修の全カリキュラム(全130時間)のうち、通信講座で学べるのは最大でも40.5時間分となっており、残りの89.5時間分はスクーリングをしなくてはなりません。

スクーリング期間は一般的に15〜16日程度となっており、ある程度まとまった日数を通う必要がありますが、週末や夜間の時間帯に開校している学校もあるため、仕事をしながら通うことも不可能ではないでしょう。

通信講座にかかる費用

介護職員初任者研修は、さまざまな民間企業がスクールを開講しており、どのスクールを選ぶかによってかかる費用がだいぶ異なります。

6〜10万円程度のところが多いようですが、これよりも安く受講できることもあるようです。

スクールによってカリキュラム日程が異なったり、スクーリングに参加できない際の振替授業の融通が利くかどうかといった点が異なったりするため、費用だけでなく講座内容の詳細を比較し、通いやすい場所にあるか、サポート体制が充実しているかといった点まで考慮して探したほうがよいでしょう。

通信講座のメリット・デメリット

通信講座を組み合わせるメリットは、すべてスクーリングで学ぶよりも自分の時間が作りやすく「働きながら学びたい」「家事や育児などと両立したい」などスケジュールの調整が難しい人にとっては都合がよいでしょう。

また自分のペースで学びやすいところも、通信講座ならではのメリットです。

一方デメリットとしては、自宅学習をする時間が多いため、自分で計画を立てて勉強を進めなくてはならない点があります。

ニチイ学館の介護職員初任者研修

介護職員初任者研修の通信講座の具体的な流れについて、「ニチイ学館」を例にご紹介します。

「ニチイ学館」は介護・医療の人材育成と、トータルな介護サービス事業を全国規模で展開している会社です。

「ホームヘルパー2級講座」にはじまり、現在にいたるまで100万人以上の修了生を輩出しており、その実績や知名度においては同業他社と比べても群を抜いているといえるでしょう。

ニチイの教室は全国にあり、受講費用は9〜10万円程度が基本となっています。

さまざまな割引制度や給付制度を活用することも可能で、標準受講期間は約4ヵ月となっています。

介護職員初任者研修の流れ

ニチイ学館の介護職員初任者研修は「自宅学習」と「スクーリング」の2本立てです。

自宅学習(36時間程度)では、専用のテキストを利用して、自宅で介護の基礎知識を身につけます。

理解度確認のため、レポート問題の提出もあります。

スクーリング(95時間 ※教室によって変動あり)では、自宅学習と並行してスクーリングに出席し、実際に身体を動かしながら介護技術を習得します。

現場ですぐに対応できるスキルをここで身につけることが可能です。

スクーリングの最終回に、それまで学んできたことの理解度を確認、評価するための修了試験が行われ、この評価試験にパスすると、修了証明書が発行され介護職員初任者研修を終えたことが証明されます。

万が一不合格となった場合は、再受験用の補講を受講し、再試験を受けます(有料)。

希望者は実習も行える

「実習」については必要に応じて行うという定めになっており、かつてあった介護施設実習や在宅訪問介護実習は行われないケースが多く、ニチイ学館の場合も基本的に行われません(講座や都道府県によってはカリキュラムに含まれていることもあります。)

ただし実際に施設や介護サービスの利用者宅での仕事を経験してみたいという受講生に対しては、実習を体験することも可能です。

介護職員初任者研修の取得費用

介護職員初任者研修は、養成機関の数が多く、学校やスクールによって資格取得までの期間や通学日数、サポート体制、学費も異なります。

受講料は一般的に5〜10万円程度のところが多く、また通信制は通学制よりも学費が安く設定されているものも多いようです。

講座によっては厚生労働省の「教育訓練給付制度」に指定され、給付条件を満たしたうえで厚生労働大臣の指定する教育講座を受講し、修了することで、受講料の20%が修了後にハローワークから給付されます。

支給対象となるかどうかは、地域を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に問い合わせるとよいでしょう。

介護職員初任者研修のまとめ

「ホームヘルパー2級」の資格が廃止に伴い新設された「介護職員初任者研修」。

受講料は一般的に5〜10万円程度のところが多いようです。

取得のためには計130時間のカリキュラムを学び、研修の最後に修了試験が行われます。

この試験にパスすると修了証明書が発行され、介護職員初任者研修を終えたことが証明されます。

内容の難易度はそこまで高くないため、16歳から60代以上の人まで幅広い年齢の人が修了しており、きちんと講座を受ければ合格できる内容と言えるでしょう。