不動産鑑定士が独立・開業するには?

独立開業している不動産鑑定士の働き方・仕事内容

不動産鑑定士の資格保有者は全国に約9000名おり、鑑定事務所は全国に約3000か所あります。

つまり、単純計算で不動産鑑定士の3人に1人は独立開業していることになり、不動産鑑定士はかなり独立しやすい職業といえます。

独立している場合の仕事内容は、鑑定事務所に勤める場合と基本的に大差なく、役所から公的評価を請け負ったり、銀行から担保評価を請け負ったりと、不動産の適正価格を算出する鑑定業務が中心です。

ただし、事務所によっては「補助者」を雇用し、物件調査や情報分析などの一部業務についてはスタッフに任せ、鑑定士自身は指導やチェック作業、仕上げを担当するケースも珍しくありません。

その代わりに、地域の会合や他士業者との勉強会に出席して営業活動を行ったり、事務所の経理作業や人事関係の仕事をしたりと、不動産鑑定士としての業務以外の仕事を手掛けることが多くなるでしょう。

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独立するまでのキャリアパス

不動産鑑定士は、試験をパスした後、鑑定事務所などで「実務修習」を受け、修了考査に合格することが必要です。

修習期間の終了とともに、すぐに自分の事務所を開業することも不可能ではありませんが、経験を積んだり、人脈を広げたりするために、鑑定事務所や一般企業に勤めることが一般的です。

不動産鑑定士の知名度は決して高くはなく、顧客獲得に苦しむケースもあるため、サラリーマン期間にどれだけ仕事上のつきあいを増やし、自分の顔を売れるかは非常に重要です。

十分な実務経験を積むとともに、ある程度安定的に依頼を得られるメドが立ったら、都道府県に開業届を提出し、独立します。

なお、現状では、公的な評価案件はどの地域でもベテラン鑑定士によってほぼ占拠されているため、開業地の選定にあたっては入念なマーケティングを行うなど、慎重を期することが必要といえます。

不動産鑑定士が独立開業するメリット・デメリット

不動産鑑定士が独立するメリットとしては、初期投資費用があまりかからない点があります。

特別な機材や設備は必要なく、パソコンなどのオフィス機器と通信環境があればすぐに開業できます。

補助者や事務員などもすぐさま必要になるわけでないため、人件費も抑えられますし、自宅を事務所にすれば賃料も発生しません。

不動産鑑定士は、試験に合格するまで、そして資格を登録するまでに相当な費用がかかる一方、独立する際にまとまったお金を用意しなくてもよい点は特徴的といえるでしょう。

反対に、不動産鑑定士が独立する場合のデメリットとしては、業界環境が厳しく、勤務時より収入が不安定になりやすいことが挙げられます。

とくに都市部については、不動産の証券化が導入された2000年頃に業者が乱立したせいで、現在では飽和状態となっています。

また、上述の通り古参の鑑定士がなかなか引退せず、公的評価依頼を請け負い続けている関係で、新規に参入しても役所などからの依頼もあまり期待できません。

不動産鑑定士に定年退職がない以上、早期に世代交代が進む見通しは薄く、当面は厳しい環境が続くと考えられます。

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独立開業している不動産鑑定士の給料・年収

独立開業している場合の収入は個人の手腕次第ですが、ある程度のキャリアを持ち、公的評価を手掛けるパイプのある鑑定士は、年収1000万円以上を稼いでいる人も少なくありません。

公的評価に頼らず、多くの収入を得るためには、いかに民間からの依頼を獲得できるかが重要といえます。

その方法のひとつが、弁護士税理士といった他士業者から顧客を紹介してもらうことであり、依頼のほぼすべてが士業者経由の鑑定士もいるようです。

業界環境が厳しいことには変わりありませんが、不動産鑑定士には鑑定評価業務という独占業務があり、また鑑定評価書には売買、担保、相続、財務会計など、さまざまな使い道があります。

自身の経営努力や事業戦略次第では、多くの収入を得ることも不可能ではないでしょう。