「介護事務」の仕事とは

介護事務の仕事内容

介護に関連した事務業務を担当

介護事務にとって最も重要な業務は、介護関連の事業所における介護報酬請求業務(レセプト作成)です。

介護報酬請求業務は介護保険制度に基づき利用者が負担する介護サービス代金を計算し、国や自治体に対する介護報酬を計算・請求する業務です。

介護報酬請求業務は介護施設の売上を決める業務でもあるため、介護事務は介護関連の職種の中でも重要な役割を担う職種の一つだといえるでしょう。

また介護事務は受付や労務管理、予算管理、電話対応など幅広く業務を担当します。

労務管理では労働条件通知書の作成まで任されることも少なくありません。

来客対応ではお茶出しや応接室への案内が業務として発生するため、接遇マナーも身につけていることが求められます。

介護事務の就職先・活躍の場

主な就職先は介護関連施設

介護事務の主な就職先は介護老人保健施設、介護老人福祉施設、デイサービス、グループホーム、訪問介護ステーション、療養型医療機関などの介護関連施設が中心です。

これらの介護関連施設では、介護職員や看護師、ケアマネージャーなど様々な職種のスタッフが活躍しています。

介護関連施設は年齢による制限も少ない場合が多く、60代で活躍しているスタッフも珍しくありません。

日本が超高齢化社会を迎えることを考慮しても、介護事務としての活躍のチャンスは増えていく可能性が高いといえるでしょう。

介護事務1日

介護老人保健施設で働く介護事務の1日

08:30 出勤
出勤したらまずはパソコンの立ち上げ、メールチェックから始まります。

09:00 ミーティング(朝礼)
事業所内の他のスタッフと一緒にミーティングを行います。ケアマネージャーや介護職員と連絡事項を確認・共有します。

10:00 介護報酬請求業務
利用者が負担する費用を算出し、自治体へ請求を出すための書類を作成します。

12:00 休憩
持参したお弁当を食べて休憩します。

13:00 関係機関への連絡
役所や病院など、地域の関連機関と連絡を取り合います。

14:00 来客・問い合わせに対応
受付業務として利用者の家族、介護サービスを検討している人、関係業者など様々な人の対応をします。

15:30 勤怠管理
施設に勤務する職員の勤怠管理を行います。出勤状況のチェックだけでなく給与計算まで担当することもあります。

16:00 ケアマネージャーのサポート
ケアマネージャーに依頼された場合、ケアプランに関する書類作成などをサポートします。

18:00 退勤
特にトラブル対応などがなければ基本は定時退社です。
月末~月初は介護報酬請求業務が発生するため、残業の可能性が高くなります。

介護事務になるには

介護業界の経験があると採用されやすい

医療・介護業界の職種は何かしらの資格が必要な印象があるかもしれませんが、介護事務は資格がなくても働ける職種です。

しかし介護報酬請求が業務の要となるため、基本的な介護報酬制度に関する理解が欠かせません。

そのため未経験者でも採用される可能性はありますが、選考の際は介護業界の経験者の方が採用されやすいのが実際のところです。

また施設の規模によっては介護事務の業務を介護職員が兼務で担当していることも珍しくありません。
就職を有利にするためには、まずは介護職で経験を積むことも有用な手段の一つだといえるでしょう。

介護事務の学校・学費

介護事務関連の資格は就職活動に有用

介護事務として就業するために、学歴や卒業大学はそこまで重視されません。

学歴が全く関係ないわけではありませんが、ほとんどの現場で介護事務として求められるのは経験や知識・スキルです。

そのため技能認定振興協会の「介護事務管理士」、一般財団法人日本医療教育財団の「ケアクラーク」など資格を取得していると客観的なスキルの証明となり、就職活動では評価される可能性が高くなります。

技能認定振興協会の介護事務管理士試験の受験費用は6,500円。

一般財団法人日本医療教育財団の「ケアクラーク技能認定試験」の受験費用は6,700円です。

介護に関連する資格の種類は他にもありますが、介護事務を目指すならこれらの資格取得が転職活動では有用だといえるでしょう。

民間企業が実施している介護事務講座は、50,000円前後の費用で受講することができます。

介護事務の資格・試験の難易度

介護事務管理士の合格率は50%

技能認定振興協会が発行している「介護事務管理士技能認定試験」の合格率は50%です。

資格試験の難易度だけを見ると決して簡単ではありませんが、対策すれば誰にでも取得できる可能性がある合格率だといえるでしょう。

試験対策としてはレセプトを書く、もしくは試験問題集を解くなどがあります。

技能認定振興協会『介護事務管理士 技能認定試験』

一般財団法人日本医療教育財団の「ケアクラーク技能認定試験」の合格率は約60%です。

審査領域は実技として介護報酬請求事務があり、審査基準には居宅介護サービス介護給付明細書の作成、施設サービス等介護給付費明細書の作成が設けられています。

一般財団法人 日本医療教育財団『ケアクラーク技能認定試験』

介護事務の給料・年収

介護事務の平均年収は250万円程度

介護事務としてフルタイムで働く場合、月給の平均額は18~20万円程度。

年収は250万円程度が平均です。

賞与や資格手当などが充実している施設の場合、年収が300万円を越えることも珍しくありません。

また介護事務は介護職が兼務しているケースもあります。

その場合は、介護職としての夜勤手当や資格手当が発生するため、施設によっては300万円以上の年収を見込むことができます。

フルタイム以外のパートやアルバイトで勤務する場合、時給は850~950円程度に設定されていることが多くなります。

介護事務のやりがい、楽しさ

専門知識を活かして活躍できる

介護事務のやりがいを感じるポイントの一つとして、介護保険の専門知識を活かして活躍できることがあります。

特に介護報酬請求業務は専門的な知識が必要であり、誰にでもできる仕事ではありません。

施設の売上や経営に関わる重要な業務でもあるため、責任感を持って業務に取り組むこともできるといえるでしょう。

また介護事務は受付として来客対応をすることも業務に含まれているため、利用者やその家族から感謝される機会も少なくありません。

介護事務は人と触れ合う喜びを実感しやすい職種でもあります。

介護事務のつらいこと、大変なこと

業務範囲が広くなり過ぎることも

介護事務は一般企業の事務とは異なり、利用者や利用者の家族との対応も含まれます。

また現場によってはケアマネージャーのサポートだけでなく、現場の業務の補助を依頼されることもあります。

これは介護施設の人手不足も関係している可能性がありますが、介護事務としてメインの実務以外に様々な業務が発生することは珍しいことではなく、その量が多ければ大変だと感じることが多くなります。

また介護施設の報酬は夜勤手当てが大きいため、介護職員と比べると介護事務の報酬は低くなってしまいがちです。

業務内容の大変さ以外に、就職する施設によっては給与について不満を感じる可能性もあるといえるでしょう。

介護事務に向いている人・適性

介護業界そのものに興味があること

介護事務の適性として必要なことは、介護業界への興味です。

もちろん基本的な事務処理能力も必要となりますが、そもそも介護業界への興味や関心がなければ、介護保険制度など、業務で必要となる知識の習得に苦痛を感じる可能性が高くなります。

介護保険制度の見直しは数年ごとに行われるため、介護事務を目指すなら継続的に介護業界について学ぶ姿勢も必要です。

これらについて考慮すると、介護業界そのものへ関心があることは最も重要な適正条件の一つだといえるでしょう。

介護事務志望動機・目指すきっかけ

介護業界に興味を持った理由を伝えよう

介護事務を目指すのであれば、志望動機は自分の中で明確にしておくことが大切です。

特に条件が良い介護施設は選考の競争率が高くなる傾向があるので、他の求職者との差別化のためにも、志望動機は自分の言葉でまとめておくことが重要なポイントとなります。

具体的な志望動機の作り方としては介護施設でのボランティア経験、もしくは家族や親族の付き添いで介護施設を訪れた際に感じたことなどをまとめると、オリジナリティがある志望動機を作成することができます。

介護事務の雇用形態・働き方

フルタイムとパートタイムが選択可能

介護事務の働き方としては、フルタイムとパートタイムのどちらかを選ぶことができます。

パートタイムの場合は家庭生活との両立はしやすくなりますが、報酬については大きく期待することはできません。

その一方でフルタイムの正社員であれば月末月初は繁忙期となりますが、賞与など充実した報酬が期待できます。

また介護現場での業務に関心がある場合は、現場対応も業務内容に含まれている施設へ就職するという選択肢もあります。

小規模な事業所に介護職として就職すれば、面接時に希望を伝えることで介護事務業務に携わることができる可能性もあります。

介護事務の勤務時間・休日・生活

介護事務専任なら土日休みが基本

介護事務専任として働く場合、休日は土日が基本です。

しかし土日が休みの施設でも月末月初は介護報酬請求業務のため、土日も出勤としている場合が少なくありません。

また介護職と兼任で介護事務業務を担当する場合、365日の夜勤を含むシフト勤務となる場合もあります。

デイサービスは土日休みの場合が多いため、就職先としてデイサービスを選択すれば土日の休日は確保しやすいといえるでしょう。

夜勤を含む介護職は生活リズムが乱れがちですが、介護事務なら比較的安定した生活リズムで過ごすことができます。

介護事務の求人・就職状況・需要

今後も需要の拡大が見込める職種

介護事務の就職先は、介護老人保健施設、デイサービス、グループホーム、訪問看護ステーションなど介護関連施設が中心となります。

今後超高齢化社会を迎える日本では、介護業界自体が伸びる見込みがあるため、求人の需要は今後も期待できるといえるでしょう。

しかし介護職と比較した場合、介護事務の求人数は圧倒的に少なくなります。

また介護事務の業務はケアマネージャーや相談員、介護職が兼務している場合が少なくありません。

介護事務業務を兼務で担当できる介護職の採用枠も視野に入れると、就職の選択肢は増やすことができます。

介護事務の転職状況・未経験採用

スキルと経験があれば転職活動は有利

介護事務の仕事は介護保険制度の理解やレセプト業務など、一般的な事務職よりも専門性が求められる職種です。

そのためスキルと経験があれば、基本的に転職活動は有利になります。

資格も客観的なスキルの証明につながるため、取得していれば転職活動は有利に進めることができるといえるでしょう。

未経験でも介護事務として採用される可能性はありますが、その場合は介護職と兼務である場合が少なくありません。

未経験から専任の介護事務を目指すなら、資格を取得していた方が転職活動は進めやすくなります。

介護事務の現状と将来性・今後の見通し

文書のICT化による効率化

介護職員の負担軽減は、現在の介護業界にとって重要な課題です。

介護事務は介護職と兼務になることを考慮すれば、無視できない課題の一つだといえるでしょう。

厚生労働省の公表資料『介護保険制度の見直し』では介護職員の負担軽減を目的として、ICT化による公立的なサービス提供モデルの実証を行うことが明記されています。

また介護ロボットの開発も推奨されています。

介護ロボットが現場に投入されるようになれば管理すべき情報が追加され、介護事務の業務内容も変化していくことが予測できます。

これらについて考慮すると、今後は介護事務にもIT・通信に関する知識が求められる可能性は高いといえるでしょう。